ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

性表現・名誉毀損的表現; 営利的言論の自由(芦部『憲法』5版182頁-186頁)

性表現・名誉毀損的表現; 営利的言論の自由 1.(1) 性表現や名誉毀損的表現については、刑法175条、230条以下で自然犯として規定されていることから、従来は憲法の保護範囲に含まれないと考えられてきた。しかし、わいせつ文書なり名誉毀損の概念の定め様によ…

伝聞法則(上口『刑事訴訟法』5版361-363頁)

伝聞法則 1.目撃者の供述によって事実を証明する場合、体験者が公判期日に出頭し証人尋問を受け証言するが、その者が死亡・所在不明等のため証言できないことがある。この場合、体験者の以前の供述(原供述)を記録した書面などを証拠とする必要があるが、書…

証明責任の意義(『民事訴訟法講義案』再訂補訂版231-232頁)

証明責任の意義 1.訴訟物たる権利関係判定ため、主要事実の存否確定が不可欠。しかし、事実の確定は原則、当事者の申し出に基づく証拠調べの結果として得られる証拠資料に基づき行われること等から、真偽不明(ノン・リケット)になることもあり得る。この場…

報酬等の決定(『LEGAL QUEST会社法』3版226頁-229頁)

1.会社と取締役との関係は委任に関する規定に従い(330条)、委任契約は無償が原則(民法648条1項)。とはいえ、今日、有償の委任がほとんど。 2.お手盛り防止のため、取締役の報酬等については、定款か株主総会決議によって以下の事項を定めなければならない(…

個人保証一般の規律、個人根保証の規律(内田『民法Ⅲ』4版433-437頁)

1.個人保証一般の規律 個人保証で、主たる債務者が期限の利益を喪失(失期)した場合、債権者は、それを知った時から2か月以内に、保証人にその旨を通知しなければならない(新458条の3第1項)。請求を受けずとも発生する義務。期間内に通知が到達しないと、債…

行政上の強制執行(『LEGAL QUEST行政法』3版173-177頁)

行政上の強制執行 1.民事法・行政法を問わず、自力救済すなわち、司法手続によらず自ら力づくで自己の権利を実現・確保することは、原則として禁じられている(自力救済の禁止原則)。法的平和が乱されるからである。従って、お金を貸したのに返してくれない…

報道の自由(芦部『憲法』5版176-182頁まとめ)

報道の自由 1.報道は、事実を知らせるもので、特定の思想を表明するものでないが、表現の自由(憲法21条1項)に含まれる。報道内容の編集という知的作業が行われ送り手の意見が表明され得るし、国民の知る権利に奉仕する重要性から考え、異論はない。博多駅テ…

被疑者勾留(起訴前勾留)の要件

[読んだものをさらりとまとめていこうと思います。] 勾留の要件は、勾留の理由および勾留の必要である。 勾留の理由があるとは、①罪を犯したことを疑うに足りる相当に理由があり、かつ、②住居不定、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれのいずれかがあること、を…

伝聞法則について

[読んだものをさらりとまとめて行こうと思います。] 1.伝聞法則(320条1項)とは、伝聞証拠には、原則として証拠能力は認められないとする法則である。その根拠は、①これにより供述内容の真実性を担保できると考えられること、②反対尋問権(憲法37条2項前段)の…

非伝聞に関するまとめ短文(19ヶ)の読み上げ

M4A ーーーーー 刑訴法13/ 伝聞法則(刑訴法320条)の適用を受けるか否かは、#要証事実との関係で相対的に決せられる。供述 #内容の真実性 が要証事実である場合に、伝聞法則が適用される。これに対し、その供述が本当に存在したか否かが問題である場合(非…

横領罪の客体・占有ほか(11ヶ)

M4A ――――― ◇横領罪の保護法益 刑法40/ 委託物横領罪は、①#物の所有権が第一次的な保護法益であり、②委託関係、すなわち、#委託に関する財産上の利益が、副次的保護法益である。窃盗罪における占有侵害に対応する法益侵害だが、#委託関係は物の占有よりも弱い…

詐欺罪(17ヶ),恐喝罪(3ヶ)の短文まとめ

M4A ――――― ◇詐欺罪の基本構造 [・詐欺罪(刑法246条)は、移転罪であり、交付罪である。すなわち、瑕疵ある意思に基づく占有の移転を要する。詐欺罪は成立するためには、「人を欺く行為」(欺罔行為)による錯誤の惹起、錯誤に基づいた交付行為、交付行為による…

代表取締役解職の取締役会決議において当該代表取締役は特別利害関係人にあたるか

以下,最判昭44・3・28民集23-3-645に事案を『会社法判例百選』3版(2016年)〔66〕を見て,140字に圧縮しました。その他の4つの文章は,同じ論点についてまとめたものです。 昭和30年1月5日に開催されたX社の取締役会では,代表取締役Aの解任につき,出席取締役4名…

(準備中)

犯罪事実の認識・予見(認識説)

*行為者が処罰されるためには、犯罪事実をどのように捉えている必要があるか(故意の内容)(1050字) 故意とは犯罪事実の認識をいうと解する。行為以前においては、認識ではなく、厳密にいえば予見である。これに対して故意の内容として、犯罪の認識(予見)、プ…

故意 [2023年4月2日誤植等訂正]

*故意について(平野説) 1.犯罪が成立するためには、構成要件(TB)に該当し、違法性(Rw)阻却事由に該当せず、責任(S)要件をみたし、かつ、責任阻却事由に該当しないことが必要である。 故意は、責任の領域に属し、犯罪事実の認識を指す。条文上は38条1項で「…

刑法における責任,違法の意識

*責任および違法の意識について(1180字,一部,自分なりの表現含む) 1.前提事項 犯罪とは、構成要件に該当する違法で有責な行為をいう。 構成要件とは違法行為の類型であると解する(結果無価値論系の考え方。他の見解は省略)。 2.責任の意義 責任は、非難可…

単独正犯における正犯性

* 正犯性について(755字) 1.(1) 正犯として構成要件(TB)的結果を惹起したと認め得るためには,構成要件的結果惹起の原因を支配したといいうること(正犯性)を要する。この正犯性(結果惹起原因の支配)は,基本的に,構成要件的結果についての十分な認識・予見をも…

過失

*過失犯についての理解(一部私見,含む。880字) 1.過失とは,不注意,すなわち,注意義務違反をいう(結果無価値系の考え方)。この注意義務は,結果予見義務と結果回避義務とからなり,前者の義務には結果予見可能性あることが前提であり(責任の領域),後者の義務に…

共犯の因果性,および教唆・幇助の従属性,共同正犯の共同性 (2020/4/1訂正,タテ2.⑴⑷)

*共犯について(724字) 1.共同正犯(60条)が成立するためには,共同加巧の意思と共同加功の事実とが必要である。そして,共犯規定は,正犯または他の共同者により惹起された結果についても,共犯の因果性が認められる限り共犯者を拡張処罰するものである(⇔行為無…

捜査の意義,端緒 (8ヶ)

◇令状主義刑訴法37/ 342/ 令状主義(憲法33条、35条)は、逮捕、差押えなど最も人権侵害の危険のある強制処分につき、捜査機関の判断だけに任せるのでなく、原則として、#裁判官の事前の判断(令状)を要求する制度である。全くの無実の者が拘束されるといっ…

刑法総論/ 不能犯(短文8ヶ。まとめ追加) (9月23日分,誤って消してしまったため,再掲)

〇不能犯に関する判例 刑法判例9/ 刑法判例:#方法の不能事案では_結果発生の可能性が科学的な根拠を問題としてかなり客観的に判断される場合が多いが,その一部の判決と,客体の不能判決では,#一般人の危険感が援用され具体的危険説(行為時に一般人に認識でき,…

刑法総論/ 故意など(16ヶ) (書き足し,一部まとめ)

略号: TB構成要件,Rw違法性(違法),S責任(有責性) ――――― ◇故意の認識対象(平野説)刑法3/ 68/ 故意とは「罪を犯す意思」(#刑法38条1項)すなわち犯罪事実の認識をいう。犯罪事実とは行為の違法性を基礎づける事実である。違法性を基礎づける点で構成要件が原…

刑法各論/ 国家的法益に対する罪 (短文18ヶ)

☆職務の適法性(刑法95条1項)刑法事案13/ 市会議員Xは,予算審議の市会で,議長Aの開会宣言後,水道問題を質問。他議員も重大・緊急の同問題先議を主張し,日程変更動議提出,議員数名賛成。#複数賛成者ある動議は議題とさるべきもので(規則9条参照),議題に取り上…

刑法総論/ 未遂犯(障害未遂,中止未遂)(9ヶ)

◇既遂の現実的危険・客観的危険(具体的危険)[・未遂犯が成立するために必要とされる危険は、既遂犯の構成要件的結果が惹起される現実的・客観的危険をいうが、それは一般的抽象的なな危険ではなく、具体的に認められる危険である。未遂犯は、既遂の具体的危…

刑法各論/ 強盗罪その1 (9ツイート)

@right_droit3 Read: http://tl.gd/n_1sqpnlq 反抗抑圧の手段 暴行・脅迫後の領得意思 利益の移転性 事後強盗罪 刑法総論/ 過失犯について(6ツイート) - 140字法律学

民訴法/ 平成24年度予備試験答案構成(信義則による遮断,既判力の時的限界,相殺の抗弁の審理順序,3ツイート)

Read: http://tl.gd/n_1sqor36 @right_droit2 (倒産法,要件事実,民訴法) ――――― ◇信義則による遮断効民訴法117/ 813/ 前訴で,~旨の主張は否定されているが,主文中の判断ではないので,既判力は及ばない(民訴法114条1項)。もっとも,#後訴での当該主張が前訴の…

2018年11月分ツイート:87,事案(憲法5,行政法18;民法9,会社法2);判例(民法4);その他(行政法1;民法30;刑法18)

25日~30日:11, Read: http://tl.gd/n_1sqomou 17日~24日:22, Read: http://tl.gd/n_1sqnqrp 12日~16日:20, Read: http://tl.gd/n_1sqnjlf 5日~11日:19, Read: http://tl.gd/n_1sqneht 1日~4日:15, Read: http://tl.gd/n_1sqn744 ――――― 2018年11月29日(…

憲法/ 人権の享有主体性(10ツイート,平成29年度司法試験公法系第1問関連)

Print: http://tl.gd/n_1sqmqfo Twitter: @right_droit ☆問題,〇判例/ R:論文,Q:設問;T:短答 ☆人権の享有主体性憲法問題1/ 憲法T22(1):ア.議会制民主主義を支える不可欠の要素たる政党の健全な発展への協力も,社会的実在としての会社に当然期待されるので,#…

刑訴法/ 現行犯逮捕, 逮捕前置主義 (平成29年度司法予備試験 設問1関連)

Print: http://tl.gd/n_1sqmmbu . Twitter: @right_droit3 (以下,☆問題,〇判例) 〇現行犯逮捕の要件ーー逮捕の必要性刑訴法判例8/ 大阪高判昭60・12・18参照:現行犯逮捕についても逮捕の必要性(逃亡or罪証隠滅のおそれ)が要件となるかにつき,明文規定は存し…