ミニマム法律学

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報酬等の決定(『LEGAL QUEST会社法』3版226頁-229頁)

1.会社と取締役との関係は委任に関する規定に従い(330)、委任契約は無償が原則(民法6481)。とはいえ、今日、有償の委任がほとんど。

 

2お手盛り防止のため、取締役の報酬等については、定款か株主総会決議によって以下の事項を定めなければならない(3611)。①額が確定しているものについては、その額。②額が確定していないものについては、具体的のな算出方法。③金銭でないものについては、具体的な内容。②③では、議案提出取締役は、当該事項を相当とする理由を説明要(4)

 取締役が職務執行の対価として会社から財産上の利益を受ける場合、名目を問わず全て「報酬等」として以上の規制対象。

 基本報酬は上記①の確定額の報酬として支払われる。株主総会で、数人いる取締役の基本報酬の総額の月額最高限度を決議することが多い。最高限度額内での各取締役の報酬額は、取締役会の決定に委ねられる。代表取締役への一任も可。

退職慰労金は①確定額の報酬だが、実務上、株主総会で最高限度額も定められず、会社が定める支給基準に従って、具体的な金額・支給期日・支払方法を取締役会の決定に一任する旨の決議が行われる。

 使用人兼務取締役には、取締役としての報酬に加え、使用人としての給与が支払われる。この使用人分給与については、361条は不適用。

 

3.業績連動型報酬として、取締役に新株予約券(221)が付与される場合がある。このストック・オプションも、職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益であり、361条適用。決議方法として、上記①の事項として新株予約権の公正な価格の最高限度額が決議され、③の事項として新株予約権の概要が決議される。これに加え、新株予約権の発行手続も必要。

 

4.定款と株主総会決議いずれの定めもなく取締役に報酬等が支払われても無効。もっとも、事後的に株主総会で追認可。

 また、株主全員の同意には、株主総会決議に代わる効果が認められる。その他、会社の実質的な意思決定者が支払を約束したなど例外的な事情あれば、有効とされることがある。

定款又は株主総会決議(及び一任を受けた取締役会の決定)で取締役の報酬が具体的に定められた場合、その報酬額は、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束。取締役が同意しない限り、報酬請求権を失わない。