ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

刑法総論

犯罪事実の認識・予見(認識説)

*行為者が処罰されるためには、犯罪事実をどのように捉えている必要があるか(故意の内容)(1050字) 故意とは犯罪事実の認識をいうと解する。行為以前においては、認識ではなく、厳密にいえば予見である。これに対して故意の内容として、犯罪の認識(予見)、プ…

故意 [2023年4月2日誤植等訂正]

*故意について(平野説) 1.犯罪が成立するためには、構成要件(TB)に該当し、違法性(Rw)阻却事由に該当せず、責任(S)要件をみたし、かつ、責任阻却事由に該当しないことが必要である。 故意は、責任の領域に属し、犯罪事実の認識を指す。条文上は38条1項で「…

刑法における責任,違法の意識

*責任および違法の意識について(1180字,一部,自分なりの表現含む) 1.前提事項 犯罪とは、構成要件に該当する違法で有責な行為をいう。 構成要件とは違法行為の類型であると解する(結果無価値論系の考え方。他の見解は省略)。 2.責任の意義 責任は、非難可…

単独正犯における正犯性

* 正犯性について(755字) 1.(1) 正犯として構成要件(TB)的結果を惹起したと認め得るためには,構成要件的結果惹起の原因を支配したといいうること(正犯性)を要する。この正犯性(結果惹起原因の支配)は,基本的に,構成要件的結果についての十分な認識・予見をも…

過失

*過失犯についての理解(一部私見,含む。880字) 1.過失とは,不注意,すなわち,注意義務違反をいう(結果無価値系の考え方)。この注意義務は,結果予見義務と結果回避義務とからなり,前者の義務には結果予見可能性あることが前提であり(責任の領域),後者の義務に…

共犯の因果性,および教唆・幇助の従属性,共同正犯の共同性 (2020/4/1訂正,タテ2.⑴⑷)

*共犯について(724字) 1.共同正犯(60条)が成立するためには,共同加巧の意思と共同加功の事実とが必要である。そして,共犯規定は,正犯または他の共同者により惹起された結果についても,共犯の因果性が認められる限り共犯者を拡張処罰するものである(⇔行為無…