2018年11月分ツイート:87,事案(憲法5,行政法18;民法9,会社法2);判例(民法4);その他(行政法1;民法30;刑法18)
25日~30日:11, Read: http://tl.gd/n_1sqomou
17日~24日:22, Read: http://tl.gd/n_1sqnqrp
12日~16日:20, Read: http://tl.gd/n_1sqnjlf
5日~11日:19, Read: http://tl.gd/n_1sqneht
1日~4日:15, Read: http://tl.gd/n_1sqn744
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2018年11月29日(その他1)
刑法102/ 800/ 過失犯の要件:実質的な危険あり,それが許された危険でなく,結果回避可能性あることを前提とする,#結果回避義務違反(TB)。過失,すなわち,#結果予見義務違反という不注意あること(S)。TB該当事実に関する具体的な予見可能性要。細部に至るまでは必要なく,結果・因果関係の基本的部分の予見可能性で足る。
[平野『刑法概説』85頁-87頁,山口『刑法総論』3版246頁,247頁,『判例プラクティス 刑法Ⅰ』112頁(大阪高判平3・3・22),参照。
山口説は,平野説(旧過失論)をより詳しく説明したものだと思う。また,実務の過失の理解と必ずしも対立するものではない(山口同書245頁L12参照)。]
2018年11月27日(その他1)
刑法101/ 799/ #賄賂罪の保護法益は職務の公正とそれに対する社会の信頼。∵適法な職務行為に対する賄賂授受,職務行為後の授受も可罰的。#職務行為が賄賂の影響下に置かれ_職務遂行における裁量が不当行使される危険防止に対する信頼も保護。請託,⇒賄賂の影響下に置かれる危険大。不正な職務行為,賄賂の影響の結果。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版171頁(最大判平7・2・22刑集49-2-1,ロッキード事件),山口『刑法各論』2版610頁-613頁,参照。参考:R27予備で,賄賂罪についての問題が出題されているが,保護法益論を書かなければならないのか,わかりません。]
2018年11月25日(その他9)
刑法99,100/ 797,798/ 因果関係は,#実行行為の危険性が結果に実現したといえるかにより判断すべき。その場合,行為時に存した事情を客観的に判断。また,介在事情の経験的通常性の低い場合も,実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合があるので,端的に危険の現実化の過程を検討すべき。
本件の,被害者が高速道路へ侵入→
/ →という介在事情は, 極めて危険だが,Xらの激しい暴行で,極度の恐怖感を抱き,必死に逃走を図る過程でのとっさの選択で,精神的圧迫状態を考慮すると,そのような危険な行動に出ることも,暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえず,介在事情の経験的通常性が低いとまではいえない。
[山口『刑法総論』3版62頁-63頁(最決平15・7・16刑集57-7-950),60頁-61頁参照]
☆被害者の行為の介入
Q:長時間にわたり激しい暴行を受け、すきを見て逃走した被害者が、追跡から逃れるために高速道路に侵入し、逃走してきた自動車に衝突、れき過されて死亡した場合(高速道路侵入事件)、Xらの激しい暴行行為と被害者のれき死との間に因果関係が認められるか。
1.問題の所在
実行行為と結果との間に被害者の行為が介在しているため、因果関係が認められるか問題となる。
2.法的判断枠組み
因果関係については、実行行為の危険性が結果に実現したといえるかによって判断すべきである。その場合、行為時に存した事情を客観的に判断する。また、介在事情の経験的通常性の低い場合も、実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合があるので、端的に、危険の現実化の過程を検討すべきである。
3.事実の拾い出し、評価
本件において、被害者が高速道路へ侵入したという介在事情は、極めて危険な行動であるが、Xらの激しい暴行により、Xらに対し極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程でとっさに選択した行動であり、被害者の精神的な圧迫状態を考慮すると、被害者がそのような危険な行動に出ることも、Xらの暴行から逃れる方法として、著しく不自然、不相当であったとはいえず、介在事情の経験的通常性が低いとまではいえない。
したがって、被害者が高速道路に侵入して死亡したのは、Xらの激しい暴行に起因するものと評価でき、実行行為の危険性が結果に実現したといえる。
4.結論
よって、Xの暴行と被害者の死亡との間に因果関係が認められる。
以上
[山口『刑法総論』3版62頁-63頁(最決平15・7・16刑集57-7-950),60頁参照]
刑法98/ 796/ 実行行為の危険性は,#行為時に存在した事情を基礎に客観的に判断。また,#通常の因果経過をたどり結果発生したとはいえないが(介在事情の経験的通常性低い),実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合あり。実行行為に認められる,結果惹起の現実的危険性の実現過程(#危険の現実化)を,端的に検討要。
[山口『刑法総論』3版60頁-61頁(最決平22・10・26刑集64-7-1019(日航機ニアミス事件),最決平24・2・8刑集66-4-200(トラック・ハブ脱落事件))参照]
刑法97/ 795/ 条件関係の存在を前提に,生じた結果が実行行為の危険を現実化したと評価できる場合,因果関係肯定。#実行行為の危険性_介在事情の結果発生への寄与度検討_実行行為が結果発生の直接の原因になった⇒因果関係肯定,そうでない場合,#行為の介在事情への影響(経験的通常性)高い(介在事情異常でない)⇒肯定。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版14頁-15頁(最決平15・7・16,最決平18・3・27,最決平22・10・26,最決平24・2・8)参照。参考:前田『刑法総論講義』5版197頁-198頁]
刑法96/ 794/ #不作為の放火罪の構成要件要素たる作為義務(結果回避義務)は,過失による危険な先行行為,自家や残業職員としての地位(保障人的地位),などに基づき,#火源を自己の支配領域に置いていることにより基礎づけられる。#消火の容易性(結果回避可能性)は,因果関係の要件。#焼損を認容する意思は,放火罪の故意。
[山口『刑法総論』3版83頁-84頁(最判昭33・9・9刑集12-13-2882),79頁-80頁(最決平元・12・15刑集43-13-879)参照。R22旧①]
刑法95/ 793/ 不真正不作為犯は,何らかの不作為と構成要件的結果との間の,実行行為の危険性現実化という意味での因果関係だけでは構成要件該当性は認められず,結果回避義務としての作為義務(#保証人的地位に基づく作為義務)を要する。一定の限定された不作為,#結果原因の支配のある不作為だけが作為と同視可のため。
[山口『刑法総論』3版81頁-82頁(大判大13・3・14刑集3-285)参照。,構成要件的結果惹起の現実的危険性を支配する保障人的地位にある者の作為義務(結果回避義務)違反の不作為について,作為との同価値性が認められるということであり,辰巳趣旨規範本5版8頁も同じようなことを書いているのであろう。]
刑法94/ 792/ 不作為の因果関係:#一定の作為がされていたなら_結果阻止できだろうというように_仮定的判断を取り入れ条件関係肯式を修正し判断。例:被害女性が,Xにより注射された覚せい剤で錯乱状態に陥った時点で直ちに救急医療を要請していれば,救命は十中八九可能,合理的疑いを超える程度に確実,⇒因果関係あり。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版9頁(最決平元・12・15)参照]
刑法93/ 791/ #作為義務は構成要件要素。∵そう位置付けることで,構成要件の違法性推定機能が認められる。/作為義務について錯誤があるとしても,#素人的認識あれば_故意あり。∵裁判官と同様の法的評価能力を要求するのは無理だが,規範的構成要件要素たる作為義務の意味の認識なければ,規範に直面したとはいえない。
[辰巳『趣旨・規範男度ブック 刑事系』5版9頁参照]
刑法92/ 790/ 作為と同価値の実行行為性の認められる不作為:#当該構成要件的結果発生を防止すべき法律上の作為義務ある者(保障人)が,#作為が可能・容易なのにかかわらず作為を怠る場合。∵構成要件的結果惹起の現実的危険性ある,正犯者の行為が実行行為だが,上記要件をみたせば,#規範的に現実的危険性ありといえる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版8頁,山口『刑法総論』3版51頁,68頁LL6,参照。参考:R22旧①]
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2018年11月分(1日~24日)ツイート:76,事案(憲法5,行政法18;民法9,会社法2);判例(民法4);その他(行政法1;民法30;刑法7)
2018年11月(17日~24日)分ツイート:22,判例(民法2);その他(民法13;刑法7)
2018年11月24日(その他2)
刑法91/ 789/ 「現に人が住居に使用」(刑法108条,現住性):現に人の起臥寝食の場所として日常使用されていること,昼夜間断ない人の現在は不要。数日起臥寝食がされないとしても,#不在者が以後も起臥寝食の場所として日常使用することを認識していたなど居住意思ある場合_家屋の使用形態に変更なく,現住性失われない。
[『判例プラクティス刑法Ⅱ』〔426〕(最判平9・10・21刑集51-9-755)判旨および解説参照]
刑法90/ 788/ 刑法108条の建造物等:現に人が住居に使用する(現住建造物等)か,現に人がいる(現在建造物等)こと要。後者:人の現在性により,108条の重罰根拠たる,建造物等の内部に現在する人に対する危険把握。後者:人の現在性は不要。危険惹起の対象は,#建造物内部に存在する可能性ある人にまで「住居」と限定し拡張。
[山口『刑法各論』2版378頁参照。参考:R22旧①,こちらは,109条1項の非現住建造物放火罪の成否が問題となるようである。]
2018年11月23日(その他2)
刑法89/ 787/ わいせつ行為には,#行為そのものが持つ性的特質が明確で_直ちにわいせつな行為と評価できる行為だけでなく,性的特質が不明確で,具体的状況等をも考慮しなければ性的な意味があるか評価し難いような行為もある。
本件では,行為そのものが持つ性的特質が明確(前者)だから,客観的にわいせつな行為に該当。
[『平成29年度重要判例解説』〔刑法3〕(最大判平29・11・29刑集71-9-467)参照]
刑法88/ 786/ 甲は,呼び出しに応じれば,凶器を用い暴行されるのを十分予期しながら,自宅に居て警察の援助を受けることが容易だったにもかかわらず,包丁を携え,現場に赴き,ハンマーで攻撃されるや,#包丁で威嚇することもなくAに近づき_左側胸部を強く刺突。右行為は,刑法36条の趣旨に照らし許容不可,侵害急迫性なし。
[『平成29年度重要判例解説』〔刑法2〕(最決平29・4・26刑集71-4-275)参照]
2018年11月22日(その他2)
刑法86,87/ 784,785/ #侵害を予期していたからといって_直ちに急迫性は失われれない。行為者がその機会を利用し積極的に相手方に対し加害行為をする意思で侵害に臨んだなど,#緊急情況下での不正な侵害を排除するために私人による対抗行為を例外的に許容した_刑法36条の趣旨に照らし許容できない場合_急迫性要件みたさない。
/ 侵害の急迫性要件の考慮要素:先行事情,#行為全般の状況に照らし,従前の関係,予期された侵害内容,予期の程度,#侵害回避の容易性,侵害場所に出向く必要性,そこにとどまる相当性,対抗行為の準備状況(#凶器の準備・性状等),予期侵害と実際の侵害行為の異同,#行為者が侵害に臨んだ状況,その際の意思内容等。
[『平成29年度重要判例解説』〔刑法2〕(最決平29・4・26刑集71-4-275,最判昭46・11・16刑集25-8-996,最決昭52・7・21刑集31-4-747)参照]
2018年11月21日(その他1)
刑法85/ 783/ #過失は不注意_すなわち注意義務違反。過失犯の注意義務は,結果予見義務と結果回避義務とからなる。#結果予見義務違反は予見可能性あることが前提,故意犯の故意に対応(責任要素)。過失犯の構成要件該当性は_結果回避義務違反および結果回避可能性を前提とする(故意犯の構成要件該当性もそれらが前提)。
[山口『刑法総論』3版246頁参照。
山口説,旧過失論の立場からも,過失犯の構成要件該当性について検討を要する固有の問題,すなわち,結果回避義務違反の点(この点で,危険の引受け,ないし,許された危険の法理が問題となるようである)が問題となる。この結果回避義務は,故意犯の構成要件該当性を認めるために同様に必要な前提要件といえるが,過失犯の構成要件該当性の認定と異なり,許された危険の法理は論じられない。
以上が,山口教授の説明のようである。
また,予見可能性の程度について,高度な予見可能性を必要とするか,ある程度まで緩やかな予見可能性を認めざるをえないこと(同書256頁参照)とも関連するようである(同書247頁)。
参考:予見可能性の程度に関し,最判平29・6・12刑集71-5-315(『平成29年度重要判例解説』〔刑法〕1)]
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過失犯の構成要件該当性を認めるために,結果回避義務違反,要。
過失犯の責任要素として,結果予見義務違反=不注意=過失,要。
(前提たる予見可能性は,原則,高度な予見可能性を要するが,例外的にある程度まで緩やかなものまで認めざるをえない(自動車事故など類型的に予見可能性が認められる事案,管理過失の事案など)。)
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このような感じか?
私の理解が足りていないところは,後日書き足すかもしれません。とりあえず,旧過失論に属する山口説について私なりに理解した基本的な事柄の範囲でツイートしております。
2018年11月19(その他2)
民法132/ 782/ 地上建物が仮差押えされた後,本執行に移行し強制競売手続で売却により買受人が所有権を取得した場合,#土地・地上建物が当該仮差押え時点で同一の所有者に属していれば_その後に土地が譲渡され_当該強制競売手続の差押え時点では土地・地上建物が同一所有者に属していなかったとしても_法定地上権成立。
[『平成29年度重要判例解説』〔民法6〕(最判平28・12・1民集70-8-1793),民執法81条では「差押え」と規定されていること,参照]
民法131/ 781/ #自己借地権設定は一般的に認められてないため(借地借家法15条参照),抵当権実行により土地と建物が別人の所有に帰した場合,土地利用権のない建物が出現するおそれあり。建物を収去しなければならないとすると,#社会経済上不利益_また_当事者の合理的意思に反する。その不利益回避が,法定地上権の趣旨。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版71頁参照]
2018年11月18日(判例1;その他9)
民法127-130/ 777-780/ #共同相続した可分債権は_法律上当然に分割され_相続分に応じ権利承継。∵共同帰属という形態に親しまない。民法264条の特則たる427条適用。共同相続人の1人が,共同相続財産中の可分債権を,法律上の権限なく自己分を超え行使した場合,権利侵害となり,#不法行為損賠賠償_不当利得返還請求の対象となる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版175頁(最判昭29・4・8,最判平16・4・20)参照]
/ #不可分債権は共同相続人全員に帰属し(民法898条),共同して,または各債権者は相殺権者のために履行請求できる(428条,429条)。∵遺産共有(898条)により,債権は相続人間の準共有(264条)となるのが原則だから。例:株式,投資信託受益権,国債。可分か不可分かの区別は,権利の内容・性質を検討して判断する。
[同書同頁(最判平26・2・25)参照]
/ #相続人は遺産分割までは_相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対し_自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない。∵遺産中の金銭を当然に債権扱いしなければならないわけではない。当然に分割帰属するのでは,遺産分割で金銭を利益調整に使えなくなるから。
[同書176頁(最判平4・4・10)参照]
/ 遺産分割前に共同相続人間の共有不動産から生じた賃料債権は,相続開始時に未だ発生していない,#遺産とは別個の財産であり,共同相続人が共同賃貸人となり,#相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。遺産分割には遡及効があるが,確定取得した賃料債権は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
[同書同頁(最判平17・9・8)参照。R20①]
民法124-126/ 774-776/ 民法370条本文は,抵当権が目的物の使用収益権を設定者の下に留めつつ目的物の交換価値を支配する担保物権たることに鑑み,目的物の全交換価値を把握させる趣旨。⇒#付加一体物とは_目的物と経済的_価値的に一体的である物。付合物(242条本文)は,#目的不動産の構成部分→付合の時期を問わず,付加一体物。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版66頁参照]
/ 従物の要件(民法87条1項)は,①主物の常用に供される,②主物と同一の所有者に帰属,③独立したもの,④主物に従属するといえる程度の場所的関係。従物は,抵当権設定時期を問わず,付加一体物(370条本文)として,抵当権の効力及ぶ。∵#従物は主物の効用を高めるもので_不動産と経済的_価値的に一体といえる。
[同書同頁(最判昭44・3・28)参照。敷地利用権(地上権,土地利用権)も,目的不動産の従たる権利として,従物に準じ,370条本文により抵当権の効力が及ぶ。]
/ 付加一体物が,不動産から分離されても,抵当目的物上にある場合,抵当権の効力及ぶ。∵抵当権は価値支配権。分離物が搬出された場合,#第三者に即時取得(民法192条)が成立するまで抵当権の効力及ぶ。∵抵当権者保護と取引安全とを調和させるため。⇔搬出されると,登記による公示の衣が及ばず,対抗力喪失。
[同書67頁(大判昭7・4・20,最判昭57・3・12)参照]
民法123/ 773/ 転借人は賃貸人に直接に義務を負うが(民法613条1項,賃貸人の権利),直接の契約関係はないので,賃貸人に義務なし。⇒賃借人(転貸人)に債務不履行があっても,#賃貸人が賃貸借契約を解除するのに_転借人への催告不要。転貸借契約は,賃借人が転借人に目的物の返還を請求したとき,社会通念上履行不能となる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版139頁(最判昭37・3・29,最判平9・2・25)参照。
もっとも,賃借権の放棄,合意解除は,特段の事情なき限り,転借人に対抗できない(大判昭9・3・7)。∵398条、538条の法理(何人も第三者の権利を害することはできない)。]
民法122/ 772/ Aが所有建物をBに譲渡,BがそれをCに賃貸し引き渡した後,AがDに建物を二重譲渡,Dが登記具備した場合:建物賃借人CはDに賃借権を対抗できる。∵①#Cが建物を賃借し引き渡された時点でBに賃借権限があったのだから,Cを保護すべき。②借地借家法31条1項の「建物の賃貸借」は,賃貸人が建物所有者か問わない。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版139頁(大判昭4・3・1)参照]
民法判例22/ #近親者名義の建物登記では借地権を第三者に対抗できない(最判昭41・4・27)。∵取引上の第三者は登記簿の記載で当該建物の権利者を推知するのが原則,対抗を認めると第三者の利益を害する。⇔対抗可。∵#実際の取引では現地検分するのが通常で_そこに建物あれば_登記簿を見て借地権の存在を推知しうる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版138頁参照]
2018年11月17日(判例1;その他2)
民法121/ 771/ #敷金交付者が賃貸人と_敷金を新賃借人の債務不履行の担保とすると約しまたは新賃借人に対し敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情なき限り,敷金に関する権利義務は新賃借人に承継されない。∵敷金交付者の予期に反する。/賃貸人の必要費・有益費償還義務は承継されない。∵賃貸借契約に基づく債権。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版(最判昭53・12・22)参照]
民法120/ 770/ 賃貸借存続中,所有者・賃貸人が交代した場合,敷金は,未払賃料あれば当然充当され,残額あれば新賃貸人承継。#賃貸借契約と敷金契約とは別個の契約だが_賃貸借に付従し_主契約たる賃貸借契約における債務を担保するものだから,随伴。/賃貸借修了後明渡し前は,旧所有者と新所有者の合意のみでは承継不可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版136頁-137頁(最判昭44・7・17,最判昭48・2・2)参照]
民法判例21/ #土地の継続的用益という外形的事実の存在_それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されている場合,賃借権を時効取得できる(最判昭43・10・8)。∵不動産賃借権の物権化が進み時効取得を認めるべき要請があるが,他方で賃貸人に時効中断の機会を与える必要から,外形的事実の存在を要求すべきだから。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版136頁参照]
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2018年11月(1日~16日)分ツイート:54,事案(憲法5,行政法18;民法9,会社法2);判例(民法2);その他(行政法1;民法17)
2018年11月(12日~16日)分ツイート:20,事案(民法4);判例(民法1);その他(民法15)
2018年11月16日(判例1;その他4)
民法119/ 769/ #賃貸目的物の返還時に残存する賃料債権は_敷金が存在する限度で敷金の充当により当然消滅し_賃借人は_それを抵当権者に主張可。∵①敷金の充当による未払賃料の消滅は,敷金契約から発生する効果であり,民法511条によっても妨げられない,②抵当権者は賃料債権差押前,原則,不動産の用益関係に介入不可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版70頁(最判平14・3・28)参照。
②抵当権者は賃料債権差押前,原則,不動産の用益関係に介入不可。⇒抵当不動産の所有者等は,敷金契約を締結するか自由に決められ,締結した場合は,賃料債権は敷金の充当を予定した債権となるから。]
民法118/ 768/ #抵当権者が物上代位権を行使し債権差押えした後は_第三債務者は抵当権登記後に設定者に対し取得した債権を自働債権とする相殺を_抵当権者に対抗不可。∵抵当権の物上代位の効力が賃料債権に及ぶことは登記で公示済,右登記後取得した賃貸人に対する債権への,賃借人の相殺期待は,抵当権の効力に後れる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版(最判平13・3・13)参照。
抵当権の物上代位の効力が賃料債権に及ぶことは登記で公示済,右登記後取得した賃貸人に対する債権への,賃借人の相殺期待は,抵当権の効力に優先させる理由はない。]
民法116,117/ 766,767/ #抵当権者は_物上代位の目的債権が譲渡され_債権譲渡の第三者対抗要件が備えられても_目的債権を差し押さえ物上代位権行使可。∵民法304条1項の差押えは,二重弁済の危険から第三債務者を保護することにあり,#物上代位の差押命令送達前には債権譲受人に弁済すれば足り_送達後は供託し免責で保護される。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版69頁(最判平10・1・30)参照]
/ 動産売買先取特権:抵当権と異なり公示方法がないので,民法304条1項に目的債権の譲受人等の利益保護の趣旨も含む。⇒目的債権が譲渡され,#債権譲渡の第三者対抗要件具備後は_物上代位権行使不可。/転付命令:債権者に独占的満足を与えるもの⇒#転付命令送達時までに差押えしなければ物上代位権行使不可。
[同書69頁(最判平17・2・22,最判平14・3・12)参照。T29(12イ)]
民法判例20/ 抵当権設定者の他の一般債権者の差押えと,物上代位権の優劣は,#差押命令の送達と抵当権設定登記の先後によって決っせられる(最判平10・3・26)。∵①#債権差押えの効力は差押え命令の第三債務者への送達で発生,②抵当権は登記により公示されるので,#第三者に対抗するために登記を具備する必要あるから。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版68頁参照]
2018年11月15日(事案1)
総則物権事案8/ 最決平29・5・10事案:輸入業者Xは,銀行Yから信用状発行を受け輸入する商品にYに対し譲渡担保権設定,YはXにこの商品を貸渡し,Xに受領,通関手続,運搬,処分等権限付与。Xは,海運貨物取扱業者(海貨業者)Bらに受領等手続を委託し(直接占有),第三債務者Dに転売。X再生手続開始時に,Y,対抗要件(占有改定)具備?
[『平成29年度重要判例解説』〔民法5〕(民集71-5-789)参照。銀行Yの物上代位権行使に異議を唱え,Xの再生手続開始時点でYは対抗要件(即時取得)を備えていなかった(したがって,物上代位権を行使できない)と,原々審に執行抗告を申し立てたのは,輸入業者Xの方のようなので,29年度重要判例解説59頁に合わせ,輸入業者をX,銀行をYとした。
間接占有によっても占有改定できる場合を示した事例決定。]
2018年11月14日(その他4)
民法115/ 765/ 原則:#抵当不動産の賃借人は自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場になく,民法304条1項の「債務者」に含まれず,転貸賃料への物上代位不可。例外:賃借人を抵当不動産の所有者と同視可⇒肯定。/目的物にかけられた保険金の請求権は物上代位対象。保険料の対価だが,#実質的に価値代表物。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版68頁(最決平12・4・14,大判明40・3・12)参照]
民法114/ 764/ 抵当目的物の賃料は物上代位の対象となるか? 賃料から債権回収する必要性もあり,#賃料は目的物の交換価値がなし崩し的に実現されたものといえる,設定者の目的物使用を必ずしも妨げるものとはいえず,肯定すべき。平成15年改正で,民法371条が修正され,収益執行手続も導入され,#債務不履行後,物上代位可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版68頁(最判平元・10・27),内田『民法Ⅲ』3版404頁,407頁,460頁参照]
民法113/ 763/ 抵当目的物の売却代金は物上代位対象か? ①民法304条1項の明文があり,②交換価値の現実化による価値代表物に抵当権の効力を及ぼし当事者間の公平をはかる条文趣旨から,売却代金は交換価値が現実化した価値そのものとも考えられる。しかし,③#対抗要件具備の抵当権には追及力あり,実益なく,否定すべき。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』67頁,内田『民法Ⅲ』3版403頁参照。趣旨規範本は,①②の理由で肯定。内田先生は,③などの理由で否定。]
民法112/ 762/ 民法304条1項本文は,抵当権が目的物の交換価値を把握する担保物権であることから,#交換価値が現実化したとき_その価値の代表物に効力を及ぼすことにより_当事者間の公平を図る趣旨である。ただし書は,担保権の効力が及んでいることを知らない第三者が二重弁済しなければならない危険を防ぐ趣旨である。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版67頁参照]
2018年11月13日(事案3;その他4)
民法108,109,110,111/ 758,759,760,761/ 自ら社会的に非難されるべき行為をした者は法の保護に値しないので,不当利得返還請求権否定(民法708条)。違法行為の抑制となる。要件:①不能な原因のため,②給付した。不法は,90条の公序良俗違反をいう。#給付とは_終局的な給付である。∵終局的でない給付まで,法が助力し返還請求を否定すべきでない。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版152頁参照。終局的でない給付の返還請求権を否定することは,かえって法が不法の実現に助力することになり,状の趣旨に反するとする。参考:最大判昭45・10・21,最判昭46・10・28]
/ 不法原因給付が給付者,受給者双方にある場合も,#前者の不法性が後者のそれよりも極めて弱い場合,民法90条・708条の適用なく,不当利得返還請求肯定。708条ただし書の文言上「受益者についてのみ」とあるが,このような場合まで返還請求を否定すると,受益者を利し,かえって違法行為を助長しかねないから。
[同書152頁-153頁(最判昭29・8・31)参照]
/ 不法原因給付の効果:給付したものの不当利得返還請求できない。#その反射的効果として給付物の所有権は受益者に移転。/不法行為に基づく損害賠償請求,所有権に基づく返還請求にも類推適用される。∵#違法行為の抑止という民法708条の趣旨の潜脱防止。/裁判所が助力しないだけで,給付物返還特約は有効。
[同書153頁-154頁(最大判昭45・10・21,最判昭44・9・26,最判昭28・1・22)参照。
なお参考:最判平26・10・28平成26年重判〔民法7〕(信義則による不法原因給付の主張の制限)]
/ 不法原因給付の給付者の一般債権者が債権者代位権を行使し給付物の返還請求をすることもできない。∵民法708条により給付者の不当利得返還請求権が存在しなくなり,被代位債権不存在。/詐害行為取消権を行使し契約を取り消すことはできる。∵#債権者代位権とは異なり債権者独自の立場での取消しだから。
[同書153頁(大判大5・11・21)参照]
総則物権事案5,6,7/ 内田民法Ⅰ4版375頁Ⅷ-4:BはAの土地の登記名義を勝手に自分に移し,自分の土地としてCに売却。Aが気づきCに土地明渡・登記抹消請求,Aが勝訴。Cが土地の占有を有する間に,土地上の蜜柑が実をつけた場合,Cに収取権あるか?/善意占有者に果実収取権(民法189条Ⅰ),#本件の訴えで敗訴⇒悪意とみなされる(Ⅱ)。
[設例。占有物から生じた果実の収取権]
/ 内田民法Ⅰ4版376頁Ⅷ-5:BはAの建物の登記名義を勝手に自分に移し,自分の建物としてCに売却。Aが気づきCに建物明渡・登記抹消請求,A勝訴。Cが建物に投下した費用如何?/必要費:回復者(A)に償還請求可。ただし,果実を収取⇒#通常の必要費:占有者(C)負担。有益費:#価格増加現存⇒費用or増加分償還請求可。
[設例。占有者の必要費償還請求権(民法196条1項,善意・悪意に関わらない),有益費償還請求権(同条2項,悪意の占有者が占有物に有益な費用を投下した場合も,回復者の要望(請求)があれば,裁判所の許与することにより、費用償還を待ってもらえる(ただし書)。)]
/ 内田民法Ⅰ4版377頁Ⅷ-6:BはAの建物の登記名義を勝手に自分に移し,自分の建物としてCに売却。Aが気づきCに建物明渡・登記抹消請求。Cが建物を滅失させたり(例:失火),損傷を与えたとき?/占有者の帰責事由で滅失・損傷:悪意占有者⇒全損害賠償義務。#善意・自主占有者⇒滅失・損傷で現に得た利益の限度。
[設例。民法191条本文。他主占有者(賃借人など)は善意であっても,全損害賠償義務を,回復者(A)に対して負う(同条ただし書)。]
2018年11月12日(その他3)
bot/ 委託された金銭の保管手段として預金する場合、預金による金銭の占有を否定すれば、#払い戻す金銭につき横領罪が問題になるが、#振込・振替送金の場合に金銭を手にしないので、#委託物横領罪は成立せず背任罪が問題となるにどどまり均衡を失する。したがって、#預金による占有を肯定すべきである。
補足/ 山口『刑法各論』2版295頁:一定の金額についての占有(物概念の拡張)。
さらに,預金の占有は,事実上の処分可能性ではなく,#預金の払戻権限により基礎づけられる。すなわち,事実上預金を処分しうるにすぎない窃盗犯人には銀行に対する関係で預金の占有は認められないので(銀行に対し?)詐欺罪が成立する。
[1.窃盗犯人に詐欺罪が成立するとして,被害者は誰であろうか? 銀行と預金者の双方であろうか?
銀行のみ被害者だとしたら,預金者の銀行預金をだまし取られて記載上預金残高が0になったとしても,預金者の預金は従前どおりということであろうか? ただし,その場合,預金者の払戻預金債権と,預金者が通帳を盗まれたことにより銀行が負った被害の賠償請求債権(詐取金額全額ではないであろう?)と,対当額で相殺ということになるのであろうか?
2.預金通帳・印鑑の窃盗者には,預金者との関係でも預金の占有は認められないので,預金者に対して,遺失物横領罪は成立しない。
ということは,預金者との関係では,通帳等の窃盗罪が成立するだけということ? その中身たる預金の詐取については,銀行に対する詐欺罪が成立するのみということ?
3.預金の占有(預金による占有)を認めるということは,財産犯についての,占有概念の拡張であるとともに,物(財物)概念の拡張ということのようである。]
民法107/ 757/ 錯誤は内心的効果意思と表示された効果意思の不一致であり,原則,動機の錯誤は,民法95条の錯誤にはあたらない。例外的に,#表意者がこれを意思表示の内容に加える意思を明示or黙示に表示すれば意思表示の内容となり,無効たり得,動機の錯誤が,#通常人を基準に客観的に重要なら_同条の要素の錯誤をみたす。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔95〕(大判大3・12・15民録20-1101)参照。参考:内田『民法Ⅰ』4版66頁,平成29年民法95条1項1号,2項。]
民法106/ 756/ 債権者代位権を行使する普通の債権者は第三者(民法94条Ⅱ)に含まない。∵#債権者固有の権利だがこれに基づき行使する権利は債務者に属し,債権者はただ債務者の地位に代位し行使するもので,#相手方は_債務者自身の行使と比べ不利益を受くべきでなく_債務者に対抗できる事由を債権者にも対抗できるから。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』78頁〔72〕解説参照。普通の債権者を超え,法律上の利害関係を有すると認められるのは,差押債権者,抵当権などの担保権を持つ者,等である。]
民法105/ 755/ 民法94条2項の「第三者」とは,#虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって_その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者をいい,直接取引関係に立った者のみならず,#その者からの転得者もまた第三者にあたる。同条項の類推適用においても,解釈を異にすべきで理由はない。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔81〕(最判昭45・7・24民集24-7-1116)参照。参考:内田『民法Ⅰ』4版56頁]
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2018年11月(1日~11日)分ツイート:34,事案(憲法5,行政法18;民法5,会社法2);判例(民法1);その他(行政法1;民法2)
2018年11月(5日~11日)分ツイート:19,事案(行政法8;民法5,会社法2);判例(民法1);その他(行政法1;民法2)
2018年11月11日(事案3;判例1;その他2)
民法104/ 754/ 取引を開始し契約準備段階に入った者は,一般市民間における関係とは異なり,信義則の支配する緊密な関係にたつのだから,後に契約が締結されたか否か問わず,相互に相手方の人格,財産を害しない信義則上の義務を負うべきで,違反し相手方に損害を及ぼせば,#契約責任として(信頼利益の)損害賠償義務を負う。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔3〕(最判昭59・9・18判時1137-51,第1審,控訴審)参照]
民法103/ 753/ #事情変更原則の適用には,契約締結後の事情の変更が,当事者にとって予見することができず,かつ,当事者の責めに帰することのできない事由によって生じたものたることが必要で,かつ,#予見可能性と帰責事由の存否は_契約上の地位の譲渡があった場合も_契約締結当時の契約当事者について判断すべきである。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔2〕(最判平9・7・1民集51-6-2452)参照]
総則物権事案4/ 最判平29・1・24事案:Xは,消費者契約法2条Ⅳの適格消費者団体。Y社は,クロレラが原料の健康食品販売。細胞の働き活発化の効用,高血圧,腰痛,糖尿病等様々な疾病の回復体験談など記載した新聞折込チラシを配布。Xは,4条Ⅰ①の不実告知にあたるなどとして,12条ⅠⅡに基づき差止訴訟提起。「#勧誘」の意味?
[『平成29年度重要判例解説』〔民法4〕(民集71-1-1)参照]
総則物権事案3/ 最判平29・2・21事案:個別信用購入あっせん業者X社は,A店と加盟店契約締結。Aは,#運転資金を得る目的で_既存顧客Yらに名義貸し依頼_架空売買契約に基づきXや他の信販会社から代金相当額支払を受ける一方_顧客の割賦販売金相当額の支払負担。割賦販売法改正前後の立替払契約あり。A破産。X→Yらに請求。
[『平成29年度重要判例解説』〔民法3〕(民集71-2-99)参照]
民法判例19/ 大判大5・7・5参照:Yは,Xから受任した株式定期取引を実行することなく,取引から生じたおよぞ1万円の金銭債権があるかのように誤信させ,弁済としてX所有土地のYへの売却契約締結。Xは,代物弁済たる本件契約の錯誤無効主張,移転登記抹消請求。Xの錯誤が,意思表示の内容だったか確かめるため,破棄差戻し。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔90〕(民録22-1325)参照]
総則物権事案/ 最判平28・12・19事案:有限会社Aが,信用保証協会Xを保証人としてY銀行からセーフティネット保証制度を用い融資を受けるための要件たる,牛乳小売業中小企業者認定を市長から得た後,XY,保証契約締結。A破産で,XはYに4925万円代位弁済。契約前のA→B事業譲渡が発覚したため,Xは要素の錯誤による無効主張。
[『平成29年度重要判例解説』〔民法2〕(判時2327-21)参照]
2018年11月10日(事案1)
総則物権事案1/ 最判平29・7・24事案:Aは,Yに過払金約330万円と利息請求。認定司法書士Zは140万円(司法書士法3条Ⅰ⑦)超のため代理人になれない旨説明したが,AがZへの委任を希望,訴訟負担を考慮し200万円で裁判外の和解をした。その後Aは弁護士法72条違反で無効としてYに不当利得返還請求。Aの破産管財人Xが訴訟承継。
[『平成29年度重要判例解説』〔民法1〕63頁(民集71-6-969)参照。弁護士法72条違反により締結された委任契約の効力と,その委任契約に基づいて受任者が委任者を代理して第三者と締結した和解契約の効力とが別個に判断されることを明らかにした(同書64頁参照)。]
2018年11月9日(事案1;その他1)
債権法事案1/ 内田民法Ⅲ3版Ⅷ-5:Aに対する債権者Xは,AがY銀行に有する預金債権を代物弁済として譲り受けた。XがYに預金の払戻しを求めたところ,Yは譲渡禁止特約を主張。Xは「そのようなことは知らずに譲り受けた」と述べたが,Yは銀行預金に譲渡禁止特約あることは公知の事実と主張。Xの主張は認められるか?#重過失?
[内田『民法Ⅲ』3版213頁Ⅷ-5,最判昭48・7・19民集27-7-823,民法466条2項,参照。参考:平成29年民法466条2項。]
行政法55/ 752/ 租税法律関係への信義則適用には,#納税者間の平等・公平の要請を犠牲にしてもなお課税を免れしめ納税者の信頼を保護しなければ正義に反する特別の事情要。それが認められるのは,①#行政庁の公的見解が示され,②納税者がそれを信頼して行動したのに,③経済的不利益を受け,④#納税者に帰責事由なきとき。
[『LEGAL QUEST 行政法』3版42頁(最判昭62・10・30判時1262-91,青色申告承認申請懈怠事件),R27予備Q2,参照]
2018年11月8日(事案1)
行政法事案19/ 最判昭57・4・1事案:岡山県A税務署勤務のXは,署長B実施の定期健康診断の胸部X線間接撮影をB嘱託の岡山県C保健所で受け,右肺に結核の初期症状を示す陰影が写っていたが,BはXに精密検査指示をせず,健康保持上必要な措置をとらなかった。翌年結核罹患判明までに病状悪化,長期療養。#Xが国に損害賠償請求。
[『LEGAL QUEST 行政法』3版〔判例5-1〕298頁(民集36-4-519)参照]
2018年11月7日(事案1)
行政法事案18/ 最判平21・10・15事案:経済産業大臣が自転車競技法4条2項に基づき訴外株式会社Aに場外車券販売施設の設置許可をしたところ,周辺住民等が取消訴訟提起。同条項に基づく自転車競技法施行規則(省令)15条1項は,#文教施設・医療施設から相当の距離を定める位置基準_周辺環境調和基準を定める。原告適格如何?
[『行政判例百選Ⅱ』6版〔178〕(民集63-8-1711)参照。周辺住民は原告適格を有しないが,当該場外施設の設置,運営に伴い著しい業務上の支障が生ずると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者は,位置基準を根拠として,原告適格を有するとし,約120mないし200m離れた場所に医療施設を開設する者3名については原告適格を有すると可能性を認めたが(一部破棄差戻し),約800m離れた場所に医療施設を開設する者の原告適格を有しないとした(一部破棄自判)。]
2018年11月5日(事案8)
会社法事案6/ 最判平24・10・12事案:A信金はB有限会社に貸金債権を有し,C株式会社が連帯保証。A→D株式会社→E有限会社と譲渡された本件貸金債権の管理回収を,EがXに委託。Cを吸収合併したF株式会社が新設分割設立会社Yに,債務の引き当てたる唯一の不動産を承継させ,本件債務は承継されず。#Xが詐害行為取消権行使。
[『平成24年度重要判例解説』〔商法7〕(民集66-10-3311)参照。参考:『LEGAL QUEST 会社法』3版421頁,会社分割の無効は会社法828条1項の訴えによってのみ主張できるものとされていること(同条項9号10号)と矛盾しないかの問題。]
会社法事案5/ 東京高判平22・10・27事案:Y1株式会社の飲食事業・広告宣伝事業のうち,後者が不振で債務超過だったため,飲食事業を新設分割設立会社Y2に承継させ事業再生を計画。Y1の無担保資産のほとんどをY2に承継させたが,リース会社Xへの債務は承継に含まれず,#Xは詐害行為取消権に基づき本件会社分割取消し請求。
[『会社法判例百選』2版〔92〕(会判1355-42)参照。参考:最判平22・10・12民集66-10-3311]
行政法事案17/ 最判平29・9・8事案:Xは,昭和48年水俣病の認定申請。Xは,昭和59年原因企業A社らに損害賠償請求訴訟(前訴)提起。控訴審は850万円と遅延損害金認容。Y県知事は平成23年,公健法附則4条1項等により,特措法に基づき,Xの水俣病認定。Xは障害補償費支給請求(公健法25条1項)。前訴での補填を理由に不支給決定。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法10〕(民集71-7-1021)参照]
行政法事案16/ 最判平28・12・20事案:普天間飛行場代替施設建設のための,名護市辺野古沿岸域公有水面埋立につき,沖縄防衛局が前知事の承認を得ていたところ,Y知事は,公有水面埋立法4条1項1号2号要件不適合の瑕疵を理由に取り消した。国交大臣Xが,承認取消しの取消しを求める是正指示(地自法245条の7第1項)。Y従わず。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法9〕(民集70-9-2281)参照。Xは,Yの不作為の違法確認を求め,原審,請求認容。Y上告・上告受理申立て。上告棄却。]
行政法事案15/ 最判平24・2・9事案:東京都教育委員会は,平成15年10月本件通達を発し,卒業式等で教職員の起立斉唱義務,校長の職務命令に従わない場合,服務上の責任に問われることを周知。都立高校教員らが,起立斉唱義務の不存在確認・差止訴訟を提起,国賠請求。本件通達に処分性あり,取消訴訟・執行停止申立てが適切。
[『行政判例百選Ⅱ』6版〔214〕(民集66-2-183)参照。当該処分等が後に取消訴訟を提起し,あわせて執行停止を申し立てることにより,容易に回避できる損害は,ここでいう「重大な損害」(行訴法37条の4第1項)に当たらない(「LEGAL QUEST 行政法」3版271頁参照)。]
行政法事案14/ 最判平5・2・25事案:自衛隊管制に服する厚木基地の,周辺住民Xらは,国に対し,海上自衛隊・米軍機の離着陸から生じる騒音,落下物の危険等に晒されているとして環境権・人格権に基づき,夜間の自衛隊機・米軍機の離発着差止めとその余の時間帯の音量規制,過去および差止めまでの将来の損害賠償を求め提訴。
[『行政判例百選Ⅱ』6版〔158〕(民集47-2-643)参照。差止め請求につき民事訴訟。]
行政法事案13/ 最大判昭56・12・16事案:大阪国際空港は,昭和39年ジェット機就航,同45年新たな滑走路供用開始,乗り入れ機種が多様化,大型化,特にジェット機乗り入れ機数,大きく増加。周辺地域居住のXらは,設置管理者Y(国)に対し民事訴訟提起。#騒音等被害による人格権・環境権の著しい侵害主張_夜間の使用差止め訴求。
[『行政判例百選Ⅱ』6版〔157〕(民集35-10-1369)参照。併合請求したXらの国賠請求は認容されたが,差止請求にかかる部分は不適法として却下されている。]
行政法事案12/ 最判昭39・10・29事案:Y(東京都)は,昭和14年ごろ大田区矢口町にゴミ焼却場設置のための用地を買収していたが,昭和32年都議会が設置計画案を可決し,東京都広報に記載し,建築会社と建築請負契約締結。近隣住民Xら9名は,清掃法6条違反などとして,ごみ焼却場設置の一連の行為の無効を求め訴訟提起。処分性?
[『行政判例百選Ⅱ』6版〔156〕(民集18-8-1809)参照。百選の事実の概要を読むと,原告は,東京都による一連の行為の無効確認訴訟を提起しているのであり,建築会社との契約は,私法上の行為で公権力性がなく,計画案を都議会に提出した行為は東京都自身の内部的手続き行為で,外部性がないと,処分性に当たらない理由を区別しているようである。]
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2018年11月(1日~4日)分ツイート:15,事案(憲法5,行政法10)
2018年11月4日(事案3)
行政法事案11/ 高松高裁平29・1・31事案:鳴門市住民Xらは,市がBら2漁協に競艇事業の公有水面使用協力費名目で430万円ずつした支出は違法無効,地自法242条の2第1項4号に基づき市執行機関Y局長に,支出当時の局長Aへ損害賠償請求,Bらへ不当利得返還請求すべきと住民訴訟提起。原審請求認容後,市議会が権利放棄議案可決。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法8〕(判タ1437-85)参照。「市が有するBらに対する不当利得返還請求権およびAに対する損害賠償請求権を放棄することは,普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であって裁量権の範囲を逸脱またはその濫用に当たるといわざるを得ず,本件決議は違法であり,本件決議に基づく各請求権の放棄は無効」。]
行政法事案10/ 最判平29・9・15事案:大分県教委職員らが,平成19・20年度公立学校教員採用試験で行った不正で不合格となった受験者に損害賠償金計9045万円が支払われた。県教委幹部職員等からの寄付計5342万円余と,不正にかかわった職員返納の退職金3254万円余を,当該職員らへの国賠法上の求償から控除することの可否?
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法7〕(判自(判例地方自治)429-28)参照]
行政法事案9/ 東京地決平28・12・14事案:申立人Xは,殺人等により東京拘置所に収容されている死刑確定者。再審請求打合せのため,職員立合いなく,弁護人との約1時間の面会を申し出た。拘置所長による,刑事収容法121条・122条に基づく,職員立合い30分の面会という制限措置に対し,差止め訴訟提起。#仮の差止めも申立て。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法6〕(判時2329-22)参照]
2018年11月3日(事案6)
行政法事案8/ 最判平28・12・8事案:厚木基地の周辺住民Xらが,自衛隊機・米軍機の航空機の発する騒音による被害を主張し,行訴法に基づき,Y(国)を相手方として,厚木飛行場における一定の態様による運航の差止め等を求めて出訴。自衛隊機の運航につき,法定差止訴訟による救済可能を示したが,下級審判断を覆し請求棄却。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法5〕(民集70-8-1833)参照]
行政法事案7/ 最判平29・4・6事案:Aは,退職後主治医からじん肺管理4相当と診断され,労働局長にじん肺管理区分決定申請をしたが,管理1(じん肺の所見なし)の決定を受けたため,審査請求。棄却裁決後,取消訴訟と国賠訴訟を提起。第1審係属中A死亡,管理2以上該当として取消認容。#妻子Xらの訴訟承継を認める法律上の利益?
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法4〕(民集71-4-637)参照]
行政法事案6/ 東京地判平29・1・31事案:医療法人社団Xは,労働保険料のメリット制適用事業主。勤務医が脳出血で労災保険法に基づき休業補償給付・休業特別給付金の支給処分を受けたのに伴い,労働局長Aが,メリット増減率+40%上昇を通知,確定保険料額692万円余増額認定処分。#認定処分取消訴訟で_支給処分違法を主張。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法3〕(判タ1442-82,請求棄却)参照。違法性の承継。]
行政法事案5/ 東京地判平28・11・29事案:愛媛県は,県道拡幅工事のため土地収用法に基づき申請。国土交通大臣の権限委任を受けた四国地方整備局長が事業認定。企業地内に土地・建物を所有するXは,国土交通大臣に審査請求,執行停止を申し立て。国土交通大臣が執行停止しない旨の決定をしたので,その取消しを求め出訴。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法2〕(平成27年(行ウ)410号,裁判所Web,請求棄却)参照]
行政法事案4/ 最判平21・12・17事案:東京都建築安全条例4条1項は一定建築物の接道義務(建基法43条1項)の上乗せ規定。建築物周囲の状況等で安全認定された場合,同条項の適用はない。訴外Aは,特別区Yの区長から安全認定を受け,Y建築主事から建築確認を受けた。周辺住民Xらは,建築確認取消訴訟で,安全認定の違法,主張。
[『行政判例百選Ⅰ』6版〔87〕(民集63-10-2631,原審認容,上告棄却)参考。R28②Q3]
行政法事案3/ 最判平27・3・3事案:Xは,A公安委員会の許可を受け,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律によるパチンコ屋を営む会社。AはXに,1営業所の,40日間営業停止命令処分を行った(法26条1項)。Aの処分基準(行手法12条1項)には,#3年間_処分歴による量定加重等の定めあり。停止期間経過後の訴えの利益?
[『平成27年度重要判例解説』〔行政法6〕(民集69-2-143)参照。R28予備Q1]
2018年11月2日(事案1)
行政法事案2/ 東京地判平28・2・16事案:八王子市長が昭和50年に,#一団地認定したニュータウン約51万m2の区域内の本件団地管理組合が,建替えを計画し申請した,安全上,防火上,衛生上支障がない旨の本件認定処分の,同区域内の本件団地隣接の集合住宅居住者による取消訴訟。改定認定基準不適合等の違法,主張。請求棄却。
[『平成29年度重要判例解説』〔行政法1〕(判時2313-18)参照。同一敷地内建築物認定処分の瑕疵の治癒。]
2018年11月1日(事案5)
憲法事案14/ 最判平21・3・29事案:福島県青少年健全育成条例は,知事指定有害図書類の18歳未満青少年への販売を規制。図書類等販売業者に自販機等設置届出義務を課し,有害図書類収納を禁止,刑罰あり。B社は,届出せずDVD等販売機を設置,有害図書収納。監視カメラで送信された客画像を判断し,18歳以上の者にのみ販売。
[『平成21年度重要判例解説』〔憲法5〕(刑集63-3-27)参照。参考:伊藤塾『試験対策問題集論文4 憲法』230頁]
憲法事案13/ 最決平11・12・16事案:暴力団の組織的・継続的覚せい剤密売事件捜査のため,警察官の請求を受け,簡裁裁判官は,電話会社の「旭川支店113サービス担当試験室」等で,2台の電話に発着信される通話内容等を,#地方公務員2名が立ち合い_スピーカーで拡声し聴取・録音_対象外の音声は遮断する旨の検証令状発付。
[『判例プラクティス』増補版〔135〕(刑集53-9-1327)参照]
憲法事案12/ 最大判昭59・12・12事案:X(書籍輸入業者)は,8ミリ映画フィルム,雑誌,書籍等(本件物件)を海外業者から郵便で輸入しようとしたが,Y1(函館税関札幌税関支署長)は,男女の性行為や性器等の描写で,関税定率法(関税法69条の11第1項7号)の輸入禁制品該当の旨,通知。異議申立て棄却後,#通知取消し等を求め提訴。
[『判例プラクティス憲法』増補版〔132〕(民集38-12-1308)参照]
憲法事案11/ 最判平5・3・16事案:X(家永東京教育大学教授)は,昭和27年以降,高等学校日本史用教科書を執筆,検定済教科書として発行してきた。本件教科書は昭和37年,不合格処分,翌年,条件付き合格処分を受け,修正し39年度教科書として発行。Xは,2つの処分は違憲・違法としてY(国)に,慰謝料等の国家賠償請求訴訟提起。
[『判例プラクティス憲法』増補版]〔134〕(民集47-5-3483)参照]
ノート/ ◇憲法論文構成
1.原告の主張: ①憲法上の権利か(+制約), ②審査基準, ③あてはめ(メイン)。
いかなる憲法上の権利の主張ををすべきかは,多くすると,それぞれ①②③と書くことが増え大変なので,2つぐらいに絞るとよい。3つ書くと点にはなるが,その性で,メインのあてはめ③が薄くなって点数が下がってしまうよりは,2つに絞ってメインのあてはめをびしっと書く。
①侵害されている人権の具体的な内容をしっかり考え,それが憲法上の人権に該当するか自分の言葉で必ず説明する。そこに論点が含まれる場合には,それにも触れる。
②法令違憲と適用違憲の主張を分ける(一方だけの場合もある)。法令違憲の場合は,審査基準論を立てて書く。適用違憲の場合は,審査基準論を立てずに,場合によっては軽い規範を立てて書いていく。審査基準論は理由一言で結論に持っていく。どれを使っても問題はなく,大事なのは,そこに至った経緯。なぜ厳しいのを使うか,なぜ緩やかなのを使うのかが重要。審査基準論などの抽象論は長く書いても点数にはならないので,短く軽く書く。判例で明確になっている場合には,それを意識させる論述をする。
③あてはめは,原告にとって都合のいい点だけを書く。不利なことは,被告の反論で書くので,ここでは絶対に書かない。
2.被告の反論: ①(誘導などで書いて欲しいと思われるときだけに書く。基本的には書かない), or②(問題となり得るような場合には書く(内容中立規制,営利的言論の言論の自由などが見え隠れしている場合)。時間的に厳しければ,書かない。あくまで加点事由), or③メイン(具体的に被告の反論ができる事実を拾って評価。被告にとって都合のいい事実のみを書く)。
3.私見: 被告が①で反論している場合のみ書く。②についは,問題なければ原告の主張に乗る(ただ,被告が反論していれば,どっちを使うのか,あるいは,どちらも使わず別の基準を使うべきか必ず説明する)。③原告・被告のうち,敗訴しそうな方の主張をまずあげて批判する(批判内容は当事者の批判とかぶっても構わない)。原告・被告の主張を過不足なく拾え,それらとリンクした,それらに応えた私見が書ける。この書き方が,実務家教員に評価される。また,一つの事実について,原告側から見れば原告に有利に使え,被告側から見れば被告に有利に使えるというように,対立利益を考慮に入れ多面的に判断できる能力を示す。
4.この書き方でうまく書けない場合や,誘導がある場合(変化球が来たとき)は,柔軟にそれに対応する必要はある。
この答案構成で時間の関係で書けないと思われるときは,省略できるところはどんどん省略する(あてはめ③は省略してはいけない)。
『H25憲法・こう書けば合格ラインはクリアできる』(本多諭先生)[司法試験]
https://youtu.be/yaWv-QzQQfk?t=1147
憲法事案10/ 最判平元・9・19事案:岐阜県青少年条例は,知事が審議会の意見聴取後,著しく性的感情を刺激or著しく残忍性を助長するため,青少年健全育成阻害のおそれある図書を有害図書とし個別指定⇒青少年への販売・自販機収納禁止(違反には罰則)。特に卑猥な姿態or性行為を被写体とした写真等の刊行物は,包括指定。
[『判例プラクティス憲法』増補版〔133〕(刑集43-8-785)参照。Y(被告人)は,自販機による図書販売会社の代表取締役で,包括指定された有害図書を自販機に収納したとして起訴された。R30①]