ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

2018年7月分ツイート: 28(商法12,民訴法9,要件事実3;刑法4)

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2018年7月分ツイート(21-30): 11(民訴法6,要件事実1;刑法4)
2018年7月30日(1)

刑法総論47/ 689/ 未遂犯成立に必要な危険は,#既遂犯の構成要件的結果を惹起する現実的・客観的危険かつ具体的危険。未遂犯は,既遂の具体的危険を結果とする一種の具体的危険犯(危険惹起を明文で要求する犯罪)。#行為者の法益侵害結果惹起行為を行おうとする行為意思を考慮(主観的違法要素,例:拳銃の引き金を引く意思)。
[山口『刑法総論』3版285頁,47頁L14,参照]


2018年7月23日(3)
民訴法111,112/ 687,688/ 債務不履行に関し,債務者の主張なくとも,裁判所が職権で過失相殺(民法418条)できるが,債権者に過失があった事実(評価根拠事実)は,#債務者が立証責任を負う(判例)。この判例によると,#当該具体的事実の主張なくとも,法律上の主張なくとも,#証拠上認定できれば,裁判所の職権で過失相殺できることになる。
[『民事訴訟法講義案』再訂補訂版(最判昭43・12・24民集22-13-3454)126頁参照]

/ しかしながら,債権者の過失は,債務不履行による損害賠償義務があることを前提に,減額のための要件(#抗弁)であるから,損害額算定の裁量性から直ちに弁論主義を排除することは正当化できない。法律上の主張を要しないと解せるとしても,#その基礎づけ事実は主張を要すると解すべきで,当事者に確認すべき。
[藤田『講義 民事訴訟』2版52頁,『民事訴訟法講義案』再訂補訂版126頁,参照]

刑法各論31/ 686/ 詐欺罪(刑法246条)は,移転罪・交付罪。#瑕疵ある意思に基づく占有の移転要。成立には,①#人を欺く行為(欺罔行為)による②#錯誤の惹起,③#錯誤に基づいた交付行為,交付行為による④#物・利益の移転という⑤#一連の因果関係をたどる必要あり。財物のみならず,財産上の利益も客体で,#個別財産に対する罪。
[山口『刑法各論』2版244頁,250頁参照。なお,2項詐欺罪には全体財産に対する罪も含まれているとするのは,団藤教授,大塚仁教授,詐欺罪を含め財産犯すべて全体財産に対すると解するのは,林幹人教授とのこと(同書244頁参照)。]

2018年7月22日(4)
メモ/ 『民事訴訟判例百選』5版97事件(最判平20・7・17民集62-7-1994)の漢字を調べました。鹿児島県西之表市(#にしのおもてし)塰泊(#あまどまり)集落,塰泊集落の特に水辺に近い一帯を、塰泊浦集落と呼ぶのかもしれません。なお,西表島は「#いりおもてじま」です。
https://twitter.com/right_droit_2/status/1021048971433668608

刑法各論30/ 685/ #堕胎致死傷罪は胎児と母親の区別が前提なので,胎児を母親の一部とすべきでない。母親以外の者による胎児傷害が,#本来堕胎罪として不可罰なのに,傷害罪で罰するのも不当。母体への傷害を出生後の人への傷害と流用するのも,#法益主体の差異を構成要件上重要視しない抽象的法定的符号説で(錯誤論),不当。
[山口『刑法各論』2版26頁(最決昭63・2・29刑集42-2-314)参照。判例は,胎児性水俣病についての事案であり,業務上過失致死罪の成立を肯定するものであるが,山口教授の論理の方がしっくり行く。しかし,論理的にはいいとしても,具体的なすわりの面で,不可罰ということでいいのか,悩むところである。]

刑法各論29/ 684/ 胎児は,堕胎罪で独立の行為客体とされる場合を除き,母体の一部を構成するから,胎児に病変を発生させることは,#人である母体の一部につき,人に病変を発生させること。胎児が出生し人となった後,病変に起因し死亡した場合,#人に病変を発生させ人に死の結果をもたらしたことに帰し,業務上過失致死罪成立。
[最決昭63・2・29刑集42-2-314(『刑法判例百選Ⅱ各論』7版〔3〕)参照]

民訴法109.110/ 682,683/ 和解調書の既判力? 肯定説は,#民訴法267条の文言や和解の判決代用機能を重視し,和解に意思表示等の瑕疵ある場合,再審事由(338条1項2号3号5号)相当のときに,再審の訴えでのみ和解調書取消しを許す。否定説は,#和解の判決とは異なる自主的紛争解決方式性を重視,かつ瑕疵による当事者の不都合除去を志向。

/ 中間説である制限的既判力説は,#訴訟上の和解に既判力が認められるが_その和解に実体法上の要件が欠けるとき_すなわち実体法上の無効・取消原因があるときには_和解は無効であり,既判力は生じないとする。既判力の文言を無視せず,他方で,和解をめぐる瑕疵について当事者の不利益を回避しうる点で妥当。
[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版(2006年)238頁参照]


2018年7月21日(3)
要件事実17/ 681/ 「#過失」のような規範的評価に係る抽象的概念を法律要件とする規範的要件は,#規範的評価を根拠付ける具体的事実(評価根拠事実)を,間接事実とするのではなく,規範的評価自体は_具体的事実が当該規範的要件に該当するかの法的判断であり主要事実ではなく,#評価根拠事実を主要事実とすべき(主要事実説)。
[『新問題研究 要件事実』141頁参照]

民訴法108/ 680/ 一段目の推定を破る事情として,①#印章の紛失_盗難_盗用,②#他人に預託していた印章が冒用された,③文書が作成されていること自体が不自然(#作成日に重病で入院中など),等。二段目の推定を破る事情として,①本人/代理人が白紙に署名/押印したところ,他人が悪用して文書作成,②#文書作成後の改ざん,等。
[『ステップアップ民事事実認定』72頁参照,二段の推定を破る反証事実について]

民訴法107/ 679/ #特定の事件が特定の裁判所で判決手続で審理されている状態を訴訟係属といい,訴訟要件具備を要しないので,訴訟無能力者による訴えや管轄違いの訴えでも生じる。裁判所への訴状提出時には,原告と裁判所間に訴状受理関係が生じるだけ。#訴状の被告への送達時に,被告にも訴訟関与状態が生じ訴訟係属発生。
[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版(2006年)98頁参照]

 

2018年7月分ツイート(1日-20日): 17 (会社法12,民訴法3,要件事実2)

2018年7月分ツイート(11日-20日): 5 (民訴法3,要件事実2)

2018年7月20日(3)
民訴法106/ 678/ 本人の印章を他人が勝手に使用することは通常あり得ないので(経験則),私文書の作成名義人の印影が同人の印章によるときは,反証なき限り,#当該印影は本人の意思に基づき顕出されたものと事実上推定され(一段目の推定),当該文書は,全体が真正に成立したものと推定される(民訴法228条4項,#二段目の推定)。
[『ステップアップ民事事実認定』72頁(最判昭39・5・12民集18-4-597など)参照,二段の推定]

民訴法105/ 677/ 形成権行使は既判力により遮断されるか。取消・解除等よりも重要な無効の主張さえ確定判決で遮断されるので,均衡上,これらの形成権主張も遮断される。相殺権行使は別異に解すべき。#相殺は取消権等のように権利に付着する瑕疵の主張ではなく,全く別な債権による相殺の可能性まで遮断すべきでないから。
[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版(2006年)269頁,270頁,R62②,参照]

/ 変更) ツイッター・ボットの登録上限700に近くなりつつありますので、#民訴法と要件事実論のツイートを,第2アカウント https://twitter.com/right_droit_2 に随時移動させようと思います。ご了解下さい。
15:07 - 2018年7月20日
https://twitter.com/right_droit/status/1020188523410812928

民訴法104/ 676/ 確定判決は,#主文に包含されるものに限り既判力を有する(民訴法114条1項)。①当事者が攻撃防御対象として判決を求めているのは,#訴訟物たる権利関係の存否なので,その意思を尊重すべき,②前提問題たる権利関係や事実主張につき,#既判力を及ぼすことを正当化するだけの手続保障があるとはいえないため。
[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版(2006年)262頁参照]


2018年7月18日(2)
要件事実15,16/ 674,675/ 主要事実とは,#権利の発生・障害・阻止・消滅という法律効果を判断するのに直接必要な要件事実。訴訟上の請求・訴訟物たる権利関係は,実体法上の法律効果で基礎づけられ,#法律効果の発生はその要件事実の欠けることのない存在を要するので,訴訟上の主張・立証責任も要件事実の存在について考えるべき。

/ 実体規定は,①#権利の発生要件を定めた権利根拠規定,②#権利発生の障害を定めた権利障害規定,③その行使を一時的に阻止する要件を定めた権利阻止規定,④#権利の消滅要件を定めた権利消滅規定に分類でき,当事者はそれぞれ自己に有利な法律効果の発生要件事実につき主張立証責任を負う(法律要件分類説)。
[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版(2006年)147頁参照]

 

 

2018年7月分ツイート(1日-10日): 12 (会社法12)

2018年7月9日
/She is a #heroine of a new era to change #Japan! It's cool!
#JusticeForShiori #FightWithShiori to protect human rights!
https://www.youtube.com/watch?v=G0vpvcTjh0s
1:22 - 2018年7月10日
https://twitter.com/right_droit/status/1016356960986230784
https://www.youtube.com/watch?v=uV1y8ud1ns8

2018年7月8日(1)
会社法116/ 673/ 退職慰労金は,#取締役の在職中の職務執行の対価として支給される限り,「報酬」に含まれる。使用人兼務取締役の使用人分給与は,#使用人の給与体系が確立しており_使用人分は別に支払う旨を明示すれば,含まれない。ストック・オプション(インセンティブ報酬としての新株予約券)も,「報酬等」に含まれる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版278頁(最判昭39・12・11,最判昭60・3・26)参照]


2018年7月6日(4)
/ 憲法は過去に国家権力がやってきた失敗を繰り返さないよう それを禁じるルール。国の理想を書いたものではなく国家権力を制限するためのもの。
https://twitter.com/kuu19660622/status/1015217990118268929

会社法115/ 672/ 取締役会決議を経ていない重要取引の無効(会社法362条4項違反),を主張できるのは原則,当該会社のみ。同規定は,#業務執行の意思決定を慎重にし会社利益保護を図るものだから。もっとも,#取締役会が既に無効の主張をする旨の決議をしているなど特段の事情ある場合,会社以外の者も,当該決議無効を主張可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版273頁(最判平21・4・17)参照]

会社法114/ 671/ 財産売却が,重要財産の処分(会社法362条4項1号)にあたるかは,#当該財産の価額_総資産に占める割合_そもそもの保有目的_処分行為態様_従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。多額の借財(2号)かも,#当該借財額_総資産・経常利益等に占める割合_借財の目的・方法_従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版272頁,273頁(最判平6・1・20)参照]

会社法113/ 670/ 取締役会は,①#重要財産の処分・譲受け,②#多額の借財,③重要な使用人の選・解任,④重要な組織の設置・変更等,⑤社債募集,⑥#内部統制システム(企業集団含む)概要,⑦#定款に基づく取締役等の責任の一部免除,⑧その他の重要な業務執行の決定(会社法362条4項)は,専横防止等の理由から,取締役に委任不可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版180頁参照]

会社法112/ 669/ 取締役会は各取締役が招集するのが原則だが,定款・取締役会決議で特定の取締役を招集権者と定め得る(会社法366条1項)。#その場合も_他の取締役は目的事項を示して招集を請求でき_一定の場合_自ら招集可(2項3項)。2項の場合以外通常,取締役会で様々な事項の付議が当然予想されるべきで,通知に議題不要。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版272頁,『LEGAL QUEST会社法』3版183頁L 11,144頁L2(議題=目的となる事項),参照]

 

2018年7月5日(2)
会社法110,111/ 667,668/ 役員・会計監査人・執行役は,善良な管理者の注意をもって(#注意義務,善管注意義務,会社法330条,402条3項,民法644条),取締役と執行役は,法令・定款・株主総会決議を遵守し,会社のため忠実に(#忠実義務,355条,419条2項),職務を行わねばならない。判例によれば,#後者は前者を敷衍して一層明確にしたもの。
[『LEGAL QUEST会社法』3版217頁(最大判昭45・6・24民集24-6-625)参照]

/ 職務を行うにあたって注意を尽くすべき場合を注意義務(duty of care),#会社と取締役等の利益衝突場面で取締役等が自己の利益を図ってはならない場合を忠実義務(duty of loyalty)と,用語上使い分けはできるが,#忠実義務は_善管義務を敷衍して一層明確にしたにとどまり,別個の高度な異質の義務ではない。
[『LEGAL QUEST会社法』3版217頁参照]


2018年7月3日(2)
会社法108,109/ 665,666/ #権利行使者につき一定の日(基準日(会社法124条),効力発生日(180条2項2号)等)を定めたときは,振替機関(㈱ほふり)は会社に,当該の日の振替口座簿記載株主の氏名(名称)・住所,保有株式の種類・数等を通知要(振替法151条1項,#総株主通知)。株主名簿に記載・記録され(152条1項),株主の権利行使可能となる。

/ 少数株主権等を行使しようとするときは,自己が口座を有する口座管理機関(証券会社等)を通じ振替機関に申し出,保有振替株式の種類・数等を会社に通知してもらう(振替法154条3項-5項,#個別株主通知)。当該株主は株主名簿の記載・記録に関わらず(1項,#対抗要件),通知後4週間内に少数株主権等行使可(2項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版117頁,118頁(最判平22・12・7民集64-8-2003。なお,最決平24・3・28民集66-5-2344)参照]


2018年7月2日(2)
会社法106,107/ 663,664/ 会社は,#株主名簿を本店(株主名簿管理人ある場合,その営業所)に備え置き(会社法125条1項),株主・債権者・親会社社員の閲覧等請求に供する(同条2項~5項)。一定の拒絶事由に該当する場合(総会屋による利益供与要求を拒絶されたことへの報復としての閲覧等請求など)を除き,請求を拒絶できない(同条3項)。

/ 総会屋株主が,利益供与要求拒絶の報復として閲覧等請求する場合,権利確保・行使に関する調査以外の目的(会社法125条3項1号)または株主の共同利益を害する目的(2号)として,#会社は拒絶可。
敵対的買収株主が,#公開買付け・委任状勧誘目的で請求する場合,権利確保・行使に関する調査目的あり,#拒絶不可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版114頁]


2018年7月1日(1)
会社法105/ 662/ 平成16年商法改正で,会社は定款で定めれば株券を発行しなくてよいとされたが,会社法(17年)はさらに,#会社は定款で定めた場合のみ_株券を発行するものとした(214条)。また,上場会社では,「社債,株式等の振替に関する法律」(振替法,21年)により株券を廃止し,#振替制度で上場株式譲渡を行うことになった。
[『LEGAL QUEST会社法』3版103頁,115頁参照]

/ 1週間、リーガルクエス会社法と、百選読もうっと!
14:23 - 2018年7月1日
https://twitter.com/right_droit/status/1013291914047598592

 

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