ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

多数当事者の債権,債権譲渡,債権の消滅 (債権総論)

法律関係の本を読み,140字以内にまとめ. できる限り①法的判断枠組み.②事実の分析・評価に分けています。間違い等のご指摘,お願い致します。

https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit


〔多数当事者の債権・債務〕
■連帯債務
債権総論8/ 349/ 連帯債務者の1人が弁済他の免責行為をする前に他の連帯債務者へ通知を怠った場合(#民法443条1項)、#既に共同の免責を得ていた他の債務者に、2項による自己の免責行為の有効を主張できない。2項は1項を前提とするのであり、1項の事前通知に過失ある連帯債務者を保護する趣旨ではないから。
[最判昭57・12・17民集36-12-2399(『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔85〕88頁)参照。法的判断枠組み(条文解釈、判例)。
1. あんまりしっくり来ない。民法443条1項には、「債権者に対抗することができる事由」と規定されており、これは、「共同の免責」(特に2項のそれとの違い重要)とは別の意味であると考えると(上記文献88頁解説2参照)、判例の理解とは異なる結論も可能であるようにも思う。
2. よくわからないが、とにかく、443条1項が前提(原則)であり、それ(事前の通知)を怠れば、相殺適状、同時履行の抗弁権を有する他の連帯債務者にだけでなく、共同の免責を得ていた他の連帯債務者にも対抗できないということであろう(判例の結論)。
3. しかし、共同の免責を得ていた連帯債務者が事後通知を怠っていた場合、すなわち、過失ある場合にまで、事前の通知をしなかった連帯債務者を不利に扱うのは、条文の文言に反するのではないだろうか?]


〔債権譲渡〕
民法11/ 債権総論1/ 152/ 民法466条2項 は債権譲渡禁止特約は善意の第三者に対抗できない旨規定し、文言上は過失の有無を問わないかのようであるが、重過失は悪意と同様に取り扱うべきであるから、譲渡禁止特約を知らずに債権を譲り受けた場合も、重過失あるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡により債権を取得し得ない。
[最判昭48・7・19民集27-7-823『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔94〕参照。法的判断枠組み(判例。条文解釈)。]

 

〔債権の消滅〕
■供託
●「弁済の受領を拒」むこと(民法494条前段,新494条1項1号)
[・民法494条では、493条とは異なり、「あらかじめ」の文言がない。そこで、あらかじめ受領拒絶していた場合は、494条には原則含まれない。さらに弁済の提供(493条)をし、債権者が受領遅滞に陥ったときにはじめて供託できる。もっとも、あらかじめ受領拒絶の意思を明確にしていた場合は、例外である。
 具体的には、賃貸人が一度でも受領を拒絶した場合、その後の賃料については受領拒絶の意思が明確であると判断できるので、実際上の取扱いで問題とされることはないともいえる。]

 

債権総論13/ 債権の消滅/ 452/ 民法494条は,493条と異なり,「あらかじめ」文言欠く。そこで,あらかじめ受領拒絶の場合,#さらに弁済提供(493条)し,債権者が受領遅滞に陥ったとき,はじめて供託可。#あらかじめ受領拒絶の意思を明確にしていた場合は別。賃貸人が一度でも受領拒絶した場合,その後の賃料につき受領拒絶意思明確と判断可。
[ダットサン民法2』3版190頁,191頁(大判明40・5・20民録13-576,大判明45・7・3民録18-684,最判昭45・8・20民集24-9-1243)参照。事実の分析・評価例。]