ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

140字行政法

法律に関し,140字内にまとめ(https://twitter.com/right_droit http://twpf.jp/right_droit)、可能な範囲で,①法的判断枠組み,②事実の分析・評価(例)に分けています。
そのほか、補足説明等を、[ ]内の文章に記載しています。間違い等のご指摘いただけたら有難いです。よろしくお願い致します。
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目次
[総論]
〔序説〕
〔行政組織法〕 ■国家行政組織 ■地方行政組織
行政法の基本原理〕 ■法律による行政の原理 ■適正手続の原理 ■信義則・信頼保護原則 ■その他の一般原則

[行政過程論(行政作用法)]
〔行政作用〕 ■行政基準 ■行政行為 ■行政契約 ■行政指導 ■行政計画
〔行政の手段・制度〕 ■行政調査 ■その他の情報収集制度 ■公文書管理制度 ■情報公開制度 ■個人情報保護制度 ■義務履行確保制度 ■即時強制

[行政救済法]
行政不服審査法〕 ■
行政訴訟法〕 ■概説 ■取消訴訟 ■無効確認訴訟
〔国家保障〕 ■国家保障 ■国家賠償法 ■損失補償 ■国家保障の谷間

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[総論]
行政法の基本原則〕 ■信義則・信頼保護原則


[行政過程論(行政作用法)]
〔行政作用〕■行政行為 

 👉別稿 http://right-droit.hatenablog.com/entry/2018/02/19/044334

 

[行政救済法]
行政訴訟法〕 ■概説 ■取消訴訟 ■無効確認訴訟
■概説

行政訴訟の類型

[・行政訴訟の類型には、抗告訴訟、公法上の当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟がある(行訴法2条)。前二者は、一般の民事訴訟と同様、国民の権利・利益の救済を目的とする #主観訴訟 である。後二者は、行政の適正な運営の確保を目的とした特殊な訴訟で、#客観訴訟 と言われる。

 ある土地について収用裁決(土地収用法47条の2)を受けた場合に、その採決の無効を前提に提起する当該土地の所有権確認訴訟などを、特に #争点訴訟 という(行訴法45条参照)。]


取消訴訟 ●処分性 ●原告適格取消訴訟の審理

処分性

[・判例によれば、「行政庁の処分」(行訴法3条2項)とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。これを分析すると、当該行為に、①公権力性、②法的効果、③外部性(国民の権利・義務に関わる効果をもつ)、④成熟性(個別具体性)、があることが要件とされていると解される。]

 

行政法20/ 416/

「行政庁の #処分」(行訴法3条2項)とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。①公権力性,②法的効果,③外部性(国民の権利・義務に関わる効果をもつ),④成熟性(個別具体性)。

[・『LEGAL QUEST行政法』3版214頁(最判昭39・10・29民集18-8-1809,大田区ゴミ焼却場設置事件。#公共施設の設置管理行為 たるゴミ焼却場設置行為につき、①#公権力性 が認められず、処分性が否定された。もっとも、#民事訴訟としての差止訴訟が可能だった事案。同書215頁)参照。#法的判断枠組み(#判例)。]

 

原告適格
行政法12/ 救済法/ 150/
「法律上の利益を有する者」(#行訴法9条1項)とは、当該処分で自己の権利または法律上保護された利益を必然的に侵害される者をいう。当該処分の根拠法令が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護するものならば、上記利益にあたる。
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[法的判断枠組み(判例。条文の文言の意義)、R21②]

行政法13/ 救済法/ 151/
本件都市計画事業認可の根拠法令たる都市計画法の趣旨・目的に鑑み、事業地の周辺地域居住住民に対し、違法事業起因の騒音、振動等の健康・生活環境に係る著しい被害を招かないという具体的利益が保護されている。被害の内容、性質、程度等に照らし、この利益は一般的公益に吸収解消し得ない。#行訴法
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[事実の分析(一つの根拠法令の分析。法的判断枠組みの定立ではなく、具体的利益が、法律上保護された利益ないし「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)の要件にあたるかの、前提としての事実として法令の分析)、R21②]


行政法8/ 140/
競輪場外施設設置等により周辺住民らに生じ得る被害は、交通、風紀、教育等の生活環境悪化であり、直ちに生命・身体の安全・健康被害、著しい財産損害は想定できない。生活環境利益は基本的に公益であり、明白な手がかり規定なき限り、法が個別的利益としても保護する趣旨を含むとはいえない。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(i)参照。[事実の評価例]

行政法9/ 141/
競輪法施行規則15条1項1号の位置基準は、業務上支障が具体的に生じうる医療施設等が健全静音な環境で円滑に業務を行える利益を、個々の開設者の個別的利益として保護する趣旨を含むといえるので、当該場外施設の設置等に伴い著しく業務上支障を生じうる区域の開設者は、原告適格を有する。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iii)参照。[事実の評価例]

行政法10/ 142/
位置基準に基づき医療施設等の開設者が原告適格(#行訴法9条1項)を有するかは、当該場外施設が設置運営された場合に規模、周辺交通等の地理的状況等から合理的に予測される来場者の流れや滞留状況等を考慮し、上記のような区域にあるかを距離・位置関係を中心に社会通念に照らし合理的に判断する。
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iii)参照。[法的判断枠組み(判例)]

行政法11/ 143/
競輪法施行規則15条1項4号の周辺環境調和基準が場外施設周辺の居住環境との調和を求める趣旨を含むとしても、基本的に用途の異なる建物混在を防ぎ都市環境の秩序ある整備を図る一般的公益保護規制である。周辺居住者等の具体的利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨は読み取れない。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iv)参照。[事実の評価例]


取消訴訟の審理
行政法6/ 90/
後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できるか(#行訴法14条 参照)。
この点、①先行処分と後行処分とが一体的に同一目的実現を目指し、結合し効果を産むものならば、②先行処分の取消しについて争う手段の実効性・合理性(手続保障)を考慮し、違法性の承継を認め、主張を許すべきである。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)182~184頁、最判平21・12・17、参照。[法的判断枠組み]

 


〔国家補償〕 ■国家補償 ■国家賠償法 ■損失補償 ■国家保障の谷間
■国家保障

 
国家賠償法
行政法2/ 82/
「公権力の行使」(#国賠法1条1項)には、国または公共団体の私経済作用と国賠法2条の適用対象たる公の営造物の設置管理を除くすべての活動が含まれる。非権力的作用たる行政指導や国公立学校の教育活動も該当する。同要件に該当せずとも、民法上の不法行為に該当すれば損害賠償責任が認められる。
『LEGAL QUEST 会社法』3版296頁参照。[法的判断枠組み(文言解釈)、および、事実の評価例]

行政法3/ 83/
行政が法によって人の権利利益の制約根拠を与えられている、法律に行政の原理の下では、#国賠法 上の違法性は、加害行為の態様に着目すべきであり、違法か否かは、職務上通常尽くすべき注意義務の違反を基準とすべきである。被侵害利益と侵害行為態様とを相関的に判断する民事不法行為法とは異なる。
『LEGAL QUEST 会社法』3版299頁、300頁参照。[法的判断枠組み(国賠法上の違法性)]

行政法4/ 84/
規制権限不行使は、根拠法令の趣旨目的、権限の性質等に照らし、具体的事情の下、その不行使が許容される限度を逸脱し著しく合理性を欠くと認められるときに不行使による被害者との関係において、#国賠法1条1項 の適用上違法となる。危険の存在、予見可能性、回避可能性、期待可能性等が考慮される。
『LEGAL QUEST 会社法』3版316頁(最判平16・10・15民集58-7-1802)参照。[法定判断枠組み(違法性の判断基準)]

 

行政法29/ 516/ 権限不行使の違法は,①#国民の生命_身体_健康の毀損の危険の存在,②行政庁が危険の切迫を知り・容易に知り得た(#予見可能),③権限行使すれば容易に防止可(#結果回避可能),④行使なければ結果発生を防止できなかった(#補充性),⑤規制権限行使への被害者の期待が社会的に容認しうる(#期待可能)かで判断。
[『事例研究 行政法』2版125頁(東京地判昭53・8・3判時899-48,東京スモン訴訟第1審)参照。事例の分析・評価方法] 

 

国家賠償法2条

行政法5/ 85/
#国賠法2条1項 の設置管理の「瑕疵」とは、通常有すべき安全性を欠いていることをいう。無過失責任であるが、損害の発生の予見可能性と回避可能性が考慮され、責任が否定されうる。瑕疵は、当該営造物の構造、用法、場所的環境および利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断される。
『LEGAL QUEST 会社法』3版323、325頁、最判昭45・8・20民集24-9-1268(高知落石事件、百選Ⅱ243)、最判昭53・7・4民集32-5-809(道路防護柵子ども転落事件)、参照。[法的判断枠組み(判例)]

行政法18/ 398/
道路法42条の義務に鑑み、本件事故現場に大型貨物自動車が87時間放置され、道路の安全性を著しく欠如する状態であったにもかかわらず、土木出張所が、常時巡視体制をとっていなかったため、事故発生まで道路の安全性を保持する措置を全く講じていなかった状況下、道路管理の瑕疵(#国賠法2条1項)あり。
最判昭50・7・25民集29-6-1136(『行政判例百選Ⅱ』6版〔244〕500頁)参照。[事実の分析・評価例]

 

国家賠償法3条2項に基づく求償 

[・市町村が設置する中学校の教諭が職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えた場合、当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法1条1項、3条1項に従い生徒に損害を賠償したときは、当該都道府県は、同条2項に基づき、賠償した損害の全額を当該中学校を設置する市町村(「内部関係でその損害を賠償する責任ある者」)に求償することができる(学校教育法5条、地方財政法9条、市町村立学校職員給与負担法1条、参照)]

  

行政法23/ 国賠法/ 451/ 市町村設置の中学校の教諭が職務時に,故意・過失で違法に生徒に損害を与えた場合,#給与を負担する都道府県が,国家賠償法1条1項,3条1項に従い生徒に賠償すれば,同条2項に基づき,#賠償した損害全額を中学校を設置する市町村(「#内部関係でその損害を賠償する責任ある者」)に求償可(学校教育法5条等参照)

[最判平21・10・23民集63-8-1849,『行政判例百選Ⅱ』6版〔251〕参照。事実の分析・評価例。]

 

■損失補償

最判平29・9・8裁時1683-3について (行政法) - right_droitのブログ


■国家保障の谷間

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End of the writings.

参照文献:
☆辰巳『趣旨・規範ハンドブック』。『判例百選』、『重要判例解説』、LEX/DB。『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系。『判例プラクティス』。受験新報。等。

☆『事例研究 行政法』、『LEGAL QUEST行政法』。