ミニマム法律学

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会社法/ 敵対的買収と防衛策

〔企業の買収・結合・再編〕

http://twpf.jp/right_droit

敵対的買収と防衛策

 

⚫取締役会による防衛策

[・現に経営支配権争いが生じている場面において、経営支配権の維持・確保を目的(主要目的)とした新株予約券の発行がされた場合には、原則として、不公正な発行として差止請求が認められるべきである(主要目的ルール)。誰を経営者としてどのような事業構成の方針で会社を経営させるかは、株主総会における取締役選任を通じて株主が資本多数決によって決すべき問題というべきだからである。

 もっとも、株主全体の利益保護の観点から当該新株予約権発行を正当化する特段の事情があること、具体的には、敵対的買収者が真摯に合理的な経営を目指すものではなく、敵対的買収者による支配権取得が会社に回復し難い損害をもたらす事情があることを会社が疎明、立証した場合には(主要目的ルールの例外)、当該新株予約券発行を差止めることはできない。]

 

 

⚫支配権維持・確保目的の新株等の発行が例外的に適法となる特段の事情の具体例(4類型)

[・支配権維持・確保目的の新株等の発行が例外的に適法となる特段の事情として、以下の4類型をあげることができる。

 買収者が、①ただ株価をつり上げて株式を高値で会社関係者に買い取らせる目的(グリーンメーラー)、②対象会社の知的財産権やノウハウ等を買収者に移譲する目的、③対象会社の資産を買収者の債務の担保や弁済原資として流用する目的、④会社経営を一時的に支配して事業に当面関係していない高額資産等を売却処分させ、売却資金により一時的高配当させる目的、で買収する場合である。

 しかしこれらのうち、③は、対象会社の資産を担保にして買収資金の融資を受ける方法(レバレッジド・バイアウト(LBO)、MBOなどに通常利用される方法)を、また、④は、遊休資産を処分し株主に分配するという経済合理性のある行為を含みうる点で、問題がある。効率的な買収を阻害する結果とならないよう、この4類型は合理的に解釈する必要がある。]

 

 

 

会社法96,97,98/ 企業の買収・結合・再編23,24,25/ 557,558,559/ 現に経営支配権争いが生じている場面で,#経営支配権の維持・確保を主要目的とする新株予約券発行は,原則,不公正な発行として差止請求が認められるべき。誰を経営者としてどのような事業構成の方針で会社を経営させるかは,#株主総会における取締役選任を通じ株主が資本多数決により決すべき問題だから。

 

/ もっとも,#株主全体の利益保護の観点から当該新株予約権発行を正当化する特段の事情,具体的には,敵対的買収者が真摯に合理的経営を目指すものでなく,#敵対的買収者による支配権取得が会社に回復し難い損害をもたらす事情あることを会社が疎明_立証した場合(例外),当該新株予約券発行を差止めできない。

 

/ 支配権維持・確保目的の新株等発行が適法となる特段の事情。買収者が,①株価をつり上げ株式を高値で会社関係者に買い取らせる目的(#グリーンメーラー),②#知的財産権やノウハウ等を横取る目的,③対象会社資産を買収者の債務の担保等に流用する目的,④高額資産等を売却処分させ一時的高配当させる目的。

 

[『LEGAL QUEST会社法』3版441頁-442頁(東京高決平17・3・23判時1899-56,ニッポン放送事件)参照。取締役会の判断による敵対的防衛に対する防衛策(新株予約権発行)への差止請求が認められるか(主要目的ルール,および,例外),例外の4類型]

 

会社法99/ 企業の買収・結合・再編26/ 560/ しかしこれらのうち,③は,#対象会社の資産を担保にして買収資金の融資を受ける方法(レバレッジド・バイアウト(LBO)。MBOなどに通常利用される方法)を,また,④は,#遊休資産を処分し株主に分配するという経済合理性のある行為を含みうる点,問題。効率的買収を阻害しないよう,この4類型を合理的に解釈要。

[『LEGAL QUEST会社法』3版443頁参照。裁判例の呈示したいわゆる4類型の問題点]

 

 

⚫より限定的な目的で取締役会の判断で防衛策を行使すること

[・企業の経営支配権の争いがある場合、現経営陣と敵対的買収者のいずれに経営を委ねるべきかの判断は、株主によってされるべきである。

 対象会社の取締役会としては、株主に適切な情報提供を行い、その適切な判断を可能とする目的で、敵対的買収者に対して事業計画の提案と相当な検討期間の設定を任意で要求することができるのみならず、合理的な要求に応じない買収者に対しては、株主全体の利益保護の観点から相当な手段を採ることが許容される場合が存する。]

 

会社法100/ 企業の買収・結合・再編27/ 561/ 経営支配権争いある場合,現経営陣と敵対的買収者のいずれに経営を委ねるべきか,#株主が判断。対象会社の取締役会は,株主に適切な情報提供,判断を可能にさせる目的で,#買収者に対し事業計画の提案と相当な検討期間の設定を要求でき,合理的要求に応じなければ,#株主全体の利益保護のため相当手段採れる。

[『LEGAL QUEST会社法』3版443頁(東京地決平17・7・29判時1909-87,日本技術開発事件)参照。情報提供と検討期間確保目的のための,取締役会による防衛策]