140字法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように140字以内にまとめています。原文・判決文どおりでないところもあります。関心を持たれた方は,ご自分でご確認下さい。https://twitter.com/right_droit

刑訴法/ 接見交通権 (刑訴法39条, 80条・81条)

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◯接見後その内容を捜査機関に報告させることの適法性,「立会人なくして」(刑訴法39条1項)の意義

[・接見後その内容を捜査機関に報告させることは違法。

 なぜなら、刑訴法39条1項が被告人らが弁護人と立会人なくして接見することができると規定しているのは、被告人が弁護人から有効・適切な援助を受ける上では、被告人が弁護人に必要・十分な情報を提供し、弁護人から被告人に適切な助言をするなど自由な意思疎通が捜査機関に知られることなくなされることが必要不可欠だからであるが、接見内容が捜査機関に知られることになれば、被告人と弁護人の情報伝達が差し控えられるという萎縮的効果が生じ、被告人が実質的かつ効果的な弁護人の援助を受けられなくなるからである。

 そうすると、「立会人なくして」(刑訴法39条1項)とは、接見に際して捜査機関が立ち会わなければ、これで足りるとするというにとどまらず、およそ接見内容について捜査機関は知ることができないとの接見内容の秘密を保障したものといえる。]

 

刑訴法68,69/ 627,628/ #接見後その内容を捜査機関に報告させるのは違法。刑訴法39条1項が被告人らが弁護人と立会人なしの接見を認めるのは,#被告人が弁護人から有効・適切な援助を受ける上で,被告人と弁護人との自由な意思疎通が必要不可欠であり,#接見内容が捜査機関に知られると_情報伝達に萎縮的効果が生じるからである。

[接見内容を捜査機関に報告させることの違法性]

  

/ 立会人なしの接見により,被告人に実質的かつ効果的な弁護人の援助を受けさせる必要あり立会人なくして(刑訴法39条1項)とは,接見に際し捜査機関が立ち会わなければ,これで足りるとするというにとどまらず,#およそ接見内容について捜査機関は知ることができないとの接見内容の秘密を保障したもの。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版228頁(鹿児島地判平20・3・24)参照。「立会人なくして」(刑訴法39条1項)の意義]

  

◯「捜査のために必要があるとき」(刑訴法39条3項)

刑訴法7/ 捜査7/ 25 接見交通権の保障は、憲法の保障する弁護人依頼権(34条前段)黙秘権(38条1項)等の被疑者の防御権を実質的に確保する上で不可欠なものであるから、「捜査のため必要があるとき」(#刑訴法39条3項)とは、限定的に解釈すべきであり、捜査の中断による支障が顕著な場合をいうと解する

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版229頁(最大判平11・3・24)参照。「捜査のため必要があるとき」(刑訴法39条3項)とは]

 

刑訴法8/ 捜査8/ 26 捜査の中断による支障が顕著な場合であったかの判断においては、①接見指定の必要現に取調中であったり間近い取調べの確実な予定があったか等)、②接見指定の相当(方法の合理性、迅速かつ円滑な接見交通が害されたか等、被疑者の防御権への配慮があったといえるか)が考慮される。#刑訴法 

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版230頁参照。捜査の中断による支障が顕著な場合にあたるかの判断における考慮事由]

 

◯弁護人との協議,初回の接見

刑訴法9/ 捜査9/ 27/  捜査機関は弁護人と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備ができるようにしなければならない(#刑訴法39条3項ただし書)。特に、初回の接見の場合、比較的短時間でも、即時または近接した時点で接見を認めるべきである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版230頁(最判平12・6・13)参照。弁護人との協議が必要で,初回接見については特に配慮要]

 

 

◯要望ある場合の,いわゆる面会接見ができるよう特別の配慮をする義務

刑訴法10/ 捜査10/ 28/  弁護人等と被疑者との立会人なしの接見でも、被疑者の逃亡や罪証隠滅を防止でき、戒護等の支障が生じない設備ある部屋等が存在しない場合、接見申出を拒否しても、原則違法ではない。しかし、いわゆる面会接見ができるよう特別の配慮をする義務を怠った場合、違法となる。#刑訴法

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版230頁,231頁(最判平17・4・19)参照。いわゆる面会接見]

 

◯余罪捜査を理由とする接見指定

[・余罪捜査を理由とする接見指定については、余罪につき身柄拘束がされていない場合には認められない。なぜなら、「身体の拘束を受けている」(刑訴法39条1項)ことが前提であり、かつ、逮捕・勾留の効力は令状に記載されている事実についてのみ及ぶからである(事件単位の原則)。

 もっとも、余罪についても身柄拘束を受けている場合には、被告事件についての防御権の不当な制限にわたらない限り(同条3項ただし書)、余罪捜査を理由とする接見指定も許されると解する。余罪捜査の必要性と接見交通権の高い優越性をともに考慮する必要があるからである。]

 

刑訴法70/ 629/ 余罪捜査を理由とする接見指定は,余罪につき身柄拘束なき場合,不可。「#身体の拘束を受けている」(刑訴法39条1項)が前提で,逮捕・勾留の効力は令状記載事実にのみ及ぶから。

余罪につき身柄拘束ある場合,#被告事件の防御権の不当制限にわたらない限り(3項ただし書),余罪捜査を理由とする接見指定も

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版231頁(最決昭41・7・26,最決昭55・4・28)参照。余罪捜査を理由とする接見指定の可否]

 

 

◯弁護人以外の者との接見、書類・物の授受(刑訴法80条)

刑訴法27/ 捜査14/ 318/ 勾留され、あるいは勾引状により刑事施設に留置されている被告人は、法令の範囲内で、#弁護人以外の者と接見し、書類・物の授受ができる(刑訴法80条)。勾留されている被疑者(207条1項による準用)、鑑定留置中の被告人(167条5項)も同様。接見禁止(81条)、接見立会いなど制約あり。

[以上,TKC基礎力確認テスト平成20年度第1回[短答式]全国実力確認テスト,刑事系科目第28問解説,寺崎『刑事訴訟法』3版207頁,参照。法的判断枠組み(条文知識)]

 

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憲法/ いわゆる三段階審査について

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国家からの自由

[・表現の自由、通信の秘密、住居の不可侵、居住・移転の自由などの、国家からの自由の保障にとって重要なのは、原則としての自由と例外としての制限という、原則-例外の関係である。]

 

憲法73,74/ 人権69,70/ 625,626/ 表現の自由,通信の秘密,住居の不可侵,居住・移転の自由などの,#国家からの自由の保障にとり重要なのは,原則としての自由と例外としての制限(原則-例外の関係)である。#権利が国家に不作為を要求する,(防御権)の論証では,三段階審査という手順が用いられる。#三段階審査は_原則・例外関係を前提とする。

[小山『「憲法上の権利」の作法12頁』新版12頁,10頁参照。いわゆる三段階審査基準について]

 

憲法上の権利に関わる論証のひな形

[・憲法上の権利に関わる論証は、権利が国家に不作為を要求するのか、作為を要求するのかによって異なる。前者(防御権)の論証においては、いわゆる三段階審査という手順が用いられる。

 三段階審査は、原則-例外関係を前提としている。自由が原則であり、制限は例外的にのみ許される(憲法上正当化できない限り、自由の制限は違憲である)という理解から、三段階審査は①ある憲法上の権利が、具体的に何を保障するのか(保護範囲)、②法律および国家の具体的措置が、その保護領域に制約を加えているのか(制限)、③その制限は憲法上、正当化しうるのか、という順で審査する。]

 

/ #自由が原則_制限は例外的にのみ許される(憲法上正当化できない限り,自由の制限は違憲)という理解から,三段階審査は①ある憲法上の権利が,#具体的に何を保障するか(保護範囲),②#法律_国家の具体的措置が_その保護領域に制約を加えているか(制限),③その制限は憲法上,#正当化しうるか,という順で審査。

[小山『「憲法上の権利」の作法12頁』新版10頁参照。国家からの自由(防御権)に対する具体的制限についての違憲審査の手順]

 

◯実質的観点からの正当化

[・Q: 公共施設の管理者が,施設・備品等の破損を防止するためにビデオカメラによる監視を行うことができるという法律上の規定に基づきビデオカメラによる監視を行う場合、撮影対象者の自己情報コントロール権(憲法13条)に対する規制の目的が正当なとき、その手段は実質的観点から正当化できるか。

A: まず、ビデオカメラによる監視という手段は、立法目的の達成のための効果的な手段か(手段の適合性・合理性)、審査する。カメラ設置により犯罪が減少すれば、効果的な手段だと認められるが、撮影対象者(侵害者?)が隣のベンチに移るだけなら、犯罪予防に役立たず、監視は違憲となりうる。

 さらに、警察官による巡回という、より緩やかな手段によって、犯罪予防という立法目的を同じように達成できるのであれば、監視は違憲である。なぜなら、選択された手段には、必要性がないためである(手段の必要性)。

 最後に、きわめて軽微な秩序違反を防止するために監視という重大な制限が加えられるとしたら、制限によって得られる利益と失われる利益の均衡を失し、違憲となる(狭義の比例性・均衡性)。]

 

人権56,57/ 512,513/ 公共施設管理者が,備品等破損防止のためビデオカメラ監視可とする法令に基づき行う場合,自己情報コントロール権(憲法13条)へのこの規制の目的が正当なら,手段は実質的に正当か。

カメラ設置により犯罪減少すれば効果的だが(#手段の合理性),隣のベンチに移るだけなら犯罪予防に役立たず違憲となりうる。

 

/ →警察官による巡回という,より緩やかな手段で犯罪予防(立法)目的を同じように達成できるなら,違憲。選択された手段に必要性がないため(#手段の必要性)。きわめて軽微な秩序違反防止のため監視という重大な制限が加えられるなら,制限によって得られる利益と失われる利益の均衡を失し,違憲(#比例原則)

[小山『「憲法上の権利」の作法』新版16頁,14頁参照。事実の分析・評価例]

 

[1.  以前は,以下(↓)のように考えていました。下記タテ1『1、』部分が法的三段論法の大前提(法的判断枠組み)で,起承転結の承の部分と考えていました。

 しかし、『起』の部分で,ある憲法上の権利が具体的に何を保障しており(保護範囲),法律ないし国家の具体的措置が,その保護領域に制約を加えているか(制限),分析・検討し,『承』の部分で,その制限を正当化しうるか,合憲または違憲審査基準を定立すべき,と考えます。

 すなわち,法的判断枠組みに関する知識(保護範囲,制限の部分)は,問題的部分(起)でも使える,と気が付きました。

2. あるいは,場合によっては,保護範囲または制限の部分が,当該問題解決のためのポイントであれが,その部分に関する知識が,大前提部分(承)の論証とすべき場合もある,と思います。]

 

○三段階審査

人権32/ 328/ 0、①いかなる権利?

1、#保護範囲、②憲法上保障されているか③人権共有主体性、④保障されているとしても何らかの制約原理(実質的公平の原理、パターナリスティックな制約、裁判の公正、等)、⑤合憲・違憲審査基準。

2、#制限の有無の認定。⑤の基準による審査(#正当化)。

3、結論。

[村田浩一『憲法合格答案の書き方』14頁~18頁、辰巳『趣旨・規範ハンドブック』公法系5版5頁、木村『憲法の急所』2版9頁、11頁等、参照。法的判断枠組み(憲法試験論文の構成)。

 憲法論文の答案構成例。いくつかさらっと読んで見ましたが、それでも書き方よくわかりません。一応の暫定的なものです。ドイツ流の三段階審査を、いざ法的三段論法にあわせて書く場合、こんな感じになるのかな~と思って、まとめました。

 タテ0が問題提起。

 タテ1の部分が大前提たる法的判断枠組み(定義、規範等)の構築の部分にあたり、この部分は基本書等で獲得する知識であり、スマートに、コンパクトに書く。

 タテ2が、小前提たるあてはめ、事実の分析、評価部分。事実のピックアップ間違いなきように、また、その評価も、他人が納得できるように説得的に、ていねいに書く。

 そして、タテ3、結論。

 特に③人権共有主体性が問題となる場合には、この部分にも、規範定立要だろう。]

 

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行政法/ 訴えの利益

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◯訴えの利益(狭義)

[・取消訴訟を提起し追行するためには、当該処分取消しによって原告が現実に法律上の利益を受けることを要する。これを狭義の訴えの利益という。原告適格とあわせて広義の訴えの利益という。原告適格ある者が取消訴訟を提起する場合、通常は訴えの利益もある。しかし、当該処分の後の事情変更等によって事後的に訴えの利益が失われることもある。

 行訴法9条は「法律上の利益を有する者」に、処分または採決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなおそれらの取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者も含む旨規定している。]

 

行訴法40/ 620/ 取消訴訟を提起,追行するのに,当該処分取消しにより原告が現実に法律上の利益を受ける必要あり(狭義の訴えの利益)。原告適格ある者が訴訟提起すれば通常,訴えの利益もある。しかし,処分後の事情変更等によりそれが失われることもある。「法律上の利益」に,#回復すべき法律上の利益含む(行訴法9条1項)。

[『LEGAL QUEST行政法』3版235頁参照。(狭義の)訴えの利益とは何か]

 

◯建築確認の取消訴訟における訴えの利益

[・建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了した場合、建築確認は工事を適法に行わせる効果しかなく、また、工事完了後の検査や是正命令は建築物それ自体の適法性を基準にしており、建築確認の適法性はもはや問題とならない。そして、是正命令の発動は特定行政庁の裁量に委ねられており、建築確認の適法性によって左右されるものではない。したがって、この場合、訴えの利益は否定される。]

 

行政法41/ 621/ 建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了した場合,そもそも,#建築確認は工事を適法に行わせる効果しかなく,工事完了後検査や是正命令は,#建築物それ自体の適法性を基準とし,是正命令の発動も特定行政庁の裁量であり,#建築確認の適法性により左右されるものではない。よってこの場合,訴えの利益消滅。

[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判昭59・10・26民集38-10-1169,仙台市建築確認取消請求事件)参照。建築確認の取消訴訟における訴えの利益]

 

土地改良事業の施工認可取消訴訟における訴えの利益

[・土地改良事業の施工認可取消訴訟の係属中に工事が完了した場合も、①当該認可は事業施工者に事業施工権を付与するものであり、その後の一連の手続・処分は認可の存在を前提とするので、認可取消しでそれらの法的効力が影響を受ける、②工事完了により社会通念上現状回復が不可能となるとしても、事情判決(行訴法31条1項)の適用において考慮すべき事柄なので、訴えの利益を失わしめない。]

 

行政法42/ 622/ 土地改良事業の施工認可取消訴訟係属中,工事完了の場合も,①#当該認可は事業施工者への事業施工権付与であり,その後の一連の手続・処分はそれを前提とし,認可取消しで法的効力に影響,②工事完了で社会通念上現状回復不可能としても,#事情判決(行訴法31条1項)で考慮すべきで,訴えの利益を失わしめない。

[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判平4・1・24民集46-1-54,八鹿町土地改良事業施工認可処分取消訴訟請求事件)参照。現状回復が事実上困難であるというだけでは,訴えの利益は消滅しない。]

 

◯回復すべき法律上の利益

[・「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項かっこ書)が認められるのは、①実体法上の請求権や②法規の定める何らかの効果が残っている場合だけである。③名誉侵害の場合は事実上の効果に過ぎず、④将来同種の処分が繰り返されるおそれ(反復の危険)がある場合も、③④いずれの場合にも訴えの利益は認められない。

 ①報酬請求等、②日弁連会長選挙規定により、懲戒処分を受けた弁護士は会長選挙の被選挙権をもたないとされる効果、などである。

 ③運転免許書停止処分、④特定年度の公共施設の使用不許可処分、などで訴えの利益が認められなかった。しかし、③について、名誉等も法的利益といえるし、④についても、特定期日の処分については争う方法がないことになる不都合がある。]

 

行政法43/ 623/ 「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項かっこ書)が認められるのは,①#実体法上の請求権(報酬請求権など),②#法規の定める何らかの効果が残っている場合(日弁連会長選挙規定による効果など)だけ。③名誉侵害の場合,事実上の効果に過ぎず,④将来,同種処分の繰返しのおそれある場合も,訴えの利益なし。

[『LEGAL QUEST行政法』3版238頁-240頁(②最判昭58・4・5判時1077-50,③最判昭55・11・25民集34-6-781,運転免許停止処分取消請求事件,④最大判昭28・12・23民集7-13-1561),235頁(①最大判昭40・4・28民集19-3-721,名古屋郵政局職員免職処分取消請求事件),参照]

 

行政法/ 不作為の違法確認訴訟 - 140字法律学

2018年5月分ツイート (-6日): 13 (民法5,民訴法1,倒産法3;刑訴法4)

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2018年5月6日(3)

刑訴法60/ 609/ 秘密盗聴の侵害するプライバシーは,通信の秘密(憲法21条2項後段),私生活上の自由(13条)として保護され,住居,書類・所持品同様,強制処分法定主義・令状主義で高度に保護すべきものであり(35条),強制処分。同意盗聴は,#会話内容_プライバシーは相手方支配下に置かれ_要保護性の質的低下により,任意処分。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』85頁,86頁参照。侵害される権利・法益内容の質的な違いによる,強制処分性判断]

刑訴法59/ 608/ 会話傍受(秘密盗聴,同意盗聴)処分は,#処分相手方に反対意思形成機会を全く与えず被処分者の権利を完全に侵害するものであり,有形力行使のように侵害程度の強弱は想定できず,#意思制圧と価値的に同視可。このような捜査の場合,意思制圧が一般的に認められ,#侵害される権利・法益内容で,強制処分性判断。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』85頁参照。会話傍受の強制処分性の判断基準(意思制圧基準および重要な権利侵害基準によるが,前者は一般的に認められるの,後者の内容だけで判断。
前半部分,同書では「秘密盗聴のような処分」(85頁L6)と書かれていますが,秘密盗聴(会話当事者のいずれの同意も得ていない場合)と同意盗聴(会話当事者の一方の同意を得ている場合,同書84頁参照)を含むものと判断し,そういう方向でまとめています。]

刑訴法58/ 607/ おとり捜査に,#意思制圧要素は考えられず_任意捜査といえる。したがって,おとり捜査により制約される権利・法益と捜査の必要性,緊急性を利益衡量し,当該捜査手法が相当かどうか判断。#制約される権利・法益は_適正手続の観点からの司法の廉潔性_対象者の人格的自律権_国民一般の法益(社会的法益)など。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』77頁-79頁参照。おとり捜査がどのような法益を制約することになるから(おとり捜査の規制根拠、同書78頁)、この捜査手法が許容されるのかという問題とリンクさせた上での(同書82頁L3,4参照)、おとり捜査の適法性の判断基準]

 

2018年5月5日(1)
刑訴法57/ 606/ #少なくとも_直接の被害者なき薬物犯罪等の捜査で_通常の捜査方法のみでは摘発困難な場合_機会あれば犯罪遂行意思ありと疑われる者を対象のおとり捜査は,刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容可。
他の捜査手法で証拠収集困難,Xは既に買い手を求めていたのだから,捜査官が仕向けたとしても,適法。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』80頁(最決平16・7・12刑集58-5-333),および81頁L11-15も参照。範囲誘発型・機会提供型に分ける二分説に、必ずしも依拠しない判断枠組みおよび事案分析・評価例(判例)]

 

2018年5月4日(6)
倒産法59,60/ 破43,44/ 604,605/ 債権・債務の対立状態が,破産手続開始後や,支払不能・支払停止・破産手続開始申立(危機時期)後に生じた場合,#濫用的に債権債務の対立が創出され,債権者間の公平を害する事態が想定されるため,相殺原則禁止。まず,①#破産債権者による_破産手続開始後の債務負担に基づく相殺は_全面禁止(破71条1項1号)。

/ ②#破産債権者による危機時期の事情を知っての債務負担に基づく相殺,原則禁止(破71条1項2号~4号),相殺の合理的期待保護の例外あり(2項)。

③#破産者に債務を負っている者による,破産手続開始後の債権取得に基づく相殺,全面禁止(72条)。④#危機時期の事情を知っての債権取得,相殺禁止対象。例外あり。
[山本和彦『倒産処理法』4版95頁-97頁参照。破産手続における相殺権の制限の概略]

倒産法58/ 破42/ 603/ 破産手続開始前に破産者に対する債権債務が対立状態にある場合,破産手続開始後も,破産債権者は破産手続によらず自由に相殺可(破67条1項,原則,#相殺の担保的機能尊重)。破産債権者の有する自働債権が破産手続開始時に期限未到来でも,受働債権が期限付・条件付でも相殺可(破67条2項,#相殺権の範囲拡張)。
[山本和彦『倒産処理法』4版95頁参照。破産手続における相殺権の概略]

民法87/ 債権総論20/ 602/ 電気店Aは,買主Bの注文に応じ,新型テレビをB宅に届けたところ,内部の不具合で異常音発生。Bの修理の求めに対し,Aは異常のない新品を引き渡し修理義務を免れ得るか。
債権者(B)に特別な不都合なき限り,#取引慣行・取引上の信義則適用として_変更権(他の物をもって代えることができる権利)を認めるべき。
[内田『民法Ⅲ』3版20頁(大判昭12・7・7民集16-1220)参照]

民法86/ 債権総論19/ 601/ 引渡債務の目的物特定で,債務者は,特定した物の引渡債務を負う。また,①保管義務の加重,#善管注意義務(民法400条)を負う。②#目的物滅失により履行不能。滅失に債務者の帰責事由なければ,危険負担の債権者主義適用(534条2項)。帰責事由あれば,債務不履行責任(415条後段)。③特約なき限り,#所有権移転。
[内田『民法Ⅲ』3版19頁(最判昭35・6・24民集14-8-1528)参照。種類物特定の効果]

民法85/ 債権総論18/ 600/ 「給付をするのに必要な行為」(民法401条2項前段)による特定は,持参債務は,債権者の住所地(履行地)に持参し提供したとき。取立債務は,債務者が,#目的物を分離し引渡の準備を整え_債権者に通知したとき。送付債務は,履行地に目的物を送付し,そこで履行提供したとき。#送付が債務者の好意の場合_発送時。
[内田『民法Ⅲ』3版17頁-19頁(最判昭30・10・18民集9-11-1642)参照。条文解釈(法的判断枠組み)]

 

2018年5月3日,憲法記念日
基本姿勢/ 国家権力の正当性の根拠は憲法にあり,#あらゆる国家権力は憲法によって制約_拘束される(立憲主義)。立憲主義をより深化・徹底する観点,#立憲主義に基づき権力を制約し国民の権利の拡大に寄与するとの観点から,憲法に限らず,関連法も含め,国民にとって真に必要な改定を積極的に検討(立憲的憲法論議)要。
[立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408)参照。]

国政調査権について/ 国政調査権は両議院の権能,#証人の出頭・証言_記録の提出を求めることができる(憲法62条)。具体的には,特別の院議決定に基く調査特別委員会設置,常任委員会による調査要求の議長による承認により行使。#平成10年に予備的調査制度が採用されたが(衆議院規則56条の2,56条の3,86条の2),強制力を伴はない。

/ #国政調査権は国会の権能の行使のための補助的権能だが,国会の権能は立法権,予算審議,行政監視など広範で,行政国家では,立憲主義の観点から議会による行政統制の重要手段。しかし,#議院内閣制下_議会多数派が内閣を構成し,行政監視のための行使も,多数決原理で与党合意なき限り発動しえず,実効性疑問。
[以上,立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408),衆議院サイト(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/ugoki/h11ugoki/h11/h11yobit.htm)参照。]

知る権利などについて/ #権力行使の行き過ぎも_表現の自由の確保により是正可能。表現の自由は,説得と投票箱の過程,民主主義プロセスの担保。しかし,前提として十分な情報に接していることが必要。不十分な情報や誤った情報に基づき議論を重ねても,正しい結論は得られない。#公文書管理や情報公開は_この知る権利を担保する。
[立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408)参照。]

/ 日本国憲法の核である,#国民主権_平和主義_基本的人権の尊重は,日本国民が長年月をかけて育み,定着させてきたもの。憲法改正は,思想的,観念的・抽象的議論でなく,憲法規定が原因で政策遂行に支障が生じるか,規定不在によりどのような不都合が生じるかなど,#その必要性につき具体的事実に基づき検討要。

/ 基本的人権の中でも,特に重要な人権である表現の自由が民主主義のプロセスにとって有効に機能するためには,前提として,#国民が十分かつ正確な情報に接していることが必要不可欠。公文書管理や情報公開の在り方を正し,#権力制約_国民の権利拡大に寄与するとの観点_立憲主義の観点から立憲的憲法論議要。
[以上,立憲民主党代表・枝野幸男「【代表談話】憲法記念日にあたって」立憲民主当サイト(https://cdp-japan.jp/news/20180502_0422)参照]

/ 歴史が証明するように,時として権力は暴走する。個人弾圧,人権抑圧もある。だからこそ国家権力を縛り,#権力を抑制的に,真に国民のために行使させるべく憲法がある。憲法は,#長い歴史を持つ人類の英知の結晶である。時の権力者による権力私物化や乱用は枚挙に暇がない。憲法を活かすも殺すも,国民次第。
[自由党代表・小沢一郎憲法記念日にあたって」BLOGOS(http://blogos.com/article/294667/)参照]

 

2018年5月2日(3)
民法84/ 債権総論17/ 599/ 種類債権(不特定物債権)とは,#同じ種類の物の一定数量の引渡しが目的とされる場合(民法401条1項参照)。その目的物を種類物という。不動産や美術品のように,#物の個性に着目し引渡し対象とされた物を特定物といい,特定物引渡しを目的とする債権が特定物債権。同じ種類かどうかは,当事者の意思で決まる。
[内田『民法Ⅲ』3版16頁参照。種類債権(種類物債権,不特定物債権)と特定物債権との違い]

/ Q:国会の会議に関し,正しいのはどれか。1.両院協議会は公開とする。
2.出席議員の3分の2以上の多数で秘密会を決議したときも,会議録のすべてを公開しなくてよい訳ではない。
3.会議録の頒布は憲法上の要請ではない。
4.出席議員の5分の1以上の要求があれば,要求した議員の評決のみ会議録に記載される。
20% 肢1. 憲法57条1項(本会議)、国会法97条参照
20% 肢2. 憲法57条2項
40% 肢3. 憲法57条2項
20% 肢4. 憲法57条3項参照
5票•最終結
https://twitter.com/right_droit/status/991609206707929089

/ (ヒント) 憲法57条2項: 両議院は,各々その会議の記録を保存し,秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は,これを公表し,且つ一般に頒布しなければならない。(以下,補足,正解→)

肢5.「旧憲法には議員の公開の原則は定めていなかった。」 誤り。大日本帝国憲法48条。

昭和44年旧司法試験 憲法23問 正解: 肢2

民訴法101/ 598/ 作成目的,記載内容,所持経緯,その他から判断し,#専ら内部者の利用に供する目的で作成され_外部者への開示が予定されていない文書で,開示により個人のプライバシー侵害,個人・団体の自由意思形成の阻害,#所持者側への看過し難い不利益のおそれがある場合,特段の事情なき限り,民訴法220項4号ニに当たる。
[最決平19・8・23判時1985-63(LEX/DB 28131982)参照。自己利用文書に当たるかの判断の仕方]

/ メモ) 民訴法は何が重要だろうか? #基本的な原理・原則についての深い理解要(受験新報)。訴えの変更,補助参加,独立当事者参加における二当事者間における和解,既判力の時的限界,文書提出命令,処分権主義,上訴の利益,訴訟担当,遺言者生前における推定相続人による遺言無効確認の訴えなど(ハイローヤー)
https://twitter.com/right_droit/status/991547393626681344

民法83/ 債権総論16/ 597/ #借地上建物の賃借人は敷地の地代の弁済に法律上の利害関係あり。なぜなら,土地賃貸人と直接の契約関係はないが,#土地賃借権消滅により,建物賃借人は土地賃貸人に,#賃借建物からの退去・土地明渡義務を負う法律関係にあり,建物賃借人は,敷地の地代弁済,敷地賃借権消滅防止に法律上の利益を有するから。
[最判昭63・7・1集民154-254,T29(21イ),参照。「利害関係を有しない第三者」(民法474条1項)の解釈。改正民法474条2項「弁済をするについて正当な利益を有する者」参照]


2018年5月1日
憲法・刑訴法/ GPS捜査(プライバシー侵害; 強制処分法定主義.令状主義), 写真・ビデオ撮影
http://right-droit.hatenablog.com/entry/2018/05/01/234625

 

2018年4月分ツイート: 58 (憲法8; 民法17,会社法10,民訴法5,倒産法5; 刑法11,刑訴法1; 他1) - 140字法律学

 

憲法/ 国民の知る権利(憲法21条)と受信契約締結強制(放送法64条1項)

http://twpf.jp/right_droit 

以下,判決(最大判平29・12・6,LX/DB25449082)の「理由」「第2」「上告代理人永野剛志ほかの上告受理申立て理由について」の部分を,さっと読んでまとめたものですので,理解不足による間違いもありえます。ちょっと読んで興味を覚えられた方は,ぜひ,ご自分で判決原文をご確認下さい。裁判所 | 裁判例情報:検索結果一覧表示画面

 

放送法の目的

[・放送は、憲法21条の表現の自由の保障の下で、国民の知る権利を実質化し、健全な民主主義の発達に資するために、国民に広く普及されるべきである。これが放送法の目的である。]

[・この目的を実現するため、放送法は、公共放送事業と民間放送事業とが、各々その長所を発揮し、互いに啓もうし、欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受できるようにしている。日本放送協会(NHK)が、営利を目的として業務を行うことや他人の営業に関する広告の放送を禁止し(放送法20条4項、83条1項)、事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしているのは、NHKが公共的性格を有することの財源面からの裏付けである。NHKは、このような全体により支えられる事業体として、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体として、公共の福祉のための放送を行う必要がある。]

 

人権41/ 443/ 放送は,憲法21条の表現の自由保障下,#国民の知る権利の実質化,#健全な民主主義発達に資するため,国民に広く普及要(放送法の目的)。この目的実現のため放送法は,#公共放送事業と民間放送事業とが,各々その長所を発揮し,互いに啓もうし,欠点を補い,放送により国民が十分福祉を享受できるよう図っている。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082,放送法第1条、参照。法的判断枠組み。]

 

人権42/ 444/ 日本放送協会(NHK)は,営利目的業務・他人の営業の広告放送を禁止され(放送法20条4項,83条1項),事業運営財源がテレビジョン受信設備設置者から支払われる受信料によって賄われる(財源面における公共的性格)。NHKは,#民主的・多元的基盤に基づき自律的運営の事業体として,公共の福祉のための放送を行う。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み(放送法)。]

 

⚫金銭の負担なく視聴することができる民間放送を視聴する自由

[・公共放送事業者と民間放送事業者との体制下で、前者を担う日本放送協会(NHK)を存立させ、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体たらしめるためその財源的基盤を受信設備設置者に受信料を負担させることにより確保する仕組みは、憲法21条の表現の自由の下で国民の知る権利を実質化し、合理的なものと解される。放送環境の変化が生じつつある今日もその合理性は失われていない。したがって、このような仕組みは、憲法上許容される立法裁量の範囲内にある。よって、このような制度の枠を離れて、国民がテレビジョン受信設備を用いて放送を視聴する自由は、そもそも憲法上保障されているものではない。

 具体的には、このような制度の枠外にある、金銭の負担なく視聴することができる民間放送を視聴する自由というものは、憲法上保障されていない。]

 

人権43/ 445/ 公共放送,民間放送事業者体制下,前者の日本放送協会の民主的・多元的基盤に基づく自律的運営事業体としての存立ため,#財源的基盤をテレビジョン受信設備設置者の受信料負担により確保する仕組みは,憲法21条の表現の自由下,#国民の知る権利の実質化であり,合理的。放送環境の変化でも合理性変わらない。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。事実の分析・評価。]

 

人権44/ 446/ 財源的基盤を受信設備設置者の受信料負担で確保する仕組みは,合理的で,#憲法上許容される立法裁量の範囲内。したがって,#このような制度の枠を離れ_国民がテレビジョン受信設備を用い放送を視聴する自由,具体的には,#金銭の負担なく視聴することのできる民間放送視聴の自由は,憲法上保障されていない。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。]

 

⚫受信契約締結強制の合憲性

[・放送法64条1項は、テレビジョン受信設備設置者に対し、受信契約の締結を強制するにとどまる。そのように解することから、受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、承諾の意思表示を命ずる判決の確定によってはじめて受信契約が成立すると解すべきである。このように解することは、放送法の目的を達成するのに必要かつ合理的な範囲内ものであり、憲法上許容される。]

 

人権45/ 447/ 放送法64条1項は,#テレビジョン受信設備設置者に_受信契約締結を強制するにとどまる。したがって,放送法の目的を達成するのに必要・合理的範囲内であり,憲法上許容される。受信契約の申込みに対し受信設備設置者が承諾しない場合,#承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立すると解する

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。

 以上,5ツイート,判決の斜め読みで,自分なりにわかりやすくまとめましたので,判決の趣旨に沿っていない可能性もあります。ご容赦下さい。正確な判文は,各人でご確認下さい(裁判所,裁判例情報,http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf)。]

 

記事一覧 - 140字法律学

憲法・刑訴法/ GPS捜査(プライバシー侵害; 強制処分法定主義.令状主義), 写真・ビデオ撮影

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 ⚫GPS捜査によるプライバシー侵害の度合い

憲法23/ 人権23/ 110/ 本件GPSは、対象車を発見し追尾できる程に正確で搭乗者位置情報の取得と同視でき私有地という、不特定多数の者から目視され観察されることのない、プライバシー保護の合理的期待が高い空間でも、位置情報取得可能である。取付け時の私有地への侵入も想定され、プライバシー等侵害が大きい。#人権

[プライバシー等を大きく侵害する⇒身体、住居、財産等(、重要な権利・利益)の制約(・侵害)が認められる。刑訴法で、強制処分の要件の一つの認定のときにも、似たような事情を拾って、『プライバシーの保護の合理的期待が高い~』などと分析して、書ければいいな~。

 結局、対象車両の位置情報に留まらず、それは、本件GPSについては、乗車している『人の位置情報』と同視でき、それが私有地という、不特定多数の第三者から目視によって監視されることのない、『プライバシー保護の合理的期待の高い』空間に及ぶ場合があったこと、および、私有地への侵入行為も想定されることから、プライバシー等を大きく侵害する、と結論づけているのだろう。事実の評価例(プライバシー侵害するか否かのあてはめ)。

 大阪地決H27・6・5、27年度『重要判例解説』〔憲法3〕参照。]

 

憲法24/ 人権24/ 124/ GPS捜査は、プライバシーが強く保護されるべき空間も含め対象車両・使用者の所在と移動状況を逐一把握し個人の行動を継続的網羅的に把握しプライバシーを侵害しうるし、機器を個人の所持品に密かに装着する点、公道上での肉眼把握・カメラ撮影と異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う。#人権

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。]

 

 ⚫強制処分

[・強制処分(刑訴法197条1項ただし書)とは、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない処分いう。その程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合がある。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であっても、何らかの法益を侵害しまたは侵害するおそれがあるのだから、状況のいかんを問わず常に許容されるものではなく、必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される。]

 

刑訴法51/ 505/ 強制処分(刑訴法197条1項ただし書)は,#個人意思を制圧し_身体_住居_財産等を制約し強制的に捜査目的を実現するなど,特別の根拠規定なければ許容されない処分。その程度に至らない有形力行使も,何らか法益侵害のおそれあるので,#必要性_緊急性など考慮し_具体的状況下_相当と認められる限度でのみ許容。

[最決昭51・3・16刑集30-2-187(『刑事訴訟法判例百選』10版〔1〕),R27②採点実感(刑事系科目第2問)3頁,参照。法的判断枠組み(判例)]

  

刑訴法4/ 捜査4/ 22/ 「強制の処分」(#刑訴法197条1項 ただし書)とは、人の(明示ないし黙示の)意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、重要な権利・利益の侵害となるため、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段による場合をいう。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版189頁、190頁、寺崎『刑事訴訟法』3版73頁注17、など参照。法的判断枠組み(条文の文言の意義)]

  

⚫令状主義

刑訴法37/ 捜査17/ 342/ 令状主義(憲法33条、35条)は、逮捕、差押えなど最も人権侵害の危険のある強制処分につき、捜査機関の判断だけに任せるのでなく、原則として、#裁判官の事前の判断(令状)を要求する制度である。全くの無実の者が拘束されるといった事態も避け得る。強制処分に対する司法的抑制の理念に基づく。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁参照。法的判断枠組み(令状主義の意義)]

 

刑訴法38/ 捜査18/ 343/ 逮捕状には、逮捕の理由となる犯罪の明示(憲法33条)、捜索・差押状は、捜索する場所・押収する物の明示を要する(同35条)。後者は場所・物を限定する趣旨である。1通の令状さえあれば、どこでも捜索し何でも押収できるというのでは、令状主義が意味をなさないからである(#一般令状の禁止)。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁、65頁参照。法的判断枠組み(令状主義の趣旨)]

 

刑訴法39/ 捜査19/ 344/ 捜査機関の請求による令状発付につき、裁判所・裁判官は当該強制処分の必要性も判断する。#司法的抑制の理念に基づく令状主義の趣旨を十分活かすためである。逮捕状については、犯罪の嫌疑(刑訴法199条1項2項)に加え、逮捕の必要性(199条2項ただし書、規則143条の3)の判断も要する。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版65頁参照。法的判断枠組み(強制処分の必要性の判断の可否・要否)]

 

GPS捜査と強制処分法的主義,令状主義

刑訴法22/ 捜査12/ 180/ 憲法35条は、「所持品」等に準ずる私的領域へ「侵入」されない権利も保障している。個人のプライバシー侵害を可能とする機器を所持品に秘かに装着し、個人の合理的意思に反し、その私的領域に侵入する捜査手法たるGPS捜査は、個人の意思を制圧し重要な法的利益を侵害する #強制処分 にあたる。

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。事実の評価例(GPS捜査が、「強制の処分」(刑訴法197条1項ただし書)にあたるか)]

 

刑訴法23/ 捜査13/ 181/ #GPS捜査 は対象車両の移動状況等を把握する点、検証の性質をもつが、端末を付けた車両を通じ使用者の所在を検索する点で異なる。検証・捜索許可状でも、被疑事実と無関係の使用者の行動の、継続的網羅的で、過剰な把握を抑制できず(令状主義違反)、事前の令状呈示もできない(適正手続違反)。

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。事実の分析(GPS捜査の法的性質、検証許可状・捜索許可状の発付で行うことができるか?)GPS捜査という現に行われていた・いる事実としての捜査手法の分析。その法的評価・分析。]

 

⚫任意捜査

刑訴法5/ 捜査5/ 23/ 任意捜査とはいえ何らか法益を侵害し、侵害するおそれがあるから、捜査のため必要な限度、①捜査の必要性・緊急性等を考慮し、②具体的状況のもと、相当と認められる限度、でのみ許される。①事案の性質、容疑の程度、②被疑者の意思、取調べの時間帯・長さ、行動の規制状況が考慮事情となる。#刑訴法

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版190頁参照。法的判断枠組み(事実の評価方法)]

 

◆写真・ビデオ撮影

刑訴法30/ 捜査16/ 332/ [検察官による人の容ぼう等の撮影が、現行犯・準現行犯の場合のほかは許されないというわけではない。]

#捜査機関がXを犯人と疑う合理的理由あり、かつ、強盗殺人等捜査に関し、防犯ビデオに写っていた犯人特定の証拠資料入手のため必要限度での、公道上のX、不特定多数の集まるパチンコ店内のXの容ぼう等の撮影であり、#通常人が他人から容ぼう等を観察されること自体受忍せざるを得ない場所のもの。

[⇒これらのビデオ撮影は、捜査目的達成のため、必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法である。

 最決平20・4・15刑集62-5-1398(『刑事訴訟法判例百選』10版〔8〕18頁)参照。事実の評価例]

 

刑訴法/ 強制処分と任意処分 - right_droitのブログ

倒産法/ 他の手続きへの移行(破産手続→再生手続, 再生手続→破産手続(牽連破産))

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 ⚫他の手続への移行

[・再生手続の開始により破産手続は中止され(民再39条1項後段)、再生計画認可決定の確定により中止されていた破産手続は失効する(同184条)。破産手続は最後の手段であり、再生手続により解決できるのであれば、そちらを優先すべきという配慮に基づく。

 牽連破産は逆に、民事再生法上の手続が進行していたところ、それが立ちいかなくなったことからやむを得ず破産手続に移行することをいう(民再248条以下)。]

 

倒産法53/ 民再10/ 591/ #再生手続開始で破産手続は中止され(民再39条1項),#再生計画認可決定で_当該破産手続失効(同184条)。破産手続は最後の手段で,再生手続で解決可能なら,それを優先すべきという配慮。#牽連破産は逆に,再生手続進行中,それが立ちいかなくなったことからやむを得ず破産手続に移行するもの(民再248条以下)。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。制度の概略]

 

⚫再生手続廃止後の破産手続への移行(牽連破産)

[・再生手続開始の決定があっときは、破産手続開始の申立てはできないのが原則である(民再39条1項前段)。

 しかし、いったん開始された再生手続が、その目的を達することができずに廃止された場合(民再191条)、ほとんどの場合、破産手続によって当該債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで、再生手続廃止の決定があったときは、例外的にその確定前であっても、破産手続開始の申立てができる(同法249条1項)。これに基づく破産手続は、再生手続廃止の決定確定後に開始される(同条2項)。

 また、再生手続廃止の決定が確定したときは、破産手続開始の申立てがなくても、裁判所が職権で破産手続開始決定をなしうる(民再250条1項)。

 これらの、再生手続挫折後に開始される破産手続を、牽連破産という。]

 

 

倒産法56,57/ 民再13,14/ 594,595/ 再生手続開始決定により,破産手続開始の申立てはできなくなる(民再39条1項前段)。

しかし,再生手続が目的を達しえずに廃止された場合(191条),債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで,再生手続廃止決定がされれば,#確定前でも_破産手続開始申立てでき(249条1項),廃止決定確定後に開始される(2項)。

 

/ 再生手続が目的を達しえず廃止された場合(民再191条),当該債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで,再生手続廃止決定確定後は破産手続開始の申立てなくとも,#裁判所が職権で破産手続開始決定をなしうる(民再250条1項)。

再生手続挫折後開始される(申立て・職権による)破産手続を,#牽連破産という。

[平成30年TKC全国統一模試〔倒産法第2問〕倒2-6参照。再生手続挫折の場合の手続の流れ(牽連破産)]

 

 

⚫他の手続への移行(各論)

[・破産法において、否認や相殺禁止の基準を、破産手続開始の申立て時に置くものがあるが(同法160条1項2号、71条1項4号等)、牽連破産の場合に、破産手続開始の申立てが存在せず、または、それが遅すぎることがあるため、再生手続開始の申立て等を破産手続開始申立てとみなす取扱いがなされる(民再252条1項)。]

[・破産手続開始よりも再生手続開始が先行している場合に、再生手続開始前3か月間の給料請求権が財団債権となる(民再252条5項・破149条1項)。牽連破産の開始時を起算点にすると、共益債権としての性質から財団債権とされる部分(民再252条6項・119条2号)と重複してしまい、労働者の生計維持のための保護として十分でないためである。]

[・牽連破産の場合、再生手続において共益債権として扱われていた債権は、破産手続上、財団債権として扱われる(民再252条6項)。]

[・牽連破産の場合、裁判所の決定により、再生債権について届出した債権者は、移行後の破産手続において改めて破産債権の届出をする必要がなくなるという扱いができる(民再253条1項)。手続の便宜の観点および、倒産状態にある会社の債権者は、自らの債権に対する関心が乏しく、再度の届出を要求するのは酷であるという考慮による。]

 

倒産法54/ 民再11/ 592/ 破産手続開始申立て時基準の規定あるが(破160条1項2号,71条1項4号等),#牽連破産で,破産手続開始申立てがないか,遅い場合あるため,#再生手続開始申立て等を破産手続開始申立てとみなす(民再252条1項)。破産手続開始より再生手続開始先行の場合,#再生手続開始前3か月間の給料請求権が財団債権(同条5項)。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。牽連破産において再生手続開始時を基準と読み替える(みなす、する)場合]

 

倒産法55/ 民再12/ 593/ 牽連破産の場合,#再生手続で共益債権とされていた債権は_破産手続上財団債権とされる(民再2526)。また,裁判所は,#再生債権届出債権者は移行後の破産手続で改めて破産債権届出を要しないと決定できる(民再253条1項)。手続の便宜,倒産状態にある会社の債権者は,自らの債権への関心が乏しという考慮。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。牽連破産の場合の効果]