140字民訴法 (45)

 法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています。

 間違い等のご指摘、いただけたらありがたいです。よろしくお願い致します。 twitter.com

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目次
[裁判所]

[当事者]

[訴えの提起] ■訴えと請求 ■訴えの利益 ■訴え提起の効果

[訴訟の審理と進行] 〔裁判資料の収集〕

[証拠] 〔事実認定と証拠・証明〕 〔物証に関する証拠方法と証拠調べ手続〕

[裁判によらない訴訟の完結]

[終局判決] 〔既判力〕 ■意義等 ■既判力の時的限界 ■既判力の物的限界

[多数当事者訴訟] 〔共同訴訟〕 〔訴訟参加〕 〔訴訟承継〕

[上訴・再審訴訟手続]

[簡易裁判所の訴訟手続きの特則]

[手形・小切手訴訟]

[少額訴訟に関する特則]

[督促手続]
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本論
[裁判所]
[当事者]
民訴法20/ 当事者/ 175/
訴えまたは訴えられることによって判決の名宛人となるべき者を当事者という(#民訴法115条1項1号参照)。自己の名において判決を求めればよく、必ずしも権利者自身である必要はない。たとえば、他人の権利関係の確認を求める場合や、破産管財人など。当事者という概念は純粋に形式的概念である。
 『民事訴訟法講義案』40頁参照。[法的判断枠組み(基礎概念)]

民訴法21/ 当事者/ 176/  氏名冒用訴訟では、客観的に訴状に表示されている被冒用者が当事者である。原告側冒用の場合、代理権欠缺(#民訴法34条)に準じ、訴え却下される(140条)。被告側冒用の場合、新期日を指定し(155条類推)、改めて訴状を被冒用者に送達し、冒用者に訴訟費用を償還させる(69条2項参照)。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版41、48頁参照。[法的判断枠組み(手続き)]

[訴えの提起]
■訴えと請求1
民訴法15/ 138/
実体法上一般に契約に基づき、結果の実現のみ目的とする請求権を発生させ、訴求し得る。請求が常に手段の具体的な作為・不作為で特定せねばならないものでもない。代替執行により得ない場合に間接強制が用いられる。代替執行可能な請求を構成しなければ訴訟上、請求が特定しないわけではない。#民訴法
 名古屋高判昭60・4・12下民集34-1=4-461『民事訴訟判例百選』5版〔32〕参照。[法的判断枠組み(判例、基礎的理論)]

■訴えの利益2
民訴法25/ 212/
#訴えの利益 は、個々の請求内容につき、本案判決による紛争解決の必要性・実効性を検討する要件である。民事訴訟制度は、被告を訴訟手続に巻き込み、公的機関たる裁判所の運営にかかるので、利用に値する事件に絞り、無益・不必要な訴えを排し制度運営の効率化、被告の応訴負担からの開放を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版69頁参照。R21①設問2小問(1)参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

民訴法26/ 213/ #確認の訴えの利益 は、確認判決が原告の権利・法律的地位に対する現実の不安・危険の除去のため必要かつ適切な場合に認められる。確認の訴えが、権利関係の存否の観念的確定、将来の派生的紛争予防という性質を有し、権利の強制的実現の裏打ちなく、論理的に対象無限定なため、この要件を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版72頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]

■訴え提起の効果2
民訴法4/ 98/
いわゆる二重起訴の禁止とは、同一の訴えの提起を禁止するものである(#民訴法142条)。そこで、同条に触れるか否かは、基本的に①当事者の同一性、②審判対象の同一性をもって判断する。もっとも、訴訟経済、相手方の応訴の煩の防止、判決の矛盾抵触の回避の観点から、実質的に考える必要がある。
 『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法5/ 99/
攻撃防御方法たる相殺の抗弁は、二重起訴禁止(#民訴法142条)に触れないとも思える。
しかし、現に訴求中の債権を、別訴で相殺の抗弁として提出するのは、やはり審理の重複、相手方の応訴の煩、判決の矛盾抵触を招きうる。したがって、不適法却下すべきである。併合審理されていても同様である。
 『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁、『判例百選』5版82頁参照。[法的判断枠組み]


[訴訟の審理と進行]
〔裁判資料の収集〕
民訴法22/ 209/
弁論主義は裁判所と当事者間の作業分担の原理であるし、主張責任は事実が弁論に現れなかった場合に働く不利益だから、事実が弁論に現れている限り、主張責任を負う当事者が主張しようと、相手方が主張しようと、裁判の基礎となる(主張共通の原則)。#相手方の援用しない自己に不利益な事実 も同様。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版120頁参照。なお、同頁注1、R21①も、参照。[法的判断枠組み(法原理の説明)]

 

民訴法45/ 275/
弁論主義は裁判所と当事者間の作業分担原理であり、いずれか当事者が主張する限り、その事実を認定し裁判の基礎としうる。ある事実(例、使用貸借の事実)につきある局面で主張責任を負う相手方が主張・援用せずとも、他当事者が主張提出すれば、その事実を裁判の基礎としても、#第1原則に反しない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版120頁、119頁、R21①設問1(ii)②(iii)③(この場合には、建物買取請求権行使の事実。)、参照。[法的判断枠組み(法原理の詳細)。
 主張責任を負う相手方は主張・援用もしていないので、口頭弁論・準備的口頭弁論・弁論準備手続における相手方の主張する自己に不利益な事実の陳述(裁判上の自白)でも、先行自白にもあたらず、証明不要効(179条)、裁判所拘束力(弁論主義第2原則)、当事者拘束力(自己責任と禁反言都を根拠とする)も、いまだ生じていないのだろう。
 だから、相手方が争う場合には(R21①設問1(i)①参照)、証拠調べは必要になるだろう(『民事訴訟判例百選』5版108頁(最判平9・7・17判時1614-72)解説タテ2、従来の通説(兼子一教授)参照)。]

 

民訴法23/ 210/
#主要事実 は、権利の発生、変更、消滅という法律効果の判断に直接必要な事実(直接事実)をいう。訴訟物(審判対象)たる一定の権利・法律関係は直接の立証命題たりえないため、権利の発生、変更、消滅という法律効果を発生させる法律要件に該当する、具体的事実(主要事実)の存否を通じ判定する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版121頁、122頁、57頁、『新問題研究 要件事実』3頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]

民訴法24/ 211/
所有権に基づく返還請求や所有権確認など所有権訴訟の請求原因たる、原告の係争不動産等の現在(口頭弁論終結時)所有を、被告が否認すれば、原告は自己への #所有権移転経過(来歴経過)を主張立証する必要がある。これは主要事実であり、当事者主張と異なる来歴経過の認定は、弁論主義違反となる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版126頁、127頁参照。[事実の分析・評価例(所有権訴訟において当事者が主張する所有権移転経過(来歴経過)の事実は、主要事実か間接事実か。現在はこれを主要事実見ることに争いはないということのようであるが、そうすると、要件事実(現在所有)と主要事実とは異なることになるのか?)]

[証拠]
〔事実認定と証拠・証明〕6
民訴法3/ 97/
裁判上の自白は、当事者が口頭弁論または弁論準備手続で、相手方が主張する自己に不利益な事実を認める陳述をいう。不利益とは相手方に証明責任がある事実をいう。主要事実に限られる。間接事実、補助事実は証拠と同様の機能を営むため、裁判官の自由心証(#民訴法247条)を害さないよう除かれる。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)254頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法41/ 262/
①証明不要効(民訴法179条)。#証明責任を負う相手方が証明負担から開放される。②対裁判所拘束力。裁判所は、#当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない(弁論主義第2原則)。③対当事者拘束力。自白した者は、#自己責任と禁反言により、原則、自白を撤回できない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版182頁、183頁参照。[法的判断枠組み(裁判上の自白の効力)]

民訴法42/ 263/
#自白の撤回 は、①相手方同意ある場合。②自白内容が真実に反し、かつ、錯誤に基づくと立証された場合。不利益な自白ゆえに真実に合致する蓋然性が高いことが審判排除の根拠だが、その基礎が失われ、錯誤ならば、禁反言といえないからである。③刑事上罰すべき他人の行為の介在の場合、に許される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版183頁参照。[法的判断枠組み(基礎的説明)]

民訴法43/ 264/
自白対象は具体的事実に限られ、法規、経験則、法規解釈は対象ではない。権利の発生、変更、消滅の判断に直接必要な、主要事実につき、自己に不利益な事実とは、#相手方が証明責任を負う事実と解する。証明責任の所在と一致しない首尾一貫しない陳述の撤回を認めるべきだし、明確な基準だからである。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、121頁参照。[法的判断枠組み(下位規範)。原文は、「証明責任の所在と『齟齬し』首尾一貫しない…」となっているが、具体的にどういうことを書いているのか、現時点でまだ理解できていません。とりあえず、記憶に残りやすいように、同じ意味合いの別の言葉で言い換えました。後日の勉強にまわします。]

民訴法44/ 265/
間接事実の自白には、①相手方の証明不要効は認められる。②しかし、#主要事実を推認させる機能の点で証拠と等しく、裁判所の自由心証主義の下、裁判所拘束力は認めるべきではない。裁判官のできるだけ自然で合理的な判断に委ねるべきである。③禁反言・自己責任原則から、当事者拘束力は認められる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、185頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]


民訴法6/ 100/
訴訟物の前提をなす先決的権利・法律関係についての権利自白には、①不要訟効(#民訴法179条)は認められるが、法律解釈は裁判所の専権なので、弁論主義が妥当せず、原則②裁判所拘束力、③当事者拘束力は認めるべきでない。ただ、日常法律概念には具体的事実の陳述として②③を認めるべきである。
 『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁、166、167頁、『民事訴訟法講義案』再訂補訂版186頁参照。[法的判断枠組み]


〔物証に関する証拠方法と証拠調べ手続〕
民訴法19/ 証拠/ 174/
文書が証拠方法となりうる資格を証拠能力という。原則、いかなる文書も証拠能力を有する。
文書が、特定人の一定の思想内容を表現した、当人の意思に基づくもの(文書の真正)と認められれば、形式的証拠力あり、その思想内容が係争事実の認定に役立ち得るならば、実質的証拠力ありとされる。#民訴法
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版208、209頁参照。[法的判断枠組み(概念の意義)]

民訴法18/ 148/
処分証書とは、意思表示その他の法律行為を記載した文書。判決書のような公文書のほか、遺言書、売買契約書、手形のような私文書がある。報告文書とは、作成者の経験した事実認識(見聞、判断、感想)を記載した文書。受取証、商業帳簿、調書、戸籍簿・登記簿謄本、日記、診断書などがある。 #民訴法
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版208頁参照。[法的判断枠組み(法律用語説明)]

民訴法16/ 146/
#民訴法228条4項 は、私文書について本人または代理人が、意思に基づき署名または押印した場合、文書全体も同人の意思に基づく真正なものである場合が多い、という経験則を法定したものである。事実認定の際の裁判官の自由心証に対する一応の拘束となる。推定を破るためには反証をすれば足りる。
 『ステップアップ民事事実認定』69、70頁参照。[法的判断枠組み(条文、理論)]

民訴法17/ 147/
文書欄外等に押したいわゆる捨印(すていん)は、当事者の意思としては、どのような文言が付け加えられても構わないという訳ではなく、誤字や誤算等相手方に訂正等を委ねるのが合理的であるような事項に限り、訂正等を委ねた趣旨と解するのが合理的である。訂正箇所の訂正印とは同視できない。#民訴法
 『ステップアップ民事事実認定』71頁参照。[事実の分析(事実を評価して一定の法律要件に当てはまるか否かの前提として必要な、事実的な判断)]

民訴法10/ 115/
文書提出命令の対象文書の所持者が、#民訴法220条4号ハ、197条1項3号により文書提出を拒絶できるのは、職業の秘密が保護に値する場合に限られ、情報の内容、性質、開示により所持人に与える不利益の内容、程度等、当該民事事件の内容、性質、証拠価値の程度等の諸事情を衡量して決せられる。
 最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。[法的判断枠組み]

民訴法11/ 116/
一般に、金融機関が顧客の財務状況、業務状況等を分析・評価した情報は、開示されれば当該顧客が重大な不利益を被り、金融機関の信頼は損なわれ業務に深刻な影響が及び、以後の業務遂行が困難になるものといえるので、「職業の秘密」(#民訴法220条4号ハ・197条1項3号)にあたると解される。
 最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。[法的判断枠組み]

民訴法12/ 117/
本件分析評価情報は、再生手続開始決定前の財務状況等に関するので、開示による企業Aの受ける不利益は小さく、メインバンクYの業務への影響は軽微であり、監督官庁の事後的検証に備えた率直で正確な認識の記載も見込め、証拠価値は高く、保護に値する職業の秘密にはあたらない。#民訴法220条4号ハ
 最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。[法的判断枠組み]

民訴法13/ 118/
作成目的、内容、所持までの経緯などから考え、①専ら内部者の利用目的で作成され、外部者への開示予定なき文書で、②開示されるとプライバシー侵害、自由な意思決定の阻害など、所持者側に看過し難い不利益が生ずるおそれある場合、③特段の事情のない限り、#民訴法220条4号ニ の文書にあたる。
 最決平11・11・12民集53-8-1787『民事訴訟判例百選』5版〔69〕参照。[法的判断枠組み]

民訴法14/ 119/
作成目的、内容等からすると、銀行の貸出稟議書は、銀行内部で融資案件について意思形成を円滑、適切に行うために作成され、忌たんのない評価や意見の記載も予定されている。したがって、上記①外部非開示性、②不利益性が認められ、③特段の事情のない限り、#民訴法220条4号ニ の文書にあたる。
 最決平11・11・12民集53-8-1787『民事訴訟判例百選』5版〔69〕参照。[法的判断枠組み]


[裁判によらない訴訟の完結]
[終局判決]
〔既判力〕
■意義等4
民訴法32/ 234/
既判力は、攻撃防御方法が尽くされた後の裁判所の判断内容に終局性を与え、同一紛争の蒸し返しを許さず、法的安定と紛争解決を与える訴訟制度内在の #制度的効力 である。処分権主義・弁論主義の下、請求定立、訴訟資料提出の権限・責任を負う #当事者の手続保障と自己責任 により正当化される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法33/ 235/
訴訟物たる権利または法律関係の存否を確定する本案判決は、請求認容(確認、給付、形成)、棄却判決(確認)を問わず、既判力を有する。#訴訟判決 も欠缺するとされた訴訟要件につき、同一当事者、同一請求の後訴に対し既判力が作用する。訴訟指揮などの決定・命令は形成力はあるが、既判力はない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁、276頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法34/ 236/
①既判力ある判断を争う当事者の申立て、主張・抗弁の排斥を消極的作用の側面、②裁判所がその判断を前提に後訴の審判をすべきことを積極的作用の側面という。民事裁判における私法上の権利・法律関係は、確定後もその後の行為により変更可能であるから、刑事裁判と異なり、#訴権 自体は消滅しない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版276頁、277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 刑事裁判は、過去に行われた行為に対する刑罰効果の有無の判断であるから、その後の行為によって、その効果が変更されることはないので、裁判が確定した以上、これに対する訴権が消滅する(一事不再理)。]

民訴法35/ 237/
前訴敗訴者が同一訴訟物につき同一人物に後訴提起した場合、当該訴訟物の判断の既判力により、前訴基準時前の事由についての主張が排斥され、基準時後の新主張なければ請求棄却される。新主張あればその当否が判断される。前訴勝訴者が同一請求するとき、後訴は原則、#訴えの利益を欠き、却下される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 例外的に、たとえば、時効中断のために他に方法がないとか、判決原本が滅失して執行正本を受けられないなどの必要があれば、訴えの利益が認められる。]


■既判力の時的的限界5
民訴法28/ 218/
取消権の形成原因は訴求債権に #付着する瑕疵 で、既判力によりすべて洗い去られる(遮断効)。取消より重大な無効事由の遮断との権衡も要する。相殺権は、訴求債権に付着する瑕疵でなく別個の債権を防御方法として主張するのだから、他の形成権以上に被告の決断の自由を尊重し、遮断が否定される。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕167頁(最判平成7・12・15民集49-10-3051)参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質の検討)。
 既判力の根拠は、権利関係の安定を図る制度的保障と、手続保障(実体法の考慮、ないし、具体的な期待可能性の考慮)である。
 取消権、白地手形補充権は、既判力により遮断される(既判力の遮断効)。
 相殺権、建物買取請求権は、訴求債権に内在(付着)する瑕疵ではなく、前訴の既判力のより遮断されることはない。]

民訴法27/ 217/
#建物買取請求権 は、賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは別個の制度目的・原因に基づく。その行使により建物所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、賃借人の建物収去義務は消滅する。前訴の事実審口頭弁論終結時までに行使せずとも、既判力により遮断されない。
 最判平成7・12・15民集49-10-3051『民事訴訟判例百選』5版〔78〕166頁参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質)]

民訴法29/ 219/
前訴基準時までに建物買取請求権を行使せずとも、実体法上権利は消滅しない。#予備的抗弁 の主張も自らの立場を弱めるおそれがあり、訴訟戦略上提出しにくい。建物買取請求は前訴基準時の実体状態を前提に確定判決の法的安定要求を尊重してされるのであり、当然に請求異議事由となる。遮断されない。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ4、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』86頁、参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質、遮断効否定の論拠)
 百選の167頁右欄タテ4はちょっと読みにくかった。14行目「立法趣旨からの論拠」は、左欄タテ3、12、13行目のことだろう。タテ4の15行目「反対説」は、中野貞一郎先生の有力説のことだろう(タテ2(2)の反対説…)。]

民訴法30/ 220/
請求異議訴訟(民執法35条1項)で建物買取請求権認容の場合、建物退去土地明渡しの限度を超えては強制執行を許さない旨の判決がされる。#建物代金支払いと引換えに建物明渡しの限度においてしか執行は許さない 旨の宣言も求めうる。別訴の訴求しかできなければ、請求異議の意味がないからである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁タテ5参照。[法的判断枠組み(請求異議訴訟の判決の内容の説明)]

民訴法31/ 221/
請求異議訴訟認容の場合、建物収去土地明渡請求訴訟認容判決の債務名義の執行力は、建物収去を命じる限度で失われるにとどまり、建物退去土地明渡しの範囲でなお維持される。債権者は、建物引渡し土地明渡しの限度で強制執行できる旨の #転換執行文 の付与(民執法26条参照)を求めるべきである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ5、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』53頁、54頁、参照。[法的判断枠組み(民事執行法上の請求異議訴訟についての判決の効果、執行文付与の手続についての説明)
 上記のような場合に、転換執行文の付与を求めるべきであるとするのは、有力な学説の見解のようである(上記百選167頁タテ5参照、中野貞一郎先生の文献が掲げられているが、現時点で未参照。)。条文上の根拠があるのか、よくわからない。]


■既判力の物的限界(客観的範囲)6
民訴法36/ 248/
原告は訴訟物たる権利・法律関係の存否を求め、前提となる法律関係にまで既判力が及ぶのは予期しない。被告も理由中の判断に既判力が生じると計算し訴訟遂行しなければならない不自由さは望まない。そこで、#既判力を主文のみに限定し、先決問題は結論を導く上で手段的地位を占めるに止められている。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版28頁、281頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法37/ 249/
既判力の主文への限定は、裁判所にも、当事者の訴訟追行の自由を考慮し実体法の論理的順序に拘泥せず、比較的自由・弾力的、迅速に審判できるメリットがある。売買代金請求訴訟で、契約成立認定せず、弁済の抗弁を認定し請求棄却することもできる。根拠条文は、#民訴法114条2項、145条である。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版281頁参照。[法的判断枠組み(制度の効果、条文根拠)]

民訴法38/ 250/
裁判所は、受働債権の存在を認めたときに、相殺の抗弁(#予備的抗弁)を判断すべきである。もし受働債権不存在なら、相殺に供した自働債権が不当に消滅せしめられるからである。
相殺の抗弁認容の場合、訴求債権と対当額部分に限り、既判力が生じ、排斥の場合、自働債権不存在につき既判力が生じる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版282頁(一部請求でない場合。自働債権の方が受働債権額を上回る場合には、自働債権の対当額部分に限り既判力が生じる。対当額部分を上回る自働債権の存否については、既判力は生じない。なお、「対当額」という文言については、民法505条1項参照。)、283頁の図(一部請求の場合)も、参照。[法的判断枠組み(手続の説明。法的効果の及ぶ範囲)]


民訴法1/ 54/
明示的一部請求の確定判決の既判力は残部に生じないので、相殺の抗弁についての既判力も一部請求の枠外にある自働債権の存否には及ばない。そして、相殺の抗弁により自働債権の存否につき既判力が生じるのは、請求の範囲に対し「相殺をもって対抗した額」だけである(#民訴法 114条2項)。→
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、最判平6・11・22民集48-7-1355、参照。[法的判断枠組み(判例)]

民訴法2/ 55/
→当該債権総額から自働債権額を控除し①債権残存額が一部請求額より少ないときは、当該自働債権による対抗額が存在し相殺により消滅、不存在となったことが既判力により確定される。②残存額が一部請求額より多いときは、対抗額がない程少ない自働債権額だったことが既判力により確定される。#民訴法
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、最判平6・11・22民集48-7-1355、参照。[法的判断枠組み(判例)]


民訴法39/ 251/
給付訴訟で、限定承認の抗弁により、責任が限定された留保付確定判決の訴訟物は、直接には給付請求権の存在・範囲だが、限定承認の存在・効力もこれに準ずるものとして審理判断され、主文に明示されるのだから、#既判力に準ずる効力 が認められる。無留保判決を求める後訴は、前訴既判力に抵触する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、284頁(最判昭49・4・26民集28-3-503)参照。[法的判断枠組み(判例、法解釈)]

民訴法40/ 252/
債務と責任(執行の可否・範囲)につき、後者は訴訟物ではないが、訴訟物判断と密接に関連する場合、当事者の主張提出を契機に審判対象に取り込まれることがある。
引換給付判決主文に掲げられる反対債務は、このような密接な関連性なく、強制執行開始要件(#民執法31条)の注意的掲示にすぎない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版284頁参照。[法的判断枠組み(法概念の説明。手続制度間の違いの説明)]



[多数当事者訴訟]
〔共同訴訟〕
民訴法8/ 102/
訴訟係属中、第三者による当事者に対する請求、または、当事者による第三者に対する請求として併合審判を求める、訴えの主観的追加的併合は、一定の場合、すなわち、第三者による追加として共同訴訟参加(#民訴法52条)、当事者による追加として訴訟引受け(50条、51条)など、認められている。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版307頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法9/ 103/
当事者申立権として、いわゆる明文なき訴えの主観的追加的併合を認め、当然の併合審理の効果を付与すべきか。
必ずしも訴訟経済に適うものでなく、かえって訴訟複雑化・濫訴・遅延を招きやすいことから消極に解する。別訴提起後、裁判所の裁量としての弁論併合(#民訴法152条)によるべきである。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版307頁参照。[法的判断枠組み]

〔訴訟参加〕
民訴法7/ 101/
補助参加の要件は、①訴訟の結果に②利害関係を有することである(#民訴法42条)。②は、法律上の利害関係であり、私法上または公法上の法的地位。法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。判決効が及ぶ場合に限られない。①は、判決主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否を指す。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版312、313頁参照。[法的判断枠組み]

〔訴訟承継〕


[上訴・再審訴訟手続]
[簡易裁判所の訴訟手続きの特則]
[手形・小切手訴訟]
[少額訴訟に関する特則]
[督促手続]
ーーーーー
End of the writing

 

参照:『民事訴訟法講義案』、『新問題研究 要件事実』、『ステップアップ民事事実認定』、『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』。

 

法学エッセンス8月分(63。2017年8月15日現在)

 法律関係の本を読んで、140字に圧縮してます。判決文の記述・理論のままでない所もあります。 大事な所が抜け落ちていたり、短すぎ、理解不足などによる間違い、ありえます。 @right_droit  

 

(63。倒産法5、/ 憲法3、/ 民法9、会社法19、民訴法20、/刑法4、刑訴法3)
2017年8月15日(9)

商法70/ 会社法70/ 274/ 間接損害につき原則、株主は「第三者」(会社法429条1項)に含まれない。役員等の行為により会社財産が減少し株価が下落しても、株主は429条でなく、#代表訴訟を提起し423条等の責任追及すべきである。役員等に二重に責任追及すべきでも、会社の賠償請求権を奪うべきでも、ないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版251頁参照。[法的判断枠組み(間接損害事例で「第三者」に株主が含まれない理由)]

商法69/ 会社法69/ 273/ 会社法429条1項の責任につき、①役員等の任務懈怠と第三者の損害の間に相当因果関係ある限り、#会社が損害を被りひいては第三者に生じた間接損害か、#第三者の直接損害かを問わず、役員等は責任を負う。②#役員等への不法行為責任追及も可能。③#任務懈怠についての悪意・重過失立証で足りる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版250頁(最大判昭44・11・26民集23-11-2150)参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

商法68/ 会社法68/ 272/ 招集は、株主に総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与える点に実質的意味があるから、これが確保される限り、口頭でも原則可能である。ただし、#取締役会設置会社では書面等による招集を要し(299条2項2号、3項)、#一定規模の会社における機会確保が制度的に担保されている。
 『LEGAL QUEST会社法』3版144頁参照。[法的判断枠組み(制度趣旨、条文制度の説明)]

民法26/ 相続6/ 271/ 被相続人死亡時に胎児であった者が後に出生した場合、相続に関しすでに生まれたものとみなし、相続能力を擬制し、相続権が認められる(#民法886条)。この点、①胎児中に権利能力があり、母が法定代理人として遺産分割に参加する、②出生後にはじめて遡及し遺産分割を受ける、二通りの解釈が可能。
 ダットサン民法3』3版265頁、266頁参照。[法的判断枠組み(解釈)。判例(大判昭7・10・6民集11-2023、阪神電鉄事件)は、②の停止条件説。ダットサン民法1』3版31頁参照]

民法25/ 相続5/ 270/ 相続人の適格性を当然否定するほど重大事由はないが、被相続人が推定相続人に財産を相続させるのが心外な場合もありうる。兄弟姉妹であれば遺留分がないから、生前財産処分や遺言で除外できる。直系卑属・尊属、配偶者の場合、#遺留分があり、一定事由ある場合に排除が認められる(#民法892条)。
 ダットサン民法3』3版269頁、270頁参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

民法24/ 相続4/ 269/ ①#故意に 被相続人や相続につき先・同順位の者を死に至らせ、または至らせようとしたため、#刑に処せられた者(民法891条1号)、②被相続人殺害を知って、#告発告訴しなかった者、ただし是非弁別能力なきとき、殺害者が自分の配偶者・直系尊属のときは除く(2号)。等の場合、相続権を失う。
 ダットサン民法3』3版267頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

民法23/ 債権総論7/ 268/ 取消し(民法424条)の対象は狭義の法律行為に限定されず、#履行行為たる弁済も含まれる。しかし、#登記や債権譲渡通知等の対抗要件具備行為は含めるべきでない。厳格に債権者間の公平を求める破産手続等における否認さえ、対抗要件具備が本来履行行為であることから限定的にすぎないからである。
 内田『民法Ⅲ』3版309頁参照。[法的判断枠組み(制度間の比較)。破164条参照]

民法22/ 債権総論6/ 267/ 「財産権を目的としない法律行為」(#民法424条2項)は、婚姻、離婚、養子縁組、相続の承認等である。もっとも、離婚に伴う財産分与につき、#768条3項の趣旨に反し不相当に過大で、#財産分与に仮託してされた財産処分と認めるに足りるような特段の事情があれば、詐害行為取消し対象となる。
 内田『民法Ⅲ』3版307頁(最判昭58・12・19民集37-10-1532)参照。[法的判断枠組み(判例)]

民法21/ 債権総論5/ 266/ 詐害行為取消権の対象は原則、財産権を目的とする行為であり、身分行為は取消しの対象とならない(民法424条2項)。もっとも、財産分与(768条)が #不相当に過大で債権者を害する場合、過大な部分は取り消しうる。当該部分は財産分与に仮託した隠匿行為といえ、身分性は失われるからである。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版99頁(最判昭58・12・19、最判平12・3・9)参照。[法的判断枠組み(判例)。判例の原文までは読んでいませんので、言い回し等異なる場合もあるかもしれません。各自でご確認下さい。]


2017年8月14日(4)
民訴法44/ 265/ 間接事実の自白には、①相手方の証明不要効は認められる。②しかし、#主要事実を推認させる機能の点で証拠と等しく、裁判所の自由心証主義の下、裁判所拘束力は認めるべきではない。裁判官のできるだけ自然で合理的な判断に委ねるべきである。③禁反言・自己責任原則から、当事者拘束力は認められる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、185頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法43/ 264/ 自白対象は具体的事実に限られ、法規、経験則、法規解釈は対象ではない。権利の発生、変更、消滅の判断に直接必要な、主要事実につき、自己に不利益な事実とは、#相手方が証明責任を負う事実と解する。証明責任の所在と一致しない首尾一貫しない陳述の撤回を認めるべきだし、明確な基準だからである。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、121頁参照。[法的判断枠組み(下位規範)。原文は、「証明責任の所在と『齟齬し』首尾一貫しない…」となっているが、具体的にどういうことを書いているのか、現時点でまだ理解できていません。とりあえず、記憶に残りやすいように、同じ意味合いの別の言葉で言い換えました。後日の勉強にまわします。]

民訴法42/ 263/ #自白の撤回 は、①相手方同意ある場合。②自白内容が真実に反し、かつ、錯誤に基づくと立証された場合。不利益な自白ゆえに真実に合致する蓋然性が高いことが審判排除の根拠だが、その基礎が失われ、錯誤ならば、禁反言といえないからである。③刑事上罰すべき他人の行為の介在の場合、に許される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版183頁参照。[法的判断枠組み(基礎的説明)]

民訴法41/ 262/ ①証明不要効(民訴法179条)。#証明責任を負う相手方が証明負担から開放される。②対裁判所拘束力。裁判所は、#当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない(弁論主義第2原則)。③対当事者拘束力。自白した者は、#自己責任と禁反言により、原則、自白を撤回できない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版182頁、183頁参照。[法的判断枠組み(裁判上の自白の効力)]

商法67/ 会社法67/ 261/ 株式買取請求権は、①事業譲渡等(会社法469条)、合併、会社分割、株式交換・株式移転(785条、797条、806条)、株式併合(182条の4)、株式譲渡制限(#116条1項1号2号)、全部取得条項を付す(同条項2号)、他(3号)、②単元未満株(#192条以下)の場合に認められる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁、72頁参照。[法的判断枠組み(制度および条文の確認)]

商法66/ 会社法66/ 260/ 自益権は単独株主権である(会社法454条3項、504条3項等)。議決権(308条)、代表訴訟の提起権(847条)や差止請求権(210条、360条等)なども同じ。株主総会の招集権(297条)や役員解任の訴えの提起権(854条)などは少数株主権である。#共益権は微妙な政策判断が必要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版70頁参照。[法的判断枠組み(株主の権利の背景)]

商法65/ 会社法65/ 259/ 少数株主権を含む株主権も権利の一種である以上、濫用は許されない(民法1条3項)。
総会屋による株主名簿閲覧・謄写請求が、株主としての権利の確保等のためでなく、新聞等の購読料名下の金員の支払の再開、継続目的での #嫌がらせ、あるいは、#報復 と認定され、権利濫用とされた事例がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁参照。[法的判断枠組み(法の一般原則)、および、事実の分析・評価例]

商法64/ 会社法64/ 258/ 株主が①会社経営に参与し、②監督是正する権利を共益権という。①#株主総会会社法295条)における #議決権(105条1項3号、308条)、#質問権(314条)、#提案権、#総会招集権など、②各種 #提訴権(828条、831条、847条等)、各種 #書類等の閲覧等請求権 がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法63/ 会社法63/ 257/ 株主が会社から経済的利益を受ける権利を自益権という。①剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号、453条)、②解散・清算後に残余財産の分配を受ける権利(105条1項2号、502条)など。①②を一切与えないとすることはできない(105条2項)。株式会社の #営利性 の現れ。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法62/ 会社法62/ 256/ 株式会社は社団法人であり、構成員(社員)を株主、社員たる資格(地位)を株式という。出資するか、他の株主から承継取得(個別承継、一般承継)して株主となる。#社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形をとり、法律の認める範囲内で内容に一定のヴァリエーションを設けることもできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版65頁、66頁参照。[法的判断枠組み(基礎的な説明)]

民法20/ 債権総論4/ 255/ 債権はあくまで権利であり義務(債務)ではないし、受領遅滞中の債権者の多くは反対債務を遅滞しており、債務者は契約解除、損害賠償請求可能である。したがって、受領遅滞を債務不履行の特則と解する理由に乏しく、公平の観点から履行遅延による不利益を債権者に負担せしめる #法定責任 と解する。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版96頁参照。[法的判断枠組み(受領遅滞(民法413条)の法的性質)]

民法19/ 債権総論3/ 254/ 債権にも権利の通有性として不可侵性があるから、債権侵害にも不法行為が成立しうる。ただ、#自由競争の枠内で、結果として偶然に他者債権を侵害した場合は除くべきである。すなわち、公序良俗違反(民法90条)の形態の、故意ある加害行為による侵害に限り違法となり、不法行為が成立すると解する。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版91頁参照。[法的判断枠組み]

民法18/ 債権総論2/ 253/ 種類物債務の特定後、債務者の帰責事由で滅失した場合、債務者にいわゆる変更権が認められるか。
種類債権が特定(民法401条2項前段)した後滅失しているので、債務不履行責任を負うのが原則である。
ただ、債権者に特別な不都合なき限り、取引上の信義則により、#変更権 を認めるべきである。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版89頁、90頁、内田『民法Ⅲ』3版20頁(大判昭12・7・7民集16-1220)、参照。[法的判断枠組み]


2017年8月12日(9)
民訴法40/ 252/ 債務と責任(執行の可否・範囲)につき、後者は訴訟物ではないが、訴訟物判断と密接に関連する場合、当事者の主張提出を契機に審判対象に取り込まれることがある。
引換給付判決主文に掲げられる反対債務は、このような密接な関連性なく、強制執行開始要件(#民執法31条)の注意的掲示にすぎない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版284頁参照。[法的判断枠組み(法概念の説明。手続制度間の違いの説明)]

民訴法39/ 251/ 給付訴訟で、限定承認の抗弁により、責任が限定された留保付確定判決の訴訟物は、直接には給付請求権の存在・範囲だが、限定承認の存在・効力もこれに準ずるものとして審理判断され、主文に明示されるのだから、#既判力に準ずる効力 が認められる。無留保判決を求める後訴は、前訴既判力に抵触する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、284頁(最判昭49・4・26民集28-3-503)参照。[法的判断枠組み(判例、法解釈)]

民訴法38/ 250/ 裁判所は、受働債権の存在を認めたときに、相殺の抗弁(#予備的抗弁)を判断すべきである。もし受働債権不存在なら、相殺に供した自働債権が不当に消滅せしめられるからである。
相殺の抗弁認容の場合、訴求債権と対当額部分に限り、既判力が生じ、排斥の場合、自働債権不存在につき既判力が生じる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版282頁(一部請求でない場合。自働債権の方が受働債権額を上回る場合には、自働債権の対当額部分に限り既判力が生じる。対当額部分を上回る自働債権の存否については、既判力は生じない。なお、「対当額」という文言については、民法505条1項参照。)、283頁の図(一部請求の場合)も、参照。[法的判断枠組み(手続の説明。法的効果の及ぶ範囲)]

民訴法37/ 249/ 既判力の主文への限定は、裁判所にも、当事者の訴訟追行の自由を考慮し実体法の論理的順序に拘泥せず、比較的自由・弾力的、迅速に審判できるメリットがある。売買代金請求訴訟で、契約成立認定せず、弁済の抗弁を認定し請求棄却することもできる。根拠条文は、#民訴法114条2項、145条である。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版281頁参照。[法的判断枠組み(制度の効果、条文根拠)]

民訴法36/ 248/ 原告は訴訟物たる権利・法律関係の存否を求め、前提となる法律関係にまで既判力が及ぶのは予期しない。被告も理由中の判断に既判力が生じると計算し訴訟遂行しなければならない不自由さは望まない。そこで、#既判力を主文のみに限定し、先決問題は結論を導く上で手段的地位を占めるに止められている。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版28頁、281頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法20/ 総論15/ 247/ 他の共犯者の行為に加担し、他人の行為を通じ、法益侵害結果発生に心理的・物理的因果性を及ぼしたことが共犯処罰根拠である。共犯も間接的にせよ、自ら因果的に引き起こした事態に、その限度でのみ責任を負う(個人責任原理)。ここにいう因果性は #促進的因果関係 で足り、条件関係までは不必要。
 『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕(東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407)395頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法19/ 総論14/ 246/ いったん犯罪遂行を共謀しても、着手前に他の共謀者に実行中止を明示し他の者が #了承 し、犯罪を実行した場合、前共謀は全くなかったものと評価でき、他の共犯者の実行した犯罪の責を分担すべきでない。
Xは自発的に犯意放棄し他の共謀者に明示しており、他3名が了承し窃盗に及んだのは明らか。
 東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕395頁参照。[法的判断枠組み+事実の分析・評価例]

刑法18/ 総論13/ 245/ 共犯処罰根拠は因果的惹起にあるから、自らそれまでの因果的寄与を撤回し犯罪結果との因果性を遮断すれば、共犯処罰根拠を欠き離脱以降に生じた犯罪事実の責任を負わない。実行着手前に離脱の意思を表明し、他の関与者の #了承 があれば、共同正犯関係は解消する。ただし、一方的通告では足りない。
 平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁、180頁(最決平21・6・30刑集63-5-475)参照。[法的判断枠組み。
 葛原力三先生は、「継続者の了承は離脱者の因果的寄与とは関係しない」と書かれているが、納得して了承すれば、認識(了知)以上に、心理的影響力(心理的因果性)を除去できるのではないのかな?
 私の理解が足りていないだけなんでしょうね?
 他の関与者の了承があれば、共同正犯関係の解消を認める一連の裁判例があるようですので、とりあえず、因果性遮断論(因果的共犯論)と、了承とを組み合わせて書いても、あながち間違いではないのだろうと思います。]

刑法17/ 総論13/ 244/ 被告人は、見張り役が住居内の共犯者に電話で「先に帰る」などど #一方的に伝えた のを認識していただけで、犯行防止措置をとることなく、見張り役らと共に離脱したにすぎず、たとえ、強盗着手前であり、残された共犯者らが被告人の離脱を了知していても、当初共謀が解消したということはできない。
 最決平21・6・30刑集63-5-475、平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁参照。[事実の評価例]

 

(32。倒産法5、/ 憲法3、/ 会社法10、民訴法11、/刑訴法3)

2017年8月11日(3)
刑訴法26/ 公判13/ 243/ 犯行計画メモが関与者に #回覧 され、共謀内容の確認に供された場合、当該メモを用いて謀議が形成されたのであり、当該メモ紙は共謀の #意思形成手段として用いられたツール(道具)であり、その存在自体プラス記載内容に独立の証拠価値があり、共謀の意思形成過程を証明する情況証拠となりうる。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版241頁参照。[事実の分析・評価例(犯行計画メモが関与者に回覧された場合)。『プラス記載内容』の部分等、私の補った言葉ですので、正確を期されたい方は、出典でご確認下さい。]

刑訴法25/ 公判12/ 242/ ①犯罪計画の記載されたメモの存在、②内容が実際の犯行に合致、③#被告人の支配領域内で発見、という事実は、被告人の共謀への加担の情況証拠の1つとなり、メモは記載内容の真実性から独立した証拠価値(固有の証拠価値)を有するので、メモの存在と記載内容自体を要証事実とすれば、非伝聞である。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版241頁参照。[事実の分析・評価例(共犯者とされる者作成の犯行計画メモが、被告人の支配領域内で発見された場合)]

刑訴法24/ 公判11/ 241/ 領収書が相手方に #交付 されていれば、記載内容から直接でなく、領収書の存在とそれが相手方に交付された事実とから、領収書の記載内容に相当する #金員授受の事実 を推認することは、経験則に適う合理的な推認であり、伝聞法則に反しない。記載内容の真実性から #独立した証拠価値 がある。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版239頁参照。[事実の分析・評価例(領収書が、非伝聞証拠にあたる場合)『直接』という言葉は、私が補った言葉ですので、疑問を持たれた方は、出典をご参照下さい。]


2017年8月10日(3)
倒産法34/ 破23/ 240/ 詐害行為否認、#対価的均衡を欠く場合(破160条2項)の要件は、①破産者がした債務の消滅に関する行為、②債権者の受けた給付の価額が消滅した債務額より過大、③同条1項各号の要件みたす。#無償行為の場合(3項)、①支払停止等の後またはその前6月以内の無償行為および同視すべき有償行為。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。[法的判断枠組み(条文説明)]

倒産法33/ 破22/ 239/ 詐害行為否認、#故意否認(破160条1項1号)の要件は、①破産者が破産債権者を害することを知ってした行為、②詐害行為が破産手続開始決定前、③相手方善意は抗弁事由。#危機否認(2号)は、①支払停止または破産手続開始申立て後になされた、破産債権者を害する行為、②相手方善意は抗弁事由。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。[法的判断枠組み(条文説明)]

倒産法32/ 破21/ 238/ #否認権 は、破産者が破産手続開始前にした破産債権者を害する行為の効力を、破産財団との関係において失わせ、責任財産から逸出した財産を破産財団に回復するために #破産管財人 に与えられた権利である。詐害行為や偏頗行為の効力を否定し、破産債権者に対する公平な配当を実現する趣旨である。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版92頁参照。[法的判断枠組み(基本事項)]


2017年8月9日(4)
民訴法35/ 237/ 前訴敗訴者が同一訴訟物につき同一人物に後訴提起した場合、当該訴訟物の判断の既判力により、前訴基準時前の事由についての主張が排斥され、基準時後の新主張なければ請求棄却される。新主張あればその当否が判断される。前訴勝訴者が同一請求するとき、後訴は原則、#訴えの利益を欠き、却下される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 例外的に、たとえば、時効中断のために他に方法がないとか、判決原本が滅失して執行正本を受けられないなどの必要があれば、訴えの利益が認められる。]

民訴法34/ 236/ ①既判力ある判断を争う当事者の申立て、主張・抗弁の排斥を消極的作用の側面、②裁判所がその判断を前提に後訴の審判をすべきことを積極的作用の側面という。民事裁判における私法上の権利・法律関係は、確定後もその後の行為により変更可能であるから、刑事裁判と異なり、#訴権 自体は消滅しない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版276頁、277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 刑事裁判は、過去に行われた行為に対する刑罰効果の有無の判断であるから、その後の行為によって、その効果が変更されることはないので、裁判が確定した以上、これに対する訴権が消滅する(一事不再理)。]

民訴法33/ 235/ 訴訟物たる権利または法律関係の存否を確定する本案判決は、請求認容(確認、給付、形成)、棄却判決(確認)を問わず、既判力を有する。#訴訟判決 も欠缺するとされた訴訟要件につき、同一当事者、同一請求の後訴に対し既判力が作用する。訴訟指揮などの決定・命令は形成力はあるが、既判力はない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁、276頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法32/ 234/ 既判力は、攻撃防御方法が尽くされた後の裁判所の判断内容に終局性を与え、同一紛争の蒸し返しを許さず、法的安定と紛争解決を与える訴訟制度内在の #制度的効力 である。処分権主義・弁論主義の下、請求定立、訴訟資料提出の権限・責任を負う #当事者の手続保障と自己責任 により正当化される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]


2017年8月8日(3)
憲法31/ 人権30/ 233/ 国家が、憲法上の自由権に基づき、不作為請求に応えるのに根拠法を要しないため、それらは全て具体的権利といえる。他方、国家が積極的な行為(作為)をするのに根拠法を要する。その請求権を保障する憲法規定に、#詳細な要件 あれば具体的権利、国家の義務の具体的定めなければ抽象的権利といえる。
 木村『憲法の急所』2版6頁、7頁参照。[法的判断枠組み(自由権の分類)]

憲法30/ 人権29/ 232/ 憲法は、国民の自由を最大限に保障しようとする #自由主義 を基本原則とするので、国家が全く活動しない不作為が原則状態(自然状態)である。他方、国の作為(積極的な行為)は自由主義を破るものだから、正当化根拠を要し、それを基礎づけるために、法という特別のルールを要する(#法の支配)。
 木村『憲法の急所』2版5頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

憲法29/ 人権28/ 231/ 憲法第3章が「国民」に対し保障する一連の権利を、#憲法上の権利(基本権)という。他方、#人権 は、全ての人間が人間であるというだけで保障されるべき権利をいう。前者は原則、国民以外の主体に保障されないが、例外的に、外国人や法人等が国に対し憲法上の権利を主張できる場合もあるとされる。
 木村『憲法の急所』2版4頁参照。[法的判断枠組み(概念説明)]


2017年8月7日(6)
商法61/ 会社法61/ 230/ 取締役報酬額が具体的に定まれば、会社との契約内容となり拘束力をもつので、同意なき限り、事後に無報酬とする株主総会決議で報酬請求権を奪えないが、取締役の任用契約(委任契約)は継続的であり、#契約拘束力だけ で事情変更を阻む理由乏しく、正当理由あれば、報酬を地位・責任に比例させうる。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕61~62頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法60/ 会社法60/ 229/ 取締役報酬は #ある程度身分保障 されているので(会社法361条、332条、339条参照)、職務内容の著しい変更のみを理由に減額できない。しかし、①役職に応じ減額しうる事前の同意(契約内容)や、②「正当な理由」(339条2項参照)がある場合には、総会決議により減額しうると解する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕56~58頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法59/ 会社法59/ 228/ ①取締役の報酬が具体的に定められると、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束する、②その後これを無報酬とする株主総会決議が行われても、当該取締役が同意しないかぎり報酬請求権は失われない、③取締役の #職務内容に著しい変更がある場合 も同様である。これは、報酬減額にも妥当する。
 『事例で考える会社法』初版〔事例③〕54頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法58/ 会社法58/ 227/ 定款または株主総会決議(株主総会で総額を定め、取締役会で各取締役の配分を決議した場合含む)で取締役の報酬額が #具体的に定められた 場合、会社と取締役間の契約内容となり、当事者双方を拘束するから、その後株主総会で無報酬と決議しても、当該取締役の同意なき限り、報酬請求権は存続する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕50頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

倒産法31/ 破20/ 226/ 破産債権者数が500人以上のときは、債務者の住所、営業所等、財産所在地を管轄する地方裁判所(#破5条 1項2項)の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも(同条8項)、1000人以上のときは、東京地方裁判所大阪地方裁判所にも(9項)、破産手続開始申立てできる。
 破産法(平成16年法75号)5条8項9項参照。[法定判断枠組み(条文)
 「普通裁判籍」(破5条1項)は、民訴法4条2項等参照。
 破5条9項(任意管轄)類似規定、民訴法6条、6条の2(専属管轄)参照。
 1000人を基準とする規定として、会社法298条2項参照。]

倒産法30/ 破19/ 225/ 破産法は、支払不能・債務超過にある債務者財産、相続財産、信託財産の清算に関する手続を定め、債権者その他の利害関係人の利害、債務者と債権者と間の権利関係を適切に調整し、適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会を図る目的を有する(#破1条、2条1項参照)。
 破産法(平成16年法75号)1条、2条1項参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年8月6日(3)
商法57/ 会社法57/ 224/ 任務懈怠責任は、役員等の会社に対する #債務不履行責任 の性質を有するが、連帯責任(会社法430条)とされるなど、法によって内容が加重された特殊な責任である。そのため、消滅時効期間が、商法522条の5年でなく民法167条1項の10年とされる。遅延損害利率も、民法所定の5分である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版239頁(最判平20・1・28。最判平26・1・30)、民法404条、参照。[法的判断枠組み(任務懈怠責任の性質、および、その性質に基づく解釈)]

商法56/ 会社法56/ 223/ 会社が遵守すべきあらゆる法令につき、その違反は、取締役の任務懈怠となる。取締役が業務執行を決定・執行する以上、職務遂行に際し会社を名あて人とする #すべての法令 の遵守も職務上の義務であり、株主の合理的意思にかんがみ、会社・株主保護目的の法令に限らず遵守し経営すべきだからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版237頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言「法令」(会社法355条、419条2項)の意義)]

会社法55/ 222/ 利益相反取引・競業取引の承認の有無に関わらず、損害があれば、取締役等は任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
利益相反する取締役等、決議に賛成した取締役等は、任務懈怠が推定される(同条3項。なお4項)。
承認なき競業取引の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年8月5日(5)
民訴法31/ 221/ 請求異議訴訟認容の場合、建物収去土地明渡請求訴訟認容判決の債務名義の執行力は、建物収去を命じる限度で失われるにとどまり、建物退去土地明渡しの範囲でなお維持される。債権者は、建物引渡し土地明渡しの限度で強制執行できる旨の #転換執行文 の付与(民執法26条参照)を求めるべきである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ5、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』53頁、54頁、参照。[法的判断枠組み(民事執行法上の請求異議訴訟についての判決の効果、執行文付与の手続についての説明)
 上記のような場合に、転換執行文の付与を求めるべきであるとするのは、有力な学説の見解のようである(上記百選167頁タテ5参照、中野貞一郎先生の文献が掲げられているが、現時点で未参照。)。条文上の根拠があるのか、よくわからない。]

民訴法30/ 220/ 請求異議訴訟(民執法35条1項)で建物買取請求権認容の場合、建物退去土地明渡しの限度を超えては強制執行を許さない旨の判決がされる。#建物代金支払いと引換えに建物明渡しの限度においてしか執行は許さない 旨の宣言も求めうる。別訴の訴求しかできなければ、請求異議の意味がないからである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁タテ5参照。[法的判断枠組み(請求異議訴訟の判決の内容の説明)]

民訴法29/ 219/ 前訴基準時までに建物買取請求権を行使せずとも、実体法上権利は消滅しない。#予備的抗弁 の主張も自らの立場を弱めるおそれがあり、訴訟戦略上提出しにくい。建物買取請求は前訴基準時の実体状態を前提に確定判決の法的安定要求を尊重してされるのであり、当然に請求異議事由となる。遮断されない。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ4、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』86頁、参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質、遮断効否定の論拠)
 百選の167頁右欄タテ4はちょっと読みにくかった。14行目「立法趣旨からの論拠」は、左欄タテ3、12、13行目のことだろう。タテ4の15行目「反対説」は、中野貞一郎先生の有力説のことだろう(タテ2(2)の反対説…)。]

民訴法28/ 218/ 取消権の形成原因は訴求債権に #付着する瑕疵 で、既判力によりすべて洗い去られる(遮断効)。取消より重大な無効事由の遮断との権衡も要する。相殺権は、訴求債権に付着する瑕疵でなく別個の債権を防御方法として主張するのだから、他の形成権以上に被告の決断の自由を尊重し、遮断が否定される。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕167頁(最判平成7・12・15民集49-10-3051)参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質の検討)。
 既判力の根拠は、権利関係の安定を図る制度的保障と、手続保障(実体法の考慮、ないし、具体的な期待可能性の考慮)である。
 取消権、白地手形補充権は、既判力により遮断される(既判力の遮断効)。
 相殺権、建物買取請求権は、訴求債権に内在(付着)する瑕疵ではなく、前訴の既判力のより遮断されることはない。]

民訴法27/ 217/ #建物買取請求権 は、賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは別個の制度目的・原因に基づく。その行使により建物所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、賃借人の建物収去義務は消滅する。前訴の事実審口頭弁論終結時までに行使せずとも、既判力により遮断されない。
 最判平成7・12・15民集49-10-3051『民事訴訟判例百選』5版〔78〕166頁参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質)]

2017年8月3日(1)
会社法54/ 216/ #短答 #会社法。平成21年民事系第37問参照(予備校正答率49%)#設立 肢2,3正解
https://goo.gl/cifr1f
https://goo.gl/2UR3un
https://goo.gl/cmt6nW
https://goo.gl/WtjcZk


2017年8月2日(2)
会社法53/ 215/ 会社債権者も「第三者」(#会社法429条1項)に含まれる。第三者は、任務懈怠の当事者以外のすべての者をいうからである。
株主は、直接損害の場合、含まれるが、会社をはさんだ間接損害の場合、含まれないと解する。後者では、423条等で損害回復できるのであり、二重取りさせないためである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系310頁参照。[事実の分析・評価例] 27年度予備試験参照。

会社法52/ 214/ 名目的取締役も、適法な選任決議を経ている以上「#役員等」(会社法429条1項)にあたる。
選任決議を欠く登記簿上の取締役も、役員等にあたりうる。故意・過失で登記に承諾を与えていれば、908条2項の類推により、善意の第三者に対抗できない結果、429条の責任を免れられないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系307頁参照。[事実の分析・評価例。ただし、名目的取締役については、「役員等」にあたっても、具体的事情によっては、因果関係を欠く場合も考えられる。]


2017年8月1日(2)
民訴法26/ 213/ #確認の訴えの利益 は、確認判決が原告の権利・法律的地位に対する現実の不安・危険の除去のため必要かつ適切な場合に認められる。確認の訴えが、権利関係の存否の観念的確定、将来の派生的紛争予防という性質を有し、権利の強制的実現の裏打ちなく、論理的に対象無限定なため、この要件を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版72頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]

民訴法25/ 212/ #訴えの利益 は、個々の請求内容につき、本案判決による紛争解決の必要性・実効性を検討する要件である。民事訴訟制度は、被告を訴訟手続に巻き込み、公的機関たる裁判所の運営にかかるので、利用に値する事件に絞り、無益・不必要な訴えを排し制度運営の効率化、被告の応訴負担からの開放を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版69頁参照。R21①設問2小問(1)参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

法学エッセンス 7月分 (30ヶ)

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2017年7月31日(2)
民訴法24/ 211/ 所有権に基づく返還請求や所有権確認など所有権訴訟の請求原因たる、原告の係争不動産等の現在(口頭弁論終結時)所有を、被告が否認すれば、原告は自己への #所有権移転経過(来歴経過)を主張立証する必要がある。これは主要事実であり、当事者主張と異なる来歴経過の認定は、弁論主義違反となる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版126頁、127頁参照。[事実の分析・評価例(所有権訴訟において当事者が主張する所有権移転経過(来歴経過)の事実は、主要事実か間接事実か。現在はこれを主要事実見ることに争いはないということのようであるが、そうすると、要件事実(現在所有)と主要事実とは異なることになるのか?)]

民訴法23/ 210/ #主要事実 は、権利の発生、変更、消滅という法律効果の判断に直接必要な事実(直接事実)をいう。訴訟物(審判対象)たる一定の権利・法律関係は直接の立証命題たりえないため、権利の発生、変更、消滅という法律効果を発生させる法律要件に該当する、具体的事実(主要事実)の存否を通じ判定する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版121頁、122頁、57頁、『新問題研究 要件事実』3頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]


2017年7月30日(2)
民訴法22/ 209/ 弁論主義は裁判所と当事者間の作業分担の原理であるし、主張責任は事実が弁論に現れなかった場合に働く不利益だから、事実が弁論に現れている限り、主張責任を負う当事者が主張しようと、相手方が主張しようと、裁判の基礎となる(主張共通の原則)。#相手方の援用しない自己に不利益な事実 も同様。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版p120頁参照。なお、同頁注1、R21①も、参照。[法的判断枠組み(法原理の説明)]

商法51/ 会社法51/ 208/ 一定の場合、株式会社には監査役会設置義務がある。監査役3人以上。半数以上は社外監査役(#会社法335条3項)、常勤監査役(1人以上)の選定も要する(390条3項)。一定の場合、会計監査人の設置義務もある(328条)。計算書類作成の適正を監視監督する(会計監査)。公認会計士資格要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版136頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]


2017年7月29日(4)
商法50/ 会社法50/ 207/ #株主総会 とは、会社の構成員たる株主により構成される、会社の意思決定機関、株主による会議体である。いなかる機関設計を採用しても、設置する必要がある(295条、326条参照)。株主の利潤追求動機(所有の契機)に基づく団体であるから、株主が意思決定に関与する必要性があるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版140頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法49/ 会社法49/ 206/ 上場会社では、取締役・執行役が個々の従業員の行為を監視することは現実的でなく、取締役会は、会社の業務の法令遵守体制、その他のリスク管理体制を含め、#内部統制システム 構築義務を負う。そのような義務違反があれば、任務懈怠が認定される。もっとも、ある程度の裁量は認められるべきである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版235頁参照。会社法355条・419条2項。[法的判断枠組み(法的制度の説明)]

商法48/ 会社法48/ 205/ 企業経営にリスクは伴う。リスクある事業を行うことが株式会社の役割であり、資本主義経済の発展を促す。しかし、裁判官は経営についての知識・経験を有するわけではなく、後知恵で取締役の #経営判断 への事後的な介入を安易に認めるならば、株式会社の存在意義、所有と経営の分離も無意味になる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版233頁参照。[法的判断枠組み(法的制度の背景)]

商法47/ 会社法47/ 204/ #会社法356条1項3号に例示される債務保証のほか、債務引受、担保の提供も規制される。その他、会社と第三者の間の取引で、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為が同条項3号の規制対象になると解される。相対的無効説をとっても、取引安全は十分に確保されないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み(条文の規制対象。規範の定立)]


2017年7月27日(2)
商法46/ 会社法46/ 203/ 持分会社では「社員」しか経営者(業務執行者)になれないが(#会社法590条1項)、株式会社では「株主」でない者が取締役等として経営に携われる(331条2項本文参照)。これを所有と経営の分離という。大規模・公開会社(2条5号)の経営専門家による経営者支配を、所有と支配の分離という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版133頁、134頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法45/ 会社法45/ 202/ #組織再編 手段の多様化。合併は、当事会社が合一するので、賃金体系統一の煩、簿外債務承継のリスクがある。平成11年創設の株式交換・株式移転によれば、それを回避できる。平成12年創設の会社分割によれば、事業譲渡と異なり、債権者の承諾を要せず、債務を他の会社に承継させうる利点がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版387参照、383頁参照。[法的判断枠組み(制度比較)]


2017年7月25日(2)
倒産法29/ 序論2/ 201/ #事業再生ADR は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づく法務大臣の認証と、産業競争力強化法に基づく経済産業大臣の認証を受けたADR機関が、中立的立場で関与する民間型ADRである。金融債権者に対する権利行使の一時停止要請、事業再生計画案策定、調査、協議、決議と進む。
 田頭章一『講義 破産法・民事再生法 重要論点の解説と演習』9頁参照。[法的判断枠組み(制度説明)、とりあえず、民再以外、破に分類。]

倒産法28/ 序論1/ 200/ 債務者が経営悪化した時点で、債権者に自由な #個別的権利行使 を認めると、債権回収競争が始まり、債権者は本業に集中できなくなる。債務者側も、社会的価値のあった事業の解体、違法な行為への誘惑にさらされる。平時のルールでは対応できない、無秩序、価値破壊的、不安的な事件処理に行きつく。
 田頭章一『講義 破産法・民事再生法 重要論点の解説と演習』6頁参照。[法的判断枠組み(法的背景)]


2017年7月11日(1)
商法44/ 会社法44/ 199/ 法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年7月10日(7)
商法43/ 会社法43/ 198/ 会社法199条以下に基づく株式発行の場合を、通常の株式発行という。
一方、①取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式の対価として、②株式分割により、③株式無償割当て、新株予約権行使、吸収合併・吸収分割・株式交換に伴う株式発行により、株式数が増加する場合、#特殊の新株発行 という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法定判断枠組み(概念の説明)]

商法42/ 会社法42/ 197/ #募集株式の発行等 は、株式会社が発行する株式の引受人の募集、株式会社の処分する自己株式の引受人の募集の2つの概念を含む(会社法199条1項)。
募集は、株式引受けの申込みの誘引であり、①株主割当て(202条)、②第三者(既存株主含む)割当て、③公募(実際、第三者割当て)をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言・制度説明)。事実の分析(公募は、わが国では一般に、証券会社が株式の総数を引き受けて投資家に販売している(買取引受け。205条)。)]

商法41/ 会社法41/ 196/ #第三者割当て につき、①既存株主から新株主へのいわば利益移転(経済的価値の希釈化)の調整のため、有利発行規制(199条3項)があり、②既存株主の持株比率調整のため(支配にかかる利益保護)、差止請求権(210条2号)があり、授権資本制度(37条3項、113条3項)が限界を画する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法40/ 会社法40/ 195/ かつて、株主提案に対し賛成票はきわめて少なく、制度の主眼は、株主への意見表明の機会付与と言われてきた。
近年、提案内容も多様化し、株主提案権行使と委任状勧誘(議決権の代理行使の株主への勧誘。#金商法194条 等による規制あり)を組み合わせ、株主提案が多くの賛成票を集める例もある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版147頁、148頁参照。[事実の分析]

商法39/ 会社法39/ 194/ 少数株主は、株主総会招集権を行使し(#会社法297条1項)、議題(会議の目的事項)提案、議案(議題に関する具体的提案)提出が可能である。しかし、総議決権100分の3保有要件は厳しい。そこで、議題提案権(303条1項)、議案提出権(304条)・議案通知権(305条1項)制度がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版146頁、147頁参照。[法的判断枠組み(法的概念および制度の説明、条文の指摘)]

商法38/ 会社法38/ 193/ 「株主の権利行使に関」する利益供与は禁じられる(#会社法120条1項)。総会屋対策、会社運営の健全性・公正の確保の趣旨である。会社運営上の合理性の有無で判断する。会社に好ましくない株主による議決権等行使を回避する目的で、その者から株式を譲り受ける資金の何人かへの供与も、該当する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版158頁、159頁(最判平18・4・10民集60-4-1273)参照。[法的判断枠組み(趣旨、判断基準)。事実の評価例]

商法37/ 会社法37/ 192/ 株主でない者による株主総会の攪乱を防止する趣旨で、代理人資格を株主に限る旨の、定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり、有効である(#会社法310条1項前段参照)。その場合も、仮に法人が、株主でない従業員を代理人としても、総会を攪乱させるおそれはなく、当該定款に反しない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版153頁、154頁(最判昭43・11・1民集22-12-2402、最判昭51・12・24民集30-11-1076)参照。[事実の分析・評価例]


2017年7月9日(2)
商法36/ 会社法36/ 191/ B社株主のA社がB社株主総会で議決権行使し、他の株主に著しく不当な対価で、組織再編が承認された場合、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議として、決議取消訴訟提起が可能。その認容による法令違反として、#組織再編差止請求訴訟 提起も可能。その双方を本案に仮処分も求めうる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版414頁(なお、249頁)参照。[法的判断枠組み(制度の説明)] R21②設問4(合併の差止請求)関連。

商法35/ 会社法35/ 190/ 組織再編が法令・定款違反の場合に、株主が不利益をうけるおそれあるとき、株主は差止請求できる(#会社法784条の2第1号、796条の2第1号、805条の2。簡易組織再編は除外)。対価が著しく不当な場合も、特別利害関係人の議決権行使(831条1項3号参照)などを理由に差止請求できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版413頁~415頁参照。[法的判断枠組み(条文構造、制度の説明、条文解釈)] R21②設問4(合併の差止請求)、6(株主総会決議取消しの訴え、無効確認の訴え)関連。

2017年7月8日(4)
商法34/ 会社法34/ 189/ 単元未満株式を譲渡により取得した場合の株主名簿の名義書換請求権(#会社法133条)は、定款で排除可能であり(施行規則35条1項4号参照)、株券発行会社は単元未満株主に株券を発行しない旨を定款で定めうる(会社法189条3項)。このような定款の定めで、単元未満株式の流通阻止を図れる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法33/ 会社法33/ 188/ 単元未満株主には議決権がない(#会社法189条1項。188条1項・308条1項ただし書)。株主提案権等、議決権前提の権利もない(303条等)。その他の権利は、残余財産請求権(189条2項5号)や配当請求権(同条項6号、施行規則35条1項7号ニ)等の自益権を除き、定款で排除できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)] 株主提案権につき、T19(40イ)参照。

商法32/ 会社法32/ 187/ 株式無償割当て(#会社法185条)は、会社が株主の保有株式数に応じて、当該会社の株式を無償で交付するすることである。株式の分割と経済実質を同じくする。ただし、無償割当てでは、発行済株式と異なる種類の株式の割当ても可能である。分割は自己株式にも効力が及ぶが、無償割当てでは及ばない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版128頁、129頁参照。[法的判断枠組み(制度の解説)]

商法31/ 会社法31/ 186/ 株式の併合(#会社法180条1項)は、数個の株式を合わせ、より少ない数の株式にすること、株式の分割(183条1項)は、逆に、既発行株式を、それより多い数の株式にすることである。前者には株主総会特別決議を要する。株主の地位を失い、端数の金銭処理に甘んじるべき株主が生ずるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版125頁参照。[法的判断枠組み(条文ないし制度の説明)]


2017年7月5日(3)
刑法16/ 総論12/ 185/ 急迫不正の侵害が存在し、過剰な防衛行為があるときに、①過剰性の認識・予見なければ、違法性阻却事由不存在の認識なく、故意が認められず(誤想防衛)、犯罪不成立。②その場合に、過剰性の認識・予見可能性あれば、過失犯(過失の #過剰防衛)。③過剰性の認識・予見あれば故意の過剰防衛である。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
 山口教授のいう過失の過剰防衛は、単なる過失犯とも思えるが、36条2項が適用されうるということだろうか?ただし、山口197頁の誤想過剰防衛において、過失犯が成立した場合の取扱いと同じく、刑の免除はできないと解すべきできではないだろうか?]

刑法15/ 総論11/ 184/ 急迫不正の侵害がないのにあると誤信し、それに対する対抗行為が、誤想した侵害が実際に存在するとした場合の許容範囲を超えていたとき、如何。行為者に過剰性の認識・予見があれば、故意の #誤想過剰防衛 となる。なければ、故意はないが、その認識・予見可能性あれば、過失の誤想過剰防衛となる。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
1. なお、故意の誤想過剰防衛も、過失の誤想過剰防衛も、故意犯に対する刑法36条2項による刑の減免の余地の問題である。
2. これに対して、急迫不正の侵害を誤想したことについてそもそも過失がある場合には、過失犯の成否の問題である。
 その場合には、すでに過失犯が成立しているので、過剰性について認識・予見がある場合に(故意の過剰防衛?)、違法な過剰防衛となる事実について、その限度での故意犯に相当する部分に対し、36条2項を適用するとしても、すでに成立している過失犯の刑よりも軽く処断することはできないと解する。
 具体的には、刑の免除はできない(山口197頁参照)。
3. 以上、自分なりに、山口教授の説明を敷衍しようと試みたが、成功しているかどうかわからない。]

刑法14/ 総論10/ 183/ Xは急迫性を錯覚し、自己の生命身体を守るため、やむなく傷害に及んでおり、急迫不正の侵害がないのにあるものと誤信し、その錯誤に過失は認められない。したがって、錯誤により犯罪の消極的構成要件(違法性阻却事由)たる正当防衛を認識したもので、犯罪事実の認識を欠き、#故意 は認められない。
 広島高判昭35・6・9高刑集13-5-399『判例プラクティス』Ⅰ総論〔222〕参照。[事実の評価例(誤想防衛)。なお、山口『刑法総論』2版195頁L4①参照。]


2017年7月3日(1)
商法30/ 会社法30/ 182/ 「法令・定款に違反する行為」(#会社法360条1項)は、個別の法令(すべての法令含む)・定款に違反する行為のほか、取締役・執行役の注意義務違反(330条・402条3項・民法644条、会社法355条)にあたる行為も含む。裁判外での差止請求、仮処分申立て(民保法23条)もできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版249頁、R21②設問4、参照。[法的判断枠組み(条文の文言の意味、ほか)]

 

 

140字会社法 (70, 2017年8月16日更新)

 法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています。

 間違い等のご指摘いただけたら有難いです、よろしくお願い致します。 twitter.com

ーーーーー
目次
〔総論〕

〔設立〕

〔株式〕 ■株式と株主 ■株式譲渡自由の原則・制限 ■株式の譲渡・担保化と権利行使の方法 ■特殊な株式保有形態 ■投資単位の調節 

〔機関〕 ■総説 ■株主総会 ■取締役・取締役会・代表取締役 ■ 監査役 
■ 役員等の義務と責任 ●役員等の義務、利益衝突 ◆報酬等の決定 ●役員等の会社に対する責任

〔計算・債権者保護制度〕

〔資金調達方法〕 ■募集株式の発行 ■新株予約権 ■ 社債 

〔組織再編〕 ■ 組織再編の意義 ■ 組織再編の手続 ■ 組織再編の無効の訴え

〔他〕 ■定款変更 ■解散・清算 

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本論
〔総論〕

〔設立〕
商法54/ 会社法54/ 216/ #短答 #会社法。平成21年民事系第37問参照(予備校正答率49%)#設立 肢2,3正解
https://goo.gl/cifr1f
https://goo.gl/2UR3un
https://goo.gl/cmt6nW
https://goo.gl/WtjcZk

〔株式〕
■株式と株主6 
商法62/ 会社法62/ 256/
株式会社は社団法人であり、構成員(社員)を株主、社員たる資格(地位)を株式という。出資するか、他の株主から承継取得(個別承継、一般承継)して株主となる。#社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形をとり、法律の認める範囲内で内容に一定のヴァリエーションを設けることもできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版65頁、66頁参照。[法的判断枠組み(基礎的な説明)]

商法63/ 会社法63/ 257/
株主が会社から経済的利益を受ける権利を自益権という。①剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号、453条)、②解散・清算後に残余財産の分配を受ける権利(105条1項2号、502条)など。①②を一切与えないとすることはできない(105条2項)。株式会社の #営利性 の現れ。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法64/ 会社法64/ 258/
株主が①会社経営に参与し、②監督是正する権利を共益権という。①#株主総会会社法295条)における #議決権(105条1項3号、308条)、#質問権(314条)、#提案権、#総会招集権など、②各種 #提訴権(828条、831条、847条等)、各種 #書類等の閲覧等請求権 がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法66/ 会社法66/ 260/ 自益権は単独株主権である(会社法454条3項、504条3項等)。議決権(308条)、代表訴訟の提起権(847条)や差止請求権(210条、360条等)なども同じ。株主総会の招集権(297条)や役員解任の訴えの提起権(854条)などは少数株主権である。#共益権は微妙な政策判断が必要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版70頁参照。[法的判断枠組み(株主の権利の背景)]


商法65/ 会社法65/ 259/
少数株主権を含む株主権も権利の一種である以上、濫用は許されない(民法1条3項)。
総会屋による株主名簿閲覧・謄写請求が、株主としての権利の確保等のためでなく、新聞等の購読料名下の金員の支払の再開、継続目的での #嫌がらせ、あるいは、#報復 と認定され、権利濫用とされた事例がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁参照。[法的判断枠組み(法の一般原則)、および、事実の分析・評価例]


商法67/ 会社法67/ 261/ 株式買取請求権は、①事業譲渡等(会社法469条)、合併、会社分割、株式交換・株式移転(785条、797条、806条)、株式併合(182条の4)、株式譲渡制限(#116条1項1号2号)、全部取得条項を付す(同条項2号)、他(3号)、②単元未満株(#192条以下)の場合に認められる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁、72頁参照。[法的判断枠組み(制度および条文の確認)]

 

■株式譲渡自由の原則・制限 

■株式の譲渡・担保化と権利行使の方法1
商法29/ 会社法29/ 177/
株主名簿の名義書換えなければ、株式譲受人は譲渡を会社に対抗できないが(#会社法130条1項2項)、株券占有者は真の権利者と推定され(131条1項)、株券提示により単独で名義書換請求できる(133条2項、施行規則22条2項1号)。その不当拒絶は、違法(831条1項1号参照)である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版112、113、106頁参照。[法的判断枠組み(条文)、事実の評価例]

■特殊な株式保有形態 
■投資単位の調節4
商法31/ 会社法31/ 186/
株式の併合(#会社法180条1項)は、数個の株式を合わせ、より少ない数の株式にすること、株式の分割(183条1項)は、逆に、既発行株式を、それより多い数の株式にすることである。前者には株主総会特別決議を要する。株主の地位を失い、端数の金銭処理に甘んじるべき株主が生ずるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版125頁参照。[法的判断枠組み(条文ないし制度の説明)]

商法32/ 会社法32/ 187/
株式無償割当て(#会社法185条)は、会社が株主の保有株式数に応じて、当該会社の株式を無償で交付するすることである。株式の分割と経済実質を同じくする。ただし、無償割当てでは、発行済株式と異なる種類の株式の割当ても可能である。分割は自己株式にも効力が及ぶが、無償割当てでは及ばない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版128頁、129頁参照。[法的判断枠組み(制度の解説)]

商法33/ 会社法33/ 188/
単元未満株主には議決権がない(#会社法189条1項。188条1項・308条1項ただし書)。株主提案権等、議決権前提の権利もない(303条等)。その他の権利は、残余財産請求権(189条2項5号)や配当請求権(同条項6号、施行規則35条1項7号ニ)等の自益権を除き、定款で排除できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)] 株主提案権につき、T19(40イ)参照。

商法34/ 会社法34/ 189/
単元未満株式を譲渡により取得した場合の株主名簿の名義書換請求権(#会社法133条)は、定款で排除可能であり(施行規則35条1項4号参照)、株券発行会社は単元未満株主に株券を発行しない旨を定款で定めうる(会社法189条3項)。このような定款の定めで、単元未満株式の流通阻止を図れる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

 

〔機関〕
■ 総説2
商法46/ 会社法46/ 203/
持分会社では「社員」しか経営者(業務執行者)になれないが(#会社法590条1項)、株式会社では「株主」でない者が取締役等として経営に携われる(331条2項本文参照)。これを所有と経営の分離という。大規模・公開会社(2条5号)の経営専門家による経営者支配を、所有と支配の分離という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版133頁、134頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法51/ 会社法51/ 208/
一定の場合、株式会社には監査役会設置義務がある。監査役3人以上。半数以上は社外監査役(#会社法335条3項)、常勤監査役(1人以上)の選定も要する(390条3項)。一定の場合、会計監査人の設置義務もある(328条)。計算書類作成の適正を監視監督する(会計監査)。公認会計士資格要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版136頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

株主総会7
商法50/ 会社法50/ 207/
#株主総会 とは、会社の構成員たる株主により構成される、会社の意思決定機関、株主による会議体である。いなかる機関設計を採用しても、設置する必要がある(295条、326条参照)。株主の利潤追求動機(所有の契機)に基づく団体であるから、株主が意思決定に関与する必要性があるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版140頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法68/ 会社法68/ 272/
招集は、株主に総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与える点に実質的意味があるから、これが確保される限り、口頭でも原則可能である。ただし、#取締役会設置会社では書面等による招集を要し(299条2項2号、3項)、#一定規模の会社における機会確保が制度的に担保されている。
 『LEGAL QUEST会社法』3版144頁参照。[法的判断枠組み(制度趣旨、条文制度の説明)]


商法39/ 会社法39/ 194/
少数株主は、株主総会招集権を行使し(#会社法297条1項)、議題(会議の目的事項)提案、議案(議題に関する具体的提案)提出が可能である。しかし、総議決権100分の3保有要件は厳しい。そこで、議題提案権(303条1項)、議案提出権(304条)・議案通知権(305条1項)制度がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版146頁、147頁参照。[法的判断枠組み(法的概念および制度の説明、条文の指摘)]

商法40/ 会社法40/ 195/
かつて、株主提案に対し賛成票はきわめて少なく、制度の主眼は、株主への意見表明の機会付与と言われてきた。
近年、提案内容も多様化し、株主提案権行使と委任状勧誘(議決権の代理行使の株主への勧誘。#金商法194条 等による規制あり)を組み合わせ、株主提案が多くの賛成票を集める例もある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版147頁、148頁参照。[事実の分析]

 


商法37/ 会社法37/ 192/
株主でない者による株主総会の攪乱を防止する趣旨で、代理人資格を株主に限る旨の、定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり、有効である(#会社法310条1項前段参照)。その場合も、仮に法人が、株主でない従業員を代理人としても、総会を攪乱させるおそれはなく、当該定款に反しない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版153頁、154頁(最判昭43・11・1民集22-12-2402、最判昭51・12・24民集30-11-1076)参照。[事実の分析・評価例]

商法38/ 会社法38/ 193/
「株主の権利行使に関」する利益供与は禁じられる(#会社法120条1項)。総会屋対策、会社運営の健全性・公正の確保の趣旨である。会社運営上の合理性の有無で判断する。会社に好ましくない株主による議決権等行使を回避する目的で、その者から株式を譲り受ける資金の何人かへの供与も、該当する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版158頁、159頁(最判平18・4・10民集60-4-1273)参照。[法的判断枠組み(趣旨、判断基準)。事実の評価例]

商法18/ 会社法18/ 95/
「財産上の利益の供与」(#会社法120条1項)における「利益」は、金銭だけでなく権利やサービスの提供も含む。「供与」には、消極財産の解消(債務免除等)も含む。「株主の権利の行使に関し」は、株主として行使する全ての権利を含む。供与の客体は誰でもよく、会社の損害の発生も不要である。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)130頁参照。

■ 取締役・取締役会・代表取締役3
商法44/ 会社法44/ 199/
法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

商法21/ 会社法21/ 137/
累積投票制度では、取締役選任決議について、株主が株式1株につき選任される取締役の数と同数の議決権を有し(#会社法342条3項)、その議決権全部を特定の候補者に集中して投票できる。少数派株主も持株数に応じた数の取締役を選出できるが、制度自体が定款で排除される場合も多い(同条1項)。
 『会社法判例百選』2版66頁解説1参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

商法19/ 会社法19/ 96/
内部統制システム整備は、大会社である取締役会設置会社で義務づけられ(#会社法362条5項、4項6号、施行規則100条1項)、具体的にどのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題となる。各取締役は取締役会の一員としてその大綱の決定義務、履行についての監督義務を負う。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)139、141頁参照。


■ 役員等の義務と責任
●役員等の義務、利益衝突11

商法22/ 会社法22/ 167/
取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときは(直接取引)、当該取締役は、重要な事実を開示し、取締役会ないし株主総会の承認を受けなければならない(#会社法356条1項2号・365条1項参照)。当該取締役は、特別利害関係があるため、議決に加われない(369条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版219、221頁参照。[法的判断枠組み]

商法23/ 会社法23/ 168/
会社が取締役以外の者と、会社と取締役の利益が相反する取引をしようとするときも(間接取引)、取締役会ないし株主総会の承認を要する(#会社法356条1項3号・365条1項)。取締役の債務を保証し債務不履行となれば債権者が会社に請求するのであり、取締役への貸付と同様といえるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み]

商法47/ 会社法47/ 204/
#会社法356条1項3号に例示される債務保証のほか、債務引受、担保の提供も規制される。その他、会社と第三者の間の取引で、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為が同条項3号の規制対象になると解される。相対的無効説をとっても、取引安全は十分に確保されないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み(条文の規制対象。規範の定立)]

商法24/ 会社法24/ 169/
会社法356条1項3号は、会社と第三者の間の間接取引で外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為も規制する。
ただし、同条項2号3号は、取締役が裁量行使し会社の利益を害するおそれなき行為は規制しない。無担保での借受け、債務の履行、普通取引約款による取引などである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220、221頁参照。[法的判断枠組み、および、事実の評価例]

商法25/ 会社法25/ 170/
承認なき利益相反取引(#会社法356条1項2号3号)につき、直接取引の相手方取締役に対し、会社は、取引無効を主張できる。間接取引の相手方や、会社振出の約束手形等の転得者に対し、取引安全のため、その者の悪意の主張立証を要する。会社利益保護制度なので、相手方からの無効主張はできない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版222頁参照。[法的判断枠組み]

商法26/ 会社法26/ 171/
取締役が会社事業と競業する事業を行うことは、会社の利益を害する危険が大きい。取締役は会社のノウハウや顧客を奪ったり、自身の職務を手抜きするおそれもある。取締役が別の会社を代表して行う場合も同様である。会社の利益を守るため、競業取引の規制がなされている(#会社法356条1項1号)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版223頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

商法27/ 会社法27/ 172/
会社法356条1項1号 の「ために」とは、同2号と異なり、取引の実質的な利益帰属者(の計算で)を示すと解する。「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社の現在の事業、および、進出のために準備を進めている事業、で行われる取引と目的物、市場(地域・流通段階等)が競業する取引をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版223、224頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(条文の文言解釈)]

◆報酬等の決定
商法58/ 会社法58/ 227/
定款または株主総会決議(株主総会で総額を定め、取締役会で各取締役の配分を決議した場合含む)で取締役の報酬額が #具体的に定められた 場合、会社と取締役間の契約内容となり、当事者双方を拘束するから、その後株主総会で無報酬と決議しても、当該取締役の同意なき限り、報酬請求権は存続する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕50頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法59/ 会社法59/ 228/
①取締役の報酬が具体的に定められると、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束する、②その後これを無報酬とする株主総会決議が行われても、当該取締役が同意しないかぎり報酬請求権は失われない、③取締役の #職務内容に著しい変更がある場合 も同様である。これは、報酬減額にも妥当する。
 『事例で考える会社法』初版〔事例③〕54頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法61/ 会社法61/ 230/
取締役報酬額が具体的に定まれば、会社との契約内容となり拘束力をもつので、同意なき限り、事後に無報酬とする株主総会決議で報酬請求権を奪えないが、取締役の任用契約(委任契約)は継続的であり、#契約拘束力だけ で事情変更を阻む理由乏しく、正当理由あれば、報酬を地位・責任に比例させうる。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕61~62頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法60/ 会社法60/ 229/
取締役報酬は #ある程度身分保障 されているので(会社法361条、332条、339条参照)、職務内容の著しい変更のみを理由に減額できない。しかし、①役職に応じ減額しうる事前の同意(契約内容)や、②「正当な理由」(339条2項参照)がある場合には、総会決議により減額しうると解する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕56~58頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

 

●役員等の会社に対する責任12
商法16/ 会社法16/ 86/
リスクの伴う企業経営を、結果的に萎縮させないため、行為時の状況に照らし①情報収集・調査・検討に不注意な誤りがなかったか、②意思決定過程・内容に通常の企業経営者として著しく不合理な点ながなかったかという点から、経営判断について任務懈怠責任(#会社法423条1項)を判断すべきである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版289頁参照。[法的判断枠組み(考慮要素)]

商法48/ 会社法48/ 205/
企業経営にリスクは伴う。リスクある事業を行うことが株式会社の役割であり、資本主義経済の発展を促す。しかし、裁判官は経営についての知識・経験を有するわけではなく、後知恵で取締役の #経営判断 への事後的な介入を安易に認めるならば、株式会社の存在意義、所有と経営の分離も無意味になる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版233頁参照。[法的判断枠組み(法的制度の背景)]

商法49/ 会社法49/ 206/
上場会社では、取締役・執行役が個々の従業員の行為を監視することは現実的でなく、取締役会は、会社の業務の法令遵守体制、その他のリスク管理体制を含め、#内部統制システム 構築義務を負う。そのような義務違反があれば、任務懈怠が認定される。もっとも、ある程度の裁量は認められるべきである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版235頁参照。会社法355条・419条2項。[法的判断枠組み(法的制度の説明)]

商法56/ 会社法56/ 223/
会社が遵守すべきあらゆる法令につき、その違反は、取締役の任務懈怠となる。取締役が業務執行を決定・執行する以上、職務遂行に際し会社を名あて人とする #すべての法令 の遵守も職務上の義務であり、株主の合理的意思にかんがみ、会社・株主保護目的の法令に限らず遵守し経営すべきだからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版237頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言「法令」(会社法355条、419条2項)の意義)]


商法55/ 会社法55/ 222/
利益相反取引・競業取引の承認の有無に関わらず、損害があれば、取締役等は任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
利益相反する取締役等、決議に賛成した取締役等は、任務懈怠が推定される(同条3項。なお4項)。
承認なき競業取引の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

商法28/ 会社法28/ 173/
利益相反取引・競業取引に承認を受けていても、会社に損害があれば、任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
自己のための利益相反取引は無過失責任である(428条1項)。
事前承認なき競業取引(356条1項1号)の場合の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(423条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文構造の説明)。
1. 私の理解の過程を残せば、上記記述に圧縮して初めて、条文の細かな違いがわかった。
2. それは、428条1項と、423条2項との違いである。
 前者は、自己のための利益相反取引についての規定であり、356条1項の規定に違反したかどうかは問われていない。
 これに対して、後者の競業取引についての規定に関しては、「第356条第1項の規定に違反して」とされているので、事前承認なき場合に限られている。
3. ややこしい。今ひとつよくわからないところもある。一応、条文の規定に仕方・構造の違いの指摘にとどまる。]

商法57/ 会社法57/ 224/
任務懈怠責任は、役員等の会社に対する #債務不履行責任 の性質を有するが、連帯責任(会社法430条)とされるなど、法によって内容が加重された特殊な責任である。そのため、消滅時効期間が、商法522条の5年でなく民法167条1項の10年とされる。遅延損害利率も、民法所定の5分である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版239頁(最判平20・1・28。最判平26・1・30)、民法404条、参照。[法的判断枠組み(任務懈怠責任の性質、および、その性質に基づく解釈)]

 


商法30/ 会社法30/ 182/
「法令・定款に違反する行為」(#会社法360条1項)は、個別の法令(すべての法令含む)・定款に違反する行為のほか、取締役・執行役の注意義務違反(330条・402条3項・民法644条、会社法355条)にあたる行為も含む。裁判外での差止請求、仮処分申立て(民保法23条1項)もできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版249頁、R21②設問4、参照。[法的判断枠組み(条文の文言の意味、ほか)]

 

商法69/ 会社法69/ 273/
会社法429条1項の責任につき、①役員等の任務懈怠と第三者の損害の間に相当因果関係ある限り、#会社が損害を被りひいては第三者に生じた間接損害か、#第三者の直接損害かを問わず、役員等は責任を負う。②#役員等への不法行為責任追及も可能。③#任務懈怠についての悪意・重過失立証で足りる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版250頁(最大判昭44・11・26民集23-11-2150)参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]


会社法53/ 215/
社債権者も「第三者」(#会社法429条1項)に含まれる。第三者は、任務懈怠の当事者以外のすべての者をいうからである。
株主は、直接損害の場合、含まれるが、会社をはさんだ間接損害の場合、含まれないと解する。後者では、423条等で損害回復できるのであり、二重取りさせないためである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系310頁参照。[事実の分析・評価例] 27年度予備試験参照。

商法70/ 会社法70/ 274/
間接損害につき原則、株主は「第三者」(会社法429条1項)に含まれない。役員等の行為により会社財産が減少し株価が下落しても、株主は429条でなく、#代表訴訟を提起し423条等の責任追及すべきである。役員等に二重に責任追及すべきでも、会社の賠償請求権を奪うべきでも、ないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版251頁参照。[法的判断枠組み(間接損害事例で「第三者」に株主が含まれない理由)]


会社法52/ 214/
名目的取締役も、適法な選任決議を経ている以上「#役員等」(会社法429条1項)にあたる。
選任決議を欠く登記簿上の取締役も、役員等にあたりうる。故意・過失で登記に承諾を与えていれば、908条2項の類推により、善意の第三者に対抗できない結果、429条の責任を免れられないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系307頁参照。[事実の分析・評価例。ただし、名目的取締役については、「役員等」にあたっても、具体的事情によっては、因果関係を欠く場合も考えられる。]


〔計算・債権者保護制度〕
商法17/ 会社法17/ 87/
閲覧謄写請求した株主の親会社と、請求された会社とが競争関係にある場合、#会社法433条2項 3号の「請求者」と「実質的に競争関係」にある場合にあたる。競業者等が会計帳簿等の閲覧等により会社の秘密を利用し、会社に甚大な被害を生じさせないよう未然に防止する必要は変わらないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版355頁参照。

〔資金調達方法〕
■募集株式の発行4
商法41/ 会社法41/ 196/
#第三者割当て につき、①既存株主から新株主へのいわば利益移転(経済的価値の希釈化)の調整のため、有利発行規制(199条3項)があり、②既存株主の持株比率調整のため(支配にかかる利益保護)、差止請求権(210条2号)があり、授権資本制度(37条3項、113条3項)が限界を画する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法42/ 会社法42/ 197/
#募集株式の発行等 は、株式会社が発行する株式の引受人の募集、株式会社の処分する自己株式の引受人の募集の2つの概念を含む(会社法199条1項)。
募集は、株式引受けの申込みの誘引であり、①株主割当て(202条)、②第三者(既存株主含む)割当て、③公募(実際、第三者割当て)をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言・制度説明)。事実の分析(公募は、わが国では一般に、証券会社が株式の総数を引き受けて投資家に販売している(買取引受け。205条)。)]

商法43/ 会社法43/ 198/
会社法199条以下に基づく株式発行の場合を、通常の株式発行という。
一方、①取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式の対価として、②株式分割により、③株式無償割当て、新株予約権行使、吸収合併・吸収分割・株式交換に伴う株式発行により、株式数が増加する場合、#特殊の新株発行 という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法定判断枠組み(概念の説明)]

商法20/ 会社法20/ 136/
会社法199条3項「特に有利な金額」は公正な発行価額より特に低い価額をいう。公正な発行価額には、価額決定前の株式価格との近接、騰落習性、売買出来高実績、資産・収益・配当・株式市況状況、発行済株式数、発行予定株式数・その消化可能性等を総合し、旧株主利益と資金調達との調和を要する。
 東京地決平16・6・1判時1873-159『会社法判例百選』2版〔24〕参照。[法的判断枠組み(条文の文言の説明。裁判例)]


新株予約権

社債

〔組織再編〕
■ 組織再編の意義
商法14/ 会社法14/ 37/
キャッシュアウトとは、ある者(買収者)が、株式会社(対象会社)の発行する株式の全部を、株主の個別の同意を得ることなく、金銭を対価として取得することをいう。経営政策上の合理性が認められる場合、差止請求権、株式買取価格の決定制度、情報開示など株主保護の仕組みの下で許容される。#会社法
 『LEGAL QUEST会社法』3版377、378頁参照。

商法45/ 会社法45/ 202/
#組織再編 手段の多様化。合併は、当事会社が合一するので、賃金体系統一の煩、簿外債務承継のリスクがある。平成11年創設の株式交換・株式移転によれば、それを回避できる。平成12年創設の会社分割によれば、事業譲渡と異なり、債権者の承諾を要せず、債務を他の会社に承継させうる利点がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版387参照、383頁参照。[法的判断枠組み(制度比較)]

商法15/ 会社法15/ 38/
承継型組織再編の対価は組織再編契約で自由に決められる(対価柔軟化)。代わりに、株式買取価格は「公正な価格」とされ、消滅会社等の株主が、組織再編による企業価値の増加分(シナジー等)の公平な分配を受けられる。新設型組織再編では、対価は、設立会社の株式の他は、社債等に限られる。#会社法
 『LEGAL QUEST会社法』3版391頁参照。

商法1/ 会社法1/ 9/
事業譲渡(#会社法467条 1項)とは、①一定の事業目的のために組織化され、有機的に一体として機能する財産を譲渡し、これによって、②事業活動を譲受会社に受け継がせ、③譲渡会社が、法律上当然に21条の競業避止義務を負うものをいう。法の解釈の統一性を保つため、21条以下と同様に解する。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系335頁参照。[法的判断枠組み]

商法2/ 会社法2 / 10/
「事業の重要な一部の譲渡」(#会社法467条 1項2号)とは、株主の重大な利害に関わる事業再編か否か、量的・質的な側面から判断される。量的基準として、譲渡資産の帳簿価格のほか、売上高、利益、従業員数等を総合的にみて、事業全体の10%を超えていることが必要である。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

■ 組織再編の手続 
商法35/ 会社法35/ 190/
組織再編が法令・定款違反の場合に、株主が不利益をうけるおそれあるとき、株主は差止請求できる(#会社法784条の2第1号、796条の2第1号、805条の2。簡易組織再編は除外)。対価が著しく不当な場合も、特別利害関係人の議決権行使(831条1項3号参照)などを理由に差止請求できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版413頁~415頁参照。[法的判断枠組み(条文構造、制度の説明、条文解釈)] R21②設問4(合併の差止請求)、6(株主総会決議取消しの訴え、無効確認の訴え)関連。

商法36/ 会社法36/ 181/
B社株主のA社がB社株主総会で議決権行使し、他の株主に著しく不当な対価で、組織再編が承認された場合、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議として、決議取消訴訟提起が可能。その認容による法令違反として、#組織再編差止請求訴訟 提起も可能。その双方を本案に仮処分も求めうる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版414頁(なお、249頁)参照。[法的判断枠組み(制度の説明)] R21②設問4(合併の差止請求)関連。


■ 組織再編の無効の訴え
商法3/ 会社法3/ 11/
会社法467条 1項違反の行為は、無効である。株主保護のためである。法的地位の早期安定の見地から、当事者双方から無効主張できるのが原則であるが、譲渡後長期間経過してから当事者の一方が無効を主張することは信義則に反し許されない。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

商法4/ 会社法4/ 12/
親会社の株主総会特別決議を欠く、子会社株式等の譲渡の私法上の効力は無効である。#会社法467条 1項2号の2・309条2項11号が、特別決議を要求する趣旨は、子会社株式等の譲渡が親会社にとって事業譲渡と同様の影響を与えることに鑑み、親会社株主の利益を保護することにあるからである。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

商法5/ 会社法5/ 13/
株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)は、シナジー(合併による相乗効果)が生じない場合には、原則として、吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がなかりせば、その株式が有したであろう価格をいうと解する。最決平23・4・19
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系339、340頁参照。[法的判断枠組み]

商法6/ 会社法6/ 14/
株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条 等)は、シナジーが生じる場合には、なかりせば価格に吸収合併等によるシナジーその他の企業価値の増加分を加えた価格とすべきである。株式買取請求権は、企業再編されなかった場合の経済状態の保障、シナジーの分配を保障するものだから。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系339、340頁参照。[法的判断枠組み]

商法7/ 会社法7/ 15/
「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)の算定基準日は、株式買取請求をした日である。なぜなら、売買契約と同様の法律効果が発生する時点を基準とすべきと考えるからである。最決平23・4・19
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系340頁参照。[法的判断枠組み]

商法8/ 会社法8/ 16/
合併契約締結には「重要な財産の処分及び譲受け」(#会社法362条4項 1号)として、取締役会決議が必要だが、代表取締役が株式会社の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有することにかんがみ、取締役会決議なくとも、内部的意思決定を欠くにとどまるものとして、有効である。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系341頁参照。[事実の評価例]

商法9/ 会社法9/ 17/
合併比率の不公正も、無効原因とはならない。①合併契約は当事者が互いに有利な条件で締結しようとするものだから、当事者の交渉力等の違いから、若干不公正な合併比率となることはありうるし、②反対株主は株式買取請求権を行使することにより、自己の利益を確保できるからである。#会社法828条
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系341、342頁参照。[事実の評価例]

商法10/ 会社法10/ 18/
合併承認の総会決議に瑕疵(取消事由)がある場合は、無効原因となる。なぜなら、総会決議が取り消され得る場合、合併が承認決議なしになされという瑕疵は重大であり、株主を保護する必要があるからである。#会社法783条1項、795条1項、804条1項、309条2項12号
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[事実の評価例]

商法11/ 会社法11/ 34/
総会決議取消しの訴えと合併無効の訴えとの関係は、合併効力発生前は前者のみ、効力発生後は後者のみ可能となる。合併無効の訴えを設けたのは、法律関係の画一的確定をはかるため、合併無効原因となる各種の瑕疵を独立の訴えとして提起することを排斥する趣旨と考えられるからである。#会社法828条
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[法的判断枠組み]

商法12/ 会社法12/ 35/
決議に取消事由があることを合併の無効原因とする場合の出訴期間は、取消訴訟の出訴期間(831条1項)、決議の日から3ヶ月以内とすべきとの見解もある。
しかし、#会社法828条 は無効原因を限定していないのであるから、合併無効原因の訴えの出訴期間通り、制限はないと解すべきである。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[法的判断枠組み]

商法13/ 会社法13/ 36/
会社法782条1項、794条1項、803条1項、施行規則183条6号、192条7号、205条7号で、事前開示事項は「債務の履行に関する事項」と改められており、会社分割の法的安定を図るため、債務の履行の見込みがないことは、会社分割の無効原因とはしない旨改められたものと解する。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版345頁、『LEGAL QUEST会社法』3版420頁、参照。[法的判断枠組み(条文の解釈)]

 

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参照:辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』、『LEGAL QUEST会社法』、『会社法判例百選』、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』、 『事例で考える会社法』初版。

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End of the writing

140字刑法学 (総論) (16) 2017年8月14日更新

 法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています。 twitter.com

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目次
Ⅰ[序論]0

Ⅱ[違法性(違法)に関する事由]
1. 〔構成要件〕0
2. 〔違法性阻却事由〕0

Ⅲ[有責性(責任)に関する事由]
1. 〔責任要件〕 ■故意 ● 故意、犯罪事実  ●事実の錯誤 ◆構成要件該当事実の錯誤 ◆違法性阻却事由の錯誤 ■過失
2. 〔責任阻却事由〕 ■ 違法の意識

Ⅳ[処罰拡張事由]
1. 〔未遂〕0
2. 〔共犯〕 ■共犯の基礎理論 ■共犯関係からの離脱

Ⅴ[罪数]
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本論
[序論]

[違法性(違法)に関する要件]
〔 構成要件〕

〔 違法性阻却事由〕


[有責性(責任)に関する要件]
〔責任要件〕
■ 故意
刑法3/ 総論1/ 68/
故意とは「罪を犯す意思」(#刑法38条1項)すなわち犯罪事実の認識をいう。犯罪事実とは行為の違法性を基礎づける事実である。違法性を基礎づける点で構成要件が原則、違法性阻却事由が例外であり、故意があるというためには、構成要件該当事実、違法性阻却事由の不存在の双方の認識が必要である。
 平野『刑法概説』75、78頁参照。

刑法13/ 各論9/ 153/
「罪を犯す意思」(#刑法38条1項、故意)は、故意犯の構成要件(構成要件的故意)かつ責任要件である。犯罪事実の表象・認容が認められれば、構成要件該当性・有責性が基礎づけられ、犯罪事実の表象・認容を欠けば、構成要件該当性そのものが阻却される。期待可能性がなければ、責任が阻却される。
 団藤『刑法綱要総論』290、291頁参照。[法的判断枠組み(理論・体系的説明)。故意(mens rea)=TB(構成要件)・S(責任)。If there is no mens rea, then there is no TB. If there is no 期待可能性, then there is no S.
 そもそも故意は、責任(S)の領域の問題である。しかし、小野博士(団藤綱要134頁参照)・団藤教授は、故意は構成要件かつ責任要件(責任要素)であるとする。もっとも構成要件としての故意は、それを主観的・客観的な全体として考察した『違法類型』としての『客観的構成要件要素』と見ているようである(同頁参照)。さらに、この構成要件的故意(構成要件としての故意)は、責任要素の定型化としての意味も持ち、『有責類型』でもあるとされる(同書136~138頁参照)。]

刑法9/ 総論6/ 125/
母と妻からこもごも小言を言われ酒癖の悪いXは憤懣やる方なく、囲炉裏の反対側の両人めがけ憤激の余り本件鈎吊し(かぎつるし)を振りつけ、母Bの前頭部にあてたものである。Xは両人のいずれかにあたることを認識しながらこれを振ったのであり、その暴行はいわゆる択一的故意によるといえる。#刑法
 東京高判昭35・12・24下刑集2-11・12-1365『判例プラクティス』刑法Ⅰ総論〔90〕参照。[事実の評価例]

刑法10/ 総論7/ 126/
パーティー会場でABに一緒に出されるグラスの一方だけ致死量の毒薬を混入するような、いわゆる択一的殺意ある場合、1個の故意(殺意)で複数の故意犯(既遂犯と未遂犯)成立を肯定できる。既遂の可能性で足りる未遂概念の特性による。併存しうるのは未遂犯に限られ、未遂罪二罪も成立しうる。#刑法
 山口『刑法総論』2版211頁参照。[法的判断枠組み(理論的説明)]

●事実の錯誤
◆構成要件該当事実の錯誤

◆違法性阻却事由の錯誤
刑法14/ 総論10/ 183/
Xは急迫性を錯覚し、自己の生命身体を守るため、やむなく傷害に及んでおり、急迫不正の侵害がないのにあるものと誤信し、その錯誤に過失は認められない。したがって、錯誤により犯罪の消極的構成要件(違法性阻却事由)たる正当防衛を認識したもので、犯罪事実の認識を欠き、#故意 は認められない。
 広島高判昭35・6・9高刑集13-5-399『判例プラクティス』Ⅰ総論〔222〕参照。[事実の評価例(誤想防衛)。なお、山口『刑法総論』2版195頁L4①参照。]

刑法16/ 総論12/ 185/
急迫不正の侵害が存在し、過剰な防衛行為があるときに、①過剰性の認識・予見なければ、違法性阻却事由不存在の認識なく、故意が認められず(誤想防衛)、犯罪不成立。②その場合に、過剰性の認識・予見可能性あれば、過失犯(過失の #過剰防衛)。③過剰性の認識・予見あれば故意の過剰防衛である。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
 山口教授のいう過失の過剰防衛は、単なる過失犯とも思えるが、36条2項が適用されうるということだろうか?ただし、山口197頁の誤想過剰防衛において、過失犯が成立した場合の取扱いと同じく、刑の免除はできないと解すべきできではないだろうか?]

刑法15/ 総論11/ 184/
急迫不正の侵害がないのにあると誤信し、それに対する対抗行為が、誤想した侵害が実際に存在するとした場合の許容範囲を超えていたとき、如何。行為者に過剰性の認識・予見があれば、故意の #誤想過剰防衛 となる。なければ、故意はないが、その認識・予見可能性あれば、過失の誤想過剰防衛となる。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
1. なお、故意の誤想過剰防衛も、過失の誤想過剰防衛も、故意犯に対する刑法36条2項による刑の減免の余地の問題である。
2. これに対して、急迫不正の侵害を誤想したことについてそもそも過失がある場合には、過失犯の成否の問題である。
 その場合には、すでに過失犯が成立しているので、過剰性について認識・予見がある場合に(故意の過剰防衛?)、違法な過剰防衛となる事実について、その限度での故意犯に相当する部分に対し、36条2項を適用するとしても、すでに成立している過失犯の刑よりも軽く処断することはできないと解する。
 具体的には、刑の免除はできない(山口197頁参照)。
3. 以上、自分なりに、山口教授の説明を敷衍しようと試みたが、成功しているかどうかわからない。]


■過失
刑法11/ 総論8/ 127/
過失犯成立には、構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要する。行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても、構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し、かつ、結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。#刑法
 山口『刑法総論』2版235・236頁参照。[法的判断枠組み(理論的説明)。札幌高判昭51・3・18高刑集29-1-78(北大電気メス事件)の言い回しと、山口教授の説明とをなんとか組み合わせた。
 正直に書くと、北大電気メス事件の「因果関係の基本的部分」という言い回しが、故意の錯誤論の裏返しだ(と思う。私の理解がまだ足りていないかもしれませんが)ということに、上記の文章まとめていて気が付きました。それまでは、単なる暗記にすぎませんでした。]
 刑法T29(11ウ)参照。


〔責任阻却事由〕
■ 違法の意識
刑法4/ 総論/ 69/
故意が認められれば、通常は違法の意識に達していたと考えられるので、自己の行為の違法を意識してなくとも、故意犯としての責任を問われる(#刑法38条3項本文)。ただ、違法の意識に達しないことに相当な理由がある、違法の意識の可能性すらない場合、責任が阻却され刑が減軽される(ただし書)。
 平野『刑法概説』92頁参照。[法的判断枠組み。いわゆる制限責任説。
 最大判昭44・6・25刑集23-7-975(夕刊和歌山事件)は、このような場合には、「犯罪の故意がな」いとするが、故意が認められた上での、情状に関することであるから、表現としては妥当でない。
 判例は厳密な意味で「故意がな」いと書いているのではない、いわゆる(制限)故意説(平野・概説94頁説明参照)をとったものではないと考える。
 大越『刑法各論』3版89頁説明(判例=制限故意説?)参照。]

■ 期待可能性

[処罰拡張事由]
〔未遂〕

〔共犯〕
■共犯の基礎理論1
刑法20/ 総論15/ 247/ 他の共犯者の行為に加担し、他人の行為を通じ、法益侵害結果発生に心理的・物理的因果性を及ぼしたことが共犯処罰根拠である。共犯も間接的にせよ、自ら因果的に引き起こした事態に、その限度でのみ責任を負う(個人責任原理)。ここにいう因果性は #促進的因果関係 で足り、条件関係までは不必要。
 『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕(東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407)395頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

■共犯関係からの離脱5
刑法5/ 総論/ 70/
共犯関係からの実行の着手前(#刑法43条本文)の離脱者には、予備罪を除き、刑事責任は生じない。実行着手前に①翻意して離脱の意思を表明し②それを他の共謀者が了承することが必要である。ただ、共謀者団の頭である者については、共謀がなかった状態に復元しなければ、離脱を認めるべきではない。
 山口『刑法総論』2版 352、353頁参照。
[Q:住居侵入窃盗の共謀の下、住居侵入後窃盗着手前に①・②を満たした場合は?
R:リプライ有難うございます😂
 130条前段の構成要件を検討しみたしていれば、住居侵入罪(共犯)のみが成立しうる。235条の実行の着手(犯罪実現の現実的危険性ある行為、具体的には物色等)前なので、①②をみたせば、離脱者は窃盗罪の未遂も既遂も責任を負わない。窃盗の予備罪もないからである。
 いわゆる組織的犯罪処罰法違反(6条の2第1項2号・別表第三2号ネ参照)除く。]

刑法17/ 総論13/ 244/
被告人は、見張り役が住居内の共犯者に電話で「先に帰る」などど #一方的に伝えた のを認識していただけで、犯行防止措置をとることなく、見張り役らと共に離脱したにすぎず、たとえ、強盗着手前であり、残された共犯者らが被告人の離脱を了知していても、当初共謀が解消したということはできない。
 最決平21・6・30刑集63-5-475、平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁参照。[事実の評価例]

刑法18/ 総論13/ 245/
共犯処罰根拠は因果的惹起にあるから、自らそれまでの因果的寄与を撤回し犯罪結果との因果性を遮断すれば、共犯処罰根拠を欠き離脱以降に生じた犯罪事実の責任を負わない。実行着手前に離脱の意思を表明し、他の関与者の #了承 があれば、共同正犯関係は解消する。ただし、一方的通告では足りない。
 平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁、180頁(最決平21・6・30刑集63-5-475)参照。[法的判断枠組み。
 葛原力三先生は、「継続者の了承は離脱者の因果的寄与とは関係しない」と書かれているが、納得して了承すれば、認識(了知)以上に、心理的影響力(心理的因果性)を除去できるのではないのかな?
 私の理解が足りていないだけなんでしょうね?
 他の関与者の了承があれば、共同正犯関係の解消を認める一連の裁判例があるようですので、とりあえず、因果性遮断論(因果的共犯論)と、了承とを組み合わせて書いても、あながち間違いではないのだろうと思います。]

刑法19/ 総論14/ 246/
いったん犯罪遂行を共謀しても、着手前に他の共謀者に実行中止を明示し他の者が #了承 し、犯罪を実行した場合、前共謀は全くなかったものと評価でき、他の共犯者の実行した犯罪の責を分担すべきでない。
Xは自発的に犯意放棄し他の共謀者に明示しており、他3名が了承し窃盗に及んだのは明らか。
 東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕395頁参照。[法的判断枠組み+事実の分析・評価例]


刑法6/ 総論/ 71/
共犯関係からの、実行の着手後(#刑法43条本文)既遂前の離脱の要件は、①離脱意思の表明、②他の共謀者の了承、③他の共謀者が現に行っている実行行為を中止させ、以後は自己を含め他の共謀者の誰もが当初の共謀に基づく実行行為を継続することのない状態の作出である。未遂の限度で共犯となる。
 山口『刑法総論』2版 352~355頁、最決昭元・6・26刑集43-6-567、R19①、参照。


[罪数]
刑法8/ 総論5/ 104/
「1個の行為」(#刑法54条1項前段)とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が、社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合をいう。公務執行妨害罪と傷害罪、収賄罪と盗品等無償譲受け罪などである。複数罪の内、最も重い刑(の罪)により処断する。
 ⇒複数の罪の内、最も重い刑を定めた罪の、その法定刑により処断する。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版刑事系77頁、山口『刑法総論』2版379頁、参照。[法的判断枠組み(判例)、最大判昭49・5・29刑集28-4-114参照]

 

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End of the writing.

法学エッセンス 6月分

 @right_droit  法律に関する論述を140字以内でまとめて、出典、補足を掲載致します。

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前書き・学修日誌

2017年6月20日(火)
1(19日の続き). ゼミで、司法試験平成21年度第2問設問3について、解除前の第三者(545条1項ただし書き)が問題にならないのはなぜかという疑問があがった。
 なぜだろうか?
 所有権留保されているから、解除の遡及効により第三者が害されるような、所有権の復帰的物権変動は起きない、そもそもAには所有権は移っていない、ということだろう。
2. 解除前の第三者について触れる必要がないように、所有権留保付売買契約を選んだのであろうか?それとも、こういう契約が通常であり、たまたま、その契約が対象になったということだろうか。
3. あと、所有権留保って、非典型担保物権として習うが、譲渡担保と違って、所有権譲渡がなされていないという違いだろうか?
 そうすると、何を担保にしているのだろう?形式的にも担保物権ではないし、法的性質として、譲渡担保における担保的構成などの説明もできないが、機能的に担保としての役割を担っているので、担保物権で習うだけであろうか。
 法的な所有権を担保にしていないが、実際の目的物の占有ないし占有権(民法180条以下参照)を担保にしているという感じであろうか?
 所有権留保、結構奥が深そうである。


2017年6月19日(月)
1. 司法試験平成21年度第2問設問1、2、3(民法)について考えている。

2.(配点割合14%) 設問1は、会社間の売買契約の目的物について、当事者間の真意は合致しているが、交わされた正式な注文書、および、注文請書の表示に誤記がある場合に、何を目的物として契約が成立しているかを説明させる問題である。
 錯誤(95条)と言えるのか等についても言及する必要がある。

3.(48%) 設問2は、上記契約が不成立であったとした場合に、目的物の転得者が即時取得(192条)する要件を説明させる問題である。
 192条の成立要件は、①取引行為、②それに基づく引き渡し、③平穏、公然、善意、④無過失、⑤引渡し時における前主の占有である。
 小問(1)の前半は、要件②に関するものである。
 小問(1)の後半は、要件③の善意に関するもの、半信半疑であったか否かについてである。
 小問(2)は、要件④に関するものである。

4.(38%) 設問3は、即時取得も成立しなかった場合に、所有権に基づき目的物返還請求訴訟における、使用料相当額支払請求の法的根拠およびいつから請求できるかについて説明させる問題である。
 不法行為構成で書くか、不当利得構成で書くか、どっちにしても、XがYに、平成20年5月7日到達の書面により、動産甲の返還を請求した以降の分しか請求できない理由の説明を書く必要がある。

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以下、140字にまとめたものを、時系列で掲載。

2017年6月30日(1)
刑訴法23/ 捜査13/ 181/ #GPS捜査 は対象車両の移動状況等を把握する点、検証の性質をもつが、端末を付けた車両を通じ使用者の所在を検索する点で異なる。検証・捜索許可状でも、被疑事実と無関係の使用者の行動の、継続的網羅的で、過剰な把握を抑制できず(令状主義違反)、事前の令状呈示もできない(適正手続違反)。
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。[事実の分析(GPS捜査の法的性質、検証許可状・捜索許可状の発付で行うことができるか?)GPS捜査という現に行われていた・いる事実としての捜査手法の分析。その法的評価・分析。]

憲法23/ 人権23/ 110/ 本件GPSは、対象車を発見し追尾できる程に正確で搭乗者位置情報の取得と同視でき、私有地という、不特定多数の者から目視され観察されることのない、プライバシー保護の合理的期待が高い空間でも、位置情報取得可能である。取付け時の私有地への侵入も想定され、プライバシー等侵害が大きい。#人権


2017年6月28日(1)
刑訴法22/ 捜査12/ 180/ 憲法35条は、「所持品」等に準ずる私的領域へ「侵入」されない権利も保障している。個人のプライバシー侵害を可能とする機器を所持品に秘かに装着し、個人の合理的意思に反し、その私的領域に侵入する捜査手法たるGPS捜査は、個人の意思を制圧し重要な法的利益を侵害する #強制処分 にあたる。
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。[事実の評価例(GPS捜査が、「強制の処分」(刑訴法197条1項ただし書)にあたるか)]

憲法24/ 人権24/ 124/ GPS捜査は、プライバシーが強く保護されるべき空間も含め対象車両・使用者の所在と移動状況を逐一把握し個人の行動を継続的網羅的に把握しプライバシーを侵害しうるし、機器を個人の所持品に密かに装着する点、公道上での肉眼把握・カメラ撮影と異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う。#人権
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。


2017年6月26日(3)
刑訴法21/ 公判10/ 179/ ①審判対象画定の見地から、罪となるべき事実の特定を欠かずとも、②認定事実が一般に、被告人の防御に重要な事項ならば、原則、#訴因変更手続 を要する。③ただ、防御の具体的状況等の審理経過に照らし、被告人への不意打ちとも、より不利益ともいえなければ、例外的に手続を経ずとも違法ではない。
古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159、160頁(最決平13・4・11刑集55-3-127)参照。[法的判断枠組み(手続)]

刑訴法20/ 公判9/ 178/ 検察官による具体的な「罪となるべき事実」の主張が「訴因」であり、当該訴因事実が審判対象である(#刑訴法256条3項)。心証事実がそれと食い違えば、有罪判決できない(335条)。訴因変更手続(312条)を要することになる。それは、事実に重要なあるいは実質的な差異を生じた場合である。
古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159頁、寺崎嘉博『刑事訴訟法』3版318頁、『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』刑事系162条、参照。[法的判断枠組み(条文、基本概念)]

商法29/ 会社法29/ 177/ 株主名簿の名義書換えなければ、株式譲受人は譲渡を会社に対抗できないが(#会社法130条1項2項)、株券占有者は真の権利者と推定され(131条1項)、株券提示により単独で名義書換請求できる(133条2項、施行規則22条2項1号)。その不当拒絶は、違法(831条1項1号参照)である。
『LEGAL QUEST会社法』3版112、113、106頁参照。[法的判断枠組み(条文)、事実の評価例]

 

2017年6月25日(3)
民訴法21/ 当事者/ 176/ 氏名冒用訴訟では、客観的に訴状に表示されている被冒用者が当事者である。原告側冒用の場合、代理権欠缺(#民訴法34条)に準じ、訴え却下される(140条)。被告側冒用の場合、新期日を指定し(155条類推)、改めて訴状を被冒用者に送達し、冒用者に訴訟費用を償還させる(69条2項参照)。
民事訴訟法講義案』41、48頁参照。[法的判断枠組み(手続き)]

民訴法20/ 当事者/ 175/ 訴えまたは訴えられることによって判決の名宛人となるべき者を当事者という(#民訴法115条1項1号参照)。自己の名において判決を求めればよく、必ずしも権利者自身である必要はない。たとえば、他人の権利関係の確認を求める場合や、破産管財人など。当事者という概念は純粋に形式的概念である。
民事訴訟法講義案』40頁参照。[法的判断枠組み(基礎概念)]

民訴法19/ 証拠/ 174/ 文書が証拠方法となりうる資格を証拠能力という。原則、いかなる文書も証拠能力を有する。
文書が、特定人の一定の思想内容を表現した、当人の意思に基づくもの(文書の真正)と認められれば、形式的証拠力あり、その思想内容が係争事実の認定に役立ち得るならば、実質的証拠力ありとされる。#民訴法
民事訴訟法講義案』208、209頁参照。[法的判断枠組み(概念の意義)]


2017年6月24日(4)
商法28/ 会社法28/ 173/ 利益相反取引・競業取引に承認を受けていても、会社に損害があれば、任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
自己のための利益相反取引は無過失責任である(428条1項)。
事前承認なき競業取引(356条1項1号)の場合の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(423条2項)。
『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文構造の説明)。
1. 私の理解の過程を残せば、上記記述に圧縮して初めて、条文の細かな違いがわかった。
2. それは、428条1項と、423条2項との違いである。
 前者は、自己のための利益相反取引についての規定であり、356条1項の規定に違反したかどうかは問われていない。
 これに対して、後者の競業取引についての規定に関しては、「第356条第1項の規定に違反して」とされているので、事前承認なき場合に限られている。
3. ややこしい。今ひとつよくわからないところもある。一応、条文の規定に仕方・構造の違いの指摘にとどまる。]

商法27/ 会社法27/ 172/ #会社法356条1項1号 の「ために」とは、同2号と異なり、取引の実質的な利益帰属者(の計算で)を示すと解する。「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社の現在の事業、および、進出のために準備を進めている事業、で行われる取引と目的物、市場(地域・流通段階等)が競業する取引をいう。
『LEGAL QUEST会社法』3版223、224頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(条文の文言解釈)]

商法26/ 会社法26/ 171/ 取締役が会社事業と競業する事業を行うことは、会社の利益を害する危険が大きい。取締役は会社のノウハウや顧客を奪ったり、自身の職務を手抜きするおそれもある。取締役が別の会社を代表して行う場合も同様である。会社の利益を守るため、競業取引の規制がなされている(#会社法356条1項1号)。
『LEGAL QUEST会社法』3版223頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

商法25/ 会社法25/ 170/ 承認なき利益相反取引(#会社法356条1項2号3号)につき、直接取引の相手方取締役に対し、会社は、取引無効を主張できる。間接取引の相手方や、会社振出の約束手形等の転得者に対し、取引安全のため、その者の悪意の主張立証を要する。会社利益保護制度なので、相手方からの無効主張はできない。
『LEGAL QUEST会社法』3版222頁参照。[法的判断枠組み]


2017年6月23日(3)
商法24/ 会社法24/ 169/ #会社法356条1項3号は、会社と第三者の間の間接取引で外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為も規制する。
ただし、同条項2号3号は、取締役が裁量行使し会社の利益を害するおそれなき行為は規制しない。無担保での借受け、債務の履行、普通取引約款による取引などである。
『LEGAL QUEST会社法』3版220、221頁参照。[法的判断枠組み、および、事実の評価例]

商法23/ 会社法23/ 168/ 会社が取締役以外の者と、会社と取締役の利益が相反する取引をしようとするときも(間接取引)、取締役会ないし株主総会の承認を要する(#会社法356条1項3号・365条1項)。取締役の債務を保証し債務不履行となれば債権者が会社に請求するのであり、取締役への貸付と同様といえるからである。
『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み]

商法22/ 会社法22/ 167/ 取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときは(直接取引)、当該取締役は、重要な事実を開示し、取締役会ないし株主総会の承認を受けなければならない(#会社法356条1項2号・365条1項参照)。当該取締役は、特別利害関係があるため、議決に加われない(369条2項)。
『LEGAL QUEST会社法』3版219、221頁参照。[法的判断枠組み]

 

 

2017年6月19日
要件事実10/ 166/ 不当利得返還請求(#民法703条)の請求原因は、①原告の損失、②被告の利得、③それらの間の因果関係、④被告の利得が法律上の原因に基づかないことである。「利益の存する限度」については、利益の減少・消滅が抗弁となる。704条で利息を付帯請求するときには、利得者の悪意も請求原因となる。
森圭司『要件事実の基礎』213頁(大判昭8・11・21、最判平3・11・19等)参照。[法的判断枠組み]

民法17/ 総則2/ 165/ #契約 の成立とその効力発生とは区別される。契約の有効・無効は、契約成立を前提とし、契約内容に応じた効果を生じるか否かの問題だからである。前者の要件は相対立する意思表示の合致であり、後者の要件は、効力帰属者の権利能力具備、契約内容が可能で確定し、適法で社会的妥当であることである。
森圭司『要件事実の基礎』84、85頁、民法R21②設問2小問1、参照。[法的判断枠組み(基礎)。とりあえず、総則の法律行為として分類]

要件事実9/ 164/ #民法192条 の「善意」とは、動産の占有を始めた者が、取引の相手方がその動産につき権利者であると誤信したことをいう。なぜなら、同条は、本権を伴うような外観を信頼して取引する者を保護する規定だからである。そこで、悪意には、権利者と信じていなかった、疑っていた、半信半疑も含まれる。
森圭司『要件事実の基礎』84、85頁、民法R21②設問2小問(1)、参照。[事実の分析・評価例。法的判断枠組み(大前提)か、事実の分析・評価例(小前提のあてはめ過程)かの区別は、微妙。]

要件事実8/ 163/ #民法192条 の成立要件は、①AとYの動産売買契約締結という「取引行為」の存在。②Aが①に基づき動産をYに引き渡したこと、その当時の前主Aの動産「占有」は引渡しに含まれる。③甲の占有取得につき、「平穏、公然、善意」(186条1項参照)、無過失であったこと(188条参照)である。
森圭司『要件事実の基礎』83頁、民法R21②設問2小問(1)、参照。[具体的事実の評価例]

要件事実3/ 63/ 即時取得の要件は、①前主との取引行為、②①に基づく動産の占有、③②の占有取得が平穏・④公然な取得であること、⑤取得者の善意・⑥無過失(以上、#民法192条)、⑦前主の占有である。しかし、同186条1項は③④⑤の立証責任を転換し、同188条により⑥が推定され、また⑦は②に含まれる。
『新問題研究 要件事実』136、137頁参照。[法的判断枠組み] 民法R21②設問2小問1参照。


2017年6月18日(1)
民法16/ 担保物権1/ 162/ ディーラーXがサブディーラーAに所有権留保して販売した車を、Yが購入し代金を支払ったが、AがXに支払を怠り、Xが所有権に基づきYに車の引渡しを求めた。この場合、Aには、Xから有効な転売を行うための授権、転得者が代金完済すれば有効に所有権移転させる権限、ありと解すべきである。#民法
内田『民法Ⅲ』3版557、558頁(最判昭50・2・28民集29-2-193)、R21②設問3、参照。[事実の分析・評価例。上記の文章では舌足らずであり、答案では、「AはXの販売拡張のために、その営業として車を販売している。したがって、」、等の分析(上記のような法的評価をする理由)を書く必要があるだろう。]

2017年6月17日(2)
民法15/ 総則1/ 161/ 契約締結には、申込みと承諾の意思表示の合致以外に、一般的有効要件をみたす必要がある。自然人の場合、意思能力と行為能力が必要である。代理人による場合、代理権があり、その範囲内であることを要する。内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性をみたす必要がある。#民法
内田『民法Ⅰ』4版266、267頁参照。[法的判断枠組み(基礎)]

要件事実7/ 160/ 売買契約の成立により代金支払請求権は直ちに発生するから、売主Xは買主Yに売買契約に基づき代金支払請求する場合、#請求原因 において、XがYとの間で売買契約を締結したことを主張立証すれば足りる。契約成立には、目的物、代金額または代金額の決定方法の確定が必要であり、その主張を要する。
『改訂 紛争類型別要件事実』2頁参照。[法的判断枠組み]


2017年6月16日(2)
憲法28/ 人権27/ 159/ 刑法175条の保護法益は健全な性秩序・風俗である。「わいせつ文書」は、①徒に性欲を興奮または刺激せしめ、②普通人の正常な性的羞恥心を害し、③善良な性的道義観念に反するものである。その頒布等の処罰は、性秩序・道徳を維持する公共の福祉のための制限であり、#憲法21条1項 に反しない。
芦部『憲法』5版183,184頁(最大判昭32・3・13刑集11-3-997、チャタレイ事件)、山口『刑法各論』2版503、504頁、参照。[法的判断枠組み]

憲法27/ 人権26/ 158/ 性表現については、わいせつ文書罪の保護法益(社会環境としての性風俗を清潔に保ち、抵抗力の弱い青少年を保護すること)との衡量をはかりながら、表現の自由(#憲法21条1項)の価値に比重をおいて、わいせつ文書の定義を厳格にしぼり、それによって表現内容の規制をできるだけ限定すべきである。
憲法『芦部』5版183頁参照。[法的判断枠組み(学説)]


2017年6月10日(1)
憲法26/ 統治1/ 157/ 国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合、国民自らが権利・自由を守り人間尊厳を確保するため、他に合法的救済手段が不可能なときに、実定法上の義務を許否する抵抗行為を抵抗権という。その本質は非合法的であり制度化になじまない。自然権を実定化した人権規定の根底に見いだせる。#統治
芦部『憲法』5版364、365頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]


2017年6月8日(3)
民法14/ 相続3/ 156/ 特定の遺産を特定相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、特段の事情なき限り、被相続人死亡時に直ちに遺産承継を生じる。この場合の権利移転は、法定相続分または指定相続分(遺産分割方法の指定、#民法908条)の場合と本質的に同じく、登記なくして第三者に対抗できる。遺贈と異なるところである。
最判平14・6・10家月55-1-77『家族法判例百選』7版〔77〕参照。なお、ダットサン民法3親族法・相続法』3版2013年〔相60、61〕参照。[法定判断枠組み(法律行為の解釈)]

民法13/ 相続2/ 155/ 遺産分割は相続開始時にさかのぼり効力を生ずるが(#民法909条本文)、各共同相続人が相続分に応じ分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後の遺産分割に影響されない。
したがって、本件賃貸不動産を遺産分割取得したXは、遺産分割決定までの賃料債権全額を取得する訳ではない。
最判平17・9・8民集59-7-1931『家族法判例百選』7版〔68〕、R20①、参照。[前半、法的判断枠組み(判例。条文の疑義・効果の説明)。後半、事実の分析。]

民法12/ 相続1/ 154/ 遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するので(#民法898条)、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。
最判平17・9・8民集59-7-1931『家族法判例百選』7版〔68〕、R20①、参照。[法的判断枠組み(判例)]


2017年6月7日(2)
刑法13/ 各論9/ 153/「罪を犯す意思」(#刑法38条1項、故意)は、故意犯の構成要件(構成要件的故意)かつ責任要件である。犯罪事実の表象・認容が認められれば、構成要件該当性・有責性が基礎づけられ、犯罪事実の表象・認容を欠けば、構成要件該当性そのものが阻却される。期待可能性がなければ、責任が阻却される。
団藤『刑法綱要総論』290、291頁参照。[法的判断枠組み(理論・体系的説明)。故意(mens rea)=TB(構成要件)・S(責任)。If there is no mens rea, then there is no TB. If there is no 期待可能性, then there is no S.
そもそも故意は、責任(S)の領域の問題である。しかし、小野博士(団藤綱要134頁参照)・団藤教授は、故意は構成要件かつ責任要件(責任要素)であるとする。もっとも構成要件としての故意は、それを主観的・客観的な全体として考察した『違法類型』としての『客観的構成要件要素』と見ているようである(同頁参照)。さらに、この構成要件的故意(構成要件としての故意)は、責任要素の定型化としての意味も持ち、『有責類型』でもあるとされる(同書136~138頁参照)。]

民法11/ 債権総論1/ 152/ #民法466条2項 は債権譲渡禁止特約は善意の第三者に対抗できない旨規定し、文言上は過失の有無を問わないかのようであるが、重過失は悪意と同様に取り扱うべきであるから、譲渡禁止特約を知らずに債権を譲り受けた場合も、重過失あるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡により債権を取得し得ない。
最判昭48・7・19民集27-7-823『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔94〕参照。[法的判断枠組み(判例。条文解釈)]


2017年6月5日(2)
行政法13/ 救済法/ 151/ 本件都市計画事業認可の根拠法令たる都市計画法の趣旨・目的に鑑み、事業地の周辺地域居住住民に対し、違法事業起因の騒音、振動等の健康・生活環境に係る著しい被害を招かないという具体的利益が保護されている。被害の内容、性質、程度等に照らし、この利益は一般的公益に吸収解消し得ない。#行訴法
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[事実の分析(一つの根拠法令の分析。法的判断枠組みの定立ではなく、具体的利益が、法律上保護された利益ないし「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)の要件にあたるかの、前提としての事実として法令の分析)、R21②]

行政法12/ 救済法/ 150/ 「法律上の利益を有する者」(#行訴法9条1項)とは、当該処分で自己の権利または法律上保護された利益を必然的に侵害される者をいう。当該処分の根拠法令が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護するものならば、上記利益にあたる。
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[法的判断枠組み(判例。条文の文言の意義)、R21②]


2017年6月3日(1)
憲法25/ 人権25/ 149/ 胎児認知された子と出生後認知された子の間で、国民たる父との家族生活を通じわが国社会との結びつきの程度に差異はない。同じく法律上親子関係があるのに、非嫡出子のみ、父母の婚姻という子には如何ともし難い父母の身分行為なき限り、国籍取得を認めない点に立法目的との合理的関連性はない。#人権
最判平20・6・4民集62-6-1367『判例プラクティス憲法』増補版〔48〕参照。[事実の評価例(立法目的と手段との合理的関連性という要件へのあてはめ)]


2017年6月1日(4)
民訴法18/ 148/ 処分証書とは、意思表示その他の法律行為を記載した文書。判決書のような公文書のほか、遺言書、売買契約書、手形のような私文書がある。報告文書とは、作成者の経験した事実認識(見聞、判断、感想)を記載した文書。受取証、商業帳簿、調書、戸籍簿・登記簿謄本、日記、診断書などがある。 #民訴法
民事訴訟法講義案』再訂補訂版208頁参照。[法的判断枠組み(法律用語説明)]

民訴法17/ 147/ 文書欄外等に押したいわゆる捨印(すていん)は、当事者の意思としては、どのような文言が付け加えられても構わないという訳ではなく、誤字や誤算等相手方に訂正等を委ねるのが合理的であるような事項に限り、訂正等を委ねた趣旨と解するのが合理的である。訂正箇所の訂正印とは同視できない。#民訴法
『ステップアップ民事事実認定』71頁参照。[事実の分析(事実を評価して一定の法律要件に当てはまるか否かの前提として必要な、事実的な判断)]

民訴法16/ 146/ #民訴法228条4項 は、私文書について本人または代理人が、意思に基づき署名または押印した場合、文書全体も同人の意思に基づく真正なものである場合が多い、という経験則を法定したものである。事実認定の際の裁判官の自由心証に対する一応の拘束となる。推定を破るためには反証をすれば足りる。
『ステップアップ民事事実認定』69、70頁参照。[法的判断枠組み(条文、理論)]

倒産法27/ 民再9/ 145/ 小規模個人再生の特則の特則として、給与所得者等再生がある(#民再239条 以下参照)。定期的収入により可処分所得の見込みが立ちやすい個人債務者につき、裁判所の認可が得られる再生計画の内容を限定する一方、再生計画案についての再生債権者の決議を全く不要とし、より簡易迅速な再生を図る。
『倒産法概説』2版570、571頁参照。[法的判断枠組み(条文、制度の説明)] 

140字刑法学(各論)

 @right_droit

 

判例プラクティス』Ⅱ各論
未読:1~23、25~128、130~243、245~543。
検討1回目:24、(129)、(166)、(244)。


目次 (4)
[個人的法益に対する罪]
〔財産に対する罪〕 4

本論
[個人的法益に対する罪]
〔財産に対する罪〕
■ 強盗罪
刑法1/ 各論1/ 60/
強盗罪(#刑法236条)の手段たる「暴行」「脅迫」にあたるか否かは、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものかという客観的基準により決定される。その際、暴行・脅迫の態様、犯人の性別・年齢・体格、人数、意図、被害者の性別・年齢、人数、犯行の時刻・場所などが考慮される。
『趣旨・規範ハンドブック』5版3刑事系116頁、最判昭24・2・8刑集3-2-75、R28①、参照。

刑法12/ 各論4/ 139/
強盗利得罪(#刑法236条2項)では、相手方は反抗を抑圧されており、任意に基づく処分行為介入の余地がないので、債務免除、支払猶予といった処分行為を要しない。ただ、処罰範囲限定のため、財物移転と同視できる、事実上支払いを免れたなどの、財産的利益移転の具体性・確実性を要すると解する。
西田典之『刑法各論』5版171頁、最判昭32・9・13刑集11-9-2263、参照。
[法的判断枠組み、判例+西田説]


■ 恐喝罪
刑法2/ 各論2/ 67/
自力救済禁止の要請から、権利の実行が権利の範囲内をこえ、かつ、その方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度範囲を逸脱するときは、行為全体が違法となる。
したがって、債権3万円なのに、6万円喝取した行為につき、6万円全額について恐喝罪(#刑法249条1項)が成立する。
山口『刑法各論』2版285、286頁、最判昭30・10・14刑集9-11-2173、参照。

■ 横領罪
刑法7/ 各論3/ 72/
金銭流通の動的安全から、民事上金銭の所有と占有は一致するが、内部的所有権保護を目的とする委託物横領罪には妥当しないので、債権取立てを委任されて取り立てた金銭を不法に領得した場合、委託物横領罪(#刑法252条)が成立する。ただ、金銭は特定しないので、両替・一時流用などは該当しない。
山口『刑法各論』2版302頁参照。[法的判断枠組み(判例)。最判昭26・5・25刑集5-6-1186、大判昭8・9・11刑集12-1599等、参照]