140字法律学

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刑法総論/ 過失犯について(6ツイート)

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◇明文なき過失犯処罰。結果的加重犯における重い結果
刑法判例24/ 明文なき過失犯処罰につき,関連法令や立法趣旨等からその意図が看守できる場合,判例は,法規の実効性確保等の観点から肯定。/責任主義から,結果的加重犯の成立を認めるのに,基本犯と重い結果との間の因果関係だけでなく,重い結果の発生に過失(予見可能性)が必要かにつき,判例は因果関係あれば足るする。
[『判例ラクティス 刑法Ⅰ』112頁(順に,最決昭57・4・2,最判昭32・2・26)参照]

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◇過失犯の構造,(構成要件該当性),責任要素(有責性)
刑法85/ 783/ #過失は不注意_すなわち注意義務違反。過失犯の注意義務は,結果予見義務と結果回避義務とからなる。#結果予見義務違反は予見可能性あることが前提,故意犯の故意に対応(責任要素)。過失犯の構成要件該当性は_結果回避義務違反および結果回避可能性を前提とする(故意犯の構成要件該当性もそれらが前提)。
[山口『刑法総論』3版246頁参照。
 山口説,旧過失論の立場からも,過失犯の構成要件該当性について検討を要する固有の問題,すなわち,結果回避義務違反の点(この点で,危険の引受け,ないし,許された危険の法理が問題となるようである)が問題となる。この結果回避義務は,故意犯の構成要件該当性を認めるために同様に必要な前提要件といえるが,過失犯の構成要件該当性の認定と異なり,許された危険の法理は論じられない。
 以上が,山口教授の説明のようである。
 また,予見可能性の程度について,高度な予見可能性を必要とするか,ある程度まで緩やかな予見可能性を認めざるをえないこと(同書256頁参照)とも関連するようである(同書247頁)。
 参考:予見可能性の程度に関し,最判平29・6・12刑集71-5-315(『平成29年度重要判例解説』〔刑法1〕)]

◇過失犯の成立要件
[・過失犯の構成要件該当性(TB): 実質的な危険があり,それが許された危険でなく,かつ結果回避可能性があることを前提とする,結果回避義務違反(実行行為),結果の発生,回避義務違反行為と結果との間の因果関係。
・過失犯の責任要素(S):結果予見義務違反=不注意=過失。
(前提たる予見可能性は,原則,高度な予見可能性を要するが,例外的にある程度まで緩やかなものまで認めざるをえない(自動車事故など類型的に予見可能性が認められる事案,管理過失の事案など)。
 構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性。ただ,その細部に至るまでの予見可能性は必要なく,構成要件的結果および結果発生に至る因果関係の基本的部分の予見可能性で足りる。
 構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要するが,行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても,構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し,かつ,結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。)
 私なりに理解した,平野説および山口説による(旧過失論),過失犯の基本的な構造です。過失犯において,違法性阻却事由(Rw)はどのように問題となるのかは,よくわかりません。]

刑法102/ 800/ 過失犯の要件:実質的な危険あり,それが許された危険でなく,結果回避可能性あることを前提とする,#結果回避義務違反(TB)。過失,すなわち,#結果予見義務違反という不注意あること(S)。TB該当事実に関する具体的な予見可能性要。細部に至るまでは必要なく,結果・因果関係の基本的部分の予見可能性で足る。
[平野『刑法概説』85頁-87頁,山口『刑法総論』3版246頁,247頁,『判例ラクティス 刑法Ⅰ』112頁(大阪高判平3・3・22),参照。
 山口説は,平野説(旧過失論)をより詳しく説明したものだと思う。また,実務の過失の理解と必ずしも対立するものではない(山口同書245頁L12参照)。]

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◇信頼の原則(過失犯の客観的構成要件該当性としての実質的な危険)
刑法判例26/ ある行為をなすに当たって_被害者または第三者が適切な行動をすることを信頼するのが相当な場合には_被害者または第三者の不適切な行動によって結果が発生したとしても_行為者は責任を負わない(信頼の原則)。これは,過失行為の実質的危険性(客観的予見可能性)がない場合の原則(客観的構成要件該当性)。
[『判例ラクティス 刑法Ⅰ』113頁(最判昭41・12・20),平野『刑法概説』86頁,85頁,山口『刑法総論』3版257頁LL2,247頁LL11-9,参照。
 平野教授は,客観的予見可能性という言葉を使われている(85頁)。しかし,山口教授は客観的責任要素という観念を否定されており(33頁),また,結果回避可能性を前提とする結果回避義務を構成要件要素とされている。これは,平野教授の説いておられる結果を発生させる実質的な危険(客観的予見可能性)と,結果回避可能性を前提とする,結果回避義務を,構成要件要素とするということであり(,客観的予見可能性というネーミングを避けて),平野教授と同じ理論を説かれているようである。]

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予見可能性
刑法判例25/ 過失成立要件としてとしての予見可能性は,内容の特定しない抽象的な危惧感・不安感では不十分で,#構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性でなければならない。もっとも,その細部に至るまでの予見可能性は必要なく,#構成要件的結果および結果発生に至る因果関係の基本的部分の予見可能性で足りる。
[『判例ラクティス 刑法Ⅰ』112頁(大阪高判平3・3・22)参照。過失犯の責任要素に属する。]

◇因果関係の基本点部分の予見可能性
刑法11/ 総論8/ 127/ 過失犯成立には、構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要する。行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても、構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し、かつ、結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。#刑法
[山口『刑法総論』2版235・236頁参照。法的判断枠組み(理論的説明)。札幌高判昭51・3・18高刑集29-1-78(北大電気メス事件)の言い回しと,山口教授の説明とをなんとか組み合わせた。
 北大電気メス事件の「因果関係の基本的部分」という言い回しが,故意の錯誤論の裏返しだ(と思う。私の理解がまだ足りていないかもしれませんが)ということに上記の文章まとめていて気が付きました。
 刑法T29(11ウ)参照]

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◇過失犯の構造,構成要件要素(構成要件該当性),責任要素(有責性)

刑法85/ 783/ #過失は不注意_すなわち注意義務違反。過失犯の注意義務は,結果予見義務と結果回避義務とからなる。#結果予見義務違反は予見可能性あることが前提,故意犯の故意に対応(責任要素)。過失犯の構成要件該当性は_結果回避義務違反および結果回避可能性を前提とする(故意犯の構成要件該当性もそれらが前提)。

[山口『刑法総論』3版246頁参照。

 山口説,旧過失論の立場からも,過失犯の構成要件該当性について検討を要する固有の問題,すなわち,結果回避義務違反の点(この点で,危険の引受け,ないし,許された危険の法理が問題となるようである)が問題となる。この結果回避義務は,故意犯の構成要件該当性を認めるために同様に必要な前提要件といえるが,過失犯の構成要件該当性の認定と異なり,許された危険の法理は論じられない。

 

◇過失犯の成立要件

[・過失犯の構成要件要素(TB): 実質的な危険があり,それが許された危険でなく,かつ結果回避可能性があることを前提とする,結果回避義務違反(実行行為),結果の発生,回避義務違反行為と結果との間の因果関係

・過失犯の責任要素(S):結果予見義務違反=不注意=過失。

(前提たる予見可能性は,原則,高度な予見可能性を要するが,例外的にある程度まで緩やかなものまで認めざるをえない(自動車事故など類型的に予見可能性が認められる事案,管理過失の事案など)。

構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性。ただ,その細部に至るまでの予見可能性は必要なく,構成要件的結果および結果発生に至る因果関係の基本的部分の予見可能性で足りる。

構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要するが,行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても,構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し,かつ,結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。)

私なりに理解した,平野説および山口説による(旧過失論),過失犯の基本的な構造です。過失犯において,違法性阻却事由(Rw)はどのように問題となるのかは,よくわかりません。]

 

刑法102/ 800/ 過失犯の要件:実質的な危険あり,それが許された危険でなく,結果回避可能性あることを前提とする,#結果回避義務違反(TB)。過失,すなわち,#結果予見義務違反という不注意あること(S)。TB該当事実に関する具体的な予見可能性要。細部に至るまでは必要なく,結果・因果関係の基本的部分の予見可能性で足る。

[平野『刑法概説』85頁-87頁,山口『刑法総論』3版246頁,247頁,『判例ラクティス 刑法Ⅰ』112頁(大阪高判平3・3・22),参照。

 山口説は,平野説(旧過失論)をより詳しく説明したものだと思う。また,実務の過失の理解と必ずしも対立するものではない(山口同書245L12参照)]

 

刑法総論/ 故意 (故意の認識対象・認識内容; 確定的故意, 認識のある過失との境など) - 140字法律学