ミニマム法律学

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民訴法/ 補助参加; 独立当事者参加

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〔訴訟参加〕

⬛補助参加

 

⚫補助参加制度の趣旨

[・補助参加とは、他人間に係属中の訴訟の結果について利害関係を有する第三者(補助参加人)が、当事者の一方(被参加人、主たる当事者)を勝訴させることによって自己の利益を守るために訴訟に参加する形態である。補助参加人は、自らの利益を守るために自らの名と費用で訴訟を追行するが(独自の権能をもつ、従たる当事者)、相手方との間に自己の請求を持ち込んで審判を求める者ではない(従属的な側面)。]

 

民訴法97/ 576/ 補助参加は,#他人間に係属中の訴訟の結果につき利害関係を有する第三者(補助参加人)が,当事者の一方(被参加人,主たる当事者)を勝訴させることにより自己の利益を守るため訴訟参加する形態。#自らの利益を守るため自らの名と費用で訴訟追行_相手方との間に自己の請求を持ち込み審判を求めるのではない。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)301頁〔基本問題41〕参照。概念ないし制度の説明]

 

⚫補助参加の要件 

民訴法7/ 101/ 補助参加の要件は、①訴訟の結果に②利害関係を有することである(#民訴法42条)。②は、法律上の利害関係であり、私法上または公法上の法的地位・法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。判決効が及ぶ場合に限られない。①は、判決主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否を指す。

[『民事訴訟法講義案』再訂補訂版312、313頁参照。法的判断枠組み]

 

⚫補助参加の手続

[・補助参加の申出は、参加の趣旨(いかなる訴訟でどちらの当事者に参加するのか)および理由(利害関係があることの事情)を明らかにして、参加後に訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない(民訴法43条1項)。

 参加の理由を具備するか否かの調査は、当事者が異議を述べた場合に限り、調査する。異議が述べられたときは、参加人は、参加の理由を疎明しなければならない(44条1項後段)。]

 

民訴法93/ 495/ 補助参加の申出は,#参加の趣旨(いかなる訴訟でどちらの当事者に参加するのか),#理由(利害関係あることの事情)を明らかにし,参加後訴訟行為すべき裁判所にする(民訴法43条1項)。参加の理由具備は,当事者が異議を述べた場合に限り調査。異議が述べられたときは,参加人は,参加理由を疎明要(44条1項後段)。

[『講義案民事訴訟法』再訂補訂版313頁_314頁,森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版301頁,参照。法的判断枠組み(条文制度)]

 

 ⚫補助参加人に対する判決の効力

[・補助参加がなされた訴訟で下された判決は、その訴訟の当事者に効力が及ぶのはもちろん(既判力につき、民訴法115条1項1号)、一定の要件の下で、補助参加人にも効力が及ぶ(46条)。これは、補助参加人として十分に主張・立証を尽くした、あるいは尽くすことが期待できた事項については、補助参加人は自己を当事者とする第2の訴訟で補助参加訴訟で下された判断内容をもはや争うことができないという趣旨である。

 このような判決の効力は、既判力とは異質の補助参加に特殊な効力(参加的効力)であると解する。これは、参加人が被参加人と共同して訴訟を追行した以上、敗訴の責任を公平に分担すべきであるという公平の見地ないし禁反言の原則により根拠づけられる。]

 

民訴法98/ 577/ 補助参加訴訟の判決は,訴訟当事者に効力が及ぶのはもちろん(既判力,民訴法115条1項1号),一定要件の下,補助参加人にも及ぶ(46条)。#補助参加人として十分主張・立証を尽くした・尽くすことが期待できた事項につき_補助参加人は自己を当事者とする第2訴訟で補助参加訴訟の判断内容を争えないという趣旨。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)307頁〔基本問題42〕参照。補助参加訴訟の判決の効力]

 

⚫補助参加人の訴訟上の地位

[・補助参加人は、自らの利益保全を最終目的として、既存の訴訟当事者の意思に反してでも参加でき、自己の名と費用の投下において訴訟を追行する。単なる補助者ではない。その意味で、当事者からは独立した地位を有する。

 しかし、相手方との間に独自の請求を定立して訴訟当事者となるものではなく(従たる当事者)、あくまで他人の訴訟を補助し、被参加人の勝訴を通じて自己の利益保全を図るもの。つまり、自己固有の利益を保全するために、他人を補助するという複合的性格を有する。]

 

民訴訟94/ 496/ 補助参加人は,自らの利益保全を最終目的とし,既存の訴訟当事者の意思に反しても参加でき,自己の名と費用投下において訴訟追行。単なる補助者ではなく,#当事者から独立した地位。しかし,独自請求を定立し訴訟当事者となるものではなく(#従たる当事者),あくまで他人の訴訟を補助する複合的性格を有する。

[『講義案民事訴訟法』再訂補訂版314頁,参照。法的判断枠組み]

 

 

 ⚫既判力と参加的効力の相違点

[・①既判力は、公権的判断によって紛争を解決し、その蒸し返しを禁止する制度なので、勝訴の結果にかかわらず生じ、公権的要求から職権調査事項とされる。参加的効力は、補助参加人が被参加人と共同して訴訟追行したことに基づく敗訴の責任を分担させるための衡平の要請によるものであり、被参加人敗訴の場合だけに生じる。職権調査事項ではなく、当事者が援用した場合に取り上げれば足りる。②既判力は、当事者双方に対して生じる。参加的効力は、被参加人敗訴の場合に、参加人と被参加人との間に生じる。③既判力は判決主文中の判断に生じる。参加的効力は、理由中の敗訴理由となった事実認定や法律判断について生じる。]

 

民訴法95/ 501/ ①既判力は,公権的紛争解決,蒸し返し禁止の制度で,勝訴結果にかかわらず,当事者双方に生じ,職権調査事項。②参加的効力は,#補助参加人と被参加人との共同訴訟追行に基づく敗訴責任分担のための衡平の要請。被参加人敗訴の場合だけ。当事者援用要。理由中の敗訴理由となった事実認定,法律判断に生じる。

[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版302頁(参加的効力説,兼子・双書231頁など通説,最判昭45・10・22など),参照。法的判断枠組み(基礎理論)]

 

 ⚫参加的効力の範囲

[・参加的効力は既判力と異なる補助参加に特殊な効力であるが、その具体的差異は、①民訴法46条所定の除外例が定められているように具体的事情によって効力が左右されること、②判決効の存在は職権調査事項でなく当事者の援用を待つことのほか、③判決主文の判断のみならず理由中の判断にも及ぶこと、④被参加人敗訴の場合にのみ問題となり、被参加人・参加人間にしか及ばないことが挙げられる。]

 

民訴法99/ 578/ 参加的効力は既判力と異なる補助参加に特殊な効力。具体的差異:①民訴法46条所定の除外例のような具体的事情により効力が左右される,②#判決効の存在は職権調査事項でなく当事者の援用要,③#判決主文の判断のみならず理由中の判断にも及ぶ,④被参加人敗訴の場合のみ。被参加人・参加人間しか及ばない。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)308頁〔基本問題42〕参照。参加的効力の範囲,既判力との違い]

 

 

 

 

 

⬛独立当事者参加

⚫独立当事者参加の要件

[・独立当事者参加形態には2つある。「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する」場合(民訴法47条1項前段)を詐害防止参加といい、「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」場合(同項後段)を権利主張参加という。これらいずれかの要件をみたす場合には、別訴により自らの権利実現を図るという方法のほかに、他人間の訴訟に独立の当事者として参加できることになる。詐害防止参加は、馴れ合いにより事実上不利益が生ずる場合にできるとされるが、実際例は後者より少ない。権利主張参加は、係属中の所有権確認請求訴訟に第三者が所有権確認を求めて参加する例を典型例とする。]

 

 

民訴法100/ 579/ 独立当事者参加形態には,#詐害防止参加(民訴法47条1項前段)と,#権利主張参加(同項後段)とがあり,いずれか要件をみたせば,別訴で自らの権利実現を図る方法のほか,他人間の訴訟に独立当事者として参加できる。前者は,#馴れ合いにより事実上不利益が生ずる場合にできる。後者は,#所有権確認の例が典型例。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)317頁〔基本問題43〕参照。独立当事者参加形態の種類]