ミニマム法律学

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不法行為/ 因果関係

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●因果関係要件の意義・機能

[・不法行為法は、権利・利益侵害によって被害者に生じた損害を加害者に転嫁するわけだが、そのような転嫁(帰責)が可能となるためには、まず、行為と権利利益侵害との間に、さらに権利利益侵害(侵害損害)とそれにつづく損害(後続損害)との間に、因果関係がなければならない。前者を責任設定的因果関係、後者を責任範囲の因果関係(責任充足的因果関係)と呼ぶ。民法709条が「故意又は過失によって」というのは、前者の因果関係であり、「これによって生じた」というのは、実質的には、後者の因果関係である。]

 

法定債権12/ 547/ 権利利益侵害によって被害者に生じた損害の加害者への転嫁(帰責)のために,行為と権利利益侵害の間,権利利益侵害(侵害損害)とつづく損害(後続損害)の間に,因果関係要。民法709条「故意又は過失によって」(#責任設定的因果関係),「これによって生じた」(責任範囲の因果関係,#責任充足的因果関係)に該当。

[四宮『不法行為(事務管理・不当利得・不法行為 中・下巻)』403頁-404頁参照。不法行為の因果関係(学説)]

 

●事実的因果関係の意義と認定基準

[・事実的因果関係とは、当該具体的加害者(被告)の行為(conduct=C)が当該具体的被害者(原告)の損害(damage=D)を現実に惹起した、という事実の平面における関係である。

 事実の平面における問題であるから、事実によって立証可能なものであってはじめて判断対象となる。したがって、Cは、外界に変化を生じさせたものでなければならないから、作為義務という規範的判断を前提としてはじめて責任を追及できる事実はCには含まれない。不作為の因果関係として判決例上論じられたものは、作為義務すなわち過失の程度または範囲の問題として考えれば足りる。同様に、Dも事実(外界の変化)であること、すなわち、損害=事実説における損害たることを要する。

 CとDとの間に、もしCがなかったならば、Dは生じなかったであろう(あれなければこれなし公式)という関係が存在すると認められるならば、原則として、事実的因果関係が存在する。もし過失がなかったならば損害が生じなかったであろうと問うことは、過失が規範的概念である以上、事実的因果関係の問題ではなく、過失(行為義務)の程度の問題である。]

 

法定債権19,20/ 554,555/ 事実的因果関係は,具体的加害者(被告)の行為(conduct=C)が具体的被害者(原告)の損害(damage=D)を現実惹起した,という事実平面における関係(事実により立証可能なもの)。Cは外界に変化を生じさせたものでなければならず,#規範的判断を前提とする事実_含まない。Dも損害=#事実説における損害たること要。

[平井『債権各論Ⅱ不法行為』初版(1992年)82頁-83頁参照。事実的因果関係の意義]

 

/ CとD間に,もしCなかったならば,D生じなかったであろう(#あれなければこれなし公式)という関係が存在すると認められるならば,原則,事実的因果関係存在。もし過失なかったならば損害生じなかったであろうと問うことは,過失が規範的概念である以上,事実的因果関係の問題でなく,過失(行為義務)の程度問題。

[平井・同書83頁参照。事実的因果関係の存在が認められる場合(あれなけばこれなし公式,法的判断枠組み)]