ミニマム法律学

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行政法/ 行政行為の裁量

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●伝統的学説と戦後の判例

[・行政行為は、羈束行為と裁量行為に二分できる。さらに後者は、司法審査の対象となる法規裁量(羈束裁量)と、司法審査の対象外の自由裁量(便宜裁量)に二分できる。これは、行政庁の裁量が要件の認定(要件裁量)にあるのか、行為の選択(効果裁量)にあるのか、の違いである。

 伝統的には、行政庁の要件裁量を法規裁量(羈束裁量)であるとして否定し、司法審査の対象とする(審査密度を高める)ことが試みられてきたが、戦後の判例は、要件の認定にも裁量を認める傾向にある。]

 

行政法38/ 534/ 行政行為を羈束行為と裁量行為に,後者を司法審査対象の法規裁量(羈束裁量)と対象外の自由裁量(便宜裁量)に分け,行政庁の裁量が要件の認定(#要件裁量)にあるか,行為の選択(#効果裁量)にあるか検討。行政庁の要件裁量を羈束裁量として否定し審査密度を高める試み。現在,要件の認定にも裁量を認める傾向。

[『行政判例百選Ⅰ』6版〔76〕155頁参照。行政裁量の統制についての伝統的学説(戦前)および戦後の傾向]

 

●現在の学説

[・現在は、行政庁の判断過程を段階ごとに考察することにより、裁判所の審査密度を高めている。

 すなわち、①法文の意味の確定、②事実認定、③事実認定の構成要件へのあてはめ(要件の認定)、④手続の選択、⑤行為の選択、⑥時の選択というように、各段階に応じて裁量の有無や裁判所による審査の密度が検討される。

 これまでの要件裁量は③の段階、効果裁量は⑤の段階における裁量の問題である。現在では、裁判所の審査密度も高くなってはいるが、③要件裁量の承認や④手続の裁量、⑥時の裁量の登場により、行政庁の裁量領域も拡張の傾向を示しているといえる。]

 

行政法39/ 535/ ①法文の意味確定,②事実認定,③事実認定の構成要件へのあてはめ(#要件の認定),④手続の選択,⑤#行為の選択,⑥時の選択という各段階に応じ裁量の有無,裁判所による審査密度を検討。要件裁量は③,効果裁量は⑤の問題。③要件裁量の承認,④手続裁量,⑥時の裁量の登場により,行政庁の裁量領域も拡張傾向。

[『行政判例百選Ⅰ』6版〔76〕155頁,『LEGAL QUEST行政法』3版108頁,参照。行政庁の判断過程の段階ごとの考察と,裁判所による裁量統制]

 

●行政行為の裁量

行政法15/ 286/ 行政行為は根拠規範の個別事案への法適用結果であり、行政庁の判断は、①法文の意味の確定、②事実認定、③当該事実への法適用(法への事実のあてはめ)、④実際にどのような行政行為を行うかの決定、という過程を経る。①②は裁判所判断が優越し、#③④段階についてのみ行政に終局的に委ねられ得る。

[『LEGAL QUEST行政法』3版108頁参照。法的判断枠組み(基礎的な説明)。]

 

行政法16/ 287/ 事実への法適用(法への事実の包摂)につき、行政庁の判断に終局性が認められる場合を #要件裁量(ただし、覊束裁量、法規裁量)、実際にどのような行政行為を行うかにつき終局性が認められる場合を #効果裁量という。#いつの時点で行うかの裁量、#いかなる手続を経て行うかの裁量の余地もある。

[『LEGAL QUEST行政法』3版108頁~110頁参照。法的判断枠組み(法概念の基礎的説明)。]

 

行政法17/ 288/ 法への事実の包摂につき、#不確定な法概念でもそれだけで要件裁量は認められない。通常人の経験則や社会通念により客観的に認定しうる場合は除く。#専門技術的・政治政策的判断も要する場合に認められうる。その場合も、司法審査を免れる自由裁量(便宜裁量)でなく、覊束裁量(法規裁量)と解する。

[『LEGAL QUEST行政法』3版109頁参照。法的判断枠組み(法律要件についての行政庁の裁量)。]

 

●実体的統制

行政法1/ 33/ 裁量基準は、法律が与えた裁量の範囲内で合理的でなければならず、法律の趣旨・目的を逸脱した不合理なものであれば、それに従ってなされた行政処分も違法となる。もっとも、ある特定のケースへの機械的適用が、かえって法律の趣旨・目的を損なうような場合、個別的な特殊性への配慮を要する。#行政法

[『事例研究 行政法』2版350頁、351頁参照。法的判断枠組み。]

 

●判断過程の統制

行政法14/ 285/ 被侵害利益が重大か、多数人の利益調節を要する場合、原告の権利保護の見地から、裁量判断の逸脱・濫用につき審査密度を高める必要がある。①#重要な事実の基礎を欠くか、②考慮不尽、他事考慮、事実評価の不合理により、#判断内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くならば、違法であると解する。

[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系168頁(最判平18・11・2民集60-9-3239、小田急訴訟本案判決。『事例研究 行政法』2版56頁)参照。法的判断枠組み(裁量について判断過程審査を行うべき場合、および、審査基準)。]

 

●手続の統制 [←後日,書き足すかもしれませんが,とりあえず,タイトルだけ記載。]