ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

会社法/ 計算・債権者保護制度

法律に関し,140字以内にまとめ,可能な範囲で,①法的判断枠組み,②事実の分析・評価(例)に分けています。間違い等のご指摘等,よろしくお願い致します。 twitter.com 

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●会計と法規制

[・会社が自らの財政状態や経営成績を定期的に把握し、関係者(株主、会社債権者など)に開示することを、#会計 という。株式会社は、事業を行い、その利益を株主に分配する(会社法105条2項参照)。そのための前提として、会計が必要である。

 会社の利益は、①#会計帳簿(会社法432条1項、2項)、具体的には、元帳、仕訳帳、伝票、②#計算書類・事業報告書・附属明細書(連結計算書類が作成されることもある。#決算)の、2つの段階を経て記録される。複式帳簿という方法による。

 会計についてのルールは、会社法に定められるほか、会社法施行規則、会社計算規則、金融商品取引法法人税法など、に定められている。しかし、具体的に定めるべきルールは膨大で、その変化も速いため、法令で全てを定めるのではなく、一般に公正妥当と認めれる企業会計の慣行(#公正な会計慣行)に従うべきものとされる(会社法431条、計算規則3条も参照)。これによって、特段の事情がないにもかかわらずそのような慣行に従わないことは、会社法に反することになる。企業会計審議会が定めた #企業会計原則 や、公益財団法人財務会計基準機構企業会計基準委員会の設定する会計基準などが、そのような慣行にあたる。

 1つの事実について複数の会計処理のいずれかを会社が選択できる場合、原則として会社は選択した会計処理方法を継続して適用しなければならない。正当な理由なくみだりに変更してはならない(#継続性の原則)。]

 

会社法94/ 計算3/ 470/ 会社利益は,①#会計帳簿(会社法432条,元帳,仕訳帳,伝票),②#計算書類・事業報告書・附属明細書の2段階(決算)を経て記録(複式帳簿)。会計ルールは,会社法,施行規則,計算規則,金融商品取引法,法人税法などに規定。具体的ルールは膨大,変化も速いため,#公正な会計慣行に従うべきもの(431条,計算規則3条)。

[『LEGAL QUEST会社法』3版256頁-257頁参照。法的判断枠組み(制度,条文)。]

 

●閲覧謄写請求た株主の親会社と請求を受けた会社とが競争関係にある場合

商法17/ 会社法17/ 87/ 閲覧謄写請求した株主の親会社と、請求された会社とが競争関係にある場合、#会社法433条2項 3号の「請求者」と「実質的に競争関係」にある場合にあたる。競業者等が会計帳簿等の閲覧等により会社の秘密を利用し、会社に甚大な被害を生じさせないよう未然に防止する必要は変わらないからである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6355頁(東京地判平19・9・20)参照。事実の分析・評価例。]

 

●分配可能額の規制に違反する剰余金の配当等

[・会社債権者の利益保護のために分配可能額が定められ、剰余金の配当等はその限度内でしか許されない(会社法461条)。この規制の実効性確保のため、違反して剰余金配当等が行われた場合、一定の者に会社に金銭を支払う義務が負わされる。]

[・まず、分配可能額規制違反の行為により金銭等の交付を受けた者は、交付を受けた金銭等すべての帳簿価額に相当する金銭を、会社に対して支払う義務を負う(462条1項柱書。同条3項ただし書参照)。過失の有無を問わないが、免除について制限がない。

 会社の債権者は、債権額の範囲内で、義務を負う株主に対し、自己への支払いを請求できる(463条2項)。]

[・金銭等の交付を受けた者に支払い義務を履行させることが難しい場合もあるので、会社法は、①当該行為に関する職務を行った業務執行者(462条1項柱書)と、②総会議案提案取締役・取締役会議案提案取締役等(同条項各号、計算規則160条・161条)にも責任を負わせる。

 すなわち、①②の者は、分配可能額規制に違反して配当された剰余金等の帳簿価額の総額に相当する金銭を、連帯して会社に支払う義務を負う。

 ①②の者は、その職務を行うについての無過失を証明すれば、義務を免れる(462条2項)。また、それらの義務は、行為時の分配可能額を限度として、総株主の同意によって免除できる(同条3項)。

 ①②の者が義務を履行すれば、金銭等の交付を受けた者に求償できる。ただし、違反につき善意であった株主は求償義務を負わない(463条1項)。]

[・分配可能額規制違反の剰余金配当等につき、監査役や会計監査人なども、会社に対して任務懈怠責任を負う可能性がある(423条1項。]

 

会社法93/ 計算2/ 470/ 社債権者利益保護のため,分配可能額内でのみ剰余金配当等が可(会社法461条)。実効性確保のため,違反した剰余金配当等につき,一定の者は会社への金銭支払義務を負う。金銭等の交付を受けた者は,#交付を受けた金銭等すべての帳簿価額に相当する金銭支払義務を負う(462条1項柱書)。過失の有無問わない。

[『LEGAL QUEST会社法』3版285頁,R23②,参照。法的判断枠組み(条文制度)。]