ミニマム法律学

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責任財産の保全 (債権総論)

 

法律に関し,140字内にまとめ( @right_droit , http://twpf.jp/right_droit)、可能な範囲で,①法的判断枠組み,②事実の分析・評価(例)に分けています。間違い等ありました、ご指摘お願い致します。

 

責任財産保全(債権の対外的効力)〕

債権者代位権

債権者代位権

[・債権者代位権の要件は、①債権保全の必要性(債務者の無資力)、②債務者が代位対象となる権利を行使していないこと、③代位対象となる権利が債務者の一身に専属する権利でないこと、④被保全債権が弁済期にあること(ただし、裁判上の代位、保存行為の場合はこの要件は不要)、である(民法423条1項2項)。

 債権者代位権は、責任財産保全を趣旨とするから、原則として被保全債権は金銭債権であるが、例外として、非金銭債権の保全に転用される場合があり、その場合、①の債権保全の必要性(債務者の無資力)の要件は不要である。

 要件③は、権利行使について権利主体の意思を尊重するためのものである。したがって、離婚に伴う財産分与請求権、名誉毀損を理由とする慰謝料請求権については、具体的な金額が確定した後にのみ、代位行使可能と解すべきである。遺留分減殺請求権については、遺留分権利者が権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債務者の一身に専属する権利にあたると解すべきである。

 債権者代位権は建前上、総債権者の共同担保として責任財産保全を目的とする制度ではあるが、判例上は、代位債権者に対して事実上の優先弁済効が生じることが認められている。]

 

民法48/ 債権総論14/ 460/ 債権者代位権,①債権保全の必要性(#債務者無資力),②債務者が権利未行使,③債務者の一身専属権でない,④被保全債権が弁済期(裁判上代位,保存行為除く)が要件(民法423条)。#責任財産保全の趣旨から,原則,金銭債権限定。例外,転用事例(①不要)。要件③,離婚に伴う財産分与請求権など,#具体的金額確定要。

[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本②民事系』59頁参照。法的判断枠組み。]

 

 

■詐害行為取消権

詐害行為取消権

[・詐害行為取消権の要件は、①被保全債権が詐害行為前に存在していること、②債務者の無資力、③詐害行為、④債務者の詐害意思、⑤受益者または転得者の悪意、⑥財産権を目的とする法律行為を債務者が行ったこと、である(民法424条1項2項)。

 廉価売却や贈与など、客観的に責任財産を減少させることが明白な行為であれば、端的に③の詐害行為の要件をみたす。問題となるのは、計数上は責任財産を減少しないが詐害性が認められるような行為、たとえば、相当価格による不動産売却、弁済、相当価格による代物弁済、担保設定などである

 詐害行為取消権は責任財産保全するためのものなので(制度趣旨)、取消しの対象は財産権を目的とする法律行為に限られる。この点、財産処分の性質を有する身分行為、たとえば、離婚に伴う財産分与については、問題となる場合がある。判例は、民法768条の規定の趣旨(共同財産の清算、扶養、慰謝料)に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とならない、旨判示する。すなわち、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約、ないし、対価を欠いた新たな債務負担行為というべき場合には、詐害行為取消権の対象となる。

 詐害行為取消権の法的性質としては、詐害行為を取り消し、かつ、逸出財産の取戻しを請求するというものである。被告となるのは、受益者または転得者である。取消しの効果は、債権者と被告との間でのみ相対的に生じる。債務者との間では、取消対象の法律行為は以前有効である。]

 

 

民法40/ 債権総論9/ 417/ 詐害行為取消権の要件は,①被保全債権が詐害行為前に存在していること,②債務者の無資力,③#詐害行為,④債務者の詐害意思,⑤受益者または転得者の悪意,⑥財産権を目的とする法律行為を債務者が行ったこと,である(民法424条1項2項)。③は,計数上は責任財産を減少しないが詐害性が認められる行為が問題。

[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系57頁参照。法的判断枠組み(条文)。

 従来の判例は、不動産の売却は、価格が相当でも #詐害行為 になりうるとしてきた(大判明39・2・5民録12-133等)。現金に代わってしまうと、勝手に使われてしまう可能性が高まるからである。ただし、抵当権を消滅させるための弁済資金を調達することを目的とした不動産売却は詐害行為にならないとしたものがある(最判昭41・5・27民集20-5-1004)。他方、動産の相当対価での処分は、(改正破産法と同様、)取消しの対象とならないと考えるべきだろう(内田『民法Ⅲ』3版312頁、313頁参照)。https://twitter.com/right_droit/status/946040399717482497]

 

民法21/ 債権総論5/ 266/ 詐害行為取消権の対象は原則、財産権を目的とする行為であり、身分行為は取消しの対象とならない(民法424条2項)。もっとも、財産分与(768条)が #不相当に過大で債権者を害する場合、過大な部分は取り消しうる。当該部分は財産分与に仮託した隠匿行為といえ、身分性は失われるからである。

[『工藤北斗の合格論証集』民法2版99頁(最判昭58・12・19、最判平12・3・9)参照。法的判断枠組み(判例)。判例の原文までは読んでいませんので、言い回し等異なる場合もあるかもしれません。各自でご確認下さい。]

 

民法22/ 債権総論6/ 267/ 財産権を目的としない法律行為」(#民法424条2項)は、婚姻、離婚、養子縁組、相続の承認等である。もっとも、離婚に伴う財産分与につき、#768条3項の趣旨に反し不相当に過大で、#財産分与に仮託してされた財産処分と認めるに足りるような特段の事情があれば、詐害行為取消し対象となる。

[内田『民法Ⅲ』3版307頁(最判昭58・12・19民集37-10-1532)参照。法的判断枠組み(判例)。]

 

 

民法23/ 債権総論7/ 268/ 取消し(民法424条)の対象は狭義の法律行為に限定されず、#履行行為たる弁済も含まれる。しかし、#登記や債権譲渡通知等の対抗要件具備行為は含めるべきでない。厳格に債権者間の公平を求める破産手続等における否認さえ、対抗要件具備が本来履行行為であることから限定的にすぎないからである。

[内田『民法Ⅲ』3309頁参照。法的判断枠組み(制度間の比較)。破164条参照。]