ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

10月分ツイート(40。憲法4、/民法2、民訴法25、倒産法3。/刑法6)

法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています( twitter.com, http://twpf.jp/right_droit)。 I'm squeezing legal writings to 140 characters.I think it is useful to know what the essence of writings are, and that motivates me to learn laws regularly.

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関連/ 平成28年度民事系第3問、関連(未完)。
設問1
権利能力なき社団 https://goo.gl/PKM17F
代理権 https://goo.gl/jtawVb
多数当事者訴訟 https://goo.gl/hm9Ncz6
主観的追加的併合 https://goo.gl/mkNRix
設問2
訴えの利益等 https://goo.gl/NtGo7t
設問3

関連/ 平成18年度倒産法第1問、関連(未完)
設問2
https://goo.gl/CwvrxL

関連/ 平成18年度倒産法第2問、関連(未完)
無償行為否認
設問1
https://goo.gl/q5E4Cn

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▼以下、時系列で、ツイート掲載。
2017年10月27日(1)
民法総則4/ 389/ 弁済供託の供託物の取戻請求権は消滅時効の起算点は、供託の基礎となった債務につき紛争解決などで不存在が確定するなど、#供託金が免責効果を受ける必要の消滅時(民法166条1項参照)。弁済供託は民法上の寄託契約の性質を有するから、供託金の払戻請求権の消滅時効は、10年(167条1項)。
 最判昭45・7・15民集24-7-771(『判例プラクティス民法Ⅰ』〔213〕222頁)参照。[事実の評価・分析。
 法的三段論法の大前提たる法的判断枠組みか?小前提たる事実の分析・評価かに振り分けづらい場合がある。
 別に振り分けなくてもいいのだろうが、そうなると法的三段論法で書けない。もっとも、こうした細かな論点は法的三段論法で書かずともいいのかもしれない。論文問題の中心となるテーマ・論点で法的三段論法を使えばいいんだろうな?
 よくわからないが、とりあえず、法的な文章・命題をどちらかに振り分けることを続けていこう(2017年10月27日)。]


2017年10月26日(4)
民訴法84/ 388/ 共同訴訟人間の当然の補助参加関係理論は、共同訴訟人の一人による訴訟行為が他の共同訴訟人のためにもされたと見て、紛争の統一的解決を図る。しかし、補助参加の利益があっても、補助参加の意思まで擬制できないし、#そもそも各共同訴訟人と相手方間の請求を矛盾なく判断させるための制度でもない。
 『民事訴訟判例百選』5版〔95〕201頁参照。[法的判断枠組み(兼子説への批判)]

民訴法83/ 387/ 訴訟経済や統一的紛争解決を強調し、一人の共同訴訟人がある主張をし、他の共同訴訟人がこれと抵触する行為を積極的にしていない場合、他の共同訴訟人に有利であるかぎり、#共同訴訟人間に主張共通を認める見解もある。しかし、通常共同訴訟は紛争の統一的解決を要求しないし、民訴法39条に反する。
 『民事訴訟判例百選』5版〔95〕201頁参照。[法的判断枠組み(新堂説への批判)]

民訴法82/ 386/ 共同訴訟人の一部が提出した証拠は、援用の有無にかかわらず他の共同訴訟人についても事実認定の資料にできる(#共同訴訟人間における証拠共通の原則)。弁論・証拠調べが原則、共通の期日で行われ、#自由心証主義の下で1つの歴史的事実につき異なる事実認定をするのは不可能・不自然だからである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔95〕200頁、201頁参照。[法的判断枠組み]


民訴法81/ 385/ 通常の共同訴訟では、共同訴訟人の一人のする訴訟行為は他の共同訴訟人のために効力を生じないのであって、共同訴訟人間に共通の利害関係が存するときも同様。したがって、#共同訴訟人が相互に補助するためには_補助参加の申出を要する。そうしなければ、#明確な基準なく_訴訟を混乱せしめるから。
 最判勝43・9・12民集22-9-1896(『民事訴訟判例百選』5版〔95〕200頁)、R28③、参照。[法的判断枠組み(当然の補助参加の理論の否定)]


2017年10月24日(3)
民訴法80/ 384/ 控訴裁判所裁判長は控訴事件の口頭弁論開始前に控訴状に民事訴訟費用等に関する法律所定の印紙貼用(ちょうよう)なきとき、相当期間を定め追貼を命じ、従わないときは控訴状却下できるが(#民訴法288条・137条2項)、#いったん口頭弁論を開始した後は_控訴裁判所が判決で控訴を却下すべき。
 大決昭14・3・29民集18-6-365(『民事訴訟判例百選』2版〔55〕130頁)参照。[法的判断枠組み(条文解釈)。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版331頁参照。控訴状の送達費用を払わない場合は、289条2項かっこ書なんだ。細かな違いだなー。]

民訴法79/ 383/ 裁判所が法律問題指摘義務に反し指摘しなかった場合、#その法的観点による後訴は遮断されないが、評価規範として勝訴した相手方との利益考量を要し、#後訴原告が前訴で主張し得なかったことに無過失を要する。
本件では、亡Aの買得事実が争われ、相続による共有持分主張につき無過失とはいえない。
判例講義民事訴訟法』〔173〕259頁(最判平9・3・14判時1600-89)参照。[法的判断枠組み、および、事実の評価・分析]

民訴法78/ 382/ Xは前訴で、#本件土地の売買・取得時効による所有権のみ主張し、事実審口頭弁論終結時以前に生じていたA死亡による相続の事実を主張しないまま、請求棄却判決が確定したのだから、Xが本訴で相続による(所有権の一部たる)#共有持分の取得を主張することは_前訴判決の既判力に抵触し許されない。
 最判平9・3・14判時1600-89(『判例講義民事訴訟法』〔173〕258頁、『民事訴訟判例百選』5版〔A27〕261頁等)参照。[事実の分析・評価]


2017年10月23日(3)
民訴法77/ 381/ Y社設立がA社の債務支払免脱目的の法人格濫用なら、XはAへの判決内容たる損害賠償請求をYに行える(法人格否認法理)。しかし、#権利関係の公権的解決・迅速確実な実現のため手続の明確・安定を重んずる訴訟手続・強制執行手続では_手続の性格上Aへの判決の既判力・執行力をYに拡張できない。
最判昭53・9・14判時906-88(『民事訴訟判例百選』5版〔88〕186頁)参照。[法的判断枠組み(法人格否認の法理の訴訟手続・執行手続への拡張の可否、既判力・執行力の客観的範囲)]

民訴法76/ 380/ 不真正連帯債務者中の一人と債権者間の確定判決は、他の債務者に効力(#反射効)を及ぼさない。民訴法114条2項により確定判決の既判力が相殺のために主張された反対債権の存否につき生ずる場合も同様。他の債務者と債権者間の訴訟で判決の基礎とするためには、相殺が実体法上有効との認定判断要。
 最判昭53・3・23判時886-35(『民事訴訟判例百選』5版〔89〕188頁)参照。[(法的)事実の分析・評価]

民訴法75/ 379/ 不執行の合意等は、実体法上債権者に不作為義務を負わせるにとどまり、執行機関を直接拘束しないので、合意に反する強制執行民事執行法規に照らし直ちに違法とはいえない。#不執行の合意等は請求債権の効力の停止・限定という請求異議事由と実質を同じくするので_請求異議の訴えにより主張すべき。
 最判平成18・9・11民集60-7-2622(平成18年度『重要判例解説』〔民訴法4〕134頁)、中西ほか『民事執行法民事保全法』84頁、参照。[(法的)事実の分析・評価]


2017年10月15日(2)
民訴法74/ 378/ 反訴(民訴法146条1項)請求が、「本訴請求と関連する」とは、訴訟物たる権利の内容または発生原因において共通点を有すること、「防御方法と関連する」とは、#本訴請求に対する抗弁事由とその内容または発生原因において共通点を有することをいう。防御方法は実体法的に成り立つ可能性を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版82頁、R28③設問2参照。[法的判断枠組み(手続要件についての条文解釈)]

民訴法73/ 377/ 別件訴訟の訴訟代理人を相手として、当事者を代理すべき訴訟代理権を有しない旨の確認判決を求めても、#相手方は別件の単なる訴訟代理人_本件請求をした原告も第三者にすぎないことから_別件訴訟当事者を拘束する効力はない。当該別件訴訟において問題とすべきであり、本件請求は確認の利益を欠く。
 最判昭28・12・24民集7-13-1644(LEX/DB27003239)、R28③設問2、参照。[事実の分析・評価]


2017年10月13日(3)
民訴法72/ 376/ 株主代表訴訟で訴訟追行意思を失った者の意思に反し上訴人の地位に就くことを求めるべきでないし、各株主の個別的利益が直接の問題ではないから、審判範囲、審理態様、判決効力等に影響ない。民訴法40条1項に関わらず、#株主代表訴訟では自ら上訴しなかった共同訴訟人は上訴人の地位には就かない。
 最判平12・7・7民集54-6-1767(『民事訴訟判例百選』5版〔101〕212頁)参照。[事実の分析・評価。
 住民訴訟株主代表訴訟など、同様の特質・構造を有する訴訟類型には、同様の趣旨が妥当する(『民事訴訟講義案』再訂補訂版)303頁注1参照。]

民訴法71/ 375/ 類似必要的共同訴訟で共同訴訟人の一部が上訴すれば、原判決確定が妨げられ、全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴しなかった共同訴訟人にも及ぶ。#合一確定のためにはその限度で効力を生じれば足りる。特に一定の訴訟類型では、自ら上訴しなかった共同訴訟人は、上訴人にはならない。
 最判平12・7・7民集54-6-1767(『民事訴訟判例百選』5版〔101〕212頁)、『民事訴訟法講義案』再訂補訂版303頁注1、参照。[法的判断枠組み(法制度・手続についての解釈)]

民訴法70/ 374/ 当然の主観的追加的併合は、明文規定なく、認められない。認めても、新訴に旧訴訟の訴訟状態を当然に利用できるか問題があり、必ずしも訴訟経済に適うものではなく、#かえって訴訟を複雑化させる弊害_軽率な提訴・濫訴が増えるおそれもあり_新訴提起時期いかんによっては訴訟遅延を招きやすいから。
最判昭62・7・17民集41-5-1402(『民事訴訟判例百選』5版〔96〕202頁)、R28③、参照。[法的判断枠組み(判例)]


2017年10月11日(2)
民訴法69/ 373/ 遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、勝訴の確定判決の既判力により、当該財産の遺産帰属性を争うことは許されななくなり、紛争解決に資する。#共同相続人全員が当事者として関与_合一確定を要する固有必要的共同訴訟である。
 最判平元・3・28民集43-3-167(『民事訴訟判例百選』5版〔100〕210頁)参照。[事実の分析・評価]


民訴法68/ 372/ 土地所有者が所有権に基づき地上建物所有者たる共同相続人に、建物収去土地明渡請求する訴訟は、固有必要的共同訴訟ではない。#共同相続人等の義務は不可分債務であり、請求認容のときに、同人らは土地所有者に対し、各自係争物件への侵害全部を除去すべき義務を負うから(民法430条・432条)。
 最判昭43・3・15民集22-3-607(『民事訴訟判例百選』5版〔99〕208頁)参照。[事実の分析・評価]


2017年10月10日(3)
民訴法67/ 371/ #共有者が求める移転登記請求は_共有者全員が原告となるべき固有必要的共同訴訟。抹消登記は不実登記の抹消だけで、1人での訴求も共有者全員の利益となるが、移転登記は共有者全員の登記としなければ意味なく、1人で移転登記請求し1人だけの登記を実現すれば実体に合わず他者の利益を害するから。
 『民事訴訟判例百選』5版207頁解説タテ3(最判昭46・10・7民集25-7-885 『民事訴訟判例百選』5版〔A31〕263頁)参照。[事実の分析・評価]

民訴訟66/ 370/ ①共有権確認を求める訴えは、共有者全員が当事者となる必要がある固有必要的共同訴訟だが、②持分権確認を求める訴えは、各共有者が持分権に基づき単独提起可。③共有権に基づく請求(妨害排除請求など)は、#持分権に基づく保存行為や不可分債権という構成員単独行使可能な実体権あれば、単独で可。
 『民事訴訟判例百選』5版206頁解説タテ2参照。[法的判断枠組み]

民訴法65/ 369/ 不動産共有者の1人は、#持分権に基づき共有不動産への妨害を排除できるところ、#不実の持分移転登記ある場合、共有不動産に対する妨害状態が生じているということができるから、共有不動産に全く実体法上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し、#単独で抹消登記手続請求できる。
 最判平15・7・11民集57-7-787(『民事訴訟判例百選』5版〔98〕206頁)参照。[事実の評価]


2017年10月9日(1)
倒産法44/ 破33/ 368/ 破産者が義務なく他人のためにした保証・抵当権設定等の担保供与は、#それが債権者の主たる債務者への出捐の直接的原因でも、#破産者がその対価として経済的利益を受けない限り、破160条3項の無償行為にあたる。#主たる債務者が同族会社で_破産者がその代表者・実質的経営者のときも妥当する。
 最判昭62・7・3民集41-5-1068(『倒産判例百選』5版〔34〕70頁)、R18②設問1、参照。[事実の評価例]


2017年10月8日(7)
刑法51/ 総論31/ 367/ Aの暴行脅迫とXの刺突行為の時間的接着。Aの暴行脅迫意思放棄を思わせる行動も認められない。Xは64歳、身長168cm、体重67kgなのに対し、Aは44歳、身長178cm、体重87kgのがっしりとした体格、脱出にはAの横を通るしかない等を考え合わせると、#侵害の急迫性は失われない。
阪高判平16・7・23高刑速(平16)154頁(『判例プラクティス刑法Ⅰ』〔196〕212頁)参照。[事実の分析・評価例]

刑法50/ 総論30/ 366/ ①侵害の予期があっても侵害の急迫性は直ちに失われないが、#積極的加害意思ある場合は急迫性が失われ、正当防衛は否定される。②憤激・逆上し、攻撃の意思が存在しても、防衛の意思は必ずしも否定されないが、積極的加害行為と認められ、#もっぱら攻撃意思で反撃が行われる場合、それは否定される。
 山口『刑法総論』3版134頁参照。[法的判断枠組み(判例)]

刑法49/ 総論29/ 365/ #喧嘩闘争は全般的に観察することを要し、闘争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様により事を判断してはならないが、#喧嘩闘争においてもなお正当防衛成立の余地がある。
原審は、闘争全般を観察しなかったか、喧嘩闘争には常に全く正当防衛の観念を容れる余地がないとの前提に立ったかの点で、不当。
 最判昭32・1・22刑集11-1-31(『判例プラクティス刑法Ⅰ』〔191〕207頁)参照。[法的判断枠組み(判例)]

刑法48/ 総論28/ 364/ 予期した侵害を回避・退避しないだけでなく、その機会を利用し積極的に相手に加害行為をするため、侵害に臨み、相手に攻撃を加える場合、実質は単に相手を侵害する場合と同視可。その反撃行為には、#緊急行為性(侵害からの保護を求める余裕がない状況での行為)がないので、侵害の急迫性が失われる。
 山口『刑法総論』3版126頁(最判平52・7・21刑集31-4-747)参照。[法的判断枠組み(理論的説明)]

刑法47/ 総論27/ 363/ 急迫性要件は,予期された侵害の回避義務を課す趣旨ではないから、ほとんど確実に侵害が予期されたとしても、ただちに侵害の急迫性は失われない。しかし、単に予期された侵害を避けなかったにとどまらず、#その機会を利用し積極的に相手に加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、急迫性要件を欠く。
 最判昭52・7・21刑集31-4-747(『判例プラクティス刑法Ⅰ』〔188〕204頁)参照。[法的判断枠組み(判例)]

刑法46/ 総論26/ 362/ Xが自動車のダッシュボード内に本件刃物を入れておいたことは不法な刃物の携帯(#侵害発生以前からの不法な携帯)にあたり、それを護身用にポケットに移し替え携帯したとしても、不法な刃物の携帯の一部と評価できるので、検察官が本件刃物を現認した時点でのXの携帯行為には、違法性阻却余地なし。
 『判例プラクティス刑法Ⅰ』205頁〔189〕(最判平17・11・8刑集59-9-1449)、銃砲刀剣類所持等取締法2条2項、3条1項等、参照。[事実の分析・評価]

倒産法43/ 破32/ 361/ #停止条件付自働債権は、条件が成就しない間、債権はいまだ発生していないから(民127条1項)、相殺に供しえない(破67条1項参照)。しかし、破産手続中に条件成就の可能性があるので、破産債権者は、債務弁済の際に、後日の相殺の可能性確保のため、#弁済額の寄託を請求できる(同70条)。
 伊藤『破産法・民事再生法』2版363頁・364頁。R18①設問2、参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年10月7日(2)
民訴法64/ 360/ 権利能力なき社団たる入会団体の #代表者 が構成員全員の総有に属する不動産の総有権確認訴訟を追行するには、規約等に定められた総会の議決等の手続による処分権限の授権を要する。なぜなら、#当該確定判決の効力は構成員全員に及ぶし、入会団体の(訴訟上の)代表権の範囲は団体ごと異なるから。
 『民事訴訟判例百選』5版26頁・27頁〔11事件〕(最判平6・5・31民集48-4-1065)参照。[事実の分析]

民法総則3/ 359/ 権利能力なき社団は、#団体としての組織をそなえ、#多数決原則が行われ、#構成員の変動にかかわらず団体そのものが存続し、#代表の方法_総会の運営_財産の管理その他団体としても主要な点が確立していることを要する。その代表者により社団の名で構成員全体のため権利を取得し、義務を負担する。
 最判昭39・10・15民集18-8-1671(『判例プラクティス民法Ⅰ』〔40〕44頁)参照。[法的判断枠組み(法的概念の要件・効果)]


倒産法42/ 破31/ 358/ 破産手続開始決定時に破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存在する場合、手続開始決定後に当該不動産が転貸されても、(転貸に伴い交換価値が消滅・減少する等の)#特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破48条1項の「#破産者の法律行為によらない権利取得」には該当しない。
 最判昭54・1・25民集33-1-1(『倒産判例百選』5版〔73〕148頁)参照。[事実の評価]


2017年10月4日(4)
民訴法63/ 357/ 遺言者の生存中は、受遺者は、事実上の期待を有する地位にあるにすぎないので、このような地位は、#確認の訴えの対象となる権利または法律関係には該当しない。遺言者が心神喪失の常況にあり、回復する見込みなく、#遺言者による当該遺言の取消・変更の可能性が事実上ない状態にあるとしても、同様。
 最判平11・6・11判時1685-36(『民事訴訟判例百選』5版〔26〕58頁)参照。[法的判断枠組み(下位規範)か事実の分析・評価(法的地位にあるという事実の分析・評価)か、どちらに分類すべきか、微妙。とりあえず、法的判断枠組みとする。
 しかし、判例・学説の進展によって、もっと細密な分析がなされることも予想される。]

民訴法62/ 356/ 遺言は遺言者死亡により初めて効力を生ずる(民法985条1項)、遺言者はいつでも既にした遺言を取り消せる(1022条)、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡すれば効力は生じない(994条1項)のだから、#遺言者生存中は何ら法律関係は生じない。受遺者は、事実上の期待を有する地位にすぎない。
 最判平11・6・11判時1685-36(『民事訴訟判例百選』5版〔26〕58頁)参照。[事実の分析・評価(「受遺者」という法的地位の分析)。法的判断枠組みにあたるのか、事実の分析評価にあたるのかの選別(分類)は微妙なものだと思います。
 判旨のこの部分は、法的判断ですが、受遺者という法的地位にあるという事実の分析とも言え、また、そういう事実にあてはまる場合に、「確認の訴えの対象となる権利又は法律関係」に該当するかという、事実のあてはめ段階とも取られます。
 とりあえずの分類です。]

民訴法61/ 355/ 入会集団の構成員のうちに入会確認の訴えの提起に同調しない者がいる場合、入会権の存在を主張する構成員が原告となり、#訴え提起に同調しない者を被告に加え、訴え提起できる。当該判決の効力を構成員全員に及ぼしても、#構成員全員が訴訟当事者として関与するのだから、構成員の利益は害されない。
 最判平20・7・17民集62-7-1994(『民事訴訟判例百選』5版〔97〕204頁)参照。R28③。[法的判断枠組み(判例)]

民訴法60/ 354/ 入会地であることの確認を求める訴えは、入会集団の構成員全員が当事者として関与し、その間で合一確定を要する #固有必要的共同訴訟 である。#構成員のうちに訴え提起に同調しない者がいても、入会権の存否に争いがあるときは、#入会権の存在を主張する構成員の訴権は保護されなければならない。
 最判平20・7・17民集62-7-1994(『民事訴訟判例百選』5版〔97〕204頁)参照。R28③。[法的判断枠組み(民事手続制度について、ある解釈をとるべき理由。判例)]

2017年10月1日(4)
憲法38/ 353/ 一般に、同一人に同一の性格を有する2以上の公的年金が支給される複数事故それぞれにより稼得能力の喪失・低下をもたらすとしても、#その程度が必ずしも事故の数に比例し増加するとはいえない。このような場合に社会保障給付の全般的公平のため公的年金相互間の併給調整を行うかは、#立法府の裁量。
 最大判昭57・7・7民集36-7-1235(『判例プラクティス憲法』増補版〔221〕293頁)参照。[法的判断枠組み(下位規範)]

憲法37/ 352/ 「健康で文化的な最低限度の生活」の具体化は、国の財政事情、高度の専門技術的考察に基づく政策判断。したがって、憲法25条の趣旨にこたえどのような具体的立法を講ずるかは、#立法府の広い裁量にゆだねられ、#著しく合理性を欠き明らかな裁量の逸脱・濫用の場合を除き、裁判所の審査に適さない。
 最大判昭57・7・7民集36-7-1235(『判例プラクティス憲法』増補版〔221〕293頁)参照。[法的判断枠組み(条文解釈、判例)]

憲法36/ 351/ 「健康で文化的な最低限度の生活」は、きわめて抽象的・相対的概念で、#時々における文化の発達の程度_経済的・社会的条件_一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断される。#具体的立法には_国の財政事情_多方面にわたる複雑多様_高度の専門技術的考察に基づいた政策的判断を要する。
 最大判昭57・7・7民集36-7-1235(『判例プラクティス憲法』増補版〔221〕293頁)参照。[法的判断枠組み(条文の文言の解釈方法、判例)]

憲法35/ 350/ 憲法21条1項は、#福祉国家理念に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるような国政を運営すべきことを国の責務として宣言し、2項は、同理念に基づき、社会的立法・社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務(生存権の具体化について努力する義務)として宣言した。
 最大判昭57・7・7民集36-7-1235(『判例プラクティス憲法』増補版〔221〕293頁)参照。[法的判断枠組み(条文の説明、判例)]