140字法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように140字以内にまとめています。https://twitter.com/right_droit

倒産法/ 否認権 (15ツイート)

法律に関する文章を読んで140字以内にまとめ,できる範囲で①法的判断枠組み,②事実の分析・評価(例)に分けています。  https://twitter.com/right_droit_2, twitter.com , http://twpf.jp/right_droit 

 

否認権〕

■否認権の意義等 

■詐害行為否認(破160条) (●無償行為否認(破160条3項)) ■偏頗行為否認 

■その他の否認(●対抗要件否認 ●執行行為否認) 

■否認権行使の手続(●否認の登記) ■否認の効果

 

■否認権の意義等

 

倒産法32/ 破21/ 238/ #否認権 は、破産者が破産手続開始前にした破産債権者を害する行為の効力を、破産財団との関係において失わせ、責任財産から逸出した財産を破産財団に回復するために #破産管財人 に与えられた権利である。詐害行為や偏頗行為の効力を否定し、破産債権者に対する公平な配当を実現する趣旨である。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版92頁参照。法的判断枠組み(基本事項)]

 

 

■詐害行為否認(破160条)

●詐害行為否認(破160条1項2項)

倒産法33/ 破22/ 239/ 詐害行為否認、#故意否認(破160条1項1号)の要件は、①破産者が破産債権者を害することを知ってした行為、②詐害行為が破産手続開始決定前、③相手方善意は抗弁事由。#危機否認(2号)は、①支払停止または破産手続開始申立て後になされた、破産債権者を害する行為、②相手方善意は抗弁事由。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。法的判断枠組み(条文説明)。]

 

倒産法34/ 破23/ 240/ 詐害行為否認、#対価的均衡を欠く場合(破160条2項)の要件は、①破産者がした債務の消滅に関する行為、②債権者の受けた給付の価額が消滅した債務額より過大、③同条1項各号の要件みたす。#無償行為の場合(3項)、①支払停止等の後またはその前6月以内の無償行為および同視すべき有償行為。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。法的判断枠組み(条文説明)。]

 

●無償行為否認(破160条3項)

倒産法44/ 破33/ 368/ 破産者が義務なく他人のためにした保証・抵当権設定等の担保供与は、#それが債権者の主たる債務者への出捐の直接的原因でも、#破産者がその対価として経済的利益を受けない限り、破160条3項の無償行為にあたる。#主たる債務者が同族会社で_破産者がその代表者・実質的経営者のときも妥当する。

[最判昭62・7・3民集41-5-1068(『倒産判例百選』5版〔34〕70頁)、R18②設問1、参照。事実の評価例。]

 

倒産法1/ 破1/ 1/ 無償で行った保証は、無償行為否認(#破160条3項)の対象となる。主たる債務者が同族会社で、破産者がその実質的な経営者であるときも同じである。なぜなら、無償行為とは破産者にとって無償であれば足り、求償権は債権者への弁済という出捐を回復するもので、保証の対価とはいえないからである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版94頁(最判昭62・7・3)、R18②、参照。事実の分析評価例。]

 

●相当な対価を得てした処分行為について

倒産法48/ 破37/ 否認権15/ 480/ 相当対価を得てした処分行為は,①#破産者の隠匿・無償供与など破産債権者を害する処分のおそれを現に生じさせる,②#行為時に隠匿等の処分意思を有していた,③#相手方がその意思を知っていた,という要件を破産管財人がすべて立証した場合に限り,否認可(破161条1項)。対象・要件を限定し取引安全に配慮。

[山本和彦『倒産処理法入門』4版102頁-103頁参照。法的判断枠組み(条文)。]

 

■偏頗行為否認

●偏頗行為否認(162条)

破35/ 448/ 偏頗行為否認(破162条)は,原則,支払不能時が基準時である(同条1項1号)。#債務者が支払能力欠乏のため弁済期にある債務を一般的・継続的に弁済できない(2条11項参照)とき,一部債権者のみへの弁済は許されないし,相手方も弁済を受け取ってはならないと考えられるから。#受益者の悪意が条件とされている。

[山本和彦『倒産処理法入門』4版103頁参照。法的判断枠組み。]

 

破36/ 449/ 受益者の悪意は,原則,破産管財人が証明責任を負うが,#受益者がいわゆる内部者である場合,通常,破産者の経済状態を熟知してるはずなので,証明責任が転換される(破162条2項1号)。さらに,#対象たる行為や時期についての非義務行為も,証明責任が転換され,支払不能の30日前まで拡大されている(同条1項2号)。

[山本和彦『倒産処理法入門』4版103頁参照。法的判断枠組み(条文制度)。]

 

倒産法14/ 破12/ 76/ 債務負担とそのための担保権設定とが同時に行われる同時交換的行為(#破162条1項柱書)は、否認対象外である。①担保提供とともになされる新規融資はそもそも優先的地位が保障されており、既存債権者との平等を確保する必要がなく、②否認対象にし債務者の再建を困難にすべきではないからである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版96頁参照。法的判断枠組み(条文制度の説明)]

 

倒産法35/ 破24/ 276/ 担保提供と同時になされる新規融資は、本来の優先関係を潜脱する抜け駆け的回収でなく当初から優先的地位が与えらる債権だし、これを否認すると、債務者が再建を図ることが困難になり倒産を加速させかねない。そのため、明示的に偏頗行為否認対象から除外されている(#破162条1項柱書かっこ書)。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版96頁、山本ほか『倒産法概説』2版294頁、参照。法的判断枠組み(条文の趣旨)。]

 

■その他の否認

対抗要件否認(破164条)

倒産法36/ 破25/ 277/ #対抗要件充足行為も元来否認の一般規定で否認しうべきものだが、対抗要件がすでに着手された権利変動(原因行為)を完成する行為たることから、#原因行為に否認理由なきかぎりできるだけ具備させ、#当事者に目的を達成させるのが相当ゆえ、一定要件充足の場合のみ特に否認しうるとした趣旨である。

[山本ほか『倒産法概説』2版299頁(最判昭45・8・20民集24-9-1339)、 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版100頁論点ア、参照。法的判断枠組み(破164条、条文の趣旨)。制限説。]

 

倒産法9/ 破9/ 39/ 債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は、締結行為自体は危機時期以前に行われるが、実質的にみれば、当該契約にかかる債権譲渡は、債務者に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものであり、#破162条1項1号 に基づく否認権行使の対象となると解する。

[最判平16・7・16民集58-5-1744、『倒産法判例百選』5版〔37〕76頁、参照。法的判断枠組みと、事実の分析・評価例をごったにしてしまった。もう1回検討して、分けよう。]

 

倒産法41/ 破30/ 333/ 対抗要件充足行為は、破産者の行為・これと同視すべきものに限り否認できる(破164条1項参照)。

仮登記仮処分命令による仮登記は権利者単独申請だが(不登法107条1項)、#共同申請仮登記と効力は違わず・義務者の処分意思が明確な文書等を通常要することから、破産者の行為と同視し否認可。

[最判平8・10・17民集50-9-2454(『倒産法判例百選』5版〔39〕80頁)参照。法的判断枠組み。事実の分析・評価例。]

 

●執行行為否認(165条)

倒産法10/ 破10/ 40/ 詐害行為(破160条1項)や偏頗行為(同162条1項)の否認類型が設けられているが、同じ行為に債務名義執行行為を介在させてなした場合も、破産債権者に対する有害性に変わりなく、それぞれの類型の否認が可能である(#破165条)。執行行為の否認というが、別の新たな否認類型ではない。

[伊藤眞『破産法・民事再生法』2版417頁参照。法的判断枠組み(制度ないし条文の説明)。]

 

 ●執行行為の否認

[・債務名義が確定判決であっても、否認権の行使は新たな法律状態を発生させるので、口頭弁論終結後の新たな事由(民執法35条2項)として、既判力によって遮断されることはない。]

 

 

■否認権行使の手続

●否認の効果が及ぶ目的物の範囲

[否認の対象となる行為の目的物が複数であり,可分であるとしても,目的物すべてに否認の効果が及ぶ。管財人の否認権行使は、詐害行為取消権(民法424)のように債権額によって制約されるものではないからである。]

 

 

●否認権の登記

倒産法26/ 破18/ 123/ 否認登記(#破260条1項)は、管財人を登記権利者、相手方を登記義務者とする暫定的実質上の抹消登記であり、否認登記の記入により、登記簿上に相手方の所有名義が残るとはいえ、以後、相手方は登記義務者とはなりえない。したがって、否認登記後相手方を登記義務者としてなした登記は無効である

[大阪高判昭53・5・30判タ372-92『倒産法判例百選』5版〔40〕参照。

 『@tousan_ind_bot

【倒産113:否認登記とその後の登記義務者】大阪高判昭53・5・30。「否認登記の記入により、登記簿上には相手方の所有名義が残存しているとはいえ、その実質において右所有名義は否定されており、爾後、相手方は登記義務者となり得ない」から、否認登記後に相手方を登記義務者とした登記は無効』

を参考にさせて頂きました。

https://twitter.com/tousan_ind_bot/status/864368339644104704 ]

 

right-droit.hatenablog.com