法学エッセンス8月分(90。倒産法7、/ 憲法4、行政法4、/ 民法9、会社法19、民訴法34、/刑法10、刑訴法3)

法律関係の本を読んで、140字に圧縮してます。判決文の記述・理論のままでない所もあります。 大事な所が抜け落ちていたり、短すぎ、理解不足などによる間違い、ありえます。 twitter.com

 

2017年8月30日(7)
刑法26/ 各論6/ 301/ #被害者への返還にそなえる必要があるという意味で、#無権限者による保管の委託も保護に値する。委託物横領罪の委託関係はその場合も含むと解する。窃盗犯人が保管を委託した盗品につき、同罪が成立しうる。もっとも、#それが盗品保管罪を構成する場合、保護に値せず、遺失物等横領罪の問題となる。
 山口『刑法各論』2版293頁参照。[事実の分析。記述の意味するところが、今一つ理解できていません。自分なりに考えて、①保管者に盗品性の認識のない場合、②盗品性の認識のある場合(=犯罪行為となる)に分けて書いています。後日、訂正するかもしれません。]

刑法25/ 各論5/ 300/ 振込依頼人の過誤による誤振込の場合、銀行は誤振込だとを知れば、民事判例上の預金債権成立にもかかわらず、受取人への支払拒絶をする正当利益が認められる。#正当な払戻権限を根拠とする預金の占有には、#誤振込か確認し一定措置をとるべき利益からの制約が及び、銀行に対する詐欺罪が成立しうる。
 山口『刑法各論』2版297頁、298頁LL7「振込依頼人の過誤によって生じた場合」参照。[事実の分析(一定の制約を付した預金の占有を肯定)]

刑法24/ 総論20/ 299/ 構成要件要素たる身分や目的のない第三者の行為により構成要件的結果を生じさせた場合、第三者の行為に構成要件該当性は肯定できない。しかし、#背後者に直接正犯が成立し第三者に共同正犯ないし幇助が成立しうるので、身分なき故意ある道具・目的なき故意ある道具を利用する間接正犯とすべきでない。
 山口『刑法総論』3版73頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)] R21①参照、80万円の横領につき、背後者甲が直接正犯、占有という身分のない乙に幇助犯が成立しうる(?)。

刑法23/ 総論19/ 298/ 行為者の行為後、因果過程に介在する #他人の結果惹起に対する答責性(自律性)が、その他人の結果惹起行為への行為者の支配の限界を画する。そして、被害者の行為の介入、それと均衡する第三者の行為の介入事例解決のため、#故意行為の介入の有無(遡及禁止原則)が正犯性判断の重要な基準となる。
 山口『刑法総論』3版69頁、68頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法22/ 総論18/ 297/ 正犯として構成要件的結果を惹起したと認めるためには、#構成要件的結果惹起の原因を支配したといいうること(#正犯性)が必要である。正犯性は基本的に、構成要件的結果についての十分な認識・予見をもちつつそれを直接惹起した者に認められる。#正犯性の認められる行為者の行為を実行行為という。
 山口『刑法総論』3版68頁参照。[法的判断枠組み(法的概念などについての基礎理論)]

刑法21/ 総論17/ 296/ 被害者の自宅に宅配便で毒入り饅頭を送り、知らない被害者に食べさせて殺害する場合など、行為者の行為後に結果を直接惹起する他人の行為が介入するにもかかわらず、行為者が結果を自ら惹起したと見うるときがある(#間接正犯)。直接正犯とは事実上の違い。非身分者に身分犯の間接正犯は成立しない。
 山口『刑法総論』3版44頁参照。[事実の分析]

憲法32/ 人権31/ 295/ 「#神なき知恵は_知恵ある悪魔を作る」ウルトラセブン18話。神とは良心と言い換えてもよい。いくら優れた知能を有していたとしても、神ないし良心がなければ、その知恵は人類への災厄になりかねない。#学問の自由の意義を再確認する必要がある。『知恵ある悪魔』ほどたちの悪いものはないと思う。
 受験新報799号125頁参照。[法的判断枠組み(法律学の基礎)。
 論文には役にたたないだろうけど、たまには、息抜きツイートもいいかなと思う。法律雑誌に書いていたことに、最後に1文、私の感想も足しています。]


2017年8月26日
リツイート(1)
https://twitter.com/keiho_bot1/status/901493517779836928

2017年8月22日(6)
民訴法58/ 294/ 自白の撤回に反真実の証明を求めることにより、そもそも相手方に証明責任のあった自白対象事実との関係で、#自白者に立証責任転換という重いサンクションが課されている。また、#本来の立証主題から外れ派生争点の審理対象が拡散し複雑化するのを避け訴訟全体の迅速を阻害しないよう仕組まれている。
 藤田『講義 民事訴訟』2版47頁参照。[法的判断枠組み(法律要件の機能の考察)。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系494頁論点「自白の撤回の要件③」参照。]

民訴法57/ 293/ 撤回禁止効の根拠の、#禁反言を破る要件として錯誤が重要、#相手方の信頼保護を破る要件として反真実が重要である。#反真実が証明されれば錯誤が推定されるので、反真実は錯誤を推認する間接事実であり、理論上では錯誤が上位だが、#現実の機能上は反真実の立証がメイン。錯誤要件の意義は乏しい。
 藤田『講義 民事訴訟』2版47頁(最判昭25・7・11民集4-7-316)参照。[法的判断枠組み(法律効果の根拠と、例外的に効果が消滅する場合の要件についての、根拠からの説明など)。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系493頁効果、494頁論点「自白の撤回の要件③」参照。]

民訴法56/ 292/ 裁判上の自白は、証明不要効(民訴法179条)、弁論主義第2原則から裁判所の審判排除効、禁反言および信頼した相手方保護から撤回禁止効を持つ。撤回要件規定はないが、①#相手方同意、②#刑事上罰すべき他人の行為の介在、③#自白の内容が真実に反しかつ自白が錯誤に基づく、場合に認められる。
 藤田『講義 民事訴訟』2版47頁参照。[法的判断枠組み(法律効果、法律要件)。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系494頁論点「自白の撤回の要件」参照。]

民訴法55/ 291/ 所有権に基づく建物明渡請求訴訟で、被告が占有権原の抗弁として使用貸借を主張し、原告がその解約告知を主張後、被告が主張を賃貸借に変更した場合、自白の撤回か。
占有権原の抗弁は被告に証明責任のある事実であり、#相手方が証明責任を負う事実ではないので、自白の撤回ではなく、任意に行える。
 藤田『講義 民事訴訟』2版46頁参照。[事実の分析・評価例。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系493頁論点「不利益の意義」参照。]

民訴法54/ 290/ 売買契約に基づく目的物引渡請求訴訟の同時履行の抗弁による一部認容は、「被告は、500万円の支払を受けるのと引換えに、原告に対し、別紙物件目録記載の動産を引き渡せ、原告のその余の請求を棄却する」との現在給付判決となる。#執行開始要件(民執法31条)記載により単純執行文が付与される。
 藤田『講義 民事訴訟』2版377頁参照。[法的判断枠組み(判決主文の解説)。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系520頁、521頁論点「引換給付判決…」参照。]

民訴法53/ 289/ 訴訟物判断以外の、執行方法明示、引換給付、条件、責任限定などは、#主文に明示されることを必要条件とし_請求権の属性_訴訟物に対する審理と当価値的な攻撃防御が尽くされていることを十分条件として既判力に準ずる効力が決せられる。主文への明示による明確性の担保が争点効理論との違いである。
 藤田『講義 民事訴訟』2版379頁、376頁参照。[法的判断枠組み(判決効)。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系520頁論点「限定承認…」参照。]


2017年8月21日(9)
行政法17/ 288/ 法への事実の包摂につき、#不確定な法概念でもそれだけで要件裁量は認められない。通常人の経験則や社会通念により客観的に認定しうる場合は除く。#専門技術的・政治政策的判断も要する場合に認められうる。その場合も、司法審査を免れる自由裁量(便宜裁量)でなく、覊束裁量(法規裁量)と解する。
 『LEGAL QUEST行政法』3版109頁参照。[法的判断枠組み(法律要件についての行政庁の裁量)]

行政法16/ 287/ 事実への法適用(法への事実の包摂)につき、行政庁の判断に終局性が認められる場合を #要件裁量(ただし、覊束裁量、法規裁量)、実際にどのような行政行為を行うかにつき終局性が認められる場合を #効果裁量という。#いつの時点で行うかの裁量、#いかなる手続を経て行うかの裁量の余地もある。
 『LEGAL QUEST行政法』3版108頁~110頁参照。[法的判断枠組み(法概念の基礎的説明)]

行政法15/ 286/ 行政行為は根拠規範の個別事案への法適用結果であり、行政庁の判断は、①法文の意味の確定、②事実認定、③当該事実への法適用(法への事実のあてはめ)、④実際にどのような行政行為を行うかの決定、という過程を経る。①②は裁判所判断が優越し、#③④段階についてのみ行政に終局的に委ねられ得る。
 『LEGAL QUEST行政法』3版108頁参照。[法的判断枠組み(基礎的な説明)]

行政法14/ 285/ 被侵害利益が重大か、多数人の利益調節を要する場合、原告の権利保護の見地から、裁量判断の逸脱・濫用につき審査密度を高める必要がある。①#重要な事実の基礎を欠くか、②考慮不尽、他事考慮、事実評価の不合理により、#判断内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くならば、違法であると解する。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系168頁(最判平18・11・2民集60-9-3239、小田急訴訟本案判決。『事例研究 行政法』2版56頁)参照。[法的判断枠組み(裁量について判断過程審査を行うべき場合、および、審査基準)]

民訴法52/ 284/ 争点整理手続における自白は、#不要証事実の選別作業の範囲で不要証効のみを認めれば十分。闊達なやり取りを重視し、相手方が裁判上の自白の拘束力を欲するなら、通常の口頭弁論への上程時点(民訴法165条1項・170条5項・177条、規則89条)で、改めて自白としよいかの意思確認をすべき。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』62頁注26参照。[法的判断枠組み]

民訴法51/ 283/ 当事者拘束力の、#相手方信頼保護(禁反言・自己責任)のための効果消滅のハードルを乗り越え、審理中撤回されれば、不要証効は消え当該事実は要証事実になる(ただし、民訴法167条・174条・178条、157条参照)。裁判所拘束力は判決段階で機能するので、その時点で争いあれば機能しない。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』64頁参照。[法的判断枠組み(法的効果間の連関)]

民訴法50/ 282/ ①不要証(#民訴法179条、争点整理)とされた自白事実と異なる認定をされる不意打ち防止のため、②弁論主義が要請され(第2原則、裁判上の自白の裁判所拘束力、審判排除。自由心証主義との関係で主要事実に限定)、①を前提に、禁反言・自己責任に基づき、③不利益陳述の当事者拘束(不可撤回)。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』60頁、61頁参照。[法的判断枠組み(法的効果の関係性の説明)]

民訴法49/ 281/ 不利益要件は、当事者のどちらが撤回不可かを決める当事者拘束力の場面だけで機能する。#首尾一貫しない陳述、かつ、#証明責任の所在と齟齬し、別に不利益でないものならば、撤回させてよい。裁判所からみれば、不要証効と裁判所拘束力こそが重要で、いずれの当事者に不利益かは関心外だからである。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』59頁、『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁L19「証明責任の所在と齟齬し首尾一貫しない陳述…」、参照。[法的判断枠組み(どの法律効果との関係で、法律要件が機能するかについての、一考察)]

民訴法48/ 280/ 弁論主義は裁判所と当事者間の役割分担の規律で、いずれの当事者の不利益かは考慮事由でない(第2原則)。当事者間に争いない事実ならば、いずれの当事者に不利益だろうとなかろうと、証拠調べをわざわざやる必要はない(民訴法179条)。他方、裁判上の自白は、#自己に不利益な事実要件を要する。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』58頁参照。[法的判断枠組み(弁論主義第2原則と裁判上の自白との要件の違い)]


2017年8月20日(2)
民訴法47/ 279/ 当事者拘束力は、不要証効(民訴法179条)を前提に相手方の信頼保護、自白当事者の禁反言・自己責任を直接の、司法資源の無駄使いを間接の根拠とし、間接事実や補助事実にも妥当しうる。他方、#裁判所拘束力も間接の根拠なので、247条より、それら事実に当事者拘束力が及ばない場合もありうる。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』56頁、52頁~55頁、51頁「自由心証主義との関係で、」(247条)参照。[法的判断枠組み(裁判上の自白の当事者拘束力が、主要事実に限られる場合がありうることの根拠)]

民訴法46/ 278/ 不要証なら(#民訴法179条)相手方は証拠調べ準備をやめ争点から除かれる。自白事実と違う事実認定がされ当事者に不意打ちとならないよう、裁判所は、不要証事実をそのまま判決の基礎としなければならない(#弁論主義第2原則)。ただ、#247条との関係で、裁判所拘束力は主要事実に限られる。
 勅使河原『読解 民事訴訟法』50頁、51頁参照。[法的判断枠組み(制度間の関係)]


2017年8月19日(1)
倒産法36/ 破25/ 277/ #対抗要件充足行為も元来否認の一般規定で否認しうべきものだが、対抗要件がすでに着手された権利変動(原因行為)を完成する行為たることから、#原因行為に否認理由なきかぎりできるだけ具備させ、#当事者に目的を達成させるのが相当ゆえ、一定要件充足の場合のみ特に否認しうるとした趣旨である。
 山本ほか『倒産法概説』2版299頁(最判昭45・8・20民集24-9-1339)、 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版100頁論点ア、参照。[法的判断枠組み(破164条、条文の趣旨)。制限説。]


2017年8月18日(1)
倒産法35/ 破24/ 276/ 担保提供と同時になされる新規融資は、本来の優先関係を潜脱する抜け駆け的回収でなく当初から優先的地位が与えらる債権だし、これを否認すると、債務者が再建を図ることが困難になり倒産を加速させかねない。そのため、明示的に偏頗行為否認対象から除外されている(#破162条1項柱書かっこ書)。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版96頁、山本ほか『倒産法概説』2版294頁、参照。[法的判断枠組み(条文の趣旨)]


2017年8月17日(1)
民訴法45/ 275/ 弁論主義は裁判所と当事者間の作業分担原理であり、いずれか当事者が主張する限り、その事実を認定し裁判の基礎としうる。ある事実(例、使用貸借の事実)につきある局面で主張責任を負う相手方が主張・援用せずとも、他当事者が主張提出すれば、その事実を裁判の基礎としても、#第1原則に反しない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版120頁、119頁、R21①設問1(ii)②(iii)③(この場合には、建物買取請求権行使の事実。)、参照。[法的判断枠組み(法原理の詳細)。
 主張責任を負う相手方は主張・援用もしていないので、口頭弁論・準備的口頭弁論・弁論準備手続における相手方の主張する自己に不利益な事実の陳述(裁判上の自白)でも、先行自白にもあたらず、証明不要効(179条)、裁判所拘束力(弁論主義第2原則)、当事者拘束力(自己責任と禁反言都を根拠とする)も、いまだ生じていないのだろう。
 だから、相手方が争う場合には(R21①設問1(i)①参照)、証拠調べは必要になるだろう(『民事訴訟判例百選』5版108頁(最判平9・7・17判時1614-72)解説タテ2、従来の通説(兼子一教授)参照)。]

 

 

(63。倒産法5、/ 憲法3、/ 民法9、会社法19、民訴法20、/刑法4、刑訴法3。2017年8月15日現在)
2017年8月15日(9)

商法70/ 会社法70/ 274/ 間接損害につき原則、株主は「第三者」(会社法429条1項)に含まれない。役員等の行為により会社財産が減少し株価が下落しても、株主は429条でなく、#代表訴訟を提起し423条等の責任追及すべきである。役員等に二重に責任追及すべきでも、会社の賠償請求権を奪うべきでも、ないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版251頁参照。[法的判断枠組み(間接損害事例で「第三者」に株主が含まれない理由)]

商法69/ 会社法69/ 273/ 会社法429条1項の責任につき、①役員等の任務懈怠と第三者の損害の間に相当因果関係ある限り、#会社が損害を被りひいては第三者に生じた間接損害か、#第三者の直接損害かを問わず、役員等は責任を負う。②#役員等への不法行為責任追及も可能。③#任務懈怠についての悪意・重過失立証で足りる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版250頁(最大判昭44・11・26民集23-11-2150)参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

商法68/ 会社法68/ 272/ 招集は、株主に総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与える点に実質的意味があるから、これが確保される限り、口頭でも原則可能である。ただし、#取締役会設置会社では書面等による招集を要し(299条2項2号、3項)、#一定規模の会社における機会確保が制度的に担保されている。
 『LEGAL QUEST会社法』3版144頁参照。[法的判断枠組み(制度趣旨、条文制度の説明)]

民法26/ 相続6/ 271/ 被相続人死亡時に胎児であった者が後に出生した場合、相続に関しすでに生まれたものとみなし、相続能力を擬制し、相続権が認められる(#民法886条)。この点、①胎児中に権利能力があり、母が法定代理人として遺産分割に参加する、②出生後にはじめて遡及し遺産分割を受ける、二通りの解釈が可能。
 ダットサン民法3』3版265頁、266頁参照。[法的判断枠組み(解釈)。判例(大判昭7・10・6民集11-2023、阪神電鉄事件)は、②の停止条件説。ダットサン民法1』3版31頁参照]

民法25/ 相続5/ 270/ 相続人の適格性を当然否定するほど重大事由はないが、被相続人が推定相続人に財産を相続させるのが心外な場合もありうる。兄弟姉妹であれば遺留分がないから、生前財産処分や遺言で除外できる。直系卑属・尊属、配偶者の場合、#遺留分があり、一定事由ある場合に排除が認められる(#民法892条)。
 ダットサン民法3』3版269頁、270頁参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

民法24/ 相続4/ 269/ ①#故意に 被相続人や相続につき先・同順位の者を死に至らせ、または至らせようとしたため、#刑に処せられた者(民法891条1号)、②被相続人殺害を知って、#告発告訴しなかった者、ただし是非弁別能力なきとき、殺害者が自分の配偶者・直系尊属のときは除く(2号)。等の場合、相続権を失う。
 ダットサン民法3』3版267頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

民法23/ 債権総論7/ 268/ 取消し(民法424条)の対象は狭義の法律行為に限定されず、#履行行為たる弁済も含まれる。しかし、#登記や債権譲渡通知等の対抗要件具備行為は含めるべきでない。厳格に債権者間の公平を求める破産手続等における否認さえ、対抗要件具備が本来履行行為であることから限定的にすぎないからである。
 内田『民法Ⅲ』3版309頁参照。[法的判断枠組み(制度間の比較)。破164条参照]

民法22/ 債権総論6/ 267/ 「財産権を目的としない法律行為」(#民法424条2項)は、婚姻、離婚、養子縁組、相続の承認等である。もっとも、離婚に伴う財産分与につき、#768条3項の趣旨に反し不相当に過大で、#財産分与に仮託してされた財産処分と認めるに足りるような特段の事情があれば、詐害行為取消し対象となる。
 内田『民法Ⅲ』3版307頁(最判昭58・12・19民集37-10-1532)参照。[法的判断枠組み(判例)]

民法21/ 債権総論5/ 266/ 詐害行為取消権の対象は原則、財産権を目的とする行為であり、身分行為は取消しの対象とならない(民法424条2項)。もっとも、財産分与(768条)が #不相当に過大で債権者を害する場合、過大な部分は取り消しうる。当該部分は財産分与に仮託した隠匿行為といえ、身分性は失われるからである。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版99頁(最判昭58・12・19、最判平12・3・9)参照。[法的判断枠組み(判例)。判例の原文までは読んでいませんので、言い回し等異なる場合もあるかもしれません。各自でご確認下さい。]


2017年8月14日(4)
民訴法44/ 265/ 間接事実の自白には、①相手方の証明不要効は認められる。②しかし、#主要事実を推認させる機能の点で証拠と等しく、裁判所の自由心証主義の下、裁判所拘束力は認めるべきではない。裁判官のできるだけ自然で合理的な判断に委ねるべきである。③禁反言・自己責任原則から、当事者拘束力は認められる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、185頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法43/ 264/ 自白対象は具体的事実に限られ、法規、経験則、法規解釈は対象ではない。権利の発生、変更、消滅の判断に直接必要な、主要事実につき、自己に不利益な事実とは、#相手方が証明責任を負う事実と解する。証明責任の所在と一致しない首尾一貫しない陳述の撤回を認めるべきだし、明確な基準だからである。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版184頁、121頁参照。[法的判断枠組み(下位規範)。原文は、「証明責任の所在と『齟齬し』首尾一貫しない…」となっているが、具体的にどういうことを書いているのか、現時点でまだ理解できていません。とりあえず、記憶に残りやすいように、同じ意味合いの別の言葉で言い換えました。後日の勉強にまわします。]

民訴法42/ 263/ #自白の撤回 は、①相手方同意ある場合。②自白内容が真実に反し、かつ、錯誤に基づくと立証された場合。不利益な自白ゆえに真実に合致する蓋然性が高いことが審判排除の根拠だが、その基礎が失われ、錯誤ならば、禁反言といえないからである。③刑事上罰すべき他人の行為の介在の場合、に許される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版183頁参照。[法的判断枠組み(基礎的説明)]

民訴法41/ 262/ ①証明不要効(民訴法179条)。#証明責任を負う相手方が証明負担から開放される。②対裁判所拘束力。裁判所は、#当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない(弁論主義第2原則)。③対当事者拘束力。自白した者は、#自己責任と禁反言により、原則、自白を撤回できない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版182頁、183頁参照。[法的判断枠組み(裁判上の自白の効力)]

商法67/ 会社法67/ 261/ 株式買取請求権は、①事業譲渡等(会社法469条)、合併、会社分割、株式交換・株式移転(785条、797条、806条)、株式併合(182条の4)、株式譲渡制限(#116条1項1号2号)、全部取得条項を付す(同条項2号)、他(3号)、②単元未満株(#192条以下)の場合に認められる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁、72頁参照。[法的判断枠組み(制度および条文の確認)]

商法66/ 会社法66/ 260/ 自益権は単独株主権である(会社法454条3項、504条3項等)。議決権(308条)、代表訴訟の提起権(847条)や差止請求権(210条、360条等)なども同じ。株主総会の招集権(297条)や役員解任の訴えの提起権(854条)などは少数株主権である。#共益権は微妙な政策判断が必要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版70頁参照。[法的判断枠組み(株主の権利の背景)]

商法65/ 会社法65/ 259/ 少数株主権を含む株主権も権利の一種である以上、濫用は許されない(民法1条3項)。
総会屋による株主名簿閲覧・謄写請求が、株主としての権利の確保等のためでなく、新聞等の購読料名下の金員の支払の再開、継続目的での #嫌がらせ、あるいは、#報復 と認定され、権利濫用とされた事例がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁参照。[法的判断枠組み(法の一般原則)、および、事実の分析・評価例]

商法64/ 会社法64/ 258/ 株主が①会社経営に参与し、②監督是正する権利を共益権という。①#株主総会会社法295条)における #議決権(105条1項3号、308条)、#質問権(314条)、#提案権、#総会招集権など、②各種 #提訴権(828条、831条、847条等)、各種 #書類等の閲覧等請求権 がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法63/ 会社法63/ 257/ 株主が会社から経済的利益を受ける権利を自益権という。①剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号、453条)、②解散・清算後に残余財産の分配を受ける権利(105条1項2号、502条)など。①②を一切与えないとすることはできない(105条2項)。株式会社の #営利性 の現れ。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法62/ 会社法62/ 256/ 株式会社は社団法人であり、構成員(社員)を株主、社員たる資格(地位)を株式という。出資するか、他の株主から承継取得(個別承継、一般承継)して株主となる。#社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形をとり、法律の認める範囲内で内容に一定のヴァリエーションを設けることもできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版65頁、66頁参照。[法的判断枠組み(基礎的な説明)]

民法20/ 債権総論4/ 255/ 債権はあくまで権利であり義務(債務)ではないし、受領遅滞中の債権者の多くは反対債務を遅滞しており、債務者は契約解除、損害賠償請求可能である。したがって、受領遅滞を債務不履行の特則と解する理由に乏しく、公平の観点から履行遅延による不利益を債権者に負担せしめる #法定責任 と解する。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版96頁参照。[法的判断枠組み(受領遅滞(民法413条)の法的性質)]

民法19/ 債権総論3/ 254/ 債権にも権利の通有性として不可侵性があるから、債権侵害にも不法行為が成立しうる。ただ、#自由競争の枠内で、結果として偶然に他者債権を侵害した場合は除くべきである。すなわち、公序良俗違反(民法90条)の形態の、故意ある加害行為による侵害に限り違法となり、不法行為が成立すると解する。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版91頁参照。[法的判断枠組み]

民法18/ 債権総論2/ 253/ 種類物債務の特定後、債務者の帰責事由で滅失した場合、債務者にいわゆる変更権が認められるか。
種類債権が特定(民法401条2項前段)した後滅失しているので、債務不履行責任を負うのが原則である。
ただ、債権者に特別な不都合なき限り、取引上の信義則により、#変更権 を認めるべきである。
 『工藤北斗の合格論証集』民法2版89頁、90頁、内田『民法Ⅲ』3版20頁(大判昭12・7・7民集16-1220)、参照。[法的判断枠組み]


2017年8月12日(9)
民訴法40/ 252/ 債務と責任(執行の可否・範囲)につき、後者は訴訟物ではないが、訴訟物判断と密接に関連する場合、当事者の主張提出を契機に審判対象に取り込まれることがある。
引換給付判決主文に掲げられる反対債務は、このような密接な関連性なく、強制執行開始要件(#民執法31条)の注意的掲示にすぎない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版284頁参照。[法的判断枠組み(法概念の説明。手続制度間の違いの説明)]

民訴法39/ 251/ 給付訴訟で、限定承認の抗弁により、責任が限定された留保付確定判決の訴訟物は、直接には給付請求権の存在・範囲だが、限定承認の存在・効力もこれに準ずるものとして審理判断され、主文に明示されるのだから、#既判力に準ずる効力 が認められる。無留保判決を求める後訴は、前訴既判力に抵触する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、284頁(最判昭49・4・26民集28-3-503)参照。[法的判断枠組み(判例、法解釈)]

民訴法38/ 250/ 裁判所は、受働債権の存在を認めたときに、相殺の抗弁(#予備的抗弁)を判断すべきである。もし受働債権不存在なら、相殺に供した自働債権が不当に消滅せしめられるからである。
相殺の抗弁認容の場合、訴求債権と対当額部分に限り、既判力が生じ、排斥の場合、自働債権不存在につき既判力が生じる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版282頁(一部請求でない場合。自働債権の方が受働債権額を上回る場合には、自働債権の対当額部分に限り既判力が生じる。対当額部分を上回る自働債権の存否については、既判力は生じない。なお、「対当額」という文言については、民法505条1項参照。)、283頁の図(一部請求の場合)も、参照。[法的判断枠組み(手続の説明。法的効果の及ぶ範囲)]

民訴法37/ 249/ 既判力の主文への限定は、裁判所にも、当事者の訴訟追行の自由を考慮し実体法の論理的順序に拘泥せず、比較的自由・弾力的、迅速に審判できるメリットがある。売買代金請求訴訟で、契約成立認定せず、弁済の抗弁を認定し請求棄却することもできる。根拠条文は、#民訴法114条2項、145条である。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版281頁参照。[法的判断枠組み(制度の効果、条文根拠)]

民訴法36/ 248/ 原告は訴訟物たる権利・法律関係の存否を求め、前提となる法律関係にまで既判力が及ぶのは予期しない。被告も理由中の判断に既判力が生じると計算し訴訟遂行しなければならない不自由さは望まない。そこで、#既判力を主文のみに限定し、先決問題は結論を導く上で手段的地位を占めるに止められている。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版28頁、281頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法20/ 総論15/ 247/ 他の共犯者の行為に加担し、他人の行為を通じ、法益侵害結果発生に心理的・物理的因果性を及ぼしたことが共犯処罰根拠である。共犯も間接的にせよ、自ら因果的に引き起こした事態に、その限度でのみ責任を負う(個人責任原理)。ここにいう因果性は #促進的因果関係 で足り、条件関係までは不必要。
 『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕(東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407)395頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法19/ 総論14/ 246/ いったん犯罪遂行を共謀しても、着手前に他の共謀者に実行中止を明示し他の者が #了承 し、犯罪を実行した場合、前共謀は全くなかったものと評価でき、他の共犯者の実行した犯罪の責を分担すべきでない。
Xは自発的に犯意放棄し他の共謀者に明示しており、他3名が了承し窃盗に及んだのは明らか。
 東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕395頁参照。[法的判断枠組み+事実の分析・評価例]

刑法18/ 総論13/ 245/ 共犯処罰根拠は因果的惹起にあるから、自らそれまでの因果的寄与を撤回し犯罪結果との因果性を遮断すれば、共犯処罰根拠を欠き離脱以降に生じた犯罪事実の責任を負わない。実行着手前に離脱の意思を表明し、他の関与者の #了承 があれば、共同正犯関係は解消する。ただし、一方的通告では足りない。
 平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁、180頁(最決平21・6・30刑集63-5-475)参照。[法的判断枠組み。
 葛原力三先生は、「継続者の了承は離脱者の因果的寄与とは関係しない」と書かれているが、納得して了承すれば、認識(了知)以上に、心理的影響力(心理的因果性)を除去できるのではないのかな?
 私の理解が足りていないだけなんでしょうね?
 他の関与者の了承があれば、共同正犯関係の解消を認める一連の裁判例があるようですので、とりあえず、因果性遮断論(因果的共犯論)と、了承とを組み合わせて書いても、あながち間違いではないのだろうと思います。]

刑法17/ 総論13/ 244/ 被告人は、見張り役が住居内の共犯者に電話で「先に帰る」などど #一方的に伝えた のを認識していただけで、犯行防止措置をとることなく、見張り役らと共に離脱したにすぎず、たとえ、強盗着手前であり、残された共犯者らが被告人の離脱を了知していても、当初共謀が解消したということはできない。
 最決平21・6・30刑集63-5-475、平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁参照。[事実の評価例]

 

(32。倒産法5、/ 憲法3、/ 会社法10、民訴法11、/刑訴法3)

2017年8月11日(3)
刑訴法26/ 公判13/ 243/ 犯行計画メモが関与者に #回覧 され、共謀内容の確認に供された場合、当該メモを用いて謀議が形成されたのであり、当該メモ紙は共謀の #意思形成手段として用いられたツール(道具)であり、その存在自体プラス記載内容に独立の証拠価値があり、共謀の意思形成過程を証明する情況証拠となりうる。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版241頁参照。[事実の分析・評価例(犯行計画メモが関与者に回覧された場合)。『プラス記載内容』の部分等、私の補った言葉ですので、正確を期されたい方は、出典でご確認下さい。]

刑訴法25/ 公判12/ 242/ ①犯罪計画の記載されたメモの存在、②内容が実際の犯行に合致、③#被告人の支配領域内で発見、という事実は、被告人の共謀への加担の情況証拠の1つとなり、メモは記載内容の真実性から独立した証拠価値(固有の証拠価値)を有するので、メモの存在と記載内容自体を要証事実とすれば、非伝聞である。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版241頁参照。[事実の分析・評価例(共犯者とされる者作成の犯行計画メモが、被告人の支配領域内で発見された場合)]

刑訴法24/ 公判11/ 241/ 領収書が相手方に #交付 されていれば、記載内容から直接でなく、領収書の存在とそれが相手方に交付された事実とから、領収書の記載内容に相当する #金員授受の事実 を推認することは、経験則に適う合理的な推認であり、伝聞法則に反しない。記載内容の真実性から #独立した証拠価値 がある。
 古江『事例演習刑事訴訟法』初版239頁参照。[事実の分析・評価例(領収書が、非伝聞証拠にあたる場合)『直接』という言葉は、私が補った言葉ですので、疑問を持たれた方は、出典をご参照下さい。]


2017年8月10日(3)
倒産法34/ 破23/ 240/ 詐害行為否認、#対価的均衡を欠く場合(破160条2項)の要件は、①破産者がした債務の消滅に関する行為、②債権者の受けた給付の価額が消滅した債務額より過大、③同条1項各号の要件みたす。#無償行為の場合(3項)、①支払停止等の後またはその前6月以内の無償行為および同視すべき有償行為。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。[法的判断枠組み(条文説明)]

倒産法33/ 破22/ 239/ 詐害行為否認、#故意否認(破160条1項1号)の要件は、①破産者が破産債権者を害することを知ってした行為、②詐害行為が破産手続開始決定前、③相手方善意は抗弁事由。#危機否認(2号)は、①支払停止または破産手続開始申立て後になされた、破産債権者を害する行為、②相手方善意は抗弁事由。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版93頁参照。[法的判断枠組み(条文説明)]

倒産法32/ 破21/ 238/ #否認権 は、破産者が破産手続開始前にした破産債権者を害する行為の効力を、破産財団との関係において失わせ、責任財産から逸出した財産を破産財団に回復するために #破産管財人 に与えられた権利である。詐害行為や偏頗行為の効力を否定し、破産債権者に対する公平な配当を実現する趣旨である。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』倒産法改訂版92頁参照。[法的判断枠組み(基本事項)]


2017年8月9日(4)
民訴法35/ 237/ 前訴敗訴者が同一訴訟物につき同一人物に後訴提起した場合、当該訴訟物の判断の既判力により、前訴基準時前の事由についての主張が排斥され、基準時後の新主張なければ請求棄却される。新主張あればその当否が判断される。前訴勝訴者が同一請求するとき、後訴は原則、#訴えの利益を欠き、却下される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 例外的に、たとえば、時効中断のために他に方法がないとか、判決原本が滅失して執行正本を受けられないなどの必要があれば、訴えの利益が認められる。]

民訴法34/ 236/ ①既判力ある判断を争う当事者の申立て、主張・抗弁の排斥を消極的作用の側面、②裁判所がその判断を前提に後訴の審判をすべきことを積極的作用の側面という。民事裁判における私法上の権利・法律関係は、確定後もその後の行為により変更可能であるから、刑事裁判と異なり、#訴権 自体は消滅しない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版276頁、277頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)
 刑事裁判は、過去に行われた行為に対する刑罰効果の有無の判断であるから、その後の行為によって、その効果が変更されることはないので、裁判が確定した以上、これに対する訴権が消滅する(一事不再理)。]

民訴法33/ 235/ 訴訟物たる権利または法律関係の存否を確定する本案判決は、請求認容(確認、給付、形成)、棄却判決(確認)を問わず、既判力を有する。#訴訟判決 も欠缺するとされた訴訟要件につき、同一当事者、同一請求の後訴に対し既判力が作用する。訴訟指揮などの決定・命令は形成力はあるが、既判力はない。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁、276頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

民訴法32/ 234/ 既判力は、攻撃防御方法が尽くされた後の裁判所の判断内容に終局性を与え、同一紛争の蒸し返しを許さず、法的安定と紛争解決を与える訴訟制度内在の #制度的効力 である。処分権主義・弁論主義の下、請求定立、訴訟資料提出の権限・責任を負う #当事者の手続保障と自己責任 により正当化される。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]


2017年8月8日(3)
憲法31/ 人権30/ 233/ 国家が、憲法上の自由権に基づき、不作為請求に応えるのに根拠法を要しないため、それらは全て具体的権利といえる。他方、国家が積極的な行為(作為)をするのに根拠法を要する。その請求権を保障する憲法規定に、#詳細な要件 あれば具体的権利、国家の義務の具体的定めなければ抽象的権利といえる。
 木村『憲法の急所』2版6頁、7頁参照。[法的判断枠組み(自由権の分類)]

憲法30/ 人権29/ 232/ 憲法は、国民の自由を最大限に保障しようとする #自由主義 を基本原則とするので、国家が全く活動しない不作為が原則状態(自然状態)である。他方、国の作為(積極的な行為)は自由主義を破るものだから、正当化根拠を要し、それを基礎づけるために、法という特別のルールを要する(#法の支配)。
 木村『憲法の急所』2版5頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

憲法29/ 人権28/ 231/ 憲法第3章が「国民」に対し保障する一連の権利を、#憲法上の権利(基本権)という。他方、#人権 は、全ての人間が人間であるというだけで保障されるべき権利をいう。前者は原則、国民以外の主体に保障されないが、例外的に、外国人や法人等が国に対し憲法上の権利を主張できる場合もあるとされる。
 木村『憲法の急所』2版4頁参照。[法的判断枠組み(概念説明)]


2017年8月7日(6)
商法61/ 会社法61/ 230/ 取締役報酬額が具体的に定まれば、会社との契約内容となり拘束力をもつので、同意なき限り、事後に無報酬とする株主総会決議で報酬請求権を奪えないが、取締役の任用契約(委任契約)は継続的であり、#契約拘束力だけ で事情変更を阻む理由乏しく、正当理由あれば、報酬を地位・責任に比例させうる。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕61~62頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法60/ 会社法60/ 229/ 取締役報酬は #ある程度身分保障 されているので(会社法361条、332条、339条参照)、職務内容の著しい変更のみを理由に減額できない。しかし、①役職に応じ減額しうる事前の同意(契約内容)や、②「正当な理由」(339条2項参照)がある場合には、総会決議により減額しうると解する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕56~58頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法59/ 会社法59/ 228/ ①取締役の報酬が具体的に定められると、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束する、②その後これを無報酬とする株主総会決議が行われても、当該取締役が同意しないかぎり報酬請求権は失われない、③取締役の #職務内容に著しい変更がある場合 も同様である。これは、報酬減額にも妥当する。
 『事例で考える会社法』初版〔事例③〕54頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法58/ 会社法58/ 227/ 定款または株主総会決議(株主総会で総額を定め、取締役会で各取締役の配分を決議した場合含む)で取締役の報酬額が #具体的に定められた 場合、会社と取締役間の契約内容となり、当事者双方を拘束するから、その後株主総会で無報酬と決議しても、当該取締役の同意なき限り、報酬請求権は存続する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕50頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

倒産法31/ 破20/ 226/ 破産債権者数が500人以上のときは、債務者の住所、営業所等、財産所在地を管轄する地方裁判所(#破5条 1項2項)の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも(同条8項)、1000人以上のときは、東京地方裁判所大阪地方裁判所にも(9項)、破産手続開始申立てできる。
 破産法(平成16年法75号)5条8項9項参照。[法定判断枠組み(条文)
 「普通裁判籍」(破5条1項)は、民訴法4条2項等参照。
 破5条9項(任意管轄)類似規定、民訴法6条、6条の2(専属管轄)参照。
 1000人を基準とする規定として、会社法298条2項参照。]

倒産法30/ 破19/ 225/ 破産法は、支払不能・債務超過にある債務者財産、相続財産、信託財産の清算に関する手続を定め、債権者その他の利害関係人の利害、債務者と債権者と間の権利関係を適切に調整し、適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会を図る目的を有する(#破1条、2条1項参照)。
 破産法(平成16年法75号)1条、2条1項参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年8月6日(3)
商法57/ 会社法57/ 224/ 任務懈怠責任は、役員等の会社に対する #債務不履行責任 の性質を有するが、連帯責任(会社法430条)とされるなど、法によって内容が加重された特殊な責任である。そのため、消滅時効期間が、商法522条の5年でなく民法167条1項の10年とされる。遅延損害利率も、民法所定の5分である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版239頁(最判平20・1・28。最判平26・1・30)、民法404条、参照。[法的判断枠組み(任務懈怠責任の性質、および、その性質に基づく解釈)]

商法56/ 会社法56/ 223/ 会社が遵守すべきあらゆる法令につき、その違反は、取締役の任務懈怠となる。取締役が業務執行を決定・執行する以上、職務遂行に際し会社を名あて人とする #すべての法令 の遵守も職務上の義務であり、株主の合理的意思にかんがみ、会社・株主保護目的の法令に限らず遵守し経営すべきだからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版237頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言「法令」(会社法355条、419条2項)の意義)]

会社法55/ 222/ 利益相反取引・競業取引の承認の有無に関わらず、損害があれば、取締役等は任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
利益相反する取締役等、決議に賛成した取締役等は、任務懈怠が推定される(同条3項。なお4項)。
承認なき競業取引の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年8月5日(5)
民訴法31/ 221/ 請求異議訴訟認容の場合、建物収去土地明渡請求訴訟認容判決の債務名義の執行力は、建物収去を命じる限度で失われるにとどまり、建物退去土地明渡しの範囲でなお維持される。債権者は、建物引渡し土地明渡しの限度で強制執行できる旨の #転換執行文 の付与(民執法26条参照)を求めるべきである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ5、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』53頁、54頁、参照。[法的判断枠組み(民事執行法上の請求異議訴訟についての判決の効果、執行文付与の手続についての説明)
 上記のような場合に、転換執行文の付与を求めるべきであるとするのは、有力な学説の見解のようである(上記百選167頁タテ5参照、中野貞一郎先生の文献が掲げられているが、現時点で未参照。)。条文上の根拠があるのか、よくわからない。]

民訴法30/ 220/ 請求異議訴訟(民執法35条1項)で建物買取請求権認容の場合、建物退去土地明渡しの限度を超えては強制執行を許さない旨の判決がされる。#建物代金支払いと引換えに建物明渡しの限度においてしか執行は許さない 旨の宣言も求めうる。別訴の訴求しかできなければ、請求異議の意味がないからである。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁タテ5参照。[法的判断枠組み(請求異議訴訟の判決の内容の説明)]

民訴法29/ 219/ 前訴基準時までに建物買取請求権を行使せずとも、実体法上権利は消滅しない。#予備的抗弁 の主張も自らの立場を弱めるおそれがあり、訴訟戦略上提出しにくい。建物買取請求は前訴基準時の実体状態を前提に確定判決の法的安定要求を尊重してされるのであり、当然に請求異議事由となる。遮断されない。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕(最判平成7・12・15民集49-10-3051)167頁右欄タテ4、中西ほか『LEGAL QUEST 民事執行・民事保全法』86頁、参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質、遮断効否定の論拠)
 百選の167頁右欄タテ4はちょっと読みにくかった。14行目「立法趣旨からの論拠」は、左欄タテ3、12、13行目のことだろう。タテ4の15行目「反対説」は、中野貞一郎先生の有力説のことだろう(タテ2(2)の反対説…)。]

民訴法28/ 218/ 取消権の形成原因は訴求債権に #付着する瑕疵 で、既判力によりすべて洗い去られる(遮断効)。取消より重大な無効事由の遮断との権衡も要する。相殺権は、訴求債権に付着する瑕疵でなく別個の債権を防御方法として主張するのだから、他の形成権以上に被告の決断の自由を尊重し、遮断が否定される。
 『民事訴訟判例百選』5版〔78〕167頁(最判平成7・12・15民集49-10-3051)参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質の検討)。
 既判力の根拠は、権利関係の安定を図る制度的保障と、手続保障(実体法の考慮、ないし、具体的な期待可能性の考慮)である。
 取消権、白地手形補充権は、既判力により遮断される(既判力の遮断効)。
 相殺権、建物買取請求権は、訴求債権に内在(付着)する瑕疵ではなく、前訴の既判力のより遮断されることはない。]

民訴法27/ 217/ #建物買取請求権 は、賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは別個の制度目的・原因に基づく。その行使により建物所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、賃借人の建物収去義務は消滅する。前訴の事実審口頭弁論終結時までに行使せずとも、既判力により遮断されない。
 最判平成7・12・15民集49-10-3051『民事訴訟判例百選』5版〔78〕166頁参照。[法的判断枠組み(権利の法的性質)]

2017年8月3日(1)
会社法54/ 216/ #短答 #会社法。平成21年民事系第37問参照(予備校正答率49%)#設立 肢2,3正解
https://goo.gl/cifr1f
https://goo.gl/2UR3un
https://goo.gl/cmt6nW
https://goo.gl/WtjcZk


2017年8月2日(2)
会社法53/ 215/ 会社債権者も「第三者」(#会社法429条1項)に含まれる。第三者は、任務懈怠の当事者以外のすべての者をいうからである。
株主は、直接損害の場合、含まれるが、会社をはさんだ間接損害の場合、含まれないと解する。後者では、423条等で損害回復できるのであり、二重取りさせないためである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系310頁参照。[事実の分析・評価例] 27年度予備試験参照。

会社法52/ 214/ 名目的取締役も、適法な選任決議を経ている以上「#役員等」(会社法429条1項)にあたる。
選任決議を欠く登記簿上の取締役も、役員等にあたりうる。故意・過失で登記に承諾を与えていれば、908条2項の類推により、善意の第三者に対抗できない結果、429条の責任を免れられないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系307頁参照。[事実の分析・評価例。ただし、名目的取締役については、「役員等」にあたっても、具体的事情によっては、因果関係を欠く場合も考えられる。]


2017年8月1日(2)
民訴法26/ 213/ #確認の訴えの利益 は、確認判決が原告の権利・法律的地位に対する現実の不安・危険の除去のため必要かつ適切な場合に認められる。確認の訴えが、権利関係の存否の観念的確定、将来の派生的紛争予防という性質を有し、権利の強制的実現の裏打ちなく、論理的に対象無限定なため、この要件を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版72頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]

民訴法25/ 212/ #訴えの利益 は、個々の請求内容につき、本案判決による紛争解決の必要性・実効性を検討する要件である。民事訴訟制度は、被告を訴訟手続に巻き込み、公的機関たる裁判所の運営にかかるので、利用に値する事件に絞り、無益・不必要な訴えを排し制度運営の効率化、被告の応訴負担からの開放を要する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版69頁参照。R21①設問2小問(1)参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]