法学エッセンス 7月分 (30ヶ)

 法律関係の文書を読んで140字以内にまとめました。出典等も付記しています。 @right_droit  


2017年7月31日(2)
民訴法24/ 211/ 所有権に基づく返還請求や所有権確認など所有権訴訟の請求原因たる、原告の係争不動産等の現在(口頭弁論終結時)所有を、被告が否認すれば、原告は自己への #所有権移転経過(来歴経過)を主張立証する必要がある。これは主要事実であり、当事者主張と異なる来歴経過の認定は、弁論主義違反となる。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版126頁、127頁参照。[事実の分析・評価例(所有権訴訟において当事者が主張する所有権移転経過(来歴経過)の事実は、主要事実か間接事実か。現在はこれを主要事実見ることに争いはないということのようであるが、そうすると、要件事実(現在所有)と主要事実とは異なることになるのか?)]

民訴法23/ 210/ #主要事実 は、権利の発生、変更、消滅という法律効果の判断に直接必要な事実(直接事実)をいう。訴訟物(審判対象)たる一定の権利・法律関係は直接の立証命題たりえないため、権利の発生、変更、消滅という法律効果を発生させる法律要件に該当する、具体的事実(主要事実)の存否を通じ判定する。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版121頁、122頁、57頁、『新問題研究 要件事実』3頁参照。[法的判断枠組み(概念の説明)]


2017年7月30日(2)
民訴法22/ 209/ 弁論主義は裁判所と当事者間の作業分担の原理であるし、主張責任は事実が弁論に現れなかった場合に働く不利益だから、事実が弁論に現れている限り、主張責任を負う当事者が主張しようと、相手方が主張しようと、裁判の基礎となる(主張共通の原則)。#相手方の援用しない自己に不利益な事実 も同様。
 『民事訴訟法講義案』再訂補訂版p120頁参照。なお、同頁注1、R21①も、参照。[法的判断枠組み(法原理の説明)]

商法51/ 会社法51/ 208/ 一定の場合、株式会社には監査役会設置義務がある。監査役3人以上。半数以上は社外監査役(#会社法335条3項)、常勤監査役(1人以上)の選定も要する(390条3項)。一定の場合、会計監査人の設置義務もある(328条)。計算書類作成の適正を監視監督する(会計監査)。公認会計士資格要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版136頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]


2017年7月29日(4)
商法50/ 会社法50/ 207/ #株主総会 とは、会社の構成員たる株主により構成される、会社の意思決定機関、株主による会議体である。いなかる機関設計を採用しても、設置する必要がある(295条、326条参照)。株主の利潤追求動機(所有の契機)に基づく団体であるから、株主が意思決定に関与する必要性があるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版140頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法49/ 会社法49/ 206/ 上場会社では、取締役・執行役が個々の従業員の行為を監視することは現実的でなく、取締役会は、会社の業務の法令遵守体制、その他のリスク管理体制を含め、#内部統制システム 構築義務を負う。そのような義務違反があれば、任務懈怠が認定される。もっとも、ある程度の裁量は認められるべきである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版235頁参照。会社法355条・419条2項。[法的判断枠組み(法的制度の説明)]

商法48/ 会社法48/ 205/ 企業経営にリスクは伴う。リスクある事業を行うことが株式会社の役割であり、資本主義経済の発展を促す。しかし、裁判官は経営についての知識・経験を有するわけではなく、後知恵で取締役の #経営判断 への事後的な介入を安易に認めるならば、株式会社の存在意義、所有と経営の分離も無意味になる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版233頁参照。[法的判断枠組み(法的制度の背景)]

商法47/ 会社法47/ 204/ #会社法356条1項3号に例示される債務保証のほか、債務引受、担保の提供も規制される。その他、会社と第三者の間の取引で、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為が同条項3号の規制対象になると解される。相対的無効説をとっても、取引安全は十分に確保されないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み(条文の規制対象。規範の定立)]


2017年7月27日(2)
商法46/ 会社法46/ 203/ 持分会社では「社員」しか経営者(業務執行者)になれないが(#会社法590条1項)、株式会社では「株主」でない者が取締役等として経営に携われる(331条2項本文参照)。これを所有と経営の分離という。大規模・公開会社(2条5号)の経営専門家による経営者支配を、所有と支配の分離という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版133頁、134頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法45/ 会社法45/ 202/ #組織再編 手段の多様化。合併は、当事会社が合一するので、賃金体系統一の煩、簿外債務承継のリスクがある。平成11年創設の株式交換・株式移転によれば、それを回避できる。平成12年創設の会社分割によれば、事業譲渡と異なり、債権者の承諾を要せず、債務を他の会社に承継させうる利点がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版387参照、383頁参照。[法的判断枠組み(制度比較)]


2017年7月25日(2)
倒産法29/ 序論2/ 201/ #事業再生ADR は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づく法務大臣の認証と、産業競争力強化法に基づく経済産業大臣の認証を受けたADR機関が、中立的立場で関与する民間型ADRである。金融債権者に対する権利行使の一時停止要請、事業再生計画案策定、調査、協議、決議と進む。
 田頭章一『講義 破産法・民事再生法 重要論点の解説と演習』9頁参照。[法的判断枠組み(制度説明)、とりあえず、民再以外、破に分類。]

倒産法28/ 序論1/ 200/ 債務者が経営悪化した時点で、債権者に自由な #個別的権利行使 を認めると、債権回収競争が始まり、債権者は本業に集中できなくなる。債務者側も、社会的価値のあった事業の解体、違法な行為への誘惑にさらされる。平時のルールでは対応できない、無秩序、価値破壊的、不安的な事件処理に行きつく。
 田頭章一『講義 破産法・民事再生法 重要論点の解説と演習』6頁参照。[法的判断枠組み(法的背景)]


2017年7月11日(1)
商法44/ 会社法44/ 199/ 法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年7月10日(7)
商法43/ 会社法43/ 198/ 会社法199条以下に基づく株式発行の場合を、通常の株式発行という。
一方、①取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式の対価として、②株式分割により、③株式無償割当て、新株予約権行使、吸収合併・吸収分割・株式交換に伴う株式発行により、株式数が増加する場合、#特殊の新株発行 という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法定判断枠組み(概念の説明)]

商法42/ 会社法42/ 197/ #募集株式の発行等 は、株式会社が発行する株式の引受人の募集、株式会社の処分する自己株式の引受人の募集の2つの概念を含む(会社法199条1項)。
募集は、株式引受けの申込みの誘引であり、①株主割当て(202条)、②第三者(既存株主含む)割当て、③公募(実際、第三者割当て)をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言・制度説明)。事実の分析(公募は、わが国では一般に、証券会社が株式の総数を引き受けて投資家に販売している(買取引受け。205条)。)]

商法41/ 会社法41/ 196/ #第三者割当て につき、①既存株主から新株主へのいわば利益移転(経済的価値の希釈化)の調整のため、有利発行規制(199条3項)があり、②既存株主の持株比率調整のため(支配にかかる利益保護)、差止請求権(210条2号)があり、授権資本制度(37条3項、113条3項)が限界を画する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法40/ 会社法40/ 195/ かつて、株主提案に対し賛成票はきわめて少なく、制度の主眼は、株主への意見表明の機会付与と言われてきた。
近年、提案内容も多様化し、株主提案権行使と委任状勧誘(議決権の代理行使の株主への勧誘。#金商法194条 等による規制あり)を組み合わせ、株主提案が多くの賛成票を集める例もある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版147頁、148頁参照。[事実の分析]

商法39/ 会社法39/ 194/ 少数株主は、株主総会招集権を行使し(#会社法297条1項)、議題(会議の目的事項)提案、議案(議題に関する具体的提案)提出が可能である。しかし、総議決権100分の3保有要件は厳しい。そこで、議題提案権(303条1項)、議案提出権(304条)・議案通知権(305条1項)制度がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版146頁、147頁参照。[法的判断枠組み(法的概念および制度の説明、条文の指摘)]

商法38/ 会社法38/ 193/ 「株主の権利行使に関」する利益供与は禁じられる(#会社法120条1項)。総会屋対策、会社運営の健全性・公正の確保の趣旨である。会社運営上の合理性の有無で判断する。会社に好ましくない株主による議決権等行使を回避する目的で、その者から株式を譲り受ける資金の何人かへの供与も、該当する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版158頁、159頁(最判平18・4・10民集60-4-1273)参照。[法的判断枠組み(趣旨、判断基準)。事実の評価例]

商法37/ 会社法37/ 192/ 株主でない者による株主総会の攪乱を防止する趣旨で、代理人資格を株主に限る旨の、定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり、有効である(#会社法310条1項前段参照)。その場合も、仮に法人が、株主でない従業員を代理人としても、総会を攪乱させるおそれはなく、当該定款に反しない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版153頁、154頁(最判昭43・11・1民集22-12-2402、最判昭51・12・24民集30-11-1076)参照。[事実の分析・評価例]


2017年7月9日(2)
商法36/ 会社法36/ 191/ B社株主のA社がB社株主総会で議決権行使し、他の株主に著しく不当な対価で、組織再編が承認された場合、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議として、決議取消訴訟提起が可能。その認容による法令違反として、#組織再編差止請求訴訟 提起も可能。その双方を本案に仮処分も求めうる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版414頁(なお、249頁)参照。[法的判断枠組み(制度の説明)] R21②設問4(合併の差止請求)関連。

商法35/ 会社法35/ 190/ 組織再編が法令・定款違反の場合に、株主が不利益をうけるおそれあるとき、株主は差止請求できる(#会社法784条の2第1号、796条の2第1号、805条の2。簡易組織再編は除外)。対価が著しく不当な場合も、特別利害関係人の議決権行使(831条1項3号参照)などを理由に差止請求できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版413頁~415頁参照。[法的判断枠組み(条文構造、制度の説明、条文解釈)] R21②設問4(合併の差止請求)、6(株主総会決議取消しの訴え、無効確認の訴え)関連。

2017年7月8日(4)
商法34/ 会社法34/ 189/ 単元未満株式を譲渡により取得した場合の株主名簿の名義書換請求権(#会社法133条)は、定款で排除可能であり(施行規則35条1項4号参照)、株券発行会社は単元未満株主に株券を発行しない旨を定款で定めうる(会社法189条3項)。このような定款の定めで、単元未満株式の流通阻止を図れる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法33/ 会社法33/ 188/ 単元未満株主には議決権がない(#会社法189条1項。188条1項・308条1項ただし書)。株主提案権等、議決権前提の権利もない(303条等)。その他の権利は、残余財産請求権(189条2項5号)や配当請求権(同条項6号、施行規則35条1項7号ニ)等の自益権を除き、定款で排除できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)] 株主提案権につき、T19(40イ)参照。

商法32/ 会社法32/ 187/ 株式無償割当て(#会社法185条)は、会社が株主の保有株式数に応じて、当該会社の株式を無償で交付するすることである。株式の分割と経済実質を同じくする。ただし、無償割当てでは、発行済株式と異なる種類の株式の割当ても可能である。分割は自己株式にも効力が及ぶが、無償割当てでは及ばない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版128頁、129頁参照。[法的判断枠組み(制度の解説)]

商法31/ 会社法31/ 186/ 株式の併合(#会社法180条1項)は、数個の株式を合わせ、より少ない数の株式にすること、株式の分割(183条1項)は、逆に、既発行株式を、それより多い数の株式にすることである。前者には株主総会特別決議を要する。株主の地位を失い、端数の金銭処理に甘んじるべき株主が生ずるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版125頁参照。[法的判断枠組み(条文ないし制度の説明)]


2017年7月5日(3)
刑法16/ 総論12/ 185/ 急迫不正の侵害が存在し、過剰な防衛行為があるときに、①過剰性の認識・予見なければ、違法性阻却事由不存在の認識なく、故意が認められず(誤想防衛)、犯罪不成立。②その場合に、過剰性の認識・予見可能性あれば、過失犯(過失の #過剰防衛)。③過剰性の認識・予見あれば故意の過剰防衛である。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
 山口教授のいう過失の過剰防衛は、単なる過失犯とも思えるが、36条2項が適用されうるということだろうか?ただし、山口197頁の誤想過剰防衛において、過失犯が成立した場合の取扱いと同じく、刑の免除はできないと解すべきできではないだろうか?]

刑法15/ 総論11/ 184/ 急迫不正の侵害がないのにあると誤信し、それに対する対抗行為が、誤想した侵害が実際に存在するとした場合の許容範囲を超えていたとき、如何。行為者に過剰性の認識・予見があれば、故意の #誤想過剰防衛 となる。なければ、故意はないが、その認識・予見可能性あれば、過失の誤想過剰防衛となる。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
1. なお、故意の誤想過剰防衛も、過失の誤想過剰防衛も、故意犯に対する刑法36条2項による刑の減免の余地の問題である。
2. これに対して、急迫不正の侵害を誤想したことについてそもそも過失がある場合には、過失犯の成否の問題である。
 その場合には、すでに過失犯が成立しているので、過剰性について認識・予見がある場合に(故意の過剰防衛?)、違法な過剰防衛となる事実について、その限度での故意犯に相当する部分に対し、36条2項を適用するとしても、すでに成立している過失犯の刑よりも軽く処断することはできないと解する。
 具体的には、刑の免除はできない(山口197頁参照)。
3. 以上、自分なりに、山口教授の説明を敷衍しようと試みたが、成功しているかどうかわからない。]

刑法14/ 総論10/ 183/ Xは急迫性を錯覚し、自己の生命身体を守るため、やむなく傷害に及んでおり、急迫不正の侵害がないのにあるものと誤信し、その錯誤に過失は認められない。したがって、錯誤により犯罪の消極的構成要件(違法性阻却事由)たる正当防衛を認識したもので、犯罪事実の認識を欠き、#故意 は認められない。
 広島高判昭35・6・9高刑集13-5-399『判例プラクティス』Ⅰ総論〔222〕参照。[事実の評価例(誤想防衛)。なお、山口『刑法総論』2版195頁L4①参照。]


2017年7月3日(1)
商法30/ 会社法30/ 182/ 「法令・定款に違反する行為」(#会社法360条1項)は、個別の法令(すべての法令含む)・定款に違反する行為のほか、取締役・執行役の注意義務違反(330条・402条3項・民法644条、会社法355条)にあたる行為も含む。裁判外での差止請求、仮処分申立て(民保法23条)もできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版249頁、R21②設問4、参照。[法的判断枠組み(条文の文言の意味、ほか)]