140字会社法 (70, 2017年8月16日更新)

 法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています。

 間違い等のご指摘いただけたら有難いです、よろしくお願い致します。 twitter.com

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目次
〔総論〕

〔設立〕

〔株式〕 ■株式と株主 ■株式譲渡自由の原則・制限 ■株式の譲渡・担保化と権利行使の方法 ■特殊な株式保有形態 ■投資単位の調節 

〔機関〕 ■総説 ■株主総会 ■取締役・取締役会・代表取締役 ■ 監査役 
■ 役員等の義務と責任 ●役員等の義務、利益衝突 ◆報酬等の決定 ●役員等の会社に対する責任

〔計算・債権者保護制度〕

〔資金調達方法〕 ■募集株式の発行 ■新株予約権 ■ 社債 

〔組織再編〕 ■ 組織再編の意義 ■ 組織再編の手続 ■ 組織再編の無効の訴え

〔他〕 ■定款変更 ■解散・清算 

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本論
〔総論〕

〔設立〕
商法54/ 会社法54/ 216/ #短答 #会社法。平成21年民事系第37問参照(予備校正答率49%)#設立 肢2,3正解
https://goo.gl/cifr1f
https://goo.gl/2UR3un
https://goo.gl/cmt6nW
https://goo.gl/WtjcZk

〔株式〕
■株式と株主6 
商法62/ 会社法62/ 256/
株式会社は社団法人であり、構成員(社員)を株主、社員たる資格(地位)を株式という。出資するか、他の株主から承継取得(個別承継、一般承継)して株主となる。#社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形をとり、法律の認める範囲内で内容に一定のヴァリエーションを設けることもできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版65頁、66頁参照。[法的判断枠組み(基礎的な説明)]

商法63/ 会社法63/ 257/
株主が会社から経済的利益を受ける権利を自益権という。①剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号、453条)、②解散・清算後に残余財産の分配を受ける権利(105条1項2号、502条)など。①②を一切与えないとすることはできない(105条2項)。株式会社の #営利性 の現れ。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

商法64/ 会社法64/ 258/
株主が①会社経営に参与し、②監督是正する権利を共益権という。①#株主総会会社法295条)における #議決権(105条1項3号、308条)、#質問権(314条)、#提案権、#総会招集権など、②各種 #提訴権(828条、831条、847条等)、各種 #書類等の閲覧等請求権 がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版67頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法66/ 会社法66/ 260/ 自益権は単独株主権である(会社法454条3項、504条3項等)。議決権(308条)、代表訴訟の提起権(847条)や差止請求権(210条、360条等)なども同じ。株主総会の招集権(297条)や役員解任の訴えの提起権(854条)などは少数株主権である。#共益権は微妙な政策判断が必要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版70頁参照。[法的判断枠組み(株主の権利の背景)]


商法65/ 会社法65/ 259/
少数株主権を含む株主権も権利の一種である以上、濫用は許されない(民法1条3項)。
総会屋による株主名簿閲覧・謄写請求が、株主としての権利の確保等のためでなく、新聞等の購読料名下の金員の支払の再開、継続目的での #嫌がらせ、あるいは、#報復 と認定され、権利濫用とされた事例がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁参照。[法的判断枠組み(法の一般原則)、および、事実の分析・評価例]


商法67/ 会社法67/ 261/ 株式買取請求権は、①事業譲渡等(会社法469条)、合併、会社分割、株式交換・株式移転(785条、797条、806条)、株式併合(182条の4)、株式譲渡制限(#116条1項1号2号)、全部取得条項を付す(同条項2号)、他(3号)、②単元未満株(#192条以下)の場合に認められる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版71頁、72頁参照。[法的判断枠組み(制度および条文の確認)]

 

■株式譲渡自由の原則・制限 

■株式の譲渡・担保化と権利行使の方法1
商法29/ 会社法29/ 177/
株主名簿の名義書換えなければ、株式譲受人は譲渡を会社に対抗できないが(#会社法130条1項2項)、株券占有者は真の権利者と推定され(131条1項)、株券提示により単独で名義書換請求できる(133条2項、施行規則22条2項1号)。その不当拒絶は、違法(831条1項1号参照)である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版112、113、106頁参照。[法的判断枠組み(条文)、事実の評価例]

■特殊な株式保有形態 
■投資単位の調節4
商法31/ 会社法31/ 186/
株式の併合(#会社法180条1項)は、数個の株式を合わせ、より少ない数の株式にすること、株式の分割(183条1項)は、逆に、既発行株式を、それより多い数の株式にすることである。前者には株主総会特別決議を要する。株主の地位を失い、端数の金銭処理に甘んじるべき株主が生ずるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版125頁参照。[法的判断枠組み(条文ないし制度の説明)]

商法32/ 会社法32/ 187/
株式無償割当て(#会社法185条)は、会社が株主の保有株式数に応じて、当該会社の株式を無償で交付するすることである。株式の分割と経済実質を同じくする。ただし、無償割当てでは、発行済株式と異なる種類の株式の割当ても可能である。分割は自己株式にも効力が及ぶが、無償割当てでは及ばない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版128頁、129頁参照。[法的判断枠組み(制度の解説)]

商法33/ 会社法33/ 188/
単元未満株主には議決権がない(#会社法189条1項。188条1項・308条1項ただし書)。株主提案権等、議決権前提の権利もない(303条等)。その他の権利は、残余財産請求権(189条2項5号)や配当請求権(同条項6号、施行規則35条1項7号ニ)等の自益権を除き、定款で排除できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)] 株主提案権につき、T19(40イ)参照。

商法34/ 会社法34/ 189/
単元未満株式を譲渡により取得した場合の株主名簿の名義書換請求権(#会社法133条)は、定款で排除可能であり(施行規則35条1項4号参照)、株券発行会社は単元未満株主に株券を発行しない旨を定款で定めうる(会社法189条3項)。このような定款の定めで、単元未満株式の流通阻止を図れる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版130頁参照。[法的判断枠組み(条文および制度の説明)]

 

〔機関〕
■ 総説2
商法46/ 会社法46/ 203/
持分会社では「社員」しか経営者(業務執行者)になれないが(#会社法590条1項)、株式会社では「株主」でない者が取締役等として経営に携われる(331条2項本文参照)。これを所有と経営の分離という。大規模・公開会社(2条5号)の経営専門家による経営者支配を、所有と支配の分離という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版133頁、134頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法51/ 会社法51/ 208/
一定の場合、株式会社には監査役会設置義務がある。監査役3人以上。半数以上は社外監査役(#会社法335条3項)、常勤監査役(1人以上)の選定も要する(390条3項)。一定の場合、会計監査人の設置義務もある(328条)。計算書類作成の適正を監視監督する(会計監査)。公認会計士資格要。
 『LEGAL QUEST会社法』3版136頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

株主総会7
商法50/ 会社法50/ 207/
#株主総会 とは、会社の構成員たる株主により構成される、会社の意思決定機関、株主による会議体である。いなかる機関設計を採用しても、設置する必要がある(295条、326条参照)。株主の利潤追求動機(所有の契機)に基づく団体であるから、株主が意思決定に関与する必要性があるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版140頁参照。[法的判断枠組み(概念・用語の説明)]

商法68/ 会社法68/ 272/
招集は、株主に総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与える点に実質的意味があるから、これが確保される限り、口頭でも原則可能である。ただし、#取締役会設置会社では書面等による招集を要し(299条2項2号、3項)、#一定規模の会社における機会確保が制度的に担保されている。
 『LEGAL QUEST会社法』3版144頁参照。[法的判断枠組み(制度趣旨、条文制度の説明)]


商法39/ 会社法39/ 194/
少数株主は、株主総会招集権を行使し(#会社法297条1項)、議題(会議の目的事項)提案、議案(議題に関する具体的提案)提出が可能である。しかし、総議決権100分の3保有要件は厳しい。そこで、議題提案権(303条1項)、議案提出権(304条)・議案通知権(305条1項)制度がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版146頁、147頁参照。[法的判断枠組み(法的概念および制度の説明、条文の指摘)]

商法40/ 会社法40/ 195/
かつて、株主提案に対し賛成票はきわめて少なく、制度の主眼は、株主への意見表明の機会付与と言われてきた。
近年、提案内容も多様化し、株主提案権行使と委任状勧誘(議決権の代理行使の株主への勧誘。#金商法194条 等による規制あり)を組み合わせ、株主提案が多くの賛成票を集める例もある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版147頁、148頁参照。[事実の分析]

 


商法37/ 会社法37/ 192/
株主でない者による株主総会の攪乱を防止する趣旨で、代理人資格を株主に限る旨の、定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり、有効である(#会社法310条1項前段参照)。その場合も、仮に法人が、株主でない従業員を代理人としても、総会を攪乱させるおそれはなく、当該定款に反しない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版153頁、154頁(最判昭43・11・1民集22-12-2402、最判昭51・12・24民集30-11-1076)参照。[事実の分析・評価例]

商法38/ 会社法38/ 193/
「株主の権利行使に関」する利益供与は禁じられる(#会社法120条1項)。総会屋対策、会社運営の健全性・公正の確保の趣旨である。会社運営上の合理性の有無で判断する。会社に好ましくない株主による議決権等行使を回避する目的で、その者から株式を譲り受ける資金の何人かへの供与も、該当する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版158頁、159頁(最判平18・4・10民集60-4-1273)参照。[法的判断枠組み(趣旨、判断基準)。事実の評価例]

商法18/ 会社法18/ 95/
「財産上の利益の供与」(#会社法120条1項)における「利益」は、金銭だけでなく権利やサービスの提供も含む。「供与」には、消極財産の解消(債務免除等)も含む。「株主の権利の行使に関し」は、株主として行使する全ての権利を含む。供与の客体は誰でもよく、会社の損害の発生も不要である。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)130頁参照。

■ 取締役・取締役会・代表取締役3
商法44/ 会社法44/ 199/
法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

商法21/ 会社法21/ 137/
累積投票制度では、取締役選任決議について、株主が株式1株につき選任される取締役の数と同数の議決権を有し(#会社法342条3項)、その議決権全部を特定の候補者に集中して投票できる。少数派株主も持株数に応じた数の取締役を選出できるが、制度自体が定款で排除される場合も多い(同条1項)。
 『会社法判例百選』2版66頁解説1参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

商法19/ 会社法19/ 96/
内部統制システム整備は、大会社である取締役会設置会社で義務づけられ(#会社法362条5項、4項6号、施行規則100条1項)、具体的にどのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題となる。各取締役は取締役会の一員としてその大綱の決定義務、履行についての監督義務を負う。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)139、141頁参照。


■ 役員等の義務と責任
●役員等の義務、利益衝突11

商法22/ 会社法22/ 167/
取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときは(直接取引)、当該取締役は、重要な事実を開示し、取締役会ないし株主総会の承認を受けなければならない(#会社法356条1項2号・365条1項参照)。当該取締役は、特別利害関係があるため、議決に加われない(369条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版219、221頁参照。[法的判断枠組み]

商法23/ 会社法23/ 168/
会社が取締役以外の者と、会社と取締役の利益が相反する取引をしようとするときも(間接取引)、取締役会ないし株主総会の承認を要する(#会社法356条1項3号・365条1項)。取締役の債務を保証し債務不履行となれば債権者が会社に請求するのであり、取締役への貸付と同様といえるからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み]

商法47/ 会社法47/ 204/
#会社法356条1項3号に例示される債務保証のほか、債務引受、担保の提供も規制される。その他、会社と第三者の間の取引で、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為が同条項3号の規制対象になると解される。相対的無効説をとっても、取引安全は十分に確保されないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み(条文の規制対象。規範の定立)]

商法24/ 会社法24/ 169/
会社法356条1項3号は、会社と第三者の間の間接取引で外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為も規制する。
ただし、同条項2号3号は、取締役が裁量行使し会社の利益を害するおそれなき行為は規制しない。無担保での借受け、債務の履行、普通取引約款による取引などである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版220、221頁参照。[法的判断枠組み、および、事実の評価例]

商法25/ 会社法25/ 170/
承認なき利益相反取引(#会社法356条1項2号3号)につき、直接取引の相手方取締役に対し、会社は、取引無効を主張できる。間接取引の相手方や、会社振出の約束手形等の転得者に対し、取引安全のため、その者の悪意の主張立証を要する。会社利益保護制度なので、相手方からの無効主張はできない。
 『LEGAL QUEST会社法』3版222頁参照。[法的判断枠組み]

商法26/ 会社法26/ 171/
取締役が会社事業と競業する事業を行うことは、会社の利益を害する危険が大きい。取締役は会社のノウハウや顧客を奪ったり、自身の職務を手抜きするおそれもある。取締役が別の会社を代表して行う場合も同様である。会社の利益を守るため、競業取引の規制がなされている(#会社法356条1項1号)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版223頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

商法27/ 会社法27/ 172/
会社法356条1項1号 の「ために」とは、同2号と異なり、取引の実質的な利益帰属者(の計算で)を示すと解する。「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社の現在の事業、および、進出のために準備を進めている事業、で行われる取引と目的物、市場(地域・流通段階等)が競業する取引をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版223、224頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(条文の文言解釈)]

◆報酬等の決定
商法58/ 会社法58/ 227/
定款または株主総会決議(株主総会で総額を定め、取締役会で各取締役の配分を決議した場合含む)で取締役の報酬額が #具体的に定められた 場合、会社と取締役間の契約内容となり、当事者双方を拘束するから、その後株主総会で無報酬と決議しても、当該取締役の同意なき限り、報酬請求権は存続する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕50頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法59/ 会社法59/ 228/
①取締役の報酬が具体的に定められると、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束する、②その後これを無報酬とする株主総会決議が行われても、当該取締役が同意しないかぎり報酬請求権は失われない、③取締役の #職務内容に著しい変更がある場合 も同様である。これは、報酬減額にも妥当する。
 『事例で考える会社法』初版〔事例③〕54頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(判例による法解釈)]

商法61/ 会社法61/ 230/
取締役報酬額が具体的に定まれば、会社との契約内容となり拘束力をもつので、同意なき限り、事後に無報酬とする株主総会決議で報酬請求権を奪えないが、取締役の任用契約(委任契約)は継続的であり、#契約拘束力だけ で事情変更を阻む理由乏しく、正当理由あれば、報酬を地位・責任に比例させうる。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕61~62頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

商法60/ 会社法60/ 229/
取締役報酬は #ある程度身分保障 されているので(会社法361条、332条、339条参照)、職務内容の著しい変更のみを理由に減額できない。しかし、①役職に応じ減額しうる事前の同意(契約内容)や、②「正当な理由」(339条2項参照)がある場合には、総会決議により減額しうると解する。
  『事例で考える会社法』初版〔事例③〕56~58頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。[法的判断枠組み(法解釈)]

 

●役員等の会社に対する責任12
商法16/ 会社法16/ 86/
リスクの伴う企業経営を、結果的に萎縮させないため、行為時の状況に照らし①情報収集・調査・検討に不注意な誤りがなかったか、②意思決定過程・内容に通常の企業経営者として著しく不合理な点ながなかったかという点から、経営判断について任務懈怠責任(#会社法423条1項)を判断すべきである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版289頁参照。[法的判断枠組み(考慮要素)]

商法48/ 会社法48/ 205/
企業経営にリスクは伴う。リスクある事業を行うことが株式会社の役割であり、資本主義経済の発展を促す。しかし、裁判官は経営についての知識・経験を有するわけではなく、後知恵で取締役の #経営判断 への事後的な介入を安易に認めるならば、株式会社の存在意義、所有と経営の分離も無意味になる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版233頁参照。[法的判断枠組み(法的制度の背景)]

商法49/ 会社法49/ 206/
上場会社では、取締役・執行役が個々の従業員の行為を監視することは現実的でなく、取締役会は、会社の業務の法令遵守体制、その他のリスク管理体制を含め、#内部統制システム 構築義務を負う。そのような義務違反があれば、任務懈怠が認定される。もっとも、ある程度の裁量は認められるべきである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版235頁参照。会社法355条・419条2項。[法的判断枠組み(法的制度の説明)]

商法56/ 会社法56/ 223/
会社が遵守すべきあらゆる法令につき、その違反は、取締役の任務懈怠となる。取締役が業務執行を決定・執行する以上、職務遂行に際し会社を名あて人とする #すべての法令 の遵守も職務上の義務であり、株主の合理的意思にかんがみ、会社・株主保護目的の法令に限らず遵守し経営すべきだからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版237頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言「法令」(会社法355条、419条2項)の意義)]


商法55/ 会社法55/ 222/
利益相反取引・競業取引の承認の有無に関わらず、損害があれば、取締役等は任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
利益相反する取締役等、決議に賛成した取締役等は、任務懈怠が推定される(同条3項。なお4項)。
承認なき競業取引の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

商法28/ 会社法28/ 173/
利益相反取引・競業取引に承認を受けていても、会社に損害があれば、任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
自己のための利益相反取引は無過失責任である(428条1項)。
事前承認なき競業取引(356条1項1号)の場合の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(423条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文構造の説明)。
1. 私の理解の過程を残せば、上記記述に圧縮して初めて、条文の細かな違いがわかった。
2. それは、428条1項と、423条2項との違いである。
 前者は、自己のための利益相反取引についての規定であり、356条1項の規定に違反したかどうかは問われていない。
 これに対して、後者の競業取引についての規定に関しては、「第356条第1項の規定に違反して」とされているので、事前承認なき場合に限られている。
3. ややこしい。今ひとつよくわからないところもある。一応、条文の規定に仕方・構造の違いの指摘にとどまる。]

商法57/ 会社法57/ 224/
任務懈怠責任は、役員等の会社に対する #債務不履行責任 の性質を有するが、連帯責任(会社法430条)とされるなど、法によって内容が加重された特殊な責任である。そのため、消滅時効期間が、商法522条の5年でなく民法167条1項の10年とされる。遅延損害利率も、民法所定の5分である。
 『LEGAL QUEST会社法』3版239頁(最判平20・1・28。最判平26・1・30)、民法404条、参照。[法的判断枠組み(任務懈怠責任の性質、および、その性質に基づく解釈)]

 


商法30/ 会社法30/ 182/
「法令・定款に違反する行為」(#会社法360条1項)は、個別の法令(すべての法令含む)・定款に違反する行為のほか、取締役・執行役の注意義務違反(330条・402条3項・民法644条、会社法355条)にあたる行為も含む。裁判外での差止請求、仮処分申立て(民保法23条1項)もできる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版249頁、R21②設問4、参照。[法的判断枠組み(条文の文言の意味、ほか)]

 

商法69/ 会社法69/ 273/
会社法429条1項の責任につき、①役員等の任務懈怠と第三者の損害の間に相当因果関係ある限り、#会社が損害を被りひいては第三者に生じた間接損害か、#第三者の直接損害かを問わず、役員等は責任を負う。②#役員等への不法行為責任追及も可能。③#任務懈怠についての悪意・重過失立証で足りる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版250頁(最大判昭44・11・26民集23-11-2150)参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]


会社法53/ 215/
社債権者も「第三者」(#会社法429条1項)に含まれる。第三者は、任務懈怠の当事者以外のすべての者をいうからである。
株主は、直接損害の場合、含まれるが、会社をはさんだ間接損害の場合、含まれないと解する。後者では、423条等で損害回復できるのであり、二重取りさせないためである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系310頁参照。[事実の分析・評価例] 27年度予備試験参照。

商法70/ 会社法70/ 274/
間接損害につき原則、株主は「第三者」(会社法429条1項)に含まれない。役員等の行為により会社財産が減少し株価が下落しても、株主は429条でなく、#代表訴訟を提起し423条等の責任追及すべきである。役員等に二重に責任追及すべきでも、会社の賠償請求権を奪うべきでも、ないからである。
 『LEGAL QUEST会社法』3版251頁参照。[法的判断枠組み(間接損害事例で「第三者」に株主が含まれない理由)]


会社法52/ 214/
名目的取締役も、適法な選任決議を経ている以上「#役員等」(会社法429条1項)にあたる。
選任決議を欠く登記簿上の取締役も、役員等にあたりうる。故意・過失で登記に承諾を与えていれば、908条2項の類推により、善意の第三者に対抗できない結果、429条の責任を免れられないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系307頁参照。[事実の分析・評価例。ただし、名目的取締役については、「役員等」にあたっても、具体的事情によっては、因果関係を欠く場合も考えられる。]


〔計算・債権者保護制度〕
商法17/ 会社法17/ 87/
閲覧謄写請求した株主の親会社と、請求された会社とが競争関係にある場合、#会社法433条2項 3号の「請求者」と「実質的に競争関係」にある場合にあたる。競業者等が会計帳簿等の閲覧等により会社の秘密を利用し、会社に甚大な被害を生じさせないよう未然に防止する必要は変わらないからである。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版355頁参照。

〔資金調達方法〕
■募集株式の発行4
商法41/ 会社法41/ 196/
#第三者割当て につき、①既存株主から新株主へのいわば利益移転(経済的価値の希釈化)の調整のため、有利発行規制(199条3項)があり、②既存株主の持株比率調整のため(支配にかかる利益保護)、差止請求権(210条2号)があり、授権資本制度(37条3項、113条3項)が限界を画する。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法的判断枠組み(制度の説明)]

商法42/ 会社法42/ 197/
#募集株式の発行等 は、株式会社が発行する株式の引受人の募集、株式会社の処分する自己株式の引受人の募集の2つの概念を含む(会社法199条1項)。
募集は、株式引受けの申込みの誘引であり、①株主割当て(202条)、②第三者(既存株主含む)割当て、③公募(実際、第三者割当て)をいう。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁参照。[法的判断枠組み(条文の文言・制度説明)。事実の分析(公募は、わが国では一般に、証券会社が株式の総数を引き受けて投資家に販売している(買取引受け。205条)。)]

商法43/ 会社法43/ 198/
会社法199条以下に基づく株式発行の場合を、通常の株式発行という。
一方、①取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式の対価として、②株式分割により、③株式無償割当て、新株予約権行使、吸収合併・吸収分割・株式交換に伴う株式発行により、株式数が増加する場合、#特殊の新株発行 という。
 『LEGAL QUEST会社法』3版307頁、308頁参照。[法定判断枠組み(概念の説明)]

商法20/ 会社法20/ 136/
会社法199条3項「特に有利な金額」は公正な発行価額より特に低い価額をいう。公正な発行価額には、価額決定前の株式価格との近接、騰落習性、売買出来高実績、資産・収益・配当・株式市況状況、発行済株式数、発行予定株式数・その消化可能性等を総合し、旧株主利益と資金調達との調和を要する。
 東京地決平16・6・1判時1873-159『会社法判例百選』2版〔24〕参照。[法的判断枠組み(条文の文言の説明。裁判例)]


新株予約権

社債

〔組織再編〕
■ 組織再編の意義
商法14/ 会社法14/ 37/
キャッシュアウトとは、ある者(買収者)が、株式会社(対象会社)の発行する株式の全部を、株主の個別の同意を得ることなく、金銭を対価として取得することをいう。経営政策上の合理性が認められる場合、差止請求権、株式買取価格の決定制度、情報開示など株主保護の仕組みの下で許容される。#会社法
 『LEGAL QUEST会社法』3版377、378頁参照。

商法45/ 会社法45/ 202/
#組織再編 手段の多様化。合併は、当事会社が合一するので、賃金体系統一の煩、簿外債務承継のリスクがある。平成11年創設の株式交換・株式移転によれば、それを回避できる。平成12年創設の会社分割によれば、事業譲渡と異なり、債権者の承諾を要せず、債務を他の会社に承継させうる利点がある。
 『LEGAL QUEST会社法』3版387参照、383頁参照。[法的判断枠組み(制度比較)]

商法15/ 会社法15/ 38/
承継型組織再編の対価は組織再編契約で自由に決められる(対価柔軟化)。代わりに、株式買取価格は「公正な価格」とされ、消滅会社等の株主が、組織再編による企業価値の増加分(シナジー等)の公平な分配を受けられる。新設型組織再編では、対価は、設立会社の株式の他は、社債等に限られる。#会社法
 『LEGAL QUEST会社法』3版391頁参照。

商法1/ 会社法1/ 9/
事業譲渡(#会社法467条 1項)とは、①一定の事業目的のために組織化され、有機的に一体として機能する財産を譲渡し、これによって、②事業活動を譲受会社に受け継がせ、③譲渡会社が、法律上当然に21条の競業避止義務を負うものをいう。法の解釈の統一性を保つため、21条以下と同様に解する。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系335頁参照。[法的判断枠組み]

商法2/ 会社法2 / 10/
「事業の重要な一部の譲渡」(#会社法467条 1項2号)とは、株主の重大な利害に関わる事業再編か否か、量的・質的な側面から判断される。量的基準として、譲渡資産の帳簿価格のほか、売上高、利益、従業員数等を総合的にみて、事業全体の10%を超えていることが必要である。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

■ 組織再編の手続 
商法35/ 会社法35/ 190/
組織再編が法令・定款違反の場合に、株主が不利益をうけるおそれあるとき、株主は差止請求できる(#会社法784条の2第1号、796条の2第1号、805条の2。簡易組織再編は除外)。対価が著しく不当な場合も、特別利害関係人の議決権行使(831条1項3号参照)などを理由に差止請求できる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版413頁~415頁参照。[法的判断枠組み(条文構造、制度の説明、条文解釈)] R21②設問4(合併の差止請求)、6(株主総会決議取消しの訴え、無効確認の訴え)関連。

商法36/ 会社法36/ 181/
B社株主のA社がB社株主総会で議決権行使し、他の株主に著しく不当な対価で、組織再編が承認された場合、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議として、決議取消訴訟提起が可能。その認容による法令違反として、#組織再編差止請求訴訟 提起も可能。その双方を本案に仮処分も求めうる。
 『LEGAL QUEST会社法』3版414頁(なお、249頁)参照。[法的判断枠組み(制度の説明)] R21②設問4(合併の差止請求)関連。


■ 組織再編の無効の訴え
商法3/ 会社法3/ 11/
会社法467条 1項違反の行為は、無効である。株主保護のためである。法的地位の早期安定の見地から、当事者双方から無効主張できるのが原則であるが、譲渡後長期間経過してから当事者の一方が無効を主張することは信義則に反し許されない。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

商法4/ 会社法4/ 12/
親会社の株主総会特別決議を欠く、子会社株式等の譲渡の私法上の効力は無効である。#会社法467条 1項2号の2・309条2項11号が、特別決議を要求する趣旨は、子会社株式等の譲渡が親会社にとって事業譲渡と同様の影響を与えることに鑑み、親会社株主の利益を保護することにあるからである。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系336頁参照。 [法的判断枠組み]

商法5/ 会社法5/ 13/
株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)は、シナジー(合併による相乗効果)が生じない場合には、原則として、吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がなかりせば、その株式が有したであろう価格をいうと解する。最決平23・4・19
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系339、340頁参照。[法的判断枠組み]

商法6/ 会社法6/ 14/
株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条 等)は、シナジーが生じる場合には、なかりせば価格に吸収合併等によるシナジーその他の企業価値の増加分を加えた価格とすべきである。株式買取請求権は、企業再編されなかった場合の経済状態の保障、シナジーの分配を保障するものだから。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系339、340頁参照。[法的判断枠組み]

商法7/ 会社法7/ 15/
「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)の算定基準日は、株式買取請求をした日である。なぜなら、売買契約と同様の法律効果が発生する時点を基準とすべきと考えるからである。最決平23・4・19
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系340頁参照。[法的判断枠組み]

商法8/ 会社法8/ 16/
合併契約締結には「重要な財産の処分及び譲受け」(#会社法362条4項 1号)として、取締役会決議が必要だが、代表取締役が株式会社の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有することにかんがみ、取締役会決議なくとも、内部的意思決定を欠くにとどまるものとして、有効である。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系341頁参照。[事実の評価例]

商法9/ 会社法9/ 17/
合併比率の不公正も、無効原因とはならない。①合併契約は当事者が互いに有利な条件で締結しようとするものだから、当事者の交渉力等の違いから、若干不公正な合併比率となることはありうるし、②反対株主は株式買取請求権を行使することにより、自己の利益を確保できるからである。#会社法828条
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系341、342頁参照。[事実の評価例]

商法10/ 会社法10/ 18/
合併承認の総会決議に瑕疵(取消事由)がある場合は、無効原因となる。なぜなら、総会決議が取り消され得る場合、合併が承認決議なしになされという瑕疵は重大であり、株主を保護する必要があるからである。#会社法783条1項、795条1項、804条1項、309条2項12号
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[事実の評価例]

商法11/ 会社法11/ 34/
総会決議取消しの訴えと合併無効の訴えとの関係は、合併効力発生前は前者のみ、効力発生後は後者のみ可能となる。合併無効の訴えを設けたのは、法律関係の画一的確定をはかるため、合併無効原因となる各種の瑕疵を独立の訴えとして提起することを排斥する趣旨と考えられるからである。#会社法828条
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[法的判断枠組み]

商法12/ 会社法12/ 35/
決議に取消事由があることを合併の無効原因とする場合の出訴期間は、取消訴訟の出訴期間(831条1項)、決議の日から3ヶ月以内とすべきとの見解もある。
しかし、#会社法828条 は無効原因を限定していないのであるから、合併無効原因の訴えの出訴期間通り、制限はないと解すべきである。
 『趣旨規範ハンドブック』6版2民事系342頁参照。[法的判断枠組み]

商法13/ 会社法13/ 36/
会社法782条1項、794条1項、803条1項、施行規則183条6号、192条7号、205条7号で、事前開示事項は「債務の履行に関する事項」と改められており、会社分割の法的安定を図るため、債務の履行の見込みがないことは、会社分割の無効原因とはしない旨改められたものと解する。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版345頁、『LEGAL QUEST会社法』3版420頁、参照。[法的判断枠組み(条文の解釈)]

 

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参照:辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』、『LEGAL QUEST会社法』、『会社法判例百選』、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』、 『事例で考える会社法』初版。

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End of the writing