140字刑法学 (総論) (16) 2017年8月14日更新

 法律に関することを、140字以内にまとめ、可能な範囲で、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価に分けています。 twitter.com

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目次
Ⅰ[序論]0

Ⅱ[違法性(違法)に関する事由]
1. 〔構成要件〕0
2. 〔違法性阻却事由〕0

Ⅲ[有責性(責任)に関する事由]
1. 〔責任要件〕 ■故意 ● 故意、犯罪事実  ●事実の錯誤 ◆構成要件該当事実の錯誤 ◆違法性阻却事由の錯誤 ■過失
2. 〔責任阻却事由〕 ■ 違法の意識

Ⅳ[処罰拡張事由]
1. 〔未遂〕0
2. 〔共犯〕 ■共犯の基礎理論 ■共犯関係からの離脱

Ⅴ[罪数]
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本論
[序論]

[違法性(違法)に関する要件]
〔 構成要件〕

〔 違法性阻却事由〕


[有責性(責任)に関する要件]
〔責任要件〕
■ 故意
刑法3/ 総論1/ 68/
故意とは「罪を犯す意思」(#刑法38条1項)すなわち犯罪事実の認識をいう。犯罪事実とは行為の違法性を基礎づける事実である。違法性を基礎づける点で構成要件が原則、違法性阻却事由が例外であり、故意があるというためには、構成要件該当事実、違法性阻却事由の不存在の双方の認識が必要である。
 平野『刑法概説』75、78頁参照。

刑法13/ 各論9/ 153/
「罪を犯す意思」(#刑法38条1項、故意)は、故意犯の構成要件(構成要件的故意)かつ責任要件である。犯罪事実の表象・認容が認められれば、構成要件該当性・有責性が基礎づけられ、犯罪事実の表象・認容を欠けば、構成要件該当性そのものが阻却される。期待可能性がなければ、責任が阻却される。
 団藤『刑法綱要総論』290、291頁参照。[法的判断枠組み(理論・体系的説明)。故意(mens rea)=TB(構成要件)・S(責任)。If there is no mens rea, then there is no TB. If there is no 期待可能性, then there is no S.
 そもそも故意は、責任(S)の領域の問題である。しかし、小野博士(団藤綱要134頁参照)・団藤教授は、故意は構成要件かつ責任要件(責任要素)であるとする。もっとも構成要件としての故意は、それを主観的・客観的な全体として考察した『違法類型』としての『客観的構成要件要素』と見ているようである(同頁参照)。さらに、この構成要件的故意(構成要件としての故意)は、責任要素の定型化としての意味も持ち、『有責類型』でもあるとされる(同書136~138頁参照)。]

刑法9/ 総論6/ 125/
母と妻からこもごも小言を言われ酒癖の悪いXは憤懣やる方なく、囲炉裏の反対側の両人めがけ憤激の余り本件鈎吊し(かぎつるし)を振りつけ、母Bの前頭部にあてたものである。Xは両人のいずれかにあたることを認識しながらこれを振ったのであり、その暴行はいわゆる択一的故意によるといえる。#刑法
 東京高判昭35・12・24下刑集2-11・12-1365『判例プラクティス』刑法Ⅰ総論〔90〕参照。[事実の評価例]

刑法10/ 総論7/ 126/
パーティー会場でABに一緒に出されるグラスの一方だけ致死量の毒薬を混入するような、いわゆる択一的殺意ある場合、1個の故意(殺意)で複数の故意犯(既遂犯と未遂犯)成立を肯定できる。既遂の可能性で足りる未遂概念の特性による。併存しうるのは未遂犯に限られ、未遂罪二罪も成立しうる。#刑法
 山口『刑法総論』2版211頁参照。[法的判断枠組み(理論的説明)]

●事実の錯誤
◆構成要件該当事実の錯誤

◆違法性阻却事由の錯誤
刑法14/ 総論10/ 183/
Xは急迫性を錯覚し、自己の生命身体を守るため、やむなく傷害に及んでおり、急迫不正の侵害がないのにあるものと誤信し、その錯誤に過失は認められない。したがって、錯誤により犯罪の消極的構成要件(違法性阻却事由)たる正当防衛を認識したもので、犯罪事実の認識を欠き、#故意 は認められない。
 広島高判昭35・6・9高刑集13-5-399『判例プラクティス』Ⅰ総論〔222〕参照。[事実の評価例(誤想防衛)。なお、山口『刑法総論』2版195頁L4①参照。]

刑法16/ 総論12/ 185/
急迫不正の侵害が存在し、過剰な防衛行為があるときに、①過剰性の認識・予見なければ、違法性阻却事由不存在の認識なく、故意が認められず(誤想防衛)、犯罪不成立。②その場合に、過剰性の認識・予見可能性あれば、過失犯(過失の #過剰防衛)。③過剰性の認識・予見あれば故意の過剰防衛である。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
 山口教授のいう過失の過剰防衛は、単なる過失犯とも思えるが、36条2項が適用されうるということだろうか?ただし、山口197頁の誤想過剰防衛において、過失犯が成立した場合の取扱いと同じく、刑の免除はできないと解すべきできではないだろうか?]

刑法15/ 総論11/ 184/
急迫不正の侵害がないのにあると誤信し、それに対する対抗行為が、誤想した侵害が実際に存在するとした場合の許容範囲を超えていたとき、如何。行為者に過剰性の認識・予見があれば、故意の #誤想過剰防衛 となる。なければ、故意はないが、その認識・予見可能性あれば、過失の誤想過剰防衛となる。
 山口『刑法総論』2版196頁参照。[法的判断枠組み。
1. なお、故意の誤想過剰防衛も、過失の誤想過剰防衛も、故意犯に対する刑法36条2項による刑の減免の余地の問題である。
2. これに対して、急迫不正の侵害を誤想したことについてそもそも過失がある場合には、過失犯の成否の問題である。
 その場合には、すでに過失犯が成立しているので、過剰性について認識・予見がある場合に(故意の過剰防衛?)、違法な過剰防衛となる事実について、その限度での故意犯に相当する部分に対し、36条2項を適用するとしても、すでに成立している過失犯の刑よりも軽く処断することはできないと解する。
 具体的には、刑の免除はできない(山口197頁参照)。
3. 以上、自分なりに、山口教授の説明を敷衍しようと試みたが、成功しているかどうかわからない。]


■過失
刑法11/ 総論8/ 127/
過失犯成立には、構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要する。行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても、構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し、かつ、結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。#刑法
 山口『刑法総論』2版235・236頁参照。[法的判断枠組み(理論的説明)。札幌高判昭51・3・18高刑集29-1-78(北大電気メス事件)の言い回しと、山口教授の説明とをなんとか組み合わせた。
 正直に書くと、北大電気メス事件の「因果関係の基本的部分」という言い回しが、故意の錯誤論の裏返しだ(と思う。私の理解がまだ足りていないかもしれませんが)ということに、上記の文章まとめていて気が付きました。それまでは、単なる暗記にすぎませんでした。]
 刑法T29(11ウ)参照。


〔責任阻却事由〕
■ 違法の意識
刑法4/ 総論/ 69/
故意が認められれば、通常は違法の意識に達していたと考えられるので、自己の行為の違法を意識してなくとも、故意犯としての責任を問われる(#刑法38条3項本文)。ただ、違法の意識に達しないことに相当な理由がある、違法の意識の可能性すらない場合、責任が阻却され刑が減軽される(ただし書)。
 平野『刑法概説』92頁参照。[法的判断枠組み。いわゆる制限責任説。
 最大判昭44・6・25刑集23-7-975(夕刊和歌山事件)は、このような場合には、「犯罪の故意がな」いとするが、故意が認められた上での、情状に関することであるから、表現としては妥当でない。
 判例は厳密な意味で「故意がな」いと書いているのではない、いわゆる(制限)故意説(平野・概説94頁説明参照)をとったものではないと考える。
 大越『刑法各論』3版89頁説明(判例=制限故意説?)参照。]

■ 期待可能性

[処罰拡張事由]
〔未遂〕

〔共犯〕
■共犯の基礎理論1
刑法20/ 総論15/ 247/ 他の共犯者の行為に加担し、他人の行為を通じ、法益侵害結果発生に心理的・物理的因果性を及ぼしたことが共犯処罰根拠である。共犯も間接的にせよ、自ら因果的に引き起こした事態に、その限度でのみ責任を負う(個人責任原理)。ここにいう因果性は #促進的因果関係 で足り、条件関係までは不必要。
 『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕(東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407)395頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

■共犯関係からの離脱5
刑法5/ 総論/ 70/
共犯関係からの実行の着手前(#刑法43条本文)の離脱者には、予備罪を除き、刑事責任は生じない。実行着手前に①翻意して離脱の意思を表明し②それを他の共謀者が了承することが必要である。ただ、共謀者団の頭である者については、共謀がなかった状態に復元しなければ、離脱を認めるべきではない。
 山口『刑法総論』2版 352、353頁参照。
[Q:住居侵入窃盗の共謀の下、住居侵入後窃盗着手前に①・②を満たした場合は?
R:リプライ有難うございます😂
 130条前段の構成要件を検討しみたしていれば、住居侵入罪(共犯)のみが成立しうる。235条の実行の着手(犯罪実現の現実的危険性ある行為、具体的には物色等)前なので、①②をみたせば、離脱者は窃盗罪の未遂も既遂も責任を負わない。窃盗の予備罪もないからである。
 いわゆる組織的犯罪処罰法違反(6条の2第1項2号・別表第三2号ネ参照)除く。]

刑法17/ 総論13/ 244/
被告人は、見張り役が住居内の共犯者に電話で「先に帰る」などど #一方的に伝えた のを認識していただけで、犯行防止措置をとることなく、見張り役らと共に離脱したにすぎず、たとえ、強盗着手前であり、残された共犯者らが被告人の離脱を了知していても、当初共謀が解消したということはできない。
 最決平21・6・30刑集63-5-475、平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁参照。[事実の評価例]

刑法18/ 総論13/ 245/
共犯処罰根拠は因果的惹起にあるから、自らそれまでの因果的寄与を撤回し犯罪結果との因果性を遮断すれば、共犯処罰根拠を欠き離脱以降に生じた犯罪事実の責任を負わない。実行着手前に離脱の意思を表明し、他の関与者の #了承 があれば、共同正犯関係は解消する。ただし、一方的通告では足りない。
 平成21年度『重要判例解説』〔刑法3〕179頁、180頁(最決平21・6・30刑集63-5-475)参照。[法的判断枠組み。
 葛原力三先生は、「継続者の了承は離脱者の因果的寄与とは関係しない」と書かれているが、納得して了承すれば、認識(了知)以上に、心理的影響力(心理的因果性)を除去できるのではないのかな?
 私の理解が足りていないだけなんでしょうね?
 他の関与者の了承があれば、共同正犯関係の解消を認める一連の裁判例があるようですので、とりあえず、因果性遮断論(因果的共犯論)と、了承とを組み合わせて書いても、あながち間違いではないのだろうと思います。]

刑法19/ 総論14/ 246/
いったん犯罪遂行を共謀しても、着手前に他の共謀者に実行中止を明示し他の者が #了承 し、犯罪を実行した場合、前共謀は全くなかったものと評価でき、他の共犯者の実行した犯罪の責を分担すべきでない。
Xは自発的に犯意放棄し他の共謀者に明示しており、他3名が了承し窃盗に及んだのは明らか。
 東京高判昭25・9・14高刑集3-3-407『判例プラクティス刑法Ⅰ総論』〔374〕395頁参照。[法的判断枠組み+事実の分析・評価例]


刑法6/ 総論/ 71/
共犯関係からの、実行の着手後(#刑法43条本文)既遂前の離脱の要件は、①離脱意思の表明、②他の共謀者の了承、③他の共謀者が現に行っている実行行為を中止させ、以後は自己を含め他の共謀者の誰もが当初の共謀に基づく実行行為を継続することのない状態の作出である。未遂の限度で共犯となる。
 山口『刑法総論』2版 352~355頁、最決昭元・6・26刑集43-6-567、R19①、参照。


[罪数]
刑法8/ 総論5/ 104/
「1個の行為」(#刑法54条1項前段)とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が、社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合をいう。公務執行妨害罪と傷害罪、収賄罪と盗品等無償譲受け罪などである。複数罪の内、最も重い刑(の罪)により処断する。
 ⇒複数の罪の内、最も重い刑を定めた罪の、その法定刑により処断する。
 辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版刑事系77頁、山口『刑法総論』2版379頁、参照。[法的判断枠組み(判例)、最大判昭49・5・29刑集28-4-114参照]

 

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End of the writing.