法学エッセンス 6月分

 @right_droit  法律に関する論述を140字以内でまとめて、出典、補足を掲載致します。

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前書き・学修日誌

2017年6月20日(火)
1(19日の続き). ゼミで、司法試験平成21年度第2問設問3について、解除前の第三者(545条1項ただし書き)が問題にならないのはなぜかという疑問があがった。
 なぜだろうか?
 所有権留保されているから、解除の遡及効により第三者が害されるような、所有権の復帰的物権変動は起きない、そもそもAには所有権は移っていない、ということだろう。
2. 解除前の第三者について触れる必要がないように、所有権留保付売買契約を選んだのであろうか?それとも、こういう契約が通常であり、たまたま、その契約が対象になったということだろうか。
3. あと、所有権留保って、非典型担保物権として習うが、譲渡担保と違って、所有権譲渡がなされていないという違いだろうか?
 そうすると、何を担保にしているのだろう?形式的にも担保物権ではないし、法的性質として、譲渡担保における担保的構成などの説明もできないが、機能的に担保としての役割を担っているので、担保物権で習うだけであろうか。
 法的な所有権を担保にしていないが、実際の目的物の占有ないし占有権(民法180条以下参照)を担保にしているという感じであろうか?
 所有権留保、結構奥が深そうである。


2017年6月19日(月)
1. 司法試験平成21年度第2問設問1、2、3(民法)について考えている。

2.(配点割合14%) 設問1は、会社間の売買契約の目的物について、当事者間の真意は合致しているが、交わされた正式な注文書、および、注文請書の表示に誤記がある場合に、何を目的物として契約が成立しているかを説明させる問題である。
 錯誤(95条)と言えるのか等についても言及する必要がある。

3.(48%) 設問2は、上記契約が不成立であったとした場合に、目的物の転得者が即時取得(192条)する要件を説明させる問題である。
 192条の成立要件は、①取引行為、②それに基づく引き渡し、③平穏、公然、善意、④無過失、⑤引渡し時における前主の占有である。
 小問(1)の前半は、要件②に関するものである。
 小問(1)の後半は、要件③の善意に関するもの、半信半疑であったか否かについてである。
 小問(2)は、要件④に関するものである。

4.(38%) 設問3は、即時取得も成立しなかった場合に、所有権に基づき目的物返還請求訴訟における、使用料相当額支払請求の法的根拠およびいつから請求できるかについて説明させる問題である。
 不法行為構成で書くか、不当利得構成で書くか、どっちにしても、XがYに、平成20年5月7日到達の書面により、動産甲の返還を請求した以降の分しか請求できない理由の説明を書く必要がある。

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以下、140字にまとめたものを、時系列で掲載。

2017年6月30日(1)
刑訴法23/ 捜査13/ 181/ #GPS捜査 は対象車両の移動状況等を把握する点、検証の性質をもつが、端末を付けた車両を通じ使用者の所在を検索する点で異なる。検証・捜索許可状でも、被疑事実と無関係の使用者の行動の、継続的網羅的で、過剰な把握を抑制できず(令状主義違反)、事前の令状呈示もできない(適正手続違反)。
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。[事実の分析(GPS捜査の法的性質、検証許可状・捜索許可状の発付で行うことができるか?)GPS捜査という現に行われていた・いる事実としての捜査手法の分析。その法的評価・分析。]

憲法23/ 人権23/ 110/ 本件GPSは、対象車を発見し追尾できる程に正確で搭乗者位置情報の取得と同視でき、私有地という、不特定多数の者から目視され観察されることのない、プライバシー保護の合理的期待が高い空間でも、位置情報取得可能である。取付け時の私有地への侵入も想定され、プライバシー等侵害が大きい。#人権


2017年6月28日(1)
刑訴法22/ 捜査12/ 180/ 憲法35条は、「所持品」等に準ずる私的領域へ「侵入」されない権利も保障している。個人のプライバシー侵害を可能とする機器を所持品に秘かに装着し、個人の合理的意思に反し、その私的領域に侵入する捜査手法たるGPS捜査は、個人の意思を制圧し重要な法的利益を侵害する #強制処分 にあたる。
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。[事実の評価例(GPS捜査が、「強制の処分」(刑訴法197条1項ただし書)にあたるか)]

憲法24/ 人権24/ 124/ GPS捜査は、プライバシーが強く保護されるべき空間も含め対象車両・使用者の所在と移動状況を逐一把握し個人の行動を継続的網羅的に把握しプライバシーを侵害しうるし、機器を個人の所持品に密かに装着する点、公道上での肉眼把握・カメラ撮影と異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う。#人権
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。


2017年6月26日(3)
刑訴法21/ 公判10/ 179/ ①審判対象画定の見地から、罪となるべき事実の特定を欠かずとも、②認定事実が一般に、被告人の防御に重要な事項ならば、原則、#訴因変更手続 を要する。③ただ、防御の具体的状況等の審理経過に照らし、被告人への不意打ちとも、より不利益ともいえなければ、例外的に手続を経ずとも違法ではない。
古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159、160頁(最決平13・4・11刑集55-3-127)参照。[法的判断枠組み(手続)]

刑訴法20/ 公判9/ 178/ 検察官による具体的な「罪となるべき事実」の主張が「訴因」であり、当該訴因事実が審判対象である(#刑訴法256条3項)。心証事実がそれと食い違えば、有罪判決できない(335条)。訴因変更手続(312条)を要することになる。それは、事実に重要なあるいは実質的な差異を生じた場合である。
古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159頁、寺崎嘉博『刑事訴訟法』3版318頁、『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』刑事系162条、参照。[法的判断枠組み(条文、基本概念)]

商法29/ 会社法29/ 177/ 株主名簿の名義書換えなければ、株式譲受人は譲渡を会社に対抗できないが(#会社法130条1項2項)、株券占有者は真の権利者と推定され(131条1項)、株券提示により単独で名義書換請求できる(133条2項、施行規則22条2項1号)。その不当拒絶は、違法(831条1項1号参照)である。
『LEGAL QUEST会社法』3版112、113、106頁参照。[法的判断枠組み(条文)、事実の評価例]

 

2017年6月25日(3)
民訴法21/ 当事者/ 176/ 氏名冒用訴訟では、客観的に訴状に表示されている被冒用者が当事者である。原告側冒用の場合、代理権欠缺(#民訴法34条)に準じ、訴え却下される(140条)。被告側冒用の場合、新期日を指定し(155条類推)、改めて訴状を被冒用者に送達し、冒用者に訴訟費用を償還させる(69条2項参照)。
民事訴訟法講義案』41、48頁参照。[法的判断枠組み(手続き)]

民訴法20/ 当事者/ 175/ 訴えまたは訴えられることによって判決の名宛人となるべき者を当事者という(#民訴法115条1項1号参照)。自己の名において判決を求めればよく、必ずしも権利者自身である必要はない。たとえば、他人の権利関係の確認を求める場合や、破産管財人など。当事者という概念は純粋に形式的概念である。
民事訴訟法講義案』40頁参照。[法的判断枠組み(基礎概念)]

民訴法19/ 証拠/ 174/ 文書が証拠方法となりうる資格を証拠能力という。原則、いかなる文書も証拠能力を有する。
文書が、特定人の一定の思想内容を表現した、当人の意思に基づくもの(文書の真正)と認められれば、形式的証拠力あり、その思想内容が係争事実の認定に役立ち得るならば、実質的証拠力ありとされる。#民訴法
民事訴訟法講義案』208、209頁参照。[法的判断枠組み(概念の意義)]


2017年6月24日(4)
商法28/ 会社法28/ 173/ 利益相反取引・競業取引に承認を受けていても、会社に損害があれば、任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。
自己のための利益相反取引は無過失責任である(428条1項)。
事前承認なき競業取引(356条1項1号)の場合の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(423条2項)。
『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。[法的判断枠組み(条文構造の説明)。
1. 私の理解の過程を残せば、上記記述に圧縮して初めて、条文の細かな違いがわかった。
2. それは、428条1項と、423条2項との違いである。
 前者は、自己のための利益相反取引についての規定であり、356条1項の規定に違反したかどうかは問われていない。
 これに対して、後者の競業取引についての規定に関しては、「第356条第1項の規定に違反して」とされているので、事前承認なき場合に限られている。
3. ややこしい。今ひとつよくわからないところもある。一応、条文の規定に仕方・構造の違いの指摘にとどまる。]

商法27/ 会社法27/ 172/ #会社法356条1項1号 の「ために」とは、同2号と異なり、取引の実質的な利益帰属者(の計算で)を示すと解する。「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社の現在の事業、および、進出のために準備を進めている事業、で行われる取引と目的物、市場(地域・流通段階等)が競業する取引をいう。
『LEGAL QUEST会社法』3版223、224頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(条文の文言解釈)]

商法26/ 会社法26/ 171/ 取締役が会社事業と競業する事業を行うことは、会社の利益を害する危険が大きい。取締役は会社のノウハウや顧客を奪ったり、自身の職務を手抜きするおそれもある。取締役が別の会社を代表して行う場合も同様である。会社の利益を守るため、競業取引の規制がなされている(#会社法356条1項1号)。
『LEGAL QUEST会社法』3版223頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。[法的判断枠組み(制度趣旨)]

商法25/ 会社法25/ 170/ 承認なき利益相反取引(#会社法356条1項2号3号)につき、直接取引の相手方取締役に対し、会社は、取引無効を主張できる。間接取引の相手方や、会社振出の約束手形等の転得者に対し、取引安全のため、その者の悪意の主張立証を要する。会社利益保護制度なので、相手方からの無効主張はできない。
『LEGAL QUEST会社法』3版222頁参照。[法的判断枠組み]


2017年6月23日(3)
商法24/ 会社法24/ 169/ #会社法356条1項3号は、会社と第三者の間の間接取引で外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為も規制する。
ただし、同条項2号3号は、取締役が裁量行使し会社の利益を害するおそれなき行為は規制しない。無担保での借受け、債務の履行、普通取引約款による取引などである。
『LEGAL QUEST会社法』3版220、221頁参照。[法的判断枠組み、および、事実の評価例]

商法23/ 会社法23/ 168/ 会社が取締役以外の者と、会社と取締役の利益が相反する取引をしようとするときも(間接取引)、取締役会ないし株主総会の承認を要する(#会社法356条1項3号・365条1項)。取締役の債務を保証し債務不履行となれば債権者が会社に請求するのであり、取締役への貸付と同様といえるからである。
『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。[法的判断枠組み]

商法22/ 会社法22/ 167/ 取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときは(直接取引)、当該取締役は、重要な事実を開示し、取締役会ないし株主総会の承認を受けなければならない(#会社法356条1項2号・365条1項参照)。当該取締役は、特別利害関係があるため、議決に加われない(369条2項)。
『LEGAL QUEST会社法』3版219、221頁参照。[法的判断枠組み]

 

 

2017年6月19日
要件事実10/ 166/ 不当利得返還請求(#民法703条)の請求原因は、①原告の損失、②被告の利得、③それらの間の因果関係、④被告の利得が法律上の原因に基づかないことである。「利益の存する限度」については、利益の減少・消滅が抗弁となる。704条で利息を付帯請求するときには、利得者の悪意も請求原因となる。
森圭司『要件事実の基礎』213頁(大判昭8・11・21、最判平3・11・19等)参照。[法的判断枠組み]

民法17/ 総則2/ 165/ #契約 の成立とその効力発生とは区別される。契約の有効・無効は、契約成立を前提とし、契約内容に応じた効果を生じるか否かの問題だからである。前者の要件は相対立する意思表示の合致であり、後者の要件は、効力帰属者の権利能力具備、契約内容が可能で確定し、適法で社会的妥当であることである。
森圭司『要件事実の基礎』84、85頁、民法R21②設問2小問1、参照。[法的判断枠組み(基礎)。とりあえず、総則の法律行為として分類]

要件事実9/ 164/ #民法192条 の「善意」とは、動産の占有を始めた者が、取引の相手方がその動産につき権利者であると誤信したことをいう。なぜなら、同条は、本権を伴うような外観を信頼して取引する者を保護する規定だからである。そこで、悪意には、権利者と信じていなかった、疑っていた、半信半疑も含まれる。
森圭司『要件事実の基礎』84、85頁、民法R21②設問2小問(1)、参照。[事実の分析・評価例。法的判断枠組み(大前提)か、事実の分析・評価例(小前提のあてはめ過程)かの区別は、微妙。]

要件事実8/ 163/ #民法192条 の成立要件は、①AとYの動産売買契約締結という「取引行為」の存在。②Aが①に基づき動産をYに引き渡したこと、その当時の前主Aの動産「占有」は引渡しに含まれる。③甲の占有取得につき、「平穏、公然、善意」(186条1項参照)、無過失であったこと(188条参照)である。
森圭司『要件事実の基礎』83頁、民法R21②設問2小問(1)、参照。[具体的事実の評価例]

要件事実3/ 63/ 即時取得の要件は、①前主との取引行為、②①に基づく動産の占有、③②の占有取得が平穏・④公然な取得であること、⑤取得者の善意・⑥無過失(以上、#民法192条)、⑦前主の占有である。しかし、同186条1項は③④⑤の立証責任を転換し、同188条により⑥が推定され、また⑦は②に含まれる。
『新問題研究 要件事実』136、137頁参照。[法的判断枠組み] 民法R21②設問2小問1参照。


2017年6月18日(1)
民法16/ 担保物権1/ 162/ ディーラーXがサブディーラーAに所有権留保して販売した車を、Yが購入し代金を支払ったが、AがXに支払を怠り、Xが所有権に基づきYに車の引渡しを求めた。この場合、Aには、Xから有効な転売を行うための授権、転得者が代金完済すれば有効に所有権移転させる権限、ありと解すべきである。#民法
内田『民法Ⅲ』3版557、558頁(最判昭50・2・28民集29-2-193)、R21②設問3、参照。[事実の分析・評価例。上記の文章では舌足らずであり、答案では、「AはXの販売拡張のために、その営業として車を販売している。したがって、」、等の分析(上記のような法的評価をする理由)を書く必要があるだろう。]

2017年6月17日(2)
民法15/ 総則1/ 161/ 契約締結には、申込みと承諾の意思表示の合致以外に、一般的有効要件をみたす必要がある。自然人の場合、意思能力と行為能力が必要である。代理人による場合、代理権があり、その範囲内であることを要する。内容の有効要件として、確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性をみたす必要がある。#民法
内田『民法Ⅰ』4版266、267頁参照。[法的判断枠組み(基礎)]

要件事実7/ 160/ 売買契約の成立により代金支払請求権は直ちに発生するから、売主Xは買主Yに売買契約に基づき代金支払請求する場合、#請求原因 において、XがYとの間で売買契約を締結したことを主張立証すれば足りる。契約成立には、目的物、代金額または代金額の決定方法の確定が必要であり、その主張を要する。
『改訂 紛争類型別要件事実』2頁参照。[法的判断枠組み]


2017年6月16日(2)
憲法28/ 人権27/ 159/ 刑法175条の保護法益は健全な性秩序・風俗である。「わいせつ文書」は、①徒に性欲を興奮または刺激せしめ、②普通人の正常な性的羞恥心を害し、③善良な性的道義観念に反するものである。その頒布等の処罰は、性秩序・道徳を維持する公共の福祉のための制限であり、#憲法21条1項 に反しない。
芦部『憲法』5版183,184頁(最大判昭32・3・13刑集11-3-997、チャタレイ事件)、山口『刑法各論』2版503、504頁、参照。[法的判断枠組み]

憲法27/ 人権26/ 158/ 性表現については、わいせつ文書罪の保護法益(社会環境としての性風俗を清潔に保ち、抵抗力の弱い青少年を保護すること)との衡量をはかりながら、表現の自由(#憲法21条1項)の価値に比重をおいて、わいせつ文書の定義を厳格にしぼり、それによって表現内容の規制をできるだけ限定すべきである。
憲法『芦部』5版183頁参照。[法的判断枠組み(学説)]


2017年6月10日(1)
憲法26/ 統治1/ 157/ 国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合、国民自らが権利・自由を守り人間尊厳を確保するため、他に合法的救済手段が不可能なときに、実定法上の義務を許否する抵抗行為を抵抗権という。その本質は非合法的であり制度化になじまない。自然権を実定化した人権規定の根底に見いだせる。#統治
芦部『憲法』5版364、365頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]


2017年6月8日(3)
民法14/ 相続3/ 156/ 特定の遺産を特定相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、特段の事情なき限り、被相続人死亡時に直ちに遺産承継を生じる。この場合の権利移転は、法定相続分または指定相続分(遺産分割方法の指定、#民法908条)の場合と本質的に同じく、登記なくして第三者に対抗できる。遺贈と異なるところである。
最判平14・6・10家月55-1-77『家族法判例百選』7版〔77〕参照。なお、ダットサン民法3親族法・相続法』3版2013年〔相60、61〕参照。[法定判断枠組み(法律行為の解釈)]

民法13/ 相続2/ 155/ 遺産分割は相続開始時にさかのぼり効力を生ずるが(#民法909条本文)、各共同相続人が相続分に応じ分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後の遺産分割に影響されない。
したがって、本件賃貸不動産を遺産分割取得したXは、遺産分割決定までの賃料債権全額を取得する訳ではない。
最判平17・9・8民集59-7-1931『家族法判例百選』7版〔68〕、R20①、参照。[前半、法的判断枠組み(判例。条文の疑義・効果の説明)。後半、事実の分析。]

民法12/ 相続1/ 154/ 遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するので(#民法898条)、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。
最判平17・9・8民集59-7-1931『家族法判例百選』7版〔68〕、R20①、参照。[法的判断枠組み(判例)]


2017年6月7日(2)
刑法13/ 各論9/ 153/「罪を犯す意思」(#刑法38条1項、故意)は、故意犯の構成要件(構成要件的故意)かつ責任要件である。犯罪事実の表象・認容が認められれば、構成要件該当性・有責性が基礎づけられ、犯罪事実の表象・認容を欠けば、構成要件該当性そのものが阻却される。期待可能性がなければ、責任が阻却される。
団藤『刑法綱要総論』290、291頁参照。[法的判断枠組み(理論・体系的説明)。故意(mens rea)=TB(構成要件)・S(責任)。If there is no mens rea, then there is no TB. If there is no 期待可能性, then there is no S.
そもそも故意は、責任(S)の領域の問題である。しかし、小野博士(団藤綱要134頁参照)・団藤教授は、故意は構成要件かつ責任要件(責任要素)であるとする。もっとも構成要件としての故意は、それを主観的・客観的な全体として考察した『違法類型』としての『客観的構成要件要素』と見ているようである(同頁参照)。さらに、この構成要件的故意(構成要件としての故意)は、責任要素の定型化としての意味も持ち、『有責類型』でもあるとされる(同書136~138頁参照)。]

民法11/ 債権総論1/ 152/ #民法466条2項 は債権譲渡禁止特約は善意の第三者に対抗できない旨規定し、文言上は過失の有無を問わないかのようであるが、重過失は悪意と同様に取り扱うべきであるから、譲渡禁止特約を知らずに債権を譲り受けた場合も、重過失あるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡により債権を取得し得ない。
最判昭48・7・19民集27-7-823『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔94〕参照。[法的判断枠組み(判例。条文解釈)]


2017年6月5日(2)
行政法13/ 救済法/ 151/ 本件都市計画事業認可の根拠法令たる都市計画法の趣旨・目的に鑑み、事業地の周辺地域居住住民に対し、違法事業起因の騒音、振動等の健康・生活環境に係る著しい被害を招かないという具体的利益が保護されている。被害の内容、性質、程度等に照らし、この利益は一般的公益に吸収解消し得ない。#行訴法
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[事実の分析(一つの根拠法令の分析。法的判断枠組みの定立ではなく、具体的利益が、法律上保護された利益ないし「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)の要件にあたるかの、前提としての事実として法令の分析)、R21②]

行政法12/ 救済法/ 150/ 「法律上の利益を有する者」(#行訴法9条1項)とは、当該処分で自己の権利または法律上保護された利益を必然的に侵害される者をいう。当該処分の根拠法令が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護するものならば、上記利益にあたる。
最大判平17・12・7民集59-10-2645(小田急訴訟大法廷判決)『行政判例百選Ⅱ』6版〔177〕参照。[法的判断枠組み(判例。条文の文言の意義)、R21②]


2017年6月3日(1)
憲法25/ 人権25/ 149/ 胎児認知された子と出生後認知された子の間で、国民たる父との家族生活を通じわが国社会との結びつきの程度に差異はない。同じく法律上親子関係があるのに、非嫡出子のみ、父母の婚姻という子には如何ともし難い父母の身分行為なき限り、国籍取得を認めない点に立法目的との合理的関連性はない。#人権
最判平20・6・4民集62-6-1367『判例プラクティス憲法』増補版〔48〕参照。[事実の評価例(立法目的と手段との合理的関連性という要件へのあてはめ)]


2017年6月1日(4)
民訴法18/ 148/ 処分証書とは、意思表示その他の法律行為を記載した文書。判決書のような公文書のほか、遺言書、売買契約書、手形のような私文書がある。報告文書とは、作成者の経験した事実認識(見聞、判断、感想)を記載した文書。受取証、商業帳簿、調書、戸籍簿・登記簿謄本、日記、診断書などがある。 #民訴法
民事訴訟法講義案』再訂補訂版208頁参照。[法的判断枠組み(法律用語説明)]

民訴法17/ 147/ 文書欄外等に押したいわゆる捨印(すていん)は、当事者の意思としては、どのような文言が付け加えられても構わないという訳ではなく、誤字や誤算等相手方に訂正等を委ねるのが合理的であるような事項に限り、訂正等を委ねた趣旨と解するのが合理的である。訂正箇所の訂正印とは同視できない。#民訴法
『ステップアップ民事事実認定』71頁参照。[事実の分析(事実を評価して一定の法律要件に当てはまるか否かの前提として必要な、事実的な判断)]

民訴法16/ 146/ #民訴法228条4項 は、私文書について本人または代理人が、意思に基づき署名または押印した場合、文書全体も同人の意思に基づく真正なものである場合が多い、という経験則を法定したものである。事実認定の際の裁判官の自由心証に対する一応の拘束となる。推定を破るためには反証をすれば足りる。
『ステップアップ民事事実認定』69、70頁参照。[法的判断枠組み(条文、理論)]

倒産法27/ 民再9/ 145/ 小規模個人再生の特則の特則として、給与所得者等再生がある(#民再239条 以下参照)。定期的収入により可処分所得の見込みが立ちやすい個人債務者につき、裁判所の認可が得られる再生計画の内容を限定する一方、再生計画案についての再生債権者の決議を全く不要とし、より簡易迅速な再生を図る。
『倒産法概説』2版570、571頁参照。[法的判断枠組み(条文、制度の説明)]