法学エッセンス 5月分

@right_droit  法律に関する記述の140字以内でのまとめ。5月分(72ツィート)

 

2017年5月31日(1)
刑訴法19/ 公判8/ 144/ 本件供述調書は国際捜査共助に基づいて作成されたものであり、犯罪事実の証明に欠くことができず、日本の捜査官、検察官立会の下での取調べに際し、共犯者2名に対し黙秘権が実質的に告知され、両名に対し肉体的、精神的強制が加えられた形跡もなく、#刑訴法321条1項3号 により証拠採用できる。
最判平23・10・20刑集65-7-999『刑事訴訟法判例百選』10版〔82〕参照。
[事実の評価例。福岡一家4人殺人事件 http://yabusaka.moo.jp/fukuokaikka.htm など参照。]

 

2017年5月30日(5)
行政法11/ 143/ 競輪法施行規則15条1項4号の周辺環境調和基準が場外施設周辺の居住環境との調和を求める趣旨を含むとしても、基本的に用途の異なる建物混在を防ぎ都市環境の秩序ある整備を図る一般的公益保護規制である。周辺居住者等の具体的利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨は読み取れない。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iv)参照。[事実の評価例]

行政法10/ 142/ 位置基準に基づき医療施設等の開設者が原告適格(#行訴法9条1項)を有するかは、当該場外施設が設置運営された場合に規模、周辺交通等の地理的状況等から合理的に予測される来場者の流れや滞留状況等を考慮し、上記のような区域にあるかを距離・位置関係を中心に社会通念に照らし合理的に判断する。
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iii)参照。[法的判断枠組み(判例)]

行政法9/ 141/ 競輪法施行規則15条1項1号の位置基準は、業務上支障が具体的に生じうる医療施設等が健全静音な環境で円滑に業務を行える利益を、個々の開設者の個別的利益として保護する趣旨を含むといえるので、当該場外施設の設置等に伴い著しく業務上支障を生じうる区域の開設者は、原告適格を有する。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕判旨(iii)参照。[事実の評価例]

行政法8/ 140/ 競輪場外施設設置等により周辺住民らに生じ得る被害は、交通、風紀、教育等の生活環境悪化であり、直ちに生命・身体の安全・健康被害、著しい財産損害は想定できない。生活環境利益は基本的に公益であり、明白な手がかり規定なき限り、法が個別的利益としても保護する趣旨を含むとはいえない。#行政法
最判平21・10・15民集63-8-1711『行政判例百選』Ⅱ6版〔178〕参照。
[事実の評価例]

刑法12/ 各論4/ 139/ 強盗利得罪(#刑法236条2項)では、相手方は反抗を抑圧されており、任意に基づく処分行為介入の余地がないので、債務免除、支払猶予といった処分行為を要しない。ただ、処罰範囲限定のため、財物移転と同視できる、事実上支払いを免れたなどの、財産的利益移転の具体性・確実性を要すると解する。
西田典之『刑法各論』5版171頁、最判昭32・9・13刑集11-9-2263、参照。
[法的判断枠組み、判例+西田説]


2017年5月28日(1)
民訴法15/ 138/ 実体法上一般に契約に基づき、結果の実現のみ目的とする請求権を発生させ、訴求し得る。請求が常に手段の具体的な作為・不作為で特定せねばならないものでもない。代替執行により得ない場合に間接強制が用いられる。代替執行可能な請求を構成しなければ訴訟上、請求が特定しないわけではない。#民訴法
名古屋高判昭60・4・12下民集34-1=4-461『民事訴訟判例百選』5版〔32〕参照。
[法的判断枠組み(判例、基礎的理論)]

 

2017年5月27日(2)
商法21/ 会社法21/ 137/ 累積投票制度では、取締役選任決議について、株主が株式1株につき選任される取締役の数と同数の議決権を有し(#会社法342条3項)、その議決権全部を特定の候補者に集中して投票できる。少数派株主も持株数に応じた数の取締役を選出できるが、制度自体が定款で排除される場合も多い(同条1項)。
会社法判例百選』2版66頁解説1参照。
[法的判断枠組み(条文の説明)]
商法20/ 会社法20/ 136/ #会社法199条3項「特に有利な金額」は公正な発行価額より特に低い価額をいう。公正な発行価額には、価額決定前の株式価格との近接、騰落習性、売買出来高実績、資産・収益・配当・株式市況状況、発行済株式数、発行予定株式数・その消化可能性等を総合し、旧株主利益と資金調達との調和を要する。
東京地決平16・6・1判時1873-159『会社法判例百選』2版〔24〕参照。
[法的判断枠組み(条文の文言の説明。裁判例)]


2017年5月26日(1)
刑訴法18/ 公判7/ 135/ 「Xは公務員Yと共謀し、Yの職務上の不正行為への謝礼の趣旨でWから賄賂収受」という加重収賄の訴因と「XはWと共謀し、同趣旨でYに賄賂供与」という贈賄の訴因とは、賄賂が事実上共通であれば、両立せず、一連の同一事象への法的評価が違うに過ぎず、基本的事実関係が同一であるといえる。#公判
最決平53・3・6刑集32-2-218『刑事訴訟法判例百選』9版〔47〕参照。
[事実の評価例]


2017年5月25日(5)
民法11/ 物権7/ 134/ #民法304条1項 の「払渡し又は引渡し」に債権譲渡は含まれず、抵当権者は物上代位の目的債権が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後も目的債権を差し押さえ物上代位できる。第三債務者は差押命令送達前の債権譲受人への弁済を対抗できるし、抵当権設定登記による公示もなされていたからである。
最判平10・1・30民集52-1-1『判例プラクティス』民法Ⅰ総則・物権〔349〕、民法T18(19イ)、29(12ア)、参照。
[法的判断枠組み(判例)]

民法10/ 物権6/ 133/ #民法304条1項ただし書 は、抵当権とは異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権について、第三債務者の二重払いの危険からの保護、目的債権の譲受人等の第三者の保護の趣旨を含むと解する。したがって、目的債権の譲受人等に、第三者対抗要件が備えられた後は、物上代位権を行使できない。
民法T29(12イ)、最判平17・2・22民集59-2-314『判例プラクティス』民法Ⅰ総則・物権〔332〕、参照。
[法的判断枠組み(抵当権に基づく物上代位と動産売買先取特権に基づく物用代位との違い、判例)]

民法9/ 物権5/ 132/ 動産売買の先取特権者(#民法311条5号、321条)は、物上代位の目的債権(304条1項本文「金銭その他の物」の引渡請求権)が譲渡されて第三者に対する対抗要件(467条1項2項)が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使できない(304条1項ただし書参照)。
民法T29(12イ)参照。[法的判断枠組み(条文)]

民法8/ 物権4/ 131/ 農地の天然果実については、農業労務の先取特権(#民法311条7号、323条、最後の1年間の賃金)が不動産賃貸の先取特権(311条1号、312条、313条1項)に優先する(330条3項)。不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲は、「動産、果実」(313条)、「金銭」(314条)である。
民法T29(13イ)参照。[法的判断枠組み(条文)]

民法7/ 物権3/ 130/ 建物賃借人が、家具店から購入し当該建物に備え付けたタンス代金を未だ支払わず、建物賃料支払いも怠っている場合、建物の賃貸人が当該タンスに有する先取特権(#民法311条1号、312条)が、家具店の当該タンスに有する先取特権(311条5号、321条)に優先する(330条1項1号3号)。
民法T28(13イ)参照。[法的判断枠組み(条文)]


2017年5月23日(1)
民法6/ 物権2/ 129/ 抵当権者が賃料債権を差押えた後は、抵当不動産の賃借人は、設定登記後に賃貸人に対し取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗できない(#民法511条 参照)。抵当権の効力が賃料債権に及ぶ旨、登記で公示されているので、相殺に対する期待を優先させる理由はない。
最判平13・3・13民集55-2-363『判例プラクティス』民法Ⅰ総則・物権
〔351〕、参照。[法的判断枠組み。最判平成14・3・28との違い、重要。]


2017年5月22日(1)
民法5/ 物権1/ 128/ 抵当権者は、物上代位権(#民法372条・351条)行使前は原則、不動産用役関係に介入できず、賃貸人は賃貸借契約に、敷金充当を予定した敷金契約を付す自由を有する。敷金充当による未払賃料等の消滅は敷金契約により当然発生し、相殺のような意思表示を要しないので511条にでも妨げられない。
最判平14・3・28民集56-3-689『判例プラクティス』民法Ⅰ総則・物権〔353〕、民法T29(12オ)、参照。
[法的判断枠組み(判例。基礎的説明)。最判平成13・3・13との違いが、重要。13年判決では、抵当権者に有利に、14年判決では抵当不動産の賃借人に有利に判断され、事案の違いに応じ、それぞれの利益の調整が行われている。]


2017年5月19日 (3)
刑法11/ 総論8/ 127/ 過失犯成立には、構成要件たる因果関係の認識・予見可能性を要する。行為者に認識・予見可能だった因果経過と実際の因果経過とが違っても、構成要件としての因果関係存在の点で両者が符合し、かつ、結果の具体的予見(予見の具体性)を担保しうる因果経過の基本的部分の予見可能性があればよい。#刑法
山口『刑法総論』2版235・236頁参照。
[法的判断枠組み(理論的説明)。札幌高判昭51・3・18高刑集29-1-78(北大電気メス事件)の言い回しと、山口教授の説明とをなんとか組み合わせた。私は深くは理解しておりませんので、各自の論証をご利用下さい。] 刑法T29(11ウ)参照。

刑法10/ 総論7/ 126/ パーティー会場でABに一緒に出されるグラスの一方だけ致死量の毒薬を混入するような、いわゆる択一的殺意ある場合、1個の故意(殺意)で複数の故意犯(既遂犯と未遂犯)成立を肯定できる。既遂の可能性で足りる未遂概念の特性による。併存しうるのは未遂犯に限られ、未遂罪二罪も成立しうる。#刑法
山口『刑法総論』2版211頁参照。[法的判断枠組み(理論的説明)]

刑法9/ 総論6/ 125/ 母と妻からこもごも小言を言われ酒癖の悪いXは憤懣やる方なく、囲炉裏の反対側の両人めがけ憤激の余り本件鈎吊し(かぎつるし)を振りつけ、母Bの前頭部にあてたものである。Xは両人のいずれかにあたることを認識しながらこれを振ったのであり、その暴行はいわゆる択一的故意によるといえる。#刑法
東京高判昭35・12・24下刑集2-11・12-1365『判例プラクティス』刑法Ⅰ総論〔90〕参照。[事実の評価例]


2017年5月16日 (4)
憲法24/ 人権24/ 124/ GPS捜査は、プライバシーが強く保護されるべき空間も含め対象車両・使用者の所在と移動状況を逐一把握し個人の行動を継続的網羅的に把握しプライバシーを侵害しうるし、機器を個人の所持品に密かに装着する点、公道上での肉眼把握・カメラ撮影と異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う。#人権
最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。

倒産法26/ 破18/ 123/ 否認登記(#破260条1項)は、管財人を登記権利者、相手方を登記義務者とする暫定的実質上の抹消登記であり、否認登記の記入により、登記簿上に相手方の所有名義が残るとはいえ、以後、相手方は登記義務者とはなりえない。したがって、否認登記後相手方を登記義務者としてなした登記は無効である。
阪高判章53・5・30判タ372-92『倒産法判例百選』5版〔40〕参照。
『@tousan_ind_bot
【倒産113:否認登記とその後の登記義務者】大阪高判昭53・5・30。「否認登記の記入により、登記簿上には相手方の所有名義が残存しているとはいえ、その実質において右所有名義は否定されており、爾後、相手方は登記義務者となり得ない」から、否認登記後に相手方を登記義務者とした登記は無効』
を参考にさせて頂きました。
https://twitter.com/tousan_ind_bot/status/864368339644104704

倒産法25/ 破17/ 122/ #破104条1項、2項は、あくまで弁済等に係る当該破産債権につき、実体法上の債権額とのかい離を認めるもの。2項の「その債権の全額」も、弁済等に係る当該破産債権の全額を意味し、複数債権の一部の債権全額が弁済等されれば、複数債権全部が消滅せずとも、債権者は当該破産債権を行使できない。
最判平22・3・16民集64-2-523『倒産法判例百選』5版〔45〕参照。

倒産法24/ 破16/ 121/ #破104条1項、2項は、複数の全部義務者を設け給付の実現をより確実にする機能を重視し、全部義務者の破産手続開始決定後、他の全部義務者が弁済等により破産債権の全額を消滅させない限り、当該破産債権が破産手続開始の時の額で現存しているとみる、いわゆる開始時現存主義を定めたものである。
最判平22・3・16民集64-2-523『倒産法判例百選』5版〔45〕参照。


2017年5月13日(1)
刑訴法17/ 捜査11/ 120/ 捜索場所を被告人方居室等(#刑訴法219条1項)とする捜索差押許可状に基づき、被告人立会いの下に同人居室を捜索中、宅配便の配達員により同人宛に配達され同人が受領した荷物について、警察官は捜査できる。当該許可状の効力は、令状呈示後に搬入された物品には及ばない旨の主張は採用できない。
以下のツイートリンクに啓発され作成しました。https://twitter.com/hanrei_bot/status/863334083924942848
最決平19・2・8刑集61-1-1『刑事訴訟法判例百選』9版〔22〕参照。[「捜索すべき場所」(刑訴法219条1項)にあたるか否かの解釈問題だとは思うが、「被告人が受領した」「被告人立会の下」という事情も大きいだろう思う。そうだとすると、被告人が宅配便の配達物の受領を拒否した場合にも、同じ結論とするためには、さらにていねいに説得的な記述が必要になるだろう。]


2017年5月12日(5)
民訴法14/ 119/ 作成目的、内容等からすると、銀行の貸出稟議書は、銀行内部で融資案件について意思形成を円滑、適切に行うために作成され、忌たんのない評価や意見の記載も予定されている。したがって、上記①外部非開示性、②不利益性が認められ、③特段の事情のない限り、#民訴法220条4号ニ の文書にあたる。
最決平11・11・12民集53-8-1787『民事訴訟判例百選』5版〔69〕参照。
[法的判断枠組み]

民訴法13/ 118/ 作成目的、内容、所持までの経緯などから考え、①専ら内部者の利用目的で作成され、外部者への開示予定なき文書で、②開示されるとプライバシー侵害、自由な意思決定の阻害など、所持者側に看過し難い不利益が生ずるおそれある場合、③特段の事情のない限り、#民訴法220条4号ニ の文書にあたる。
最決平11・11・12民集53-8-1787『民事訴訟判例百選』5版〔69〕参照。
[法的判断枠組み]

民訴法12/ 117/ 本件分析評価情報は、再生手続開始決定前の財務状況等に関するので、開示による企業Aの受ける不利益は小さく、メインバンクYの業務への影響は軽微であり、監督官庁の事後的検証に備えた率直で正確な認識の記載も見込め、証拠価値は高く、保護に値する職業の秘密にはあたらない。#民訴法220条4号ハ
最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。
[法的判断枠組み]

民訴法11/ 116/ 一般に、金融機関が顧客の財務状況、業務状況等を分析・評価した情報は、開示されれば当該顧客が重大な不利益を被り、金融機関の信頼は損なわれ業務に深刻な影響が及び、以後の業務遂行が困難になるものといえるので、「職業の秘密」(#民訴法220条4号ハ・197条1項3号)にあたると解される。
最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。
[法的判断枠組み]

民訴法10/ 115/ 文書提出命令の対象文書の所持者が、#民訴法220条4号ハ、197条1項3号により文書提出を拒絶できるのは、職業の秘密が保護に値する場合に限られ、情報の内容、性質、開示により所持人に与える不利益の内容、程度等、当該民事事件の内容、性質、証拠価値の程度等の諸事情を衡量して決せられる。
最決平20・11・25民集62-10-2507『民事訴訟判例百選』5版〔68〕、判旨(ii)参照。
[法的判断枠組み]

 

2017年5月11日(4)
倒産法23/ 破15/ 114/ 「支払不能」(#破2条11項)とは、財産、信用または労務による収入のいずれをとっても、債務を弁済する能力のないことをいう。該当するか否かは、現実に弁済期の到来した債務について判断され、将来弁済できないと確実に予想されたとしても、弁済期にある債務を現在支払っている限り、該当しない。
東京地判平19・3・29金判1279-48『倒産判例百選』5版〔25〕参照。

倒産法22/ 民再8/ 113/ 再生手続が開始された場合、再生債務者は、財産の管理処分権を失わないものの(#民再38条1項)、債権者に対し公平・誠実に再生手続を追行する義務を負う(同条2項)機関として、民法177条の第三者である再生債権者の利益の実現を図るべき責務を有することから、同じく第三者にあたると解する。
大阪地判平20・10・31判時2039-51『倒産判例百選』5版〔21〕参照。

倒産法21/ 破14/ 112/ 手続開始決定は全ての破産債権者のための包括的差押えの実質を有し、破産財団所属財産の管理処分権を実質的に付与される破産管財人(#破78条1項)は、全ての破産債権者の利益を代表すべき機関として差押債権者類似の地位に立つことから、実体法上の法律関係において「第三者」に含まれると解する。
『倒産判例百選』5版44頁、解説2参照。

倒産法20/ 破13/ 111/ 破産管財人は、破産者の代理人・一般承継人ではなく、破産債権者の利益のために独立の地位を与えられた破産財団の管理機関であるから、#破 産手続開始決定前に破産者の設定した土地賃借権に関しては、借地借家法10条1項の「第三者」にあたる。
したがって、Yらは、破産管財人Xに対抗できない。
最判昭49・2・16金法678-21『倒産判例百選』5版〔17〕参照。


2017年5月10日(4)
憲法23/ 人権23/ 110/ 本件GPSは、対象車を発見し追尾できる程に正確で搭乗者位置情報の取得と同視でき、私有地という、不特定多数の者から目視され観察されることのない、プライバシー保護の合理的期待が高い空間でも、位置情報取得可能である。取付け時の私有地への侵入も想定され、プライバシー等侵害が大きい。#人権

[プライバシー等を大きく侵害する⇒身体、住居、財産等(、重要な権利・利益)の制約(・侵害)が認められる。刑訴法で、強制処分の要件の一つの認定のときにも、似たような事情を拾って、『プライバシーの保護の合理的期待が高い~』などと分析して、書ければいいな~。
結局、対象車両の位置情報に留まらず、それは、本件GPSについては、乗車している『人の位置情報』と同視でき、それが私有地という、不特定多数の第三者から目視によって監視されることのない、『プライバシー保護の合理的期待の高い』空間に及ぶ場合があったこと、および、私有地への侵入行為も想定されることから、プライバシー等を大きく侵害する、と結論づけているのだろう。]
大阪地決H27・6・5、27年度『重要判例解説』〔憲法3〕参照。

憲法22/ 人権22/ 109/ 本件職務命令は、公立学校教諭Xに卒業式での慣例上儀礼的な起立斉唱行為を求めるもので、学校教育の目標や関係法令の趣旨、地方公務員の地位の性質・職務公共性、生徒への配慮に鑑み、秩序の確保、円滑な進行を図るものである。ゆえに、間接的制約を許容しうる程度の必要・合理性がある。#憲法19条
[事実の分析・評価]
木村草太『憲法の急所』2版125頁、最判平23・5・30民集65-4-1780『判例プラクティス』憲法増補版〔55〕、参照。

憲法21/ 人権21/ 108/ 個人の歴史観等が内心に留まらず、外部的行為として現れた場合には、制限を受けることがあるが、その制限が必要かつ合理的なものである場合には、その制限を介して生ずる当該間接的制限も許容され得る。その許否は、職務命令の目的・内容、制約の態様等を総合的に較量し判断すべきである。#憲法19条
[正当化(違憲審査基準)の法的判断枠組み(規範、考慮要素)]
最判平23・5・30民集65-4-1780『判例プラクティス』憲法増補版〔55〕参照。

憲法20/ 人権20/ 107/ 自らの歴史観等から否定的に解する「君が代」等への敬意表明に応じ難い者が、国歌等への敬意表明要素を含む起立斉唱行為を求められることは、特定の思想表明行為そのものではないが、個人の歴史観等に由来する行動と異なる外部的行為強制であり、思想・良心の自由(#憲法19条)の間接的制約になる。
[制約の有無]
最判平23・5・30民集65-4-1780『判例プラクティス』憲法増補版〔55〕参照。


2017年5月9日(2)
憲法19/ 人権19/ 106/ 思想、信条(#憲法19条)は、具体的内容をもった一定の考え方を指すが、行動として外部に現れた場合には同条の保障は及ばない。校内で「全共闘を名乗り」、「大学生ML派の集会に参加」等の記載は思想、信条そのものの記載ではなく、このような外部的行為では思想、信条を了知しうるものではない。
[ML派=マルクス・レーニン主義派。当事者:現世田谷区長 保坂展人(のぶと)氏。強弁にしか見えない。]
最判昭63・7・15判時1287-65『判例プラクティス』憲法増補版〔52〕参照。

憲法18/ 人権18/ 105/ 単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに留まる程度のものは、代替執行(民執法171条)なしうる。この種の謝罪広告の新聞紙への掲載を命ずる判決は、屈辱的、苦役的労苦を科し、倫理的な意思、良心の自由(#憲法19条)を侵害するものではなく、また「適当な処分」(民法723条)にあたる。
最大判昭31・7・4民集10-7-785『判例プラクティス』憲法増補版〔51〕参照。


2017年5月8日(1)
刑法8/ 総論5/ 104/ 「1個の行為」(#刑法54条1項前段)とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が、社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合をいう。公務執行妨害罪と傷害罪、収賄罪と盗品等無償譲受け罪などである。複数罪の内、最も重い刑(の罪)により処断する。
⇒複数の罪の内、最も重い刑を定めた罪の、その法定刑により処断する。
辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版刑事系77頁、山口『刑法総論』2版379頁、参照。[法的判断枠組み(判例)、最大判昭49・5・29刑集28-4-114参照]


2017年5月6日(6)
民訴法9/ 103/ 当事者申立権として、いわゆる明文なき訴えの主観的追加的併合を認め、当然の併合審理の効果を付与すべきか。
必ずしも訴訟経済に適うものでなく、かえって訴訟複雑化・濫訴・遅延を招きやすいことから消極に解する。別訴提起後、裁判所の裁量としての弁論併合(#民訴法152条)によるべきである。
民事訴訟法講義案』再訂補訂版307頁、辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系546頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法8/ 102/ 訴訟係属中、第三者による当事者に対する請求、または、当事者による第三者に対する請求として併合審判を求める、訴えの主観的追加的併合は、一定の場合、すなわち、第三者による追加として共同訴訟参加(#民訴法52条)、当事者による追加として訴訟引受け(50条、51条)など、認められている。
民事訴訟法講義案』再訂補訂版307頁参照。
[法的判断枠組み]

民訴法7/ 101/ 補助参加の要件は、①訴訟の結果に②利害関係を有することである(#民訴法42条)。②は、法律上の利害関係であり、私法上または公法上の法的地位・法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。判決効が及ぶ場合に限られない。①は、判決主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否を指す。
民事訴訟法講義案』再訂補訂版312、313頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法6/ 100/ 訴訟物の前提をなす先決的権利・法律関係についての権利自白には、①不要訟効(#民訴法179条)は認められるが、法律解釈は裁判所の専権なので、弁論主義が妥当せず、原則②裁判所拘束力、③当事者拘束力は認めるべきでない。ただ、日常法律概念には具体的事実の陳述として②③を認めるべきである。
『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁、166、167頁、『民事訴訟法講義案』再訂補訂版186頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法5/ 99/ 攻撃防御方法たる相殺の抗弁は、二重起訴禁止(#民訴法142条)に触れないとも思える。
しかし、現に訴求中の債権を、別訴で相殺の抗弁として提出するのは、やはり審理の重複、相手方の応訴の煩、判決の矛盾抵触を招きうる。したがって、不適法却下すべきである。併合審理されていても同様である。
『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁、『判例百選』5版82頁参照。[法的判断枠組み]

民訴法4/ 98/ いわゆる二重起訴の禁止とは、同一の訴えの提起を禁止するものである(#民訴法142条)。そこで、同条に触れるか否かは、基本的に①当事者の同一性、②審判対象の同一性をもって判断する。もっとも、訴訟経済、相手方の応訴の煩の防止、判決の矛盾抵触の回避の観点から、実質的に考える必要がある。
『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法(平成26年8月)146頁参照。
[法的判断枠組み]

 

2017年5月5日(6)
民訴法3/ 97/ 裁判上の自白は、当事者が口頭弁論または弁論準備手続で、相手方が主張する自己に不利益な事実を認める陳述をいう。不利益とは相手方に証明責任がある事実をいう。主要事実に限られる。間接事実、補助事実は証拠と同様の機能を営むため、裁判官の自由心証(#民訴法247条)を害さないよう除かれる。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)254頁参照。
[法的判断枠組み]

商法19/ 会社法19/ 96/ 内部統制システム整備は、大会社である取締役会設置会社で義務づけられ(#会社法362条5項、4項6号、施行規則100条1項)、具体的にどのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題となる。各取締役は取締役会の一員としてその大綱の決定義務、履行についての監督義務を負う。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)139、141頁参照。

商法18/ 会社法18/ 95/ 「財産上の利益の供与」(#会社法120条1項)における「利益」は、金銭だけでなく権利やサービスの提供も含む。「供与」には、消極財産の解消(債務免除等)も含む。「株主の権利の行使に関し」は、株主として行使する全ての権利を含む。供与の客体は誰でもよく、会社の損害の発生も不要である。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)130頁参照。

民法4/ 法定債権3/ 94/ 加害行為とそれ以前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合、当該疾患の態様、程度等に照らし、加害者に損害全部を賠償させるのが公平を失するときは、#民法722条2項 を類推適用し、被害者の当該疾患を考慮できる。平均的体格・体質と異なるが、疾患でない場合は除く。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)92、93頁参照。

民法3/ 法定債権2/ 93/ #民法722条2項 の「被害者」の過失に被害者側の過失が含まれるか。
損害の公平な分担という趣旨から、被害者と身分上生活関係上一体とみられる者の過失は含まれると解する。
幼稚園の保育士Dは、園児と身分上生活関係上一体とみられる者とはいえないので、Dの過失をもって過失相殺できない。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)90、92頁参照。

民法2/ 法定債権1/ 92/ 8歳のBが子犬を追いかけ車道に飛び出したため、脇見をしていたC運転の自動車にはねられBは死亡した。Bの過失を賠償額算定で考慮してよいか。
損害の公平な分担の理念に基づく過失相殺(#民法722条2項)においては、被害者に事理弁識能力(過失相殺能力)があれば、その過失も考慮できる。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)90~92頁参照。


2017年5月3日 (4)
行政法7/ 91/ 地方公共団体が、基本的義務に反し既に具体的権利として発生している国民の重要な権利に関し、法令に違反し行使を積極的に妨げる一方的・統一的取扱いをし行使を著しく困難にし消滅時効にかからせた極めて例外的場合、当該公共団体に時効主張を許さずとも、国民の平等的取扱い理念に反しない。#地自法
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)160、161頁、最判平19・2・6、参照。[事実の評価例(判例)]

行政法6/ 90/ 後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できるか(#行訴法14条 参照)。
この点、①先行処分と後行処分とが一体的に同一目的実現を目指し、結合し効果を産むものならば、②先行処分の取消しについて争う手段の実効性・合理性(手続保障)を考慮し、違法性の承継を認め、主張を許すべきである。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)182~184頁、最判平21・12・17、参照。[法的判断枠組み]

憲法17/ 人権17/ 89/ 適用違憲には、①法令の合憲・違憲部分が不可分な場合に、後者も含む形で解釈適用した場合、②合憲限定解釈が可能なのに、それを行わず、違憲的に適用した場合、③法令は合憲でも、#人権 を侵害するような形で解釈適用した場合(処分違憲)がある。司法事実に着目し、要件・裁量違反などを検討する。
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)100~102頁参照、芦部5版376・377頁参照。[法的判断枠組み]

憲法16/ 人権16/ 88/ 法令審査では、①憲法上の権利の保護範囲確定、②本件においてその権利が制約されているか、③当該制約が正当化できるかを審査する。③では、目的の正当性、重要性の存否、比例原則に基づき、目的・手段の適合性、他に、等しく効果的な、権利侵害程度の低い手段はないか、利益較量が行われる。#人権
『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)95頁参照。
[法的判断枠組み]

 

2017年5月1日 (15) 破2、民再7。国賠法4。会社法2。
商法17/ 会社法17/ 87/ 閲覧謄写請求した株主の親会社と、請求された会社とが競争関係にある場合、#会社法433条2項 3号の「請求者」と「実質的に競争関係」にある場合にあたる。競業者等が会計帳簿等の閲覧等により会社の秘密を利用し、会社に甚大な被害を生じさせないよう未然に防止する必要は変わらないからである。


会社法16/ 86/ リスクの伴う企業経営を、結果的に萎縮させないため、行為時の状況に照らし①情報収集・調査・検討に不注意な誤りがなかったか、②意思決定過程・内容に通常の企業経営者として著しく不合理な点ながなかったかという点から、経営判断について任務懈怠責任(#会社法423条1項)を判断すべきである。


行政法5/ 85/ #国賠法2条1項 の設置管理の「瑕疵」とは、通常有すべき安全性を欠いていることをいう。無過失責任であるが、損害の発生の予見可能性と回避可能性が考慮され、責任が否定されうる。瑕疵は、当該営造物の構造、用法、場所的環境および利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断される。
『LEGAL QUEST 行政法』3版323、325頁、最判昭45・8・20民集24-9-1268(高知落石事件、百選Ⅱ243)、最判昭53・7・4民集32-5-809(道路防護柵子ども転落事件)、参照[法的判断枠組み(判例)]

行政法4/ 84/ 規制権限不行使は、根拠法令の趣旨目的、権限の性質等に照らし、具体的事情の下、その不行使が許容される限度を逸脱し著しく合理性を欠くと認められるときに不行使よる被害者との関係において、#国賠法1条1項 の適用上違法となる。危険の存在、予見可能性、回避可能性、期待可能性等が考慮される。
『LEGAL QUEST 行政法』3版


行政法3/ 83/ 行政が法によって人の権利利益の制約根拠を与えられている、法律に行政の原理の下では、#国賠法 上の違法性は、加害行為の態様に着目すべきであり、違法か否かは、職務上通常尽くすべき注意義務の違反を基準とすべきである。被侵害利益と侵害行為態様とを相関的に判断する民事不法行為法とは異なる。
『LEGAL QUEST 行政法』3版

行政法2/ 82/ 「公権力の行使」(#国賠法1条1項)には、国または公共団体の私経済作用と国賠法2条の適用対象たる公の営造物の設置管理を除くすべての活動が含まれる。非権力的作用たる行政指導や国公立学校の教育活動も該当する。同要件に該当せずとも、民法上の不法行為に該当すれば損害賠償責任が認められる。
『LEGAL QUEST 行政法』3版

倒産法19/ 民再7/ 81/ フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約中の倒産解除特約は、担保としての意義を有するに留まるリース物件を、一債権者との事前の合意により民事再生手続開始前に債務者の責任財産から逸出させ、債務者の事業の再生を図る機会を失わせるものであり、#民再1条 の趣旨、目的に反し無効である。

倒産法18/ 民再6/ 80/ファイナンス・リース契約におけるリース業者の権利については、①リース料支払債務とユーザーの使用収益を受認する義務とが対価関係にある(賃貸借ないしこれに類似する双務契約)と考えるのではなく、②金融取引的な性質を重視して、担保権(別除権、破65条、#民再53条)と構成すべきである。

倒産法17/ 民再5/ 79/ 期間満了時にリース物件に残存価値は残らず、利用権返還を予定しないものとして、リース業者が、リース期間中に物件購入代金その他投下資本全額の回集を図れるように、料金設定がされているリース契約を、フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約(単にファイナンス・リース契約)という。#民再

倒産法16/ 民再4/ 78/ (フルペイアウト方式の)ファイナンス・リース契約とは、ユーザーが選択した特定の機械・設備等(リース物件)を、リース業者が代わって自己の名で販売業者から購入した上でユーザーに使用させ、ユーザーがリース期間に支払うリース料で、物件購入代金・金利等を回収するリース契約形態である。#民再

倒産法15/ 民再3/ 77/ (フルペイアウト方式の)ファイナンス・リース契約とは、ユーザーが選択した特定の機械・設備等(リース物件)を、リース業者が代わって自己の名で販売業者から購入した上でユーザーに使用させ、ユーザーがリース期間に支払うリース料で、物件購入代金・金利等を回収するリース契約形態である。#民再

倒産法14/ 破12/ 76/ 債務負担とそのための担保権設定とが同時に行われる同時交換的行為(#破162条1項柱書)は、否認対象外である。①担保提供とともになされる新規融資はそもそも優先的地位が保障されており、既存債権者との平等を確保する必要がなく、②否認対象にし債務者の再建を困難にすべきではないからである。

倒産法13/ 破11/ 75/ 破産財団に属する手形の上に商事留置権を有する者は、破産手続開始決定後も手形を留置する権能を有し、破産管財人からの返還請求を拒める。「特別の先取特権とみなす」(#破66条1項)との文言は、当然には商事留置権者の留置権能を消滅させる意味とは解されないし、他に明文規定はないからである。

倒産法12/ 民再2/ 74/ フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約で、ユーザーが仮差押を受けたことを解除条件とする特約があり、これに基づきリース会社が再生手続開始前に契約解除した場合、リース会社は、利用権による制限のない完全な所有権を有することになるから、ユーザーは担保権消滅許可申立てできない。#民再

倒産法11/ 民再1/ 73/ ファイナンス・リース契約は、リース物件の利用権の返還は予定されず、実質は担保である。そして、再生債務者の事業の継続に不可欠な財産の確保という担保権消滅許可制度(#民再148条1項)の趣旨から、その対象となる。ただし、実行が完了し担保権者が完全な所有権を取得する前である必要がある。