法学エッセンス 4月分

@right_droit  法律に関することの140字以内でのまとめ。

 

倒産法10、憲法15、行政法1、民法1、会社法15、民訴法2、刑法7、刑訴法16、要件事実5。計72ツィート。


刑法7/ 各論3/ 72/ 金銭流通の動的安全から、民事上金銭の所有と占有は一致するが、内部的所有権保護を目的とする委託物横領罪には妥当しないので、債権取立てを委任されて取り立てた金銭を不法に領得した場合、委託物横領罪(#刑法252条)が成立する。ただ、金銭は特定しないので、両替・一時流用などは該当しない。

刑法6/ 総論4/ 71/ 共犯関係からの、実行の着手後(#刑法43条本文)既遂前の離脱の要件は、①離脱意思の表明、②他の共謀者の了承、③他の共謀者が現に行っている実行行為を中止させ、以後は自己を含め他の共謀者の誰もが当初の共謀に基づく実行行為を継続することのない状態の作出である。未遂の限度で共犯となる。

刑法5/ 総論3/ 70/ 共犯関係からの実行の着手前(#刑法43条本文)の離脱者には、予備罪を除き、刑事責任は生じない。実行着手前に①翻意して離脱の意思を表明し②それを他の共謀者が了承することが必要である。ただ、共謀者団の頭である者については、共謀がなかった状態に復元しなければ、離脱を認めるべきではない。

刑法4/ 総論1/ 69/ 故意が認められれば、通常は違法の意識に達していたと考えられるので、自己の行為の違法を意識してなくとも、故意犯としての責任を問われる(#刑法38条3項本文)。ただ、違法の意識に達しないことに相当な理由がある、違法の意識の可能性すらない場合、責任が阻却され刑が減軽される(ただし書)。

刑法3/ 総論1/ 68/ 故意とは「罪を犯す意思」(#刑法38条1項)すなわち犯罪事実の認識をいう。犯罪事実とは行為の違法性を基礎づける事実である。違法性を基礎づける点で構成要件が原則、違法性阻却事由が例外であり、故意があるというためには、構成要件該当事実、違法性阻却事由の不存在の双方の認識が必要である。

刑法2/ 各論2/ 67/ 自力救済禁止の要請から、権利の実行が権利の範囲内をこえ、かつ、その方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度範囲を逸脱するときは、行為全体が違法となる。
したがって、債権3万円なのに、6万円喝取した行為につき、6万円全額について恐喝罪(#刑法249条1項)が成立する。

要件事実5/ 66/ 訴訟上の請求は、一定の権利または法律関係の存否の主張の形式をとるが、その内容である一定の権利または法律関係を訴訟物という。そして請求は、請求の趣旨および原因により特定されるが、訴状の記載を合理的に解釈して判断される。通常の売買契約における訴訟物は、契約の個数と一致する。#要件事実

要件事実4/ 65/ 一定の法律効果(権利の発生、障害、消滅、阻止)を発生させる法律要件に該当する具体的事実を #要件事実 という。ある権利の発生要件に該当する事実が存在が認められれば、その発生障害要件、消滅要件、行使阻止要件のいずれかに該当する事実がない限り、その権利が存在し行使できるものとされる。

要件事実3/ 64/ 「過失」という規範的評価に関する抽象的概念が法律要件となっている規範的要件は、その規範的評価自体は具体的事実が当該規範的要件に当てはまるという法的判断であり主要事実ではない。これを根拠づける具体的事実(評価根拠事実)が主要事実である。この事実に対し弁論主義が適用される。#要件事実

民法1/ 総則/ 63/ 即時取得の要件は、①前主との取引行為、②①に基づく動産の占有、③②の占有取得が平穏・④公然な取得であること、⑤取得者の善意・⑥無過失(以上、#民法192条)、⑦前主の占有である。しかし、同186条1項は③④⑤の立証責任を転換し、同188条により⑥が推定され、また⑦は②に含まれる。

要件事実2/ 62/ XがYに対し土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求める場合、Yの建物所有権喪失の主張はYの建物所有に関する抗弁となるが、Yが自らの意思に基づきその旨の登記をした後、建物を他に譲渡しても、Yが引き続き登記名義を保有する限りXに対し建物所有権喪失を主張し義務を免れ得ない。#要件事実

要件事実1/ 61/ 土地所有者が、土地上に建物を所有し土地を占有する者に対し、所有権に基づき建物収去土地明渡しを請求する場合、訴訟物は所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権1個である。判決主文に建物収去を加えるのは、土地とは別個の不動産である地上建物の執行方法を明示するためである。#要件事実

刑法1/ 各論1/ 60/ 強盗罪(#刑法236条)の手段たる「暴行」「脅迫」にあたるか否かは、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものかという客観的基準により決定される。その際、暴行・脅迫の態様、犯人の性別・年齢・体格、人数、意図、被害者の性別・年齢、人数、犯行の時刻・場所などが考慮される。

憲法15/ 人権15/ 59/ 「平等」(#憲法14条1項)とは、個人の事実上・実質上の差異を前提に、同一事情・条件の下では均等に取り扱うことをいい、これらの差異を考慮した合理的区別は許容される(相対的平等)。なぜなら、事実上の差異があるにもかからわず、機械的に均一に取り扱うことは、かえって不合理だからである。
芦部『憲法』5版129頁、『趣旨・規範ハンドブック』5版1公法系34頁、参照。

[法的判断枠組み]

憲法14/ 人権14/ 58/ 「法の下」(#憲法14条1項)とは、法適用のみならず、法内容の平等まで要求するものであり、法の下の平等は立法者をも拘束すると解する。なぜなら、法の内容が不平等であっては、これを平等に適用しても個人の尊厳を図ることができなくなるからである。
『趣旨・規範ハンドブック』5版1公法系33頁参照。[法的判断枠組み]

刑訴法16/ 公判/ 57/ 被告人側は検察官請求証拠(#刑訴法 316条の13第2項)に対する証拠意見を明らかにし(同条の16第1項)、公判廷において証拠により証明を予定する事実上および法律上の主張があるときは明示し(主張明示の義務)、証拠取調べ請求をし(同条の17)、開示しなければならない(同条の18)。

刑訴法15/ 公判/ 56/ 公判前整理手続(#刑訴法316条の2 以下)とは、第1回公判期日前に事件の争点・証拠の整理を行う公判準備である。計画的で迅速・充実した公判審理を行うためのものである。この趣旨を没却するような訴因変更請求は認められず、同手続後の証拠調べ請求も、やむを得なかった場合を除き、できない。

民訴法2/ 55/ →当該債権総額から自働債権額を控除し①債権残存額が一部請求額より少ないときは、当該自働債権による対抗額が存在し相殺により消滅、不存在となったことが既判力により確定される。②残存額が一部請求額より多いときは、対抗額がない程少ない自働債権額だったことが既判力により確定される。#民訴法
司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、最判平6・11・22民集48-7-1355、参照。[法的判断枠組み(判例)]

民訴法1/ 54/ 明示的一部請求の確定判決の既判力は残部に生じないので、相殺の抗弁についての既判力も一部請求の枠外にある自働債権の存否には及ばない。そして、相殺の抗弁により自働債権の存否につき既判力が生じるのは、請求の範囲に対し「相殺をもって対抗した額」だけである(#民訴法 114条2項)。→
司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版283頁、最判平6・11・22民集48-7-1355、参照。[法的判断枠組み(判例)]


憲法13/ 人権13/ 53/
積極・消極目的による区別は、事情の変化により変わりうる相対的なものであり、規制の態様をも考えあわせるべき場合がある。たとえば、同じ目的でも、職業への新たな参入の制限は営業行為の制限よりも厳格に、本人の能力に関係しない条件による制限の場合も、厳格に合理性を審査すべきといえる。#憲法
芦部『憲法』5版220頁参照。[法的判断枠組み]

憲法12/ 人権12/ 52/ 経済的自由規制立法の合憲性判定基準には「合理性」の基準が妥当するが、とくに積極目的規制についてのそれは「明白の原則」と呼ばれる。当該規制が著しく不合理であることの明白な場合に限って違憲とされる。立法府の広い裁量が認められているが、違憲審査自体が排除されるわけではない。#憲法
芦部『憲法』5版218頁参照。[法的判断枠組み]

憲法11/ 人権11/ 51/ 経済的自由規制立法の合憲性判定基準には、「合理性」の基準という、合憲性推定の原則に基づいた比較的ゆるやかな基準が用いられる。そのうちの消極目的規制については、裁判所が規制の必要性・合理性および同じ目的を達成できるよりゆるやかな規制手段がないかを、立法事実に基づいて審査する。#憲法
芦部『憲法』5版218頁参照。[法的判断枠組み]

憲法10/ 人権10/ 50/ 検閲とは、公権力が、外に発表されるべき思想の内容をあらかじめ審査し、不適当と認めるときにその発表を禁止する行為とされてきた。しかし判例は、行政権による事前抑制のみを検閲とし(#憲法21条2項、絶対的禁止)、裁判所による差止めは同条1項によって原則として禁止されるに過ぎないとする。
芦部『憲法』5版190頁参照。[法的判断枠組み(通説と判例の違い)]

憲法9/ 人権9/ 49/ 検閲(#憲法21条2項)とは、公権力が、外に発表されるべき思想・情報の内容を審査し、不適当と認めるときにその発表を禁止する行為をいう。国民の知る権利を重視し思想・情報の受領時を基準とし、例外的に思想・情報の発表に重大な抑止効果を及ぼすような事後規制も検閲にあたると解すべきである。
芦部『憲法』5版190、191頁参照。[法的判断枠組み]

憲法8 人権8/ 48/ 判例のとるいわゆる「合理的関連性」の基準は、①規制目的の正当性、②規制手段と規制目的との合理的関連性、規制によって得られる利益と失われる利益との均衡の検討を行う基準であるが、目的と手段との関連が抽象的なもので足りるとする点、利益衡量が形式的・名目的である点で妥当ではない。#憲法
芦部『憲法』5版202、203頁参照。[法的判断枠組み(判例の分析)]

憲法7/ 人権7/ 47/ 合理的関連性の基準(オブライエン・テスト)とは、①立法目的が重要な公共的利益を促進し、表現の自由の抑圧と直接関係がなく、②規制手段の表現の自由に及ぼす付随的・間接的効果は、当該立法目的を促進するのに是非とも必要という限度超えるものでないことを公権力側に立証させる基準である。#憲法
芦部『憲法』5版頁189、190、202、203参照。
[法的判断枠組み(アメリカの判例理論)。アメリカの判例理論たる合理的関連性の基準(オブライエン・テスト)と、かぎかっこつきのいわゆる「合理的関連性」の基準(猿払事件判決)とを、芦部教授は別のものとして書き分けているようである。]

憲法6/ 人権6/ 46/ 表現内容中立規制の態様は、①時・所・方法の規制と、②行動をともなう表現(象徴的表現)の規制の2つに分けられる。①には、中間審査基準たる、より制限的でない他の選びうる手段(LRA)の基準、②には、厳格度が最も弱く、立法裁量を広く認める、合理性的関連性の基準を用いるべきである。#憲法
芦部『憲法』5版189、202頁参照。[法的判断枠組み]

憲法5/ 人権5/ 45/ 高い価値の表現(政治的表現)の内容規制には、いわゆる明白かつ現在の危険の法理が適用される。①立法目的がやむにやまれぬ必要不可欠な公共的利益であり、②規制手段がその公共的利益のみを具体化するように厳密に定められていることを、公権力側が立証しなければ違憲とする厳格な基準である。#憲法
芦部『憲法』5版188、189頁参照。[法的判断枠組み]

憲法4/ 人権4/ 44/ もっとも、たとえ文言自体が抽象的で立法措置として著しく妥当性を欠くとしても、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるのであれば、法文が漠然不明確のゆえに無効とまではいえないと解する。#憲法
芦部『憲法』5版197、198頁、最大判昭50・9・10刑集29-8-489(徳島市公安条例事件)、参照。[法的判断枠組み(判例)]

憲法3/ 人権3/ 43/ 法文が漠然不明確な法令は、罪刑法定主義(#憲法31条)、表現行為(憲法21条1項)への萎縮的効果を及ぼすという点で問題となる。法文は一応明確でも、規制の範囲があまりに広汎で違憲的に適用される可能性のある法令も、その存在自体が表現活動(憲法21条1項)に脅威・萎縮的効果を及ぼす。
芦部『憲法』5版197頁参照。[法的判断枠組み]

憲法2/ 人権2/ 42/ 表現の自由を規制する立法の態様は、①検閲・事前抑制、②漠然不明確または過度に広汎な規制、③表現内容規制、④表現内容中立規制に分けられる。③は、ある表現を、それが伝達するメッセージを理由に制限する規制、④は、伝達されるメッセージの内容・効果に直接関係なく制限する規制をいう。#憲法
芦部『憲法』5版188頁参照。[法的判断枠組み]

憲法1/ 人権1/ 41/ 表現の自由をなどの精神的自由を規制する立法の合憲性には、経済的自由規制立法よりとくに厳しい基準での審査が必要である。
なぜなら、経済的自由に関する不当立法は、民主政の過程が機能している限り議会で是正可能な一方、民主政の過程を支える精神的自由はこわれ易く傷つき易いからである。#憲法
芦部『憲法』5版187頁参照。[法的判断枠組み]

倒産法10/ 破10/ 40/ 詐害行為(破160条1項)や偏頗行為(同162条1項)の否認類型が設けられているが、同じ行為に債務名義や執行行為を介在させてなした場合も、破産債権者に対する有害性に変わりなく、それぞれの類型の否認が可能である(#破165条)。執行行為の否認というが、別の新たな否認類型ではない。

倒産法9/ 破9/ 39/ 債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は、締結行為自体は危機時期以前に行われるが、実質的にみれば、当該契約にかかる債権譲渡は、債務者に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものであり、#破162条1項1号 に基づく否認権行使の対象となると解する。

商法15/ 会社法15/ 38/ 承継型組織再編の対価は組織再編契約で自由に決められる(対価柔軟化)。代わりに、株式買取価格は「公正な価格」とされ、消滅会社等の株主が、組織再編による企業価値の増加分(シナジー等)の公平な分配を受けられる。新設型組織再編では、対価は、設立会社の株式の他は、社債等に限られる。#会社法

商法14/ 会社法14/ 37/ キャッシュアウトとは、ある者(買収者)が、株式会社(対象会社)の発行する株式の全部を、株主の個別の同意を得ることなく、金銭を対価として取得することをいう。経営政策上の合理性が認められる場合、差止請求権、株式買取価格の決定制度、情報開示など株主保護の仕組みの下で許容される。#会社法

商法13/ 会社法13/ 36/ #会社法782条1項、794条1項、803条1項、施行規則183条6号、192条7号、205条7号で、事前開示事項は「債務の履行に関する事項」と改められており、会社分割の法的安定を図るため、債務の履行の見込みがないことは、会社分割の無効原因とはしない旨改められたものと解する。

商法12/ 会社法12/ 35/ 決議に取消事由があることを合併の無効原因とする場合の出訴期間は、取消訴訟の出訴期間(831条1項)、決議の日から3ヶ月以内とすべきとの見解もある。
しかし、#会社法828条 は無効原因を限定していないのであるから、合併無効原因の訴えの出訴期間通り、制限はないと解すべきである。


商法11/ 会社法11/ 34/ 総会決議取消しの訴えと合併無効の訴えとの関係は、合併効力発生前は前者のみ、効力発生後は後者のみ可能となる。合併無効の訴えを設けたのは、法律関係の画一的確定をはかるため、合併無効原因となる各種の瑕疵を独立の訴えとして提起することを排斥する趣旨と考えられるからである。#会社法828条

行政法1/ 33/ 裁量基準は、法律が与えた裁量の範囲内で合理的でなければならず、法律の趣旨・目的を逸脱した不合理なものであれば、それに従ってなされた行政処分も違法となる。もっとも、ある特定のケースへの機械的適用が、かえって法律の趣旨・目的を損なうような場合、個別的な特殊性への配慮を要する。#行政法

刑訴法14/ 公判4/ 32/ 訴因の特定(#刑訴法256条3項)の趣旨は、①審判範囲の限定、②防御範囲の明確化にある。したがって、訴因事実は、具体的に特定する必要がある。しかし、犯罪の性質から特定が困難な場合には、①②の趣旨を害しない限度で、幅のある記載も「できる限り」特定したものとして適法となると解する。

刑訴法13/ 公判3/ 31/ 伝聞法則(#刑訴法320条)の適用を受けるか否かは、要証事実との関係で相対的に決せられる。供述内容の真実性が要証事実である場合に、伝聞法則が適用される。これに対し、その供述が本当に存在したか否かが問題である場合(非供述的利用の場合)は、非伝聞とされ、伝聞法則は適用されない。

刑訴法12/ 公判2/ 30/ 証人の死亡等により主尋問だけで反対尋問ができなかった公判廷の証言の証拠能力も認められると解する。なぜなら、伝聞供述の内容の真実性は、裁判官による証人の供述態度の観察や、証人への偽証罪の警告により、代替しうると考えられるからである。#刑訴法

刑訴法11/ 公判1/ 29/ 伝聞証拠(#刑訴法320条)とは、公判廷外の供述を内容とする、公判廷における供述または書面で、供述内容の真実性を立証するための証拠として提出されるものをいう。その内容の真実性は、反対尋問権の保障のみならず、供述態度の観察、偽証罪の警告により担保しうると解する。

刑訴法10/ 捜査10/ 28/ 弁護人等と被疑者との立会人なしの接見でも、被疑者の逃亡や罪証隠滅を防止でき、戒護等の支障が生じない設備ある部屋等が存在しない場合、接見申出を拒否しても、原則違法ではない。しかし、いわゆる面会接見ができるよう特別の配慮をする義務を怠った場合、違法となる。#刑訴法

刑訴法9/ 捜査9/ 27/ 捜査機関は弁護人と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備ができるようにしなければならない(#刑訴法39条3項ただし書)。特に、初回の接見の場合、比較的短時間でも、即時または近接した時点で接見を認めるべきである。

刑訴法8/ 捜査8/ 26/ 捜査の中断による支障が顕著な場合であったかの判断においては、①接見指定の必要性(現に取調中であったり、間近い取調べの確実な予定があったか等)、②接見指定の相当性(方法の合理性、迅速かつ円滑な接見交通が害されたか等、被疑者の防御権への配慮があったといえるか)が考慮される。#刑訴法

刑訴法7/ 捜査7/ 25/ 接見交通権の保障は、憲法の保障する弁護人依頼権(34条前段)・黙秘権(38条1項)等の被疑者の防御権を実質的に確保する上で不可欠なものであるから、「捜査のため必要があるとき」(#刑訴法39条3項)とは、限定的に解釈すべきであり、捜査の中断による支障が顕著な場合をいうと解する。

刑訴法6/ 捜査6/ 24/ 被告人の自白を同房者を通じて得ようとうする捜査手法は違法である。これは任意捜査の限界を超える。身柄留置を犯罪捜査に濫用するものであり、他の捜査手法を用いることが困難であったということもできないから、捜査手法として相当性を欠く。#刑訴法

刑訴法5/ 捜査5/ 23/ 任意捜査とはいえ何らか法益を侵害し、侵害するおそれがあるから、捜査のため必要な限度、①捜査の必要性・緊急性等を考慮し、②具体的状況のもと、相当と認められる限度、でのみ許される。①事案の性質、容疑の程度、②被疑者の意思、取調べの時間帯・長さ、行動の規制状況が考慮事情となる。#刑訴法

刑訴法4/ 捜査4/ 22/ 「強制の処分」(#刑訴法197条1項 ただし書)とは、人の(明示ないし黙字の)意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、重要な権利・利益の侵害となるため、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段による場合をいう。

刑訴法3/ 捜査3/ 21/ 任意出頭・同行を求めて行う取調べは、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様および限度において許容される。任意捜査といえども、何らかの法益侵害・そのおそれから、無制約には認められないからである。#刑訴法

刑訴法2/ 捜査2/ 20/ 任意同行と実質的逮捕との区別は、①同行の時期・場所、②方法、③同行後の取調べ状況等の事情から総合判断すべきである。#刑訴法

①同行の時刻・場所、②方法・態様、③被疑者の属性、④同行の必要性、⑤被疑者の対応、⑥同行後の取調べ状況、⑦捜査官の主観的意図等から総合判断すべきである。

刑訴法1/ 捜査1/ 19/ 司法警察活動としての任意同行は、相手方の任意の承諾に基づく限り、任意捜査の一方法として認められると考えられる。任意同行を求めることが、被疑者のプライバシーの保護に資する面があるからである。#刑訴法


商法10/ 会社法10/ 18/ 合併承認の総会決議に瑕疵(取消事由)がある場合は、無効原因となる。なぜなら、総会決議が取り消され得る場合、合併が承認決議なしになされという瑕疵は重大であり、株主を保護する必要があるからである。#会社法783条1項、795条1項、804条1項、309条2項12号、

商法9/ 会社法9/ 17/ 合併比率の不公正も、無効原因とはならない。①合併契約は当事者が互いに有利な条件で締結しようとするものだから、当事者の交渉力等の違いから、若干不公正な合併比率となることはありうるし、②反対株主は株式買取請求権を行使することにより、自己の利益を確保できるからである。#会社法828条

商法8/ 会社法8/ 16/ 合併契約締結には「重要な財産の処分及び譲受け」(#会社法362条4項 1号)として、取締役会決議が必要だが、代表取締役が株式会社の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為を得る権限を有することにかんがみ、取締役会決議なくとも、内部的意思決定を欠くにとどまるものとして、有効である。

商法7/ 会社法7/ 15/ 「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)の算定基準日は、株式買取請求をした日である。なぜなら、売買契約と同様の法律効果が発生する時点を基準とすべきと考えるからである。最決平23・4・19

商法6/ 会社法6/ 14/ 株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条 等)は、シナジーが生じる場合には、なかりせば価格に吸収合併等によるシナジーその他の企業価値の増加分を加えた価格とすべきである。株式買取請求権は、企業再編されなかった場合の経済状態の保障、シナジーの分配を保障するものだから。

商法5/ 会社法5/ 13/ 株式買取請求権における「公正な価格」(#会社法785条、797条、806条)は、シナジー(合併による相乗効果)が生じない場合には、原則として、吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がなかりせば、その株式が有したであろう価格をいうと解する。最決平23・4・19

商法4/ 会社法4/ 12/ 親会社の株主総会特別決議を欠く、子会社株式等の譲渡の私法上の効力は無効である。#会社法467条 1項2号の2・309条2項11号が、特別決議を要求する趣旨は、子会社株式等の譲渡が親会社にとって事業譲渡と同様の影響を与えることに鑑み、親会社株主の利益を保護することにあるからである。

商法3/ 会社法3/ 11/ #会社法467条 1項違反の行為は、無効である。株主保護のためである。法的地位の早期安定の見地から、当事者双方から無効主張できるのが原則であるが、譲渡後長期間経過してから当事者の一方が無効を主張することは信義則に反し許されない。

商法2/ 会社法2/ 10/ 「事業の重要な一部の譲渡」(#会社法467条 1項2号)とは、株主の重大な利害に関わる事業再編か否か、量的・質的な側面から判断される。量的基準として、譲渡資産の帳簿価格のほか、売上高、利益、従業員数等を総合的にみて、事業全体の10%を超えていることが必要である。

商法1/ 会社法1/ 9/ 事業譲渡(#会社法467条 1項)とは、①一定の事業目的のために組織化され、有機的に一体として機能する財産を譲渡し、これによって、②事業活動を譲受会社に受け継がせ、③譲渡会社が、法律上当然に21条の競業避止義務を負うものをいう。法の解釈の統一性を保つため、21条以下と同様に解する。

倒産法8/ 破8/ 8/ 配当の基礎となる破産財団のことを配当財団という。現実に破産管財人の管理下にある財産を現有財団、法の予定する破産財団(#破34条1項)のことを法定財団という。破産手続開始時には、両者に食い違いがあるのが通常である。現有財団を法定財団に一致させることにより、配当財団が形成される。

倒産法7/ 破7/ 7/ 破産財団(法定財団)の範囲は、原則として、破産手続開始時に破産者が有する一切の財産とされる(#破34条1項。例外、自由財産)。破産手続開始時に破産財団を固定するこのような考え方を固定主義という。手続の迅速な終結が可能となること、破産者の経済的再生を容易にすることなどの理由による。

倒産法6/ 破6/ 6/ 財団債権と自由財産所属財産との相殺についても、①財団債権者からの相殺は無効であるが、②破産者からの相殺は有効である。①両債権間に対立関係がないからであり、②破産財団の利益のためにする第三者弁済(民法474条1項本文)に準じるものといえるからである。#破34条1項

倒産法5/ 破5/ 5/ 財団債権と破産財団所属債権との相殺については、①財団債権者からの相殺も、②破産管財人からの相殺も有効である。①財団債権者からの担保権行使が認められていること(#破152条ただし書)との均衡から許されると考えられるし、②財団債権は随時弁済が許されるからである(同2条7項)。

倒産法4/ 破4/ 4/ 破産債権と自由財産所属債権の相殺については、①破産債権者からの相殺は無効であるが、②破産者からの相殺は有効である。①は固定主義(#破34条1項)に反するし、破産手続(同100条1項)によらない破産債権の行使はできないことによるが、②破産者による自由財産の処分は任意だからである。

倒産法3/ 破3/ 3/ 破産財団所属債権を自働債権、破産債権を受働債権とする相殺も有効である。ただし、相殺が破産債権者の一般の利益に適合すること(破産財団の維持・増殖につながること)および裁判所の許可が必要である(#破102条1項)。

倒産法2/ 破2/ 2/ 債権者と破産管財人との間で相殺を有効とする合意がなされても、相殺は許されない。なぜなら、相殺禁止規定は、債権者間の実質的平等を図ることを目的とした強行規定だからである。#破71条、72条参照

倒産法1/ 破1/ 1/ 無償で行った保証は、無償行為否認(#破160条3項)の対象となる。主たる債務者が同族会社で、破産者がその実質的な経営者であるときも同じである。なぜなら、無償行為とは破産者にとって無償であれば足り、求償権は債権者への弁済という出捐を回復するもので、保証の対価とはいえないからである。
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