ミニマム法律学

法律書等を読んで,理解し覚えられるように短くまとめて行こうと思っています。ツイッター→https://twitter.com/right_droit YouTube(判例原文の音読)→https://www.youtube.com/channel/UCqVOy5zBmI3GzOI_WF5Dc6Q/featured

行政法/ 訴えの利益

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◯訴えの利益(狭義)

[・取消訴訟を提起し追行するためには、当該処分取消しによって原告が現実に法律上の利益を受けることを要する。これを狭義の訴えの利益という。原告適格とあわせて広義の訴えの利益という。原告適格ある者が取消訴訟を提起する場合、通常は訴えの利益もある。しかし、当該処分の後の事情変更等によって事後的に訴えの利益が失われることもある。

 行訴法9条は「法律上の利益を有する者」に、処分または採決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなおそれらの取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者も含む旨規定している。]

 

行訴法40/ 620/ 取消訴訟を提起,追行するのに,当該処分取消しにより原告が現実に法律上の利益を受ける必要あり(狭義の訴えの利益)。原告適格ある者が訴訟提起すれば通常,訴えの利益もある。しかし,処分後の事情変更等によりそれが失われることもある。「法律上の利益」に,#回復すべき法律上の利益含む(行訴法9条1項)。

[『LEGAL QUEST行政法』3版235頁参照。(狭義の)訴えの利益とは何か]

 

◯建築確認の取消訴訟における訴えの利益

[・建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了した場合、建築確認は工事を適法に行わせる効果しかなく、また、工事完了後の検査や是正命令は建築物それ自体の適法性を基準にしており、建築確認の適法性はもはや問題とならない。そして、是正命令の発動は特定行政庁の裁量に委ねられており、建築確認の適法性によって左右されるものではない。したがって、この場合、訴えの利益は否定される。]

 

行政法41/ 621/ 建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了した場合,そもそも,#建築確認は工事を適法に行わせる効果しかなく,工事完了後検査や是正命令は,#建築物それ自体の適法性を基準とし,是正命令の発動も特定行政庁の裁量であり,#建築確認の適法性により左右されるものではない。よってこの場合,訴えの利益消滅。

[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判昭59・10・26民集38-10-1169,仙台市建築確認取消請求事件)参照。建築確認の取消訴訟における訴えの利益]

 

土地改良事業の施工認可取消訴訟における訴えの利益

[・土地改良事業の施工認可取消訴訟の係属中に工事が完了した場合も、①当該認可は事業施工者に事業施工権を付与するものであり、その後の一連の手続・処分は認可の存在を前提とするので、認可取消しでそれらの法的効力が影響を受ける、②工事完了により社会通念上現状回復が不可能となるとしても、事情判決(行訴法31条1項)の適用において考慮すべき事柄なので、訴えの利益を失わしめない。]

 

行政法42/ 622/ 土地改良事業の施工認可取消訴訟係属中,工事完了の場合も,①#当該認可は事業施工者への事業施工権付与であり,その後の一連の手続・処分はそれを前提とし,認可取消しで法的効力に影響,②工事完了で社会通念上現状回復不可能としても,#事情判決(行訴法31条1項)で考慮すべきで,訴えの利益を失わしめない。

[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判平4・1・24民集46-1-54,八鹿町土地改良事業施工認可処分取消訴訟請求事件)参照。現状回復が事実上困難であるというだけでは,訴えの利益は消滅しない。]

 

◯回復すべき法律上の利益

[・「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項かっこ書)が認められるのは、①実体法上の請求権や②法規の定める何らかの効果が残っている場合だけである。③名誉侵害の場合は事実上の効果に過ぎず、④将来同種の処分が繰り返されるおそれ(反復の危険)がある場合も、③④いずれの場合にも訴えの利益は認められない。

 ①報酬請求等、②日弁連会長選挙規定により、懲戒処分を受けた弁護士は会長選挙の被選挙権をもたないとされる効果、などである。

 ③運転免許書停止処分、④特定年度の公共施設の使用不許可処分、などで訴えの利益が認められなかった。しかし、③について、名誉等も法的利益といえるし、④についても、特定期日の処分については争う方法がないことになる不都合がある。]

 

行政法43/ 623/ 「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項かっこ書)が認められるのは,①#実体法上の請求権(報酬請求権など),②#法規の定める何らかの効果が残っている場合(日弁連会長選挙規定による効果など)だけ。③名誉侵害の場合,事実上の効果に過ぎず,④将来,同種処分の繰返しのおそれある場合も,訴えの利益なし。

[『LEGAL QUEST行政法』3版238頁-240頁(②最判昭58・4・5判時1077-50,③最判昭55・11・25民集34-6-781,運転免許停止処分取消請求事件,④最大判昭28・12・23民集7-13-1561),235頁(①最大判昭40・4・28民集19-3-721,名古屋郵政局職員免職処分取消請求事件),参照]

 

行政法/ 不作為の違法確認訴訟 - 140字法律学

2018年5月分ツイート : 49 (憲法5,行訴法5; 民法8,要件事実1,民訴法2,倒産法10; 刑法3,刑訴法13; はしがき2)

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2018年5月31日(3)
民訴法102/ 645/ 請求原因,抗弁などへの認否の態様:#自白(認める),#否認,不知(知らない),沈黙。#不知:当該事実を争ったと推定(民訴法159条2項),#沈黙:弁論の全趣旨から争っていると認められるとき以外,自白とみなされる(1項)。裁判上の自白は,#口頭弁論等での相手方主張の自己に不利益な事実を認めて争わない旨の陳述。
[『新問題研究 要件事実』13頁,『民訴法講義案』再訂補訂版182頁,参照]

行政法44/ 644/ 処分の名宛人以外の第三者の法律上の利益?①処分・裁決の根拠法令の文言のみによらず,②法令の趣旨・目的,③処分で考慮されるべき利益の内容・性質を考慮。②#目的を共通にする関係法令の趣旨・目的も参酌,③#違反で害される利益の内容_性質_態様_程度も勘案し,個々人の個別的利益として保護要か確定。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』公法系5版152頁参照。行訴法9条2項]

要件事実14/ 643/ 民法709条に基づく損害賠償請求権は,#加害行為ごと(加害行為1個説),#被侵害権利・利益ごと(被侵害権利・利益説),に訴訟物を異にする。人損と物損とで別の訴訟物。しかし,損害種別(同一事故に基づく同一損害を理由とする財産的損害と精神的損害)は不法行為の発生原因と被害利益が共通なので同一訴訟物。
[森圭司『要件事実の基礎』(2008年)221頁参照]

 

2018年5月30日(3)
はしがき2/ 642/ 倒産法などの基本書等を読んで140字に圧縮しています。勉強のモチベーション維持,整理,保存,確認用。判決文の記述・理論のままでない所もあり,大事な所の抜け落ち,短すぎ,理解不足による間違いありえます。ご指摘有難いです。bots計60+。一回り2日弱。http://right-droit.hatenablog.com/entry/2018/04/30/165503

憲法76,77/ 統治3,4/ 640,641/ 戦争・内乱・恐慌・大規模自然災害など,平時の統治機構で対処できない非常事態に,国家の存立維持のため,国家権力が,#立憲的な憲法秩序を一時停止し非常措置をとる権限を国家緊急権という。憲法保障の一形態だが,執行権への権力集中と強化で危機を乗り切ろうとするもので,#立憲主義を破壊する危険性大。
[芦部『憲法』5版365頁参照。基礎理論]

/ 超憲法的非常措置は,法の問題でなく,事実・政治の問題で,自然権思想を推進力に発展してきた人権,それを支えてきた抵抗権と性質異なる。#緊急権濫用の危険を最小限度に抑える法制化はきわめて困難(ワイマール憲法48条参照)。明治憲法8条(緊急命令),14条(戒厳宣告),31条(非常大権)。日本国憲法にはない。
[芦部『憲法』5版365,366頁参照。基礎理論]

 

2018年5月29日(4)
民法90/ 担保物権7/ 639/ 払渡し又は引渡し(民法304条1項)に債権譲渡含まず,抵当権者は,対象たる賃料債権譲渡,#対抗要件具備後も,自ら差し押さえ,物上代位権行使可。優先権保全説(第三者保護説)で差押えによる物上代位公示と債権譲渡の対抗要件具備先後でなく,#抵当権設定登記が物上代位の公示基準。差押えは第三者債務者保護。
[『事例から民法を考える』88頁(最判平10・1・30民集52-1-1)参照。第三債務者保護説]

民法89/ 担保物権6/ 638/ 物上代位は政策的権能。#抵当権の優先権は執行手続に乗る限り保護(民執法193条1項第2文参照)。他債権者が先に差押えした場合,抵当権者は配当要求の終期(民執法165条)までに差押えすれば,抵当権登記の順位で優先権主張可。他債権者が転付命令を得たり,#債権譲渡された場合_物上代位不可(優先権保全説)。
[内田『民法Ⅲ』3版411頁(先取特権に関する最判昭60・7・19)参照。従来の判例の立場]

民法88/ 担保物権5/ 637/ #物上代位は価値権たる抵当権の本質から当然に認められ,抵当目的物の交換価値変形物に,抵当権が及ぶのは当然。#優先弁済が抵当権登記で公示されている抵当権者にとり,優先的地位確保に特別手続の要なく,#民法304条の差押えは単に優先弁済の対象の特定性を維持するためのものに過ぎない(特定性維持説)。
[内田『民法Ⅲ』3版410頁参照。従来の多数説]

はしがき/ 636/ 法律書等を読んで140字に圧縮しています。勉強のモチベーション維持,整理,保存,確認用。判決文の記述・理論のままでない所もあり,大事な所の抜け落ち,短すぎ,理解不足による間違いありえます。ご指摘有難いです。憲法,行政法;民法,商法,民訴法,要件事実;刑法,刑訴法等。bots計550+。一回り12日くらい。
https://twitter.com/right_droit/status/1001305467560210432

 

2018年5月25日(2)
倒産法67/ 破48/ 635/ 賃貸借契約締結時に交付された保証金名目での金銭の性質?#敷金とは_賃貸借契約関係から発生する賃貸人の賃借人に対する債権の担保として差し入れられるもの。そのような性質あるかぎり,名称にかかわらず,敷金として扱われる。実際,保証金という名称で差し入れられた金銭の一定部分を敷金とした例あり。

倒産法66/ 破47/ 634/ 破産管財人は,破産財団に属する財産を換価し配当の原資とする善管注意義務を負うが,例外的に,#裁判所の許可を得てそれを破産財団から放棄可(破78条2項12号)。換価しても廉価で,換価費用がコスト割れになる財産や,担保割れの財産などの保有・管理コスト削減のため。#放棄された財産は破産者の自由財産。
[山本和彦ほか『倒産法概説』2版545頁,R30①Q2(1),参照。基礎知識]

 

2018年5月24日(1)
倒産法65/ 破46/ 633/ 第三者対抗要件(破56条)は,賃借権登記(民605条),借地借家法上の対抗力(10条,31条),特許法99条による対抗力,備える場合,含む。財団債権となる「相手方の請求権」(破56条2項)は,当該契約上の請求権で,使用・収益請求権,修繕請求権(同606条1項),費用償還請求権(同608条)など。#敷金返還請求権は該当せず。
[『倒産法演習ノート22問』2版197頁参照。条文の説明]


2018年5月22日(1)
倒産法64/ 破45/ 632/ 双方未履行双務契約は,破産管財人の選択肢として契約解除権があるが,賃貸借契約の特則あり。賃貸人破産で賃借人が賃借権に「第三者に対抗することができる要件を備えている場合」,破産管財人に解除権なく,#賃借人の使用収益請求権など契約上の請求権は財団債権となり,賃借人は使用収益継続可(破56条)。
[『倒産法演習ノート22問』2版196頁,197頁参照。条文]


2018年5月20日(1)
刑法各論28/ 偽造等罪2/ 631/ 偽造有価証券行使等罪の構成要件的行為:①偽造有価証券等の行使,②行使目的での(人への)交付,③行使目的での輸入。行使は,偽造有価証券等を,真正な・内容真実の有価証券として使用すること,通貨と異なり,#流通に置くこと要せず。#人に対し偽造有価証券等を呈示要,機器への挿入では足りないと解すべき。
[山口『刑法各論』2版485頁(大判明44・3・31刑録17-482,大判昭7・5・5刑集11-578。山口「テレホンカードと有価証券変造」ジュリ951号54頁以下⇔変造テレホンカードをカード式公衆電話機で使用する行為を行使にあたるとする最決平3・4・5刑集45-4-171),T30(4②),参照。偽造有価証券行使等罪の「行使」の意義]

 

2018年5月18日(4)
刑法各論27/ 財産に対する罪19/ 630/ 他人の不動産の登記名義人が,その地位を利用し不法に抵当権を設定し,その後当該不動産を売却した場合,#後行売却行為にも横領罪成立(包括一罪)。横領罪の本質は,委託関係破壊にあるところ,先行する抵当権設定行為で所有権に変更なく,委託関係の全面的破壊でなく,後行行為は不可罰的事後行為でないから。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5判136頁(最大判平15・4・23),R24①,参照。横領後の横領]

刑訴法70/ 629/ 余罪捜査を理由とする接見指定は,余罪につき身柄拘束なき場合,不可。「#身体の拘束を受けている」(刑訴法39条1項)が前提で,逮捕・勾留の効力は令状記載事実にのみ及ぶから。
余罪につき身柄拘束ある場合,#被告事件の防御権の不当制限にわたらない限り(3項ただし書),余罪捜査を理由とする接見指定も可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版231頁(最決昭41・7・26,最決昭55・4・28)参照。余罪捜査を理由とする接見指定の可否]

刑訴法68,69/ 627,628/ #接見後その内容を捜査機関に報告させるのは違法。刑訴法39条1項が被告人らが弁護人と立会人なしの接見を認めるのは,#被告人が弁護人から有効・適切な援助を受ける上で,被告人と弁護人との自由な意思疎通が必要不可欠であり,#接見内容が捜査機関に知られると_情報伝達に萎縮的効果が生じるからである。
[接見内容を捜査機関に報告させることの違法性]

/ 立会人なしの接見により,被告人に実質的かつ効果的な弁護人の援助を受けさせる必要あり。「立会人なくして」(刑訴法39条1項)とは,接見に際し捜査機関が立ち会わなければ,これで足りるとするというにとどまらず,#およそ接見内容について捜査機関は知ることができないとの接見内容の秘密を保障したもの。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版228頁(鹿児島地判平20・3・24)参照。「立会人なくして」(刑訴法39条1項)の意義]

 

2018年5月14日(3)
憲法74,75/ 人権69,70/ 625,626/ 表現の自由,通信の秘密,住居の不可侵,居住・移転の自由などの,#国家からの自由の保障にとり重要なのは,原則としての自由と例外としての制限(原則-例外の関係)である。#権利が国家に不作為を要求する,(防御権)の論証では,三段階審査という手順が用いられる。#三段階審査は_原則・例外関係を前提とする。
[小山『「憲法上の権利」の作法12頁』新版12頁,10頁参照。いわゆる三段階審査基準について]

/ #自由が原則_制限は例外的にのみ許される(憲法上正当化できない限り,自由の制限は違憲)という理解から,三段階審査は①ある憲法上の権利が,#具体的に何を保障するか(保護範囲),②#法律_国家の具体的措置が_その保護領域に制約を加えているか(制限),③その制限は憲法上,#正当化しうるか,という順で審査。
[小山『「憲法上の権利」の作法12頁』新版10頁参照。国家からの自由(防御権)に対する具体的制限についての違憲審査の手順]

憲法73/ 人権68/ 624/ 表現の自由(憲法21条)を支える価値は,①自己実現の価値,②自己統治の価値。①個人が言論活動を通じ自己の人格を高める個人的な価値。#各個人が多くの源から情報を受領し知見を広め_人格形成に資する手段確保の価値。②言論活動で国民が政治的意思決定に関与する公共的価値,#民主政の過程を基礎づける。
[森圭司『SUPER論文の基礎 憲法Ⅰ』8版(2005年)116頁(芦部『憲法』,『演習憲法』)参照。表現の自由を支える価値)

 

2018年5月13日(4)
行政法43/ 623/ 「回復すべき法律上の利益」(行訴法9条1項かっこ書)が認められるのは,①#実体法上の請求権(報酬請求権など),②#法規の定める何らかの効果が残っている場合(日弁連会長選挙規定による効果など)だけ。③名誉侵害の場合,事実上の効果に過ぎず,④将来,同種処分の繰返しのおそれある場合も,訴えの利益なし。
[『LEGAL QUEST行政法』3版238頁-240頁(②最判昭58・4・5判時1077-50,③最判昭55・11・25民集34-6-781,運転免許停止処分取消請求事件,④最大判昭28・12・23民集7-13-1561),235頁(①最大判昭40・4・28民集19-3-721,名古屋郵政局職員免職処分取消請求事件),参照]

行政法42/ 622/ 土地改良事業の施工認可取消訴訟係属中,工事完了の場合も,①#当該認可は事業施工者への事業施工権付与であり,その後の一連の手続・処分はそれを前提とし,認可取消しで法的効力に影響,②工事完了で社会通念上現状回復不可能としても,#事情判決(行訴法31条1項)で考慮すべきで,訴えの利益を失わしめない。
[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判平4・1・24民集46-1-54,八鹿町土地改良事業施工認可処分取消訴訟請求事件)参照。現状回復が事実上困難であるというだけでは,訴えの利益は消滅しない。]

行政法41/ 621/ 建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了した場合,そもそも,#建築確認は工事を適法に行わせる効果しかなく,工事完了後検査や是正命令は,#建築物それ自体の適法性を基準とし,是正命令の発動も特定行政庁の裁量であり,#建築確認の適法性により左右されるものではない。よってこの場合,訴えの利益消滅。
[『LEGAL QUEST行政法』3版236頁(最判昭59・10・26民集38-10-1169,仙台市建築確認取消請求事件)参照。建築確認の取消訴訟における訴えの利益]

行訴法40/ 620/ 取消訴訟を提起,追行するのに,当該処分取消しにより原告が現実に法律上の利益を受ける必要あり(狭義の訴えの利益)。原告適格ある者が訴訟提起すれば通常,訴えの利益もある。しかし,処分後の事情変更等によりそれが失われることもある。「法律上の利益」に,#回復すべき法律上の利益含む(行訴法9条1項)。
[『LEGAL QUEST行政法』3版235頁参照。(狭義の)訴えの利益とは何か]

 

2018年5月12日(3)
倒産法62,63/ 手続開始前2,3/ 618,619/ 債務者財産に関する保全処分(破28条,民再30条)や他手続中止命令等(破24条, 民再26条1項)は,#個別的に財産散逸を防止する原則的保全処分。破産手続では,再生手続と異なり,特定財産上の担保権は中止命令対象外。個別的保全処分で複数強制処分に対処できない場合,包括的禁止命令(破25条,民再27条)を行う。

/ 個別的に対処できない場合,包括的禁止命令(破25条,民再27条)を行うが,#連鎖倒産を避ける必要ある場合には個別的禁止解除。否認権のための保全処分(破171条,民再134条の2)あり。
保全処分の効果として,債務者に対する債務名義取得自体は禁止されず,弁済禁止の保全処分命令後の履行遅滞による解除,不可。
[[ハイローヤー2018年4月(334号)23頁(最判昭37・3・23百5版A4,最判昭57・3・20百5版75)参照。個別的保全処分と包括的保全処分,および効果]

倒産法61/ 手続開始前1/ 617/ 破産(再生)手続開始決定があると,債権者の個別的権利行使禁止(破42条1項,100条1項.民再85条1項),債務者の財産管理処分権剥奪(破78条1項),公平誠実義務(民再38条2項)などにより,#債務者財産を維持。しかし,申立てから手続開始決定までの間も財産散逸を防ぐ必要があるとき,#手続開始前の保全処分を行う。
[ハイローヤー2018年4月(334号)23頁参照。債務者の財産の保全]

短答/ 国民の義務に関するウの記述について,正しいものには◯,誤っているものには✕をつけなさい。[No.20]
ウ. 憲法第30条の定める国民の納税義務は憲法上の義務であるが,その義務は法律によって具体化されるので,国民が租税法規に従って税金を納付しない場合でも,法的には租税法規違反にとどまる。
0%7. ◯ (正)
0%8. ✕ (誤)
21:04 - 2018年5月12日

/ #憲法 #短答 H27年第10問 肢ウ
正解→(http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00114.html)
#納税義務は_法律によって具体化されない限り実現されえないもの(憲法30条),法律によらない限り課税されない権利。法律として具体化されれば,納税義務は一種の法律服従義務に他ならないが,憲法上の服従義務ではない(cf長谷部『憲法』)。

短答/ #憲法25条に関する次の記述についての、正(1)、誤(2)? イ.憲法第25条第1項は,将来に向けた政策の指針を定めたもので,国民の権利を保障するものではないと解するプログラム規定説によっても,裁判所が同項に基づいて個々の法律について国民の生存権を侵害するか否かを判断できる。[No.14]
0%1. 正
0%2. 誤
20:38 - 2018年5月12日

/ #憲法 #短答 H27年第7問 肢イ. [解答欄は, No.14]
正解→ (http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00114.html)

ヒント: 25条は,国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまり,個々の国民に対して具体的権利を保障したものではないという見解を一般にプログラム規定説と言う(芦部・憲法5版260頁参照)。

短答/ 国公法102条1項「#政治的行為」についての2判決(最二判H24・12・7刑集66-12-1337,同66-12-1722)。
ア.「政治的行為」とは,公務員の政治的な行為一般ではなく,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,#現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す。
0% 2. 正(◯)
0% 6. 誤(✕)
20:18 - 2018年5月12日
https://twitter.com/right_droit/status/995261992280576001

/ #憲法 #短答 H27年第1問 肢ア. (解答欄は,[No.1])
正解→ (http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00114.html)

判例プラクティス憲法 増補版454頁〔20-2〕など参照。

/ メモ)#行政法,注目分野:①#国家賠償法(29年予備,北村和生先生)。②行政指導(29年予備)。③(狭義の)#訴えの利益(21年論文,29年予備)。④裁量と内部基準(26年~29年論文)。⑤処分性(最判H17・7・15,最大判H20・9・10),原告適格(北村・事例研究行政法)。⑥行政権の濫用(最判S53・5・26,最判H16・12・24)。
19:36 - 2018年5月12日
https://twitter.com/right_droit/status/995251390359396353

 

2018年5月11日
/ メモ) 憲法,注目分野: ①表現の自由(放送,報道,取材,#メディアの中立性,論文20年,芸術的表現の自由,ろくでなし子事件とわいせつ表現規制)。②生存権(法的性質,合憲性判定基準,後退禁止原則,最判平24・2・28),平等権(合憲性判定基準)。③教育権(旭川学テ)。④選挙権(25年予備,在外日本国民選挙権最判)。
0:49 - 2018年5月12日
https://twitter.com/right_droit/status/994967786022625286

 

2018年5月10日(1)
刑訴法66/ 616/ 公道上における写真撮影は任意処分。
撮影される本人の同意なく,裁判官令状なく,警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容される要件として現行犯性を要する(高度の緊急性)。なぜなら,#個人の私生活上の自由として_承諾なしに_みだりに容ぼう等を撮影されない自由の内容に_肖像権_表現の自由,含むから。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』91頁,90頁(最判44・12・24刑集23-12-1625)参照。公道上における写真撮影が,任意処分として許容される要件に,現行犯性が含まれるか]

 

2018年5月9日(3)
刑訴法64,65/ 614.615/ 退去強制(入管法24条)により外国に在る者は供述不能に当たり得るが,検察官調書作成時点で国内におり,#国家機関により退去強制が行われて供述不能の状態が作出されていることから,被告人の反対尋問権保障(憲法37条2項)や適正手続理念に照らし,その証拠請求が手続的正義の観点から公正さを欠く場合あり。

/ 退去強制により外国に在る者の,検察官調書の証拠請求が手続的正義の観点から公正さを欠く場合,証拠として許容されない。①#検察官が_供述者が国外に退去させられ期日に供述不能となると認識しながら殊更その事態を利用した場合,②#その供述者の承認尋問決定があるにかかわらず強制送還された場合など。
[日野浩一郎『刑事公判法演習 理論と実務の架橋のための15講』169頁(最判平7・6・20刑集49-6-741)参照。退去強制された者の検察官面前調書の証拠能力が認められない場合]

短答/ H25年第15問 肢ウ #憲法短答 政党に関するウの記述について,正誤を,後記1、2の中から選びなさい。(解答欄は,[No.29]) ウ. 政党に対する公的助成を行う場合には,法律により,政党の役員・党員等の名簿,活動計画書を提出させた上で政党の設立を許可する制度を設けても,違憲とはならない。
25% 1.◯ 正
75% 2.✕ 誤

4票終結
https://twitter.com/right_droit/status/994196227250995200

/ 公法系科目の正解,各自ご確認下さい。http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00083.html
結社の自由(憲法21条1項),国会法46条「会派」,公職選挙法86条の2-同条の7等,政党助成法1条,最大判昭45・6・24民集24-6-625「議会制民主義を支える不可欠の要素」「国民の政治意思を形成する最も有力な媒体」,芦部・憲法5版280頁-281頁参照
21:43 - 2018年5月9日

 

刑法各論26/ 自由に対する罪3/ 613/ 逮捕・監禁致死傷罪(刑法221条)の死傷結果は,①#逮捕・監禁事実から(停車中の自動車のトランク内に監禁された被害者が自動車追突により死亡したなど),あるいは②#逮捕・監禁の手段から生じたこと要。傷害結果に故意ある場合,含む。その機会の暴行での死傷結果には,傷害罪,傷害致死罪など成立(併合罪)。
[山口『刑法各論』2版88頁(最決平18・3・27刑集60-3-382,名古屋高判昭31・5・31裁特3-14-685),T25(2④),参照。逮捕監禁致死傷罪の死傷結果について]

 

2018年5月8日(1)
刑訴法63/ 612/ 刑訴法321条1項3号は第三者の伝聞証拠の基本形。#他の伝聞例外規定は_本号の要件をそれぞれの理由で軽減したもの。その要件は,供述者が被告人以外の者のほか,①供述不能,②その供述の不可欠性,③絶対的特信情況である。①②が必要性,③が信用性の情況的保障(供述が信用できる外部的情況の存在)の趣旨。
[日野浩一郎『刑事公判法演習 理論と実務の架橋のための15講』164頁,165頁参照。刑訴法321条1項3号について]


2018年5月7日(2)
刑訴法62/ 611/ #公判廷外供述を内容とし_その内容の真実性立証に用いる証拠が伝聞証拠。ある人(原供述者)の言語的表現(原供述,動作によるもの含む)につき,内容たる事実を証明する証拠資料が供述証拠。これが,公判廷に供述代用書面や伝聞供述として現れる場合が伝聞証拠で,#原則_証拠能力なし(刑訴法320条,証拠法則)。
[日野浩一郎『刑事公判法演習 理論と実務の架橋のための15講』159頁参照。伝聞証拠とは何か。供述証拠という言葉との関係。ほか]

 

刑訴法61/ 610/ 私人の住居内盗撮はプライバシー,住居内にいる者以外の他者の視線にさらされず行動できる利益が問題。公共の場での撮影行為は,他者の視線を常に意識する公共の場での肖像権が問題。保護程度,異なる。#前者は_身体_住居_財産に匹敵し_強制処分法定主義_令状主義の保護に値する。後者は,任意処分の対象。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』89頁参照。私人の住居内の盗撮と公共の場での撮影行為における,保護法益の違いおよび保護すべき程度の違いによる,捜査手段の区別(強制処分によるか,任意処分によるか)]

 

2018年5月6日(3)

刑訴法60/ 609/ 秘密盗聴の侵害するプライバシーは,通信の秘密(憲法21条2項後段),私生活上の自由(13条)として保護され,住居,書類・所持品同様,強制処分法定主義・令状主義で高度に保護すべきものであり(35条),強制処分。同意盗聴は,#会話内容_プライバシーは相手方支配下に置かれ_要保護性の質的低下により,任意処分。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』85頁,86頁参照。侵害される権利・法益内容の質的な違いによる,強制処分性判断]

刑訴法59/ 608/ 会話傍受(秘密盗聴,同意盗聴)処分は,#処分相手方に反対意思形成機会を全く与えず被処分者の権利を完全に侵害するものであり,有形力行使のように侵害程度の強弱は想定できず,#意思制圧と価値的に同視可。このような捜査の場合,意思制圧が一般的に認められ,#侵害される権利・法益内容で,強制処分性判断。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』85頁参照。会話傍受の強制処分性の判断基準(意思制圧基準および重要な権利侵害基準によるが,前者は一般的に認められるの,後者の内容だけで判断。
前半部分,同書では「秘密盗聴のような処分」(85頁L6)と書かれていますが,秘密盗聴(会話当事者のいずれの同意も得ていない場合)と同意盗聴(会話当事者の一方の同意を得ている場合,同書84頁参照)を含むものと判断し,そういう方向でまとめています。]

刑訴法58/ 607/ おとり捜査に,#意思制圧要素は考えられず_任意捜査といえる。したがって,おとり捜査により制約される権利・法益と捜査の必要性,緊急性を利益衡量し,当該捜査手法が相当かどうか判断。#制約される権利・法益は_適正手続の観点からの司法の廉潔性_対象者の人格的自律権_国民一般の法益(社会的法益)など。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』77頁-79頁参照。おとり捜査がどのような法益を制約することになるから(おとり捜査の規制根拠、同書78頁)、この捜査手法が許容されるのかという問題とリンクさせた上での(同書82頁L3,4参照)、おとり捜査の適法性の判断基準]

 

2018年5月5日(1)
刑訴法57/ 606/ #少なくとも_直接の被害者なき薬物犯罪等の捜査で_通常の捜査方法のみでは摘発困難な場合_機会あれば犯罪遂行意思ありと疑われる者を対象のおとり捜査は,刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容可。
他の捜査手法で証拠収集困難,Xは既に買い手を求めていたのだから,捜査官が仕向けたとしても,適法。
[猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』80頁(最決平16・7・12刑集58-5-333),および81頁L11-15も参照。範囲誘発型・機会提供型に分ける二分説に、必ずしも依拠しない判断枠組みおよび事案分析・評価例(判例)]

 

2018年5月4日(6)
倒産法59,60/ 破43,44/ 604,605/ 債権・債務の対立状態が,破産手続開始後や,支払不能・支払停止・破産手続開始申立(危機時期)後に生じた場合,#濫用的に債権債務の対立が創出され,債権者間の公平を害する事態が想定されるため,相殺原則禁止。まず,①#破産債権者による_破産手続開始後の債務負担に基づく相殺は_全面禁止(破71条1項1号)。

/ ②#破産債権者による危機時期の事情を知っての債務負担に基づく相殺,原則禁止(破71条1項2号~4号),相殺の合理的期待保護の例外あり(2項)。

③#破産者に債務を負っている者による,破産手続開始後の債権取得に基づく相殺,全面禁止(72条)。④#危機時期の事情を知っての債権取得,相殺禁止対象。例外あり。
[山本和彦『倒産処理法』4版95頁-97頁参照。破産手続における相殺権の制限の概略]

倒産法58/ 破42/ 603/ 破産手続開始前に破産者に対する債権債務が対立状態にある場合,破産手続開始後も,破産債権者は破産手続によらず自由に相殺可(破67条1項,原則,#相殺の担保的機能尊重)。破産債権者の有する自働債権が破産手続開始時に期限未到来でも,受働債権が期限付・条件付でも相殺可(破67条2項,#相殺権の範囲拡張)。
[山本和彦『倒産処理法』4版95頁参照。破産手続における相殺権の概略]

民法87/ 債権総論20/ 602/ 電気店Aは,買主Bの注文に応じ,新型テレビをB宅に届けたところ,内部の不具合で異常音発生。Bの修理の求めに対し,Aは異常のない新品を引き渡し修理義務を免れ得るか。
債権者(B)に特別な不都合なき限り,#取引慣行・取引上の信義則適用として_変更権(他の物をもって代えることができる権利)を認めるべき。
[内田『民法Ⅲ』3版20頁(大判昭12・7・7民集16-1220)参照]

民法86/ 債権総論19/ 601/ 引渡債務の目的物特定で,債務者は,特定した物の引渡債務を負う。また,①保管義務の加重,#善管注意義務(民法400条)を負う。②#目的物滅失により履行不能。滅失に債務者の帰責事由なければ,危険負担の債権者主義適用(534条2項)。帰責事由あれば,債務不履行責任(415条後段)。③特約なき限り,#所有権移転。
[内田『民法Ⅲ』3版19頁(最判昭35・6・24民集14-8-1528)参照。種類物特定の効果]

民法85/ 債権総論18/ 600/ 「給付をするのに必要な行為」(民法401条2項前段)による特定は,持参債務は,債権者の住所地(履行地)に持参し提供したとき。取立債務は,債務者が,#目的物を分離し引渡の準備を整え_債権者に通知したとき。送付債務は,履行地に目的物を送付し,そこで履行提供したとき。#送付が債務者の好意の場合_発送時。
[内田『民法Ⅲ』3版17頁-19頁(最判昭30・10・18民集9-11-1642)参照。条文解釈(法的判断枠組み)]

 

2018年5月3日,憲法記念日
基本姿勢/ 国家権力の正当性の根拠は憲法にあり,#あらゆる国家権力は憲法によって制約_拘束される(立憲主義)。立憲主義をより深化・徹底する観点,#立憲主義に基づき権力を制約し国民の権利の拡大に寄与するとの観点から,憲法に限らず,関連法も含め,国民にとって真に必要な改定を積極的に検討(立憲的憲法論議)要。
[立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408)参照。]

国政調査権について/ 国政調査権は両議院の権能,#証人の出頭・証言_記録の提出を求めることができる(憲法62条)。具体的には,特別の院議決定に基く調査特別委員会設置,常任委員会による調査要求の議長による承認により行使。#平成10年に予備的調査制度が採用されたが(衆議院規則56条の2,56条の3,86条の2),強制力を伴はない。

/ #国政調査権は国会の権能の行使のための補助的権能だが,国会の権能は立法権,予算審議,行政監視など広範で,行政国家では,立憲主義の観点から議会による行政統制の重要手段。しかし,#議院内閣制下_議会多数派が内閣を構成し,行政監視のための行使も,多数決原理で与党合意なき限り発動しえず,実効性疑問。
[以上,立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408),衆議院サイト(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/ugoki/h11ugoki/h11/h11yobit.htm)参照。]

知る権利などについて/ #権力行使の行き過ぎも_表現の自由の確保により是正可能。表現の自由は,説得と投票箱の過程,民主主義プロセスの担保。しかし,前提として十分な情報に接していることが必要。不十分な情報や誤った情報に基づき議論を重ねても,正しい結論は得られない。#公文書管理や情報公開は_この知る権利を担保する。
[立憲民主党サイト「憲法に関する当面の考え方」【組み込み版】.pdf(https://cdp-japan.jp/news/20180426_0408)参照。]

/ 日本国憲法の核である,#国民主権_平和主義_基本的人権の尊重は,日本国民が長年月をかけて育み,定着させてきたもの。憲法改正は,思想的,観念的・抽象的議論でなく,憲法規定が原因で政策遂行に支障が生じるか,規定不在によりどのような不都合が生じるかなど,#その必要性につき具体的事実に基づき検討要。

/ 基本的人権の中でも,特に重要な人権である表現の自由が民主主義のプロセスにとって有効に機能するためには,前提として,#国民が十分かつ正確な情報に接していることが必要不可欠。公文書管理や情報公開の在り方を正し,#権力制約_国民の権利拡大に寄与するとの観点_立憲主義の観点から立憲的憲法論議要。
[以上,立憲民主党代表・枝野幸男「【代表談話】憲法記念日にあたって」立憲民主当サイト(https://cdp-japan.jp/news/20180502_0422)参照]

/ 歴史が証明するように,時として権力は暴走する。個人弾圧,人権抑圧もある。だからこそ国家権力を縛り,#権力を抑制的に,真に国民のために行使させるべく憲法がある。憲法は,#長い歴史を持つ人類の英知の結晶である。時の権力者による権力私物化や乱用は枚挙に暇がない。憲法を活かすも殺すも,国民次第。
[自由党代表・小沢一郎憲法記念日にあたって」BLOGOS(http://blogos.com/article/294667/)参照]

 

2018年5月2日(3)
民法84/ 債権総論17/ 599/ 種類債権(不特定物債権)とは,#同じ種類の物の一定数量の引渡しが目的とされる場合(民法401条1項参照)。その目的物を種類物という。不動産や美術品のように,#物の個性に着目し引渡し対象とされた物を特定物といい,特定物引渡しを目的とする債権が特定物債権。同じ種類かどうかは,当事者の意思で決まる。
[内田『民法Ⅲ』3版16頁参照。種類債権(種類物債権,不特定物債権)と特定物債権との違い]

/ Q:国会の会議に関し,正しいのはどれか。1.両院協議会は公開とする。
2.出席議員の3分の2以上の多数で秘密会を決議したときも,会議録のすべてを公開しなくてよい訳ではない。
3.会議録の頒布は憲法上の要請ではない。
4.出席議員の5分の1以上の要求があれば,要求した議員の評決のみ会議録に記載される。
20% 肢1. 憲法57条1項(本会議)、国会法97条参照
20% 肢2. 憲法57条2項
40% 肢3. 憲法57条2項
20% 肢4. 憲法57条3項参照
5票•最終結
https://twitter.com/right_droit/status/991609206707929089

/ (ヒント) 憲法57条2項: 両議院は,各々その会議の記録を保存し,秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は,これを公表し,且つ一般に頒布しなければならない。(以下,補足,正解→)

肢5.「旧憲法には議員の公開の原則は定めていなかった。」 誤り。大日本帝国憲法48条。

昭和44年旧司法試験 憲法23問 正解: 肢2

民訴法101/ 598/ 作成目的,記載内容,所持経緯,その他から判断し,#専ら内部者の利用に供する目的で作成され_外部者への開示が予定されていない文書で,開示により個人のプライバシー侵害,個人・団体の自由意思形成の阻害,#所持者側への看過し難い不利益のおそれがある場合,特段の事情なき限り,民訴法220項4号ニに当たる。
[最決平19・8・23判時1985-63(LEX/DB 28131982)参照。自己利用文書に当たるかの判断の仕方]

/ メモ) 民訴法は何が重要だろうか? #基本的な原理・原則についての深い理解要(受験新報)。訴えの変更,補助参加,独立当事者参加における二当事者間における和解,既判力の時的限界,文書提出命令,処分権主義,上訴の利益,訴訟担当,遺言者生前における推定相続人による遺言無効確認の訴えなど(ハイローヤー)
https://twitter.com/right_droit/status/991547393626681344

民法83/ 債権総論16/ 597/ #借地上建物の賃借人は敷地の地代の弁済に法律上の利害関係あり。なぜなら,土地賃貸人と直接の契約関係はないが,#土地賃借権消滅により,建物賃借人は土地賃貸人に,#賃借建物からの退去・土地明渡義務を負う法律関係にあり,建物賃借人は,敷地の地代弁済,敷地賃借権消滅防止に法律上の利益を有するから。
[最判昭63・7・1集民154-254,T29(21イ),参照。「利害関係を有しない第三者」(民法474条1項)の解釈。改正民法474条2項「弁済をするについて正当な利益を有する者」参照]


2018年5月1日
憲法・刑訴法/ GPS捜査(プライバシー侵害; 強制処分法定主義.令状主義), 写真・ビデオ撮影
http://right-droit.hatenablog.com/entry/2018/05/01/234625

 

right-droit.hatenablog.com

 

憲法/ 国民の知る権利(憲法21条)と受信契約締結強制(放送法64条1項)

http://twpf.jp/right_droit 

以下,判決(最大判平29・12・6,LX/DB25449082)の「理由」「第2」「上告代理人永野剛志ほかの上告受理申立て理由について」の部分を,さっと読んでまとめたものですので,理解不足による間違いもありえます。ちょっと読んで興味を覚えられた方は,ぜひ,ご自分で判決原文をご確認下さい。裁判所 | 裁判例情報:検索結果一覧表示画面

 

放送法の目的

[・放送は、憲法21条の表現の自由の保障の下で、国民の知る権利を実質化し、健全な民主主義の発達に資するために、国民に広く普及されるべきである。これが放送法の目的である。]

[・この目的を実現するため、放送法は、公共放送事業と民間放送事業とが、各々その長所を発揮し、互いに啓もうし、欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受できるようにしている。日本放送協会(NHK)が、営利を目的として業務を行うことや他人の営業に関する広告の放送を禁止し(放送法20条4項、83条1項)、事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしているのは、NHKが公共的性格を有することの財源面からの裏付けである。NHKは、このような全体により支えられる事業体として、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体として、公共の福祉のための放送を行う必要がある。]

 

人権41/ 443/ 放送は,憲法21条の表現の自由保障下,#国民の知る権利の実質化,#健全な民主主義発達に資するため,国民に広く普及要(放送法の目的)。この目的実現のため放送法は,#公共放送事業と民間放送事業とが,各々その長所を発揮し,互いに啓もうし,欠点を補い,放送により国民が十分福祉を享受できるよう図っている。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082,放送法第1条、参照。法的判断枠組み。]

 

人権42/ 444/ 日本放送協会(NHK)は,営利目的業務・他人の営業の広告放送を禁止され(放送法20条4項,83条1項),事業運営財源がテレビジョン受信設備設置者から支払われる受信料によって賄われる(財源面における公共的性格)。NHKは,#民主的・多元的基盤に基づき自律的運営の事業体として,公共の福祉のための放送を行う。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み(放送法)。]

 

⚫金銭の負担なく視聴することができる民間放送を視聴する自由

[・公共放送事業者と民間放送事業者との体制下で、前者を担う日本放送協会(NHK)を存立させ、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体たらしめるためその財源的基盤を受信設備設置者に受信料を負担させることにより確保する仕組みは、憲法21条の表現の自由の下で国民の知る権利を実質化し、合理的なものと解される。放送環境の変化が生じつつある今日もその合理性は失われていない。したがって、このような仕組みは、憲法上許容される立法裁量の範囲内にある。よって、このような制度の枠を離れて、国民がテレビジョン受信設備を用いて放送を視聴する自由は、そもそも憲法上保障されているものではない。

 具体的には、このような制度の枠外にある、金銭の負担なく視聴することができる民間放送を視聴する自由というものは、憲法上保障されていない。]

 

人権43/ 445/ 公共放送,民間放送事業者体制下,前者の日本放送協会の民主的・多元的基盤に基づく自律的運営事業体としての存立ため,#財源的基盤をテレビジョン受信設備設置者の受信料負担により確保する仕組みは,憲法21条の表現の自由下,#国民の知る権利の実質化であり,合理的。放送環境の変化でも合理性変わらない。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。事実の分析・評価。]

 

人権44/ 446/ 財源的基盤を受信設備設置者の受信料負担で確保する仕組みは,合理的で,#憲法上許容される立法裁量の範囲内。したがって,#このような制度の枠を離れ_国民がテレビジョン受信設備を用い放送を視聴する自由,具体的には,#金銭の負担なく視聴することのできる民間放送視聴の自由は,憲法上保障されていない。

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。]

 

⚫受信契約締結強制の合憲性

[・放送法64条1項は、テレビジョン受信設備設置者に対し、受信契約の締結を強制するにとどまる。そのように解することから、受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、承諾の意思表示を命ずる判決の確定によってはじめて受信契約が成立すると解すべきである。このように解することは、放送法の目的を達成するのに必要かつ合理的な範囲内ものであり、憲法上許容される。]

 

人権45/ 447/ 放送法64条1項は,#テレビジョン受信設備設置者に_受信契約締結を強制するにとどまる。したがって,放送法の目的を達成するのに必要・合理的範囲内であり,憲法上許容される。受信契約の申込みに対し受信設備設置者が承諾しない場合,#承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立すると解する

[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。

 以上,5ツイート,判決の斜め読みで,自分なりにわかりやすくまとめましたので,判決の趣旨に沿っていない可能性もあります。ご容赦下さい。正確な判文は,各人でご確認下さい(裁判所,裁判例情報,http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf)。]

 

記事一覧 - 140字法律学

憲法・刑訴法/ GPS捜査(プライバシー侵害; 強制処分法定主義.令状主義), 写真・ビデオ撮影

http://twpf.jp/right_droit 

 ⚫GPS捜査によるプライバシー侵害の度合い

憲法23/ 人権23/ 110/ 本件GPSは、対象車を発見し追尾できる程に正確で搭乗者位置情報の取得と同視でき私有地という、不特定多数の者から目視され観察されることのない、プライバシー保護の合理的期待が高い空間でも、位置情報取得可能である。取付け時の私有地への侵入も想定され、プライバシー等侵害が大きい。#人権

[プライバシー等を大きく侵害する⇒身体、住居、財産等(、重要な権利・利益)の制約(・侵害)が認められる。刑訴法で、強制処分の要件の一つの認定のときにも、似たような事情を拾って、『プライバシーの保護の合理的期待が高い~』などと分析して、書ければいいな~。

 結局、対象車両の位置情報に留まらず、それは、本件GPSについては、乗車している『人の位置情報』と同視でき、それが私有地という、不特定多数の第三者から目視によって監視されることのない、『プライバシー保護の合理的期待の高い』空間に及ぶ場合があったこと、および、私有地への侵入行為も想定されることから、プライバシー等を大きく侵害する、と結論づけているのだろう。事実の評価例(プライバシー侵害するか否かのあてはめ)。

 大阪地決H27・6・5、27年度『重要判例解説』〔憲法3〕参照。]

 

憲法24/ 人権24/ 124/ GPS捜査は、プライバシーが強く保護されるべき空間も含め対象車両・使用者の所在と移動状況を逐一把握し個人の行動を継続的網羅的に把握しプライバシーを侵害しうるし、機器を個人の所持品に密かに装着する点、公道上での肉眼把握・カメラ撮影と異なり、公権力による私的領域への侵入を伴う。#人権

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。]

 

 ⚫強制処分

[・強制処分(刑訴法197条1項ただし書)とは、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない処分いう。その程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合がある。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であっても、何らかの法益を侵害しまたは侵害するおそれがあるのだから、状況のいかんを問わず常に許容されるものではなく、必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される。]

 

刑訴法51/ 505/ 強制処分(刑訴法197条1項ただし書)は,#個人意思を制圧し_身体_住居_財産等を制約し強制的に捜査目的を実現するなど,特別の根拠規定なければ許容されない処分。その程度に至らない有形力行使も,何らか法益侵害のおそれあるので,#必要性_緊急性など考慮し_具体的状況下_相当と認められる限度でのみ許容。

[最決昭51・3・16刑集30-2-187(『刑事訴訟法判例百選』10版〔1〕),R27②採点実感(刑事系科目第2問)3頁,参照。法的判断枠組み(判例)]

  

刑訴法4/ 捜査4/ 22/ 「強制の処分」(#刑訴法197条1項 ただし書)とは、人の(明示ないし黙示の)意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、重要な権利・利益の侵害となるため、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段による場合をいう。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版189頁、190頁、寺崎『刑事訴訟法』3版73頁注17、など参照。法的判断枠組み(条文の文言の意義)]

  

⚫令状主義

刑訴法37/ 捜査17/ 342/ 令状主義(憲法33条、35条)は、逮捕、差押えなど最も人権侵害の危険のある強制処分につき、捜査機関の判断だけに任せるのでなく、原則として、#裁判官の事前の判断(令状)を要求する制度である。全くの無実の者が拘束されるといった事態も避け得る。強制処分に対する司法的抑制の理念に基づく。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁参照。法的判断枠組み(令状主義の意義)]

 

刑訴法38/ 捜査18/ 343/ 逮捕状には、逮捕の理由となる犯罪の明示(憲法33条)、捜索・差押状は、捜索する場所・押収する物の明示を要する(同35条)。後者は場所・物を限定する趣旨である。1通の令状さえあれば、どこでも捜索し何でも押収できるというのでは、令状主義が意味をなさないからである(#一般令状の禁止)。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁、65頁参照。法的判断枠組み(令状主義の趣旨)]

 

刑訴法39/ 捜査19/ 344/ 捜査機関の請求による令状発付につき、裁判所・裁判官は当該強制処分の必要性も判断する。#司法的抑制の理念に基づく令状主義の趣旨を十分活かすためである。逮捕状については、犯罪の嫌疑(刑訴法199条1項2項)に加え、逮捕の必要性(199条2項ただし書、規則143条の3)の判断も要する。

[『刑事訴訟法講義案』四訂版65頁参照。法的判断枠組み(強制処分の必要性の判断の可否・要否)]

 

GPS捜査と強制処分法的主義,令状主義

刑訴法22/ 捜査12/ 180/ 憲法35条は、「所持品」等に準ずる私的領域へ「侵入」されない権利も保障している。個人のプライバシー侵害を可能とする機器を所持品に秘かに装着し、個人の合理的意思に反し、その私的領域に侵入する捜査手法たるGPS捜査は、個人の意思を制圧し重要な法的利益を侵害する #強制処分 にあたる。

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。事実の評価例(GPS捜査が、「強制の処分」(刑訴法197条1項ただし書)にあたるか)]

 

刑訴法23/ 捜査13/ 181/ #GPS捜査 は対象車両の移動状況等を把握する点、検証の性質をもつが、端末を付けた車両を通じ使用者の所在を検索する点で異なる。検証・捜索許可状でも、被疑事実と無関係の使用者の行動の、継続的網羅的で、過剰な把握を抑制できず(令状主義違反)、事前の令状呈示もできない(適正手続違反)。

[最大判平29・3・15平28年(あ)442号、LEX/DB25448527参照。事実の分析(GPS捜査の法的性質、検証許可状・捜索許可状の発付で行うことができるか?)GPS捜査という現に行われていた・いる事実としての捜査手法の分析。その法的評価・分析。]

 

⚫任意捜査

刑訴法5/ 捜査5/ 23/ 任意捜査とはいえ何らか法益を侵害し、侵害するおそれがあるから、捜査のため必要な限度、①捜査の必要性・緊急性等を考慮し、②具体的状況のもと、相当と認められる限度、でのみ許される。①事案の性質、容疑の程度、②被疑者の意思、取調べの時間帯・長さ、行動の規制状況が考慮事情となる。#刑訴法

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版190頁参照。法的判断枠組み(事実の評価方法)]

 

◆写真・ビデオ撮影

刑訴法30/ 捜査16/ 332/ [検察官による人の容ぼう等の撮影が、現行犯・準現行犯の場合のほかは許されないというわけではない。]

#捜査機関がXを犯人と疑う合理的理由あり、かつ、強盗殺人等捜査に関し、防犯ビデオに写っていた犯人特定の証拠資料入手のため必要限度での、公道上のX、不特定多数の集まるパチンコ店内のXの容ぼう等の撮影であり、#通常人が他人から容ぼう等を観察されること自体受忍せざるを得ない場所のもの。

[⇒これらのビデオ撮影は、捜査目的達成のため、必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法である。

 最決平20・4・15刑集62-5-1398(『刑事訴訟法判例百選』10版〔8〕18頁)参照。事実の評価例]

 

刑訴法/ 強制処分と任意処分 - right_droitのブログ

倒産法/ 他の手続きへの移行(破産手続→再生手続, 再生手続→破産手続(牽連破産))

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 ⚫他の手続への移行

[・再生手続の開始により破産手続は中止され(民再39条1項後段)、再生計画認可決定の確定により中止されていた破産手続は失効する(同184条)。破産手続は最後の手段であり、再生手続により解決できるのであれば、そちらを優先すべきという配慮に基づく。

 牽連破産は逆に、民事再生法上の手続が進行していたところ、それが立ちいかなくなったことからやむを得ず破産手続に移行することをいう(民再248条以下)。]

 

倒産法53/ 民再10/ 591/ #再生手続開始で破産手続は中止され(民再39条1項),#再生計画認可決定で_当該破産手続失効(同184条)。破産手続は最後の手段で,再生手続で解決可能なら,それを優先すべきという配慮。#牽連破産は逆に,再生手続進行中,それが立ちいかなくなったことからやむを得ず破産手続に移行するもの(民再248条以下)。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。制度の概略]

 

⚫再生手続廃止後の破産手続への移行(牽連破産)

[・再生手続開始の決定があっときは、破産手続開始の申立てはできないのが原則である(民再39条1項前段)。

 しかし、いったん開始された再生手続が、その目的を達することができずに廃止された場合(民再191条)、ほとんどの場合、破産手続によって当該債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで、再生手続廃止の決定があったときは、例外的にその確定前であっても、破産手続開始の申立てができる(同法249条1項)。これに基づく破産手続は、再生手続廃止の決定確定後に開始される(同条2項)。

 また、再生手続廃止の決定が確定したときは、破産手続開始の申立てがなくても、裁判所が職権で破産手続開始決定をなしうる(民再250条1項)。

 これらの、再生手続挫折後に開始される破産手続を、牽連破産という。]

 

 

倒産法56,57/ 民再13,14/ 594,595/ 再生手続開始決定により,破産手続開始の申立てはできなくなる(民再39条1項前段)。

しかし,再生手続が目的を達しえずに廃止された場合(191条),債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで,再生手続廃止決定がされれば,#確定前でも_破産手続開始申立てでき(249条1項),廃止決定確定後に開始される(2項)。

 

/ 再生手続が目的を達しえず廃止された場合(民再191条),当該債務者の財産を清算する必要が生じる。そこで,再生手続廃止決定確定後は破産手続開始の申立てなくとも,#裁判所が職権で破産手続開始決定をなしうる(民再250条1項)。

再生手続挫折後開始される(申立て・職権による)破産手続を,#牽連破産という。

[平成30年TKC全国統一模試〔倒産法第2問〕倒2-6参照。再生手続挫折の場合の手続の流れ(牽連破産)]

 

 

⚫他の手続への移行(各論)

[・破産法において、否認や相殺禁止の基準を、破産手続開始の申立て時に置くものがあるが(同法160条1項2号、71条1項4号等)、牽連破産の場合に、破産手続開始の申立てが存在せず、または、それが遅すぎることがあるため、再生手続開始の申立て等を破産手続開始申立てとみなす取扱いがなされる(民再252条1項)。]

[・破産手続開始よりも再生手続開始が先行している場合に、再生手続開始前3か月間の給料請求権が財団債権となる(民再252条5項・破149条1項)。牽連破産の開始時を起算点にすると、共益債権としての性質から財団債権とされる部分(民再252条6項・119条2号)と重複してしまい、労働者の生計維持のための保護として十分でないためである。]

[・牽連破産の場合、再生手続において共益債権として扱われていた債権は、破産手続上、財団債権として扱われる(民再252条6項)。]

[・牽連破産の場合、裁判所の決定により、再生債権について届出した債権者は、移行後の破産手続において改めて破産債権の届出をする必要がなくなるという扱いができる(民再253条1項)。手続の便宜の観点および、倒産状態にある会社の債権者は、自らの債権に対する関心が乏しく、再度の届出を要求するのは酷であるという考慮による。]

 

倒産法54/ 民再11/ 592/ 破産手続開始申立て時基準の規定あるが(破160条1項2号,71条1項4号等),#牽連破産で,破産手続開始申立てがないか,遅い場合あるため,#再生手続開始申立て等を破産手続開始申立てとみなす(民再252条1項)。破産手続開始より再生手続開始先行の場合,#再生手続開始前3か月間の給料請求権が財団債権(同条5項)。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。牽連破産において再生手続開始時を基準と読み替える(みなす、する)場合]

 

倒産法55/ 民再12/ 593/ 牽連破産の場合,#再生手続で共益債権とされていた債権は_破産手続上財団債権とされる(民再2526)。また,裁判所は,#再生債権届出債権者は移行後の破産手続で改めて破産債権届出を要しないと決定できる(民再253条1項)。手続の便宜,倒産状態にある会社の債権者は,自らの債権への関心が乏しという考慮。

[ハイローヤー2018年4月(334号)26頁参照。牽連破産の場合の効果]

 

 

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民訴法/ 補助参加; 独立当事者参加

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〔訴訟参加〕

⬛補助参加

 

⚫補助参加制度の趣旨

[・補助参加とは、他人間に係属中の訴訟の結果について利害関係を有する第三者(補助参加人)が、当事者の一方(被参加人、主たる当事者)を勝訴させることによって自己の利益を守るために訴訟に参加する形態である。補助参加人は、自らの利益を守るために自らの名と費用で訴訟を追行するが(独自の権能をもつ、従たる当事者)、相手方との間に自己の請求を持ち込んで審判を求める者ではない(従属的な側面)。]

 

民訴法97/ 576/ 補助参加は,#他人間に係属中の訴訟の結果につき利害関係を有する第三者(補助参加人)が,当事者の一方(被参加人,主たる当事者)を勝訴させることにより自己の利益を守るため訴訟参加する形態。#自らの利益を守るため自らの名と費用で訴訟追行_相手方との間に自己の請求を持ち込み審判を求めるのではない。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)301頁〔基本問題41〕参照。概念ないし制度の説明]

 

⚫補助参加の要件 

民訴法7/ 101/ 補助参加の要件は、①訴訟の結果に②利害関係を有することである(#民訴法42条)。②は、法律上の利害関係であり、私法上または公法上の法的地位・法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。判決効が及ぶ場合に限られない。①は、判決主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否を指す。

[『民事訴訟法講義案』再訂補訂版312、313頁参照。法的判断枠組み]

 

⚫補助参加の手続

[・補助参加の申出は、参加の趣旨(いかなる訴訟でどちらの当事者に参加するのか)および理由(利害関係があることの事情)を明らかにして、参加後に訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない(民訴法43条1項)。

 参加の理由を具備するか否かの調査は、当事者が異議を述べた場合に限り、調査する。異議が述べられたときは、参加人は、参加の理由を疎明しなければならない(44条1項後段)。]

 

民訴法93/ 495/ 補助参加の申出は,#参加の趣旨(いかなる訴訟でどちらの当事者に参加するのか),#理由(利害関係あることの事情)を明らかにし,参加後訴訟行為すべき裁判所にする(民訴法43条1項)。参加の理由具備は,当事者が異議を述べた場合に限り調査。異議が述べられたときは,参加人は,参加理由を疎明要(44条1項後段)。

[『講義案民事訴訟法』再訂補訂版313頁_314頁,森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版301頁,参照。法的判断枠組み(条文制度)]

 

 ⚫補助参加人に対する判決の効力

[・補助参加がなされた訴訟で下された判決は、その訴訟の当事者に効力が及ぶのはもちろん(既判力につき、民訴法115条1項1号)、一定の要件の下で、補助参加人にも効力が及ぶ(46条)。これは、補助参加人として十分に主張・立証を尽くした、あるいは尽くすことが期待できた事項については、補助参加人は自己を当事者とする第2の訴訟で補助参加訴訟で下された判断内容をもはや争うことができないという趣旨である。

 このような判決の効力は、既判力とは異質の補助参加に特殊な効力(参加的効力)であると解する。これは、参加人が被参加人と共同して訴訟を追行した以上、敗訴の責任を公平に分担すべきであるという公平の見地ないし禁反言の原則により根拠づけられる。]

 

民訴法98/ 577/ 補助参加訴訟の判決は,訴訟当事者に効力が及ぶのはもちろん(既判力,民訴法115条1項1号),一定要件の下,補助参加人にも及ぶ(46条)。#補助参加人として十分主張・立証を尽くした・尽くすことが期待できた事項につき_補助参加人は自己を当事者とする第2訴訟で補助参加訴訟の判断内容を争えないという趣旨。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)307頁〔基本問題42〕参照。補助参加訴訟の判決の効力]

 

⚫補助参加人の訴訟上の地位

[・補助参加人は、自らの利益保全を最終目的として、既存の訴訟当事者の意思に反してでも参加でき、自己の名と費用の投下において訴訟を追行する。単なる補助者ではない。その意味で、当事者からは独立した地位を有する。

 しかし、相手方との間に独自の請求を定立して訴訟当事者となるものではなく(従たる当事者)、あくまで他人の訴訟を補助し、被参加人の勝訴を通じて自己の利益保全を図るもの。つまり、自己固有の利益を保全するために、他人を補助するという複合的性格を有する。]

 

民訴訟94/ 496/ 補助参加人は,自らの利益保全を最終目的とし,既存の訴訟当事者の意思に反しても参加でき,自己の名と費用投下において訴訟追行。単なる補助者ではなく,#当事者から独立した地位。しかし,独自請求を定立し訴訟当事者となるものではなく(#従たる当事者),あくまで他人の訴訟を補助する複合的性格を有する。

[『講義案民事訴訟法』再訂補訂版314頁,参照。法的判断枠組み]

 

 

 ⚫既判力と参加的効力の相違点

[・①既判力は、公権的判断によって紛争を解決し、その蒸し返しを禁止する制度なので、勝訴の結果にかかわらず生じ、公権的要求から職権調査事項とされる。参加的効力は、補助参加人が被参加人と共同して訴訟追行したことに基づく敗訴の責任を分担させるための衡平の要請によるものであり、被参加人敗訴の場合だけに生じる。職権調査事項ではなく、当事者が援用した場合に取り上げれば足りる。②既判力は、当事者双方に対して生じる。参加的効力は、被参加人敗訴の場合に、参加人と被参加人との間に生じる。③既判力は判決主文中の判断に生じる。参加的効力は、理由中の敗訴理由となった事実認定や法律判断について生じる。]

 

民訴法95/ 501/ ①既判力は,公権的紛争解決,蒸し返し禁止の制度で,勝訴結果にかかわらず,当事者双方に生じ,職権調査事項。②参加的効力は,#補助参加人と被参加人との共同訴訟追行に基づく敗訴責任分担のための衡平の要請。被参加人敗訴の場合だけ。当事者援用要。理由中の敗訴理由となった事実認定,法律判断に生じる。

[森圭司『ベーシック・ノート民事訴訟法』新訂版302頁(参加的効力説,兼子・双書231頁など通説,最判昭45・10・22など),参照。法的判断枠組み(基礎理論)]

 

 ⚫参加的効力の範囲

[・参加的効力は既判力と異なる補助参加に特殊な効力であるが、その具体的差異は、①民訴法46条所定の除外例が定められているように具体的事情によって効力が左右されること、②判決効の存在は職権調査事項でなく当事者の援用を待つことのほか、③判決主文の判断のみならず理由中の判断にも及ぶこと、④被参加人敗訴の場合にのみ問題となり、被参加人・参加人間にしか及ばないことが挙げられる。]

 

民訴法99/ 578/ 参加的効力は既判力と異なる補助参加に特殊な効力。具体的差異:①民訴法46条所定の除外例のような具体的事情により効力が左右される,②#判決効の存在は職権調査事項でなく当事者の援用要,③#判決主文の判断のみならず理由中の判断にも及ぶ,④被参加人敗訴の場合のみ。被参加人・参加人間しか及ばない。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)308頁〔基本問題42〕参照。参加的効力の範囲,既判力との違い]

 

 

 

 

 

⬛独立当事者参加

⚫独立当事者参加の要件

[・独立当事者参加形態には2つある。「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する」場合(民訴法47条1項前段)を詐害防止参加といい、「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」場合(同項後段)を権利主張参加という。これらいずれかの要件をみたす場合には、別訴により自らの権利実現を図るという方法のほかに、他人間の訴訟に独立の当事者として参加できることになる。詐害防止参加は、馴れ合いにより事実上不利益が生ずる場合にできるとされるが、実際例は後者より少ない。権利主張参加は、係属中の所有権確認請求訴訟に第三者が所有権確認を求めて参加する例を典型例とする。]

 

 

民訴法100/ 579/ 独立当事者参加形態には,#詐害防止参加(民訴法47条1項前段)と,#権利主張参加(同項後段)とがあり,いずれか要件をみたせば,別訴で自らの権利実現を図る方法のほか,他人間の訴訟に独立当事者として参加できる。前者は,#馴れ合いにより事実上不利益が生ずる場合にできる。後者は,#所有権確認の例が典型例。

[安西『Law Practice 民事訴訟法』(2011年)317頁〔基本問題43〕参照。独立当事者参加形態の種類]

 

 

会社法/ 差別的行使条件付新株予約権の無償割当てと不公正発行

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新株予約権無償割当てを用いた買収防衛策と会社法上の問題点

 

⚫差別的行使条件付新株予約権の無償割当ての意義と募集新株予約権の発行の差止め

 

会社法101/ 企業の買収・結合・再編28/ 571/ 会社法247条は,「#第238条第1項の募集に係る新株予約権の発行」の差止請求であるため,247条を277条以下の新株予約権無償割当てに直接適用できない。しかし,#新株予約権無償割当ての内容次第で既存株主の不利益生がじうるため,247条類推適用により救済策として新株予約権無償割当差止請求を認めるべき。

[中村ほか編『ロースクール演習 会社法』2版316頁(東京高決平17・6・15判時1900-156,東京地決平19・6・28金判1270-12)参照。会社法247条の類推適用]

 

 

⚫差別的行使条件付新株予約権の無償割当てと株主平等原則

 

会社法102/ 企業の買収・結合・再編29/ 572/ 株主は株主としての資格で新株予約権無償割当てを受けるが,#新株予約権の内容同一性が前提(会社法278条2項)と解されるので,株主平等原則(会社法109条)の趣旨が及ぶ。差別的行使条件付新株予約権無償割当ては,同原則の直接違反ではないが,#その背後にある衡平の理念に鑑み実質的に合理性の有無,判断要。

[中村ほか編『ロースクール演習 会社法』2版317頁(最判平19・8・7民集61-5-2215)参照。新株予約権無償割当てと平等原則]

 

 

会社法103/ 企業の買収・結合・再編30/ 573/ #特定株主の経営支配権取得に伴い会社企業価値毀損_会社利益ひいては株主共同利益が害される場合,防止のための当該株主の差別的取扱いも,#衡平の理念に反し相当性を欠かない限り,株主平等原則に反しない。判断の前提事実の不存在・虚偽等,正当性を失わせるような重大瑕疵なき限り,株主自身の判断尊重。

[中村ほか編『ロースクール演習 会社法』2版318頁(最判平19・8・7民集61-5-2215)参照。特定の株主の差別的取扱いに合理性が認められるかの判断の仕方]

 

⚫差別的行使条件付新株予約権の無償割当てと不公正発行

 

会社法104/ 企業の買収・結合・再編31/ 574/ #公開会社株主総会に他の株主選別権限は当然にはなく,特定株主による会社支配権取得阻止権限は認められない。決議が行われたとしても,差別的行使条件付新株予約権無償割当ては,直ちには正当化されない。不公正発行非該当につき,#買収防衛策を発動する会社側にかなり重い立証責任が課されると解する。

[中村ほか編『ロースクール演習 会社法』2版319頁参照。公開会社における差別的行使条件付新株予約権無償割当ての合理性・適法性の立証責任]

 

◯違法な利益供与にあたるか

 [この論点については省略。後日書き足すこともあるかも知れませんが,関心を持たれている方は,上記文献等でご確認下さい。]