ミニマム法律学

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行政行為等 (行政法)

法律に関し,140字内にまとめ(https://twitter.com/right_droit http://twpf.jp/right_droit)、可能な範囲で,①法的判断枠組み,②事実の分析・評価(例)に分けています。
そのほか、補足説明等を、[ ]内の文章に記載しています。間違い等のご指摘いただけたら有難いです。よろしくお願い致します。

 

 

[総論]

行政法の基本原則〕

■信義則・信頼保護原則

行政法7/ 91/ 地方公共団体が、基本的義務に反し既に具体的権利として発生している国民の重要な権利に関し、法令に違反し行使を積極的に妨げる一方的・統一的取扱いをし行使を著しく困難にし消滅時効にかからせた極めて例外的場合、当該公共団体に時効主張を許さずとも、国民の平等的取扱い理念に反しない。#地自法

[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系(平成26年1月)160、161頁、最判平19・2・6、参照。事実の評価例(判例)。]

 

[行政過程論(行政作用法)]

〔行政作用〕

■行政行為

●行政行為の定義

[・行政行為とは、行政作用のうち、具体的事項について対外的な法効果をもってなす権力的行為である。個別の実定法では、命令、禁止、許可、免許、承認、更正、決定、裁決等のさまざまな名称で用いられている。一般法的には、「行政の処分」(行手法2条2号、行審法1条2項、行訴法3条2項)とか、「行政処分」(地自法242条の2第1項2号)の概念がほぼこれに相当する。

 ただし、争訟法上の「処分」概念には、権力的事実行為も含むほか(行審法46条、47条、59条。旧行審法2条1項参照)、「行政庁の処分その他公権力の行使」(行訴法3条2項)を包括する広義の意味で用いられることが多く、具体的規律をする行政立法を包含するなど、必ずしも行政行為の概念とは一致しない。もっとも、「処分」ないし「行政処分」の語を、行政行為と同じ意味で用いることがある。]

 

行政法21/ 422/ #行政行為 とは,行政作用のうち,具体的事項について対外的な法効果をもってなす権力的行為である。個別実定法の,命令,禁止,許可,免許,承認,更正,決定,裁決等の名称に該当する。一般法的には,「行政の処分」(行手法2条2号,行審法1条2項,行訴法3条2項),「行政処分」(地自法242条の2第1項2号)にほぼ相当。

[『LEGAL QUEST行政法』3版64頁参照。法的判断枠組み(定義、条文)。]

 

行政法22/ 423/ 争訟法上の「#処分」概念は,#権力的事実行為 も含み(行審法46条,47条,59条),「行政庁の処分その他公権力の行使」(行訴法3条2項)と包括して用いることが多く,#具体的規律をする行政立法 を含むなど,必ずしも行政行為概念と一致しない。もっとも,処分,行政処分を,#行政行為 と同じ意味で用いることあり。

[『LEGAL QUEST行政法』3版64頁、65頁参照。法的判断枠組み(文言の意味、条文)。]

 

●申請拒否処分についての理由提示

[・1.理由提示制度(行手法8条1項、14条1項)の法的意義・趣旨は、①恣意抑制機能、慎重配慮確保機能、公正処分決定担保機能、②不服申立便宜機能(以上、判例)、③相手方に対する説得機能、④決定過程公開機能に求められる。

 提示されるべき理由の程度(付記理由の具体性)については、処分の根拠規定の適示だけでは足りず、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適応して結論に至ったかが、理由の記載自体からわかる程度に示す必要がある。審査基準はあらかじめ定められ公開されているので(5条)、その適用関係も提示する必要がある。

2. なお、処分時に示されなかった理由を事後に提示するとか、不十分であった理由を事後に完備したものにするなどの理由の追完は、理由提示制度の前述の趣旨を全く没却するもので許されない。

 ただ、いったん提示された(完備した)理由を事後的に追加・差替えすることは、許されると解する。]

 

行政法24/ 行政作用(行政行為)/ 458/ 理由提示(行手法8条1項,14条1項)の趣旨は,①#恣意抑制・慎重配慮確保・公正処分決定担保機能,②#不服申立便宜機能。理由の具体性は,処分の根拠規定適示では足りず,#いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適応し結論に至ったか_理由記載自体からわかる程度に示す。審査・適用基準の適用関係提示も要。

[『LEGAL QUEST行政法』3版91頁(最判昭60・1・22民集39-1-1等),92頁(最判平23・6・7民集65-4-2081,『行政法判例百選Ⅰ』6版〔128〕,「処分基準」(行手法12条1項参照)の適用関係に関する。等)参照。法的判断枠組み。]

 

行政法25/ 行政作用(行政行為)/ 458/ 処分時示さなかった理由事後提示,不十分だった理由を事後に完備したものにするなど,#理由追完は許されない。理由提示制度(行手法8条1項,14条1項)趣旨,①恣意抑制,慎重配慮確保,公正処分決定担保,②不服申立便宜,を全く没却するから。#いったん提示した完備した理由に事後的に別理由を追加_差替えは可。

[『LEGAL QUEST行政法』3版92頁(最判平11・11・19民集53-8-1862),91頁((最判昭60・1・22民集39-1-1等)参照。事実の分析・評価例。]

 

 

●行政行為の裁量

行政法15/ 286/ 行政行為は根拠規範の個別事案への法適用結果であり、行政庁の判断は、①法文の意味の確定、②事実認定、③当該事実への法適用(法への事実のあてはめ)、④実際にどのような行政行為を行うかの決定、という過程を経る。①②は裁判所判断が優越し、#③④段階についてのみ行政に終局的に委ねられ得る。

[『LEGAL QUEST行政法』3版108頁参照。法的判断枠組み(基礎的な説明)。]

 

行政法16/ 287/ 事実への法適用(法への事実の包摂)につき、行政庁の判断に終局性が認められる場合を #要件裁量(ただし、覊束裁量、法規裁量)、実際にどのような行政行為を行うかにつき終局性が認められる場合を #効果裁量という。#いつの時点で行うかの裁量、#いかなる手続を経て行うかの裁量の余地もある。

[『LEGAL QUEST行政法』3版108頁~110頁参照。法的判断枠組み(法概念の基礎的説明)。]

 

行政法17/ 288/ 法への事実の包摂につき、#不確定な法概念でもそれだけで要件裁量は認められない。通常人の経験則や社会通念により客観的に認定しうる場合は除く。#専門技術的・政治政策的判断も要する場合に認められうる。その場合も、司法審査を免れる自由裁量(便宜裁量)でなく、覊束裁量(法規裁量)と解する。

[『LEGAL QUEST行政法』3版109頁参照。法的判断枠組み(法律要件についての行政庁の裁量)。]

 

 

行政法1/ 33/ 裁量基準は、法律が与えた裁量の範囲内で合理的でなければならず、法律の趣旨・目的を逸脱した不合理なものであれば、それに従ってなされた行政処分も違法となる。もっとも、ある特定のケースへの機械的適用が、かえって法律の趣旨・目的を損なうような場合、個別的な特殊性への配慮を要する。#行政法

[『事例研究 行政法』2版350頁、351頁参照。法的判断枠組み。]

 

 

行政法14/ 285/ 被侵害利益が重大か、多数人の利益調節を要する場合、原告の権利保護の見地から、裁量判断の逸脱・濫用につき審査密度を高める必要がある。①#重要な事実の基礎を欠くか、②考慮不尽、他事考慮、事実評価の不合理により、#判断内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くならば、違法であると解する。

[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』公法系168頁(最判18112民集60-9-3239小田急訴訟本案判決。『事例研究 行政法256頁)参照。法的判断枠組み(裁量について判断過程審査を行うべき場合、および、審査基準)。]

 

訴因の特定 (刑訴法)

法律に関し,140字以内にまとめ,できる限り,①法的判断枠組み,②事実の分析・評価例に分けています ( https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit)。間違い等のご指摘いただけたら,ありがたいです。よろしくお願い致します。

 

■訴因の特定

●訴因の特定

[・「訴因」(刑訴法256条3項)とは、罪となるべき事実と日時・場所・方法から構成される。犯罪の日時、場所および方法は、犯罪構成要素となっている場合を除き、「罪となるべき事実」(訴因の中核的要素、犯罪事実)そのものではない。それは、訴因を特定する一手段として、「できる限り」具体的に表示すべきものにすぎない。

 罪となるべき事実の特定に資する要素は、日時、場所、方法に限られるわけではないので、これらは例示といえる。訴因の特定のために不可欠の要素ではない。もっとも、これらを記載すれば、訴因の一部を構成することになる。]

 

刑訴法46/ 公訴4/ 457/ 「訴因」は,#罪となるべき事実と日時・場所・方法から構成される(刑訴法256条3項)。後者は,犯罪構成要素の場合を除き,「罪となるべき事実」そのものではない。#訴因を特定する一手段,できる限り具体的に表示すべき。罪となるべき事実特定に資する要素はこれらに限られず,例示。#不可欠の要素ではない。

[古江『事例演習 刑事訴訟法』初版149頁,150頁(白山丸事件,最大判昭37・11・28刑集16-11-1633)参照。法的判断枠組み(条文解釈)。]

 

刑訴法14/ 公判4/ 32/ 訴因の特定(#刑訴法256条3項)の趣旨は、①審判範囲の限定、②防御範囲の明確化にある。したがって、訴因事実は、具体的に特定する必要がある。しかし、犯罪の性質から特定が困難な場合には、①②の趣旨を害しない限度で、幅のある記載も「できる限り」特定したものとして適法となると解する。

[『論証集&答案構成ノート』法学書院(2011年4月)169頁参照。法的判断枠組み]

 

■訴因変更の要否

刑訴法20/ 公判9/ 178/ 検察官による具体的な「罪となるべき事実」の主張が「訴因」であり、当該訴因事実が審判対象である(#刑訴法256条3項)。心証事実がそれと食い違えば、有罪判決できない(335条)。訴因変更手続(312条)を要することになる。それは、事実に重要なあるいは実質的な差異を生じた場合である。

[古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159頁、寺崎嘉博『刑事訴訟法』3版318頁、『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』刑事系162条、参照。法的判断枠組み(条文、基本概念)。]

 

刑訴法21/ 公判10/ 179/

 ①審判対象画定の見地から、罪となるべき事実の特定を欠かずとも、②認定事実が一般に、被告人の防御に重要な事項ならば、原則、#訴因変更手続 を要する。③ただ、防御の具体的状況等の審理経過に照らし、被告人への不意打ちとも、より不利益ともいえなければ、例外的に手続を経ずとも違法ではない。

[古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』初版159、160頁(最決平13・4・11刑集55-3-127)参照。法的判断枠組み(手続)。]

 

■訴因変更の可否

刑訴法44/ 402/ 訴因事実と訴因事実を比較し、#事実の共通性を前提に、両訴因が別訴で共に有罪になるとしたら二重処罰関係(それが許されない関係、#非両立関係)であり、これを回避するため別訴を許さず訴因変更により、一個の訴訟手続内で解決されるべきとき、「公訴事実の同一性」(刑訴法312条1項)が認められる。

[古江『事例演習 刑事訴訟法』初版175頁~177頁参照。法的判断枠組み(私のまとめがあっているかどうか自信がありません。大澤・酒巻説(同書175頁L13あたり参照)になるのかなーと思います。)。]

[・訴因変更制度は、一個の訴訟手続の中で解決を図るべき範囲の問題である。すなわち、1個の刑罰権に関し2個以上の訴因が構成されて、それらが別訴で審判されることとなると、二重処罰の危険性が生じるので、それを回避するために、1個の刑罰権に関わる2個以上の訴因について別訴そのものを許さない方策に関する問題である。

 そうすると、訴因事実と訴因事実とを比較し、両訴因の『事実の共通性』を前提にして、両訴因が別訴で共に有罪とされるとしたら二重処罰となる関係(その意味における『非両立関係』、二重処罰は許されない関係)にあるときに、これを回避するために別訴を許さず訴因変更によるべき、一個の訴訟手続の中で解決を図るべきといえる。この場合に、「公訴事実の同一性」が認められる。]

 

刑訴法18/ 公判7/ 135/ 「Xは公務員Yと共謀し、Yの職務上の不正行為への謝礼の趣旨でWから賄賂収受」という加重収賄の訴因と「XはWと共謀し、同趣旨でYに賄賂供与」という贈賄の訴因とは、賄賂が事実上共通であれば、両立せず、一連の同一事象への法的評価が違うに過ぎず、基本的事実関係が同一であるといえる。#公判

[最決平53・3・6刑集32-2-218『刑事訴訟法判例百選』9版〔47〕参照。事実の評価例。]

2018年2月分ツイート: 49 (憲法7,行政法5;民法10,商法16,民訴法1要件事実2,倒産法2;刑法2,刑訴法4)

法律に関し、140字以内にまとめ、できる限り、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価例に分けています ( https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit)。

 

2018年2月27日(2)
民法53/ 物権総論13/ 479/ 添付規定により,添付物の所有権を失う当事者は,所有権を取得した当事者に,償金請求可(民法248条・703条・704条)。#添付規定を「#法律上の原因」としての利得なので,#一般不当利得要件は具備しないが,利得者は,#所有権を失う者の損失において_対価支払いなく_利得する実質がある。これが248条規定理由。
[『事例から民法を考える』297頁参照。法的判断枠組み(条文制度の説明)。]

民法52/ 法定債権6(不当利得)/ 478/ 甲乙間契約に基づき甲が乙に給付したが,対価支払いなく,乙の利得が丙に移転した場合,#甲が_乙に債権をもつにもかかわらず_契約関係にない丙に利得返還を求める権利が転用物訴権。丙が支払っている場合,二重支払,甲も乙の一般債権者にすぎず,不適切。#丙が対価関係なしに利得を得たときに限られるべき。
[『事例から民法を考える』297頁-298頁(最判昭45・7・16民集24-7-909(ブルドーザー事件),最判平7・9・19民集49-8-2805)参照。事実の分析・評価例(判例)]

 

2018年2月26日(2)
刑訴法48/ 違法収集証拠/ 477/ 派生証拠(毒樹の果実)も原則証拠排除されるが,収集過程,先行違法手続との関連性,派生証拠の重要性等を総合考慮。例外,①#独立入手源法理(違法捜査と無関係の独立情報源),②#希釈法理(第1次証拠と第2次証拠との因果関係が希釈化),③#不可避的発見法理(違法捜査なくとも,独立の捜査で発見したであろう)。
[小林充『刑事訴訟法』新訂版263頁,264頁(最判平15・2・14刑集57-2-121)参照。法的判断枠組み(前半は,事実の判断手法(判例参照)。後半は,毒樹の果実理論の下位規範,あるいは,事実認定において,例外的に,派生証拠(毒樹の果実)が証拠排除されない場合の,具体的な理由づけの例(上記の3つの法理)]

 

刑訴法47/ 違法収集証拠/ 476/ 違法に収集された非供述証拠は,その違法が証明力に影響を及ぼさないが,証拠物の押収手続に,#憲法35条・刑訴法218条1項当の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,証拠として許容することが,#将来の違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合,証拠能力が否定される。
[小林充『刑事訴訟法』新訂版262頁-263頁(最判昭53・9・7刑集32-6-1672)参照。法的判断枠組み(判例参照)。]

 

2018年2月25日(4)
要件事実13/ 不動産明渡し(賃貸借終了)/ 475/ 賃借人は契約終了により目的物原状回復含む,賃貸借契約に基づく目的物返還義務(#付属物収去義務包摂)負う。したがって,土地賃貸人が土地上に建物所有する土地賃借人に,契約終了に基づき建物収去土地明渡請求する場合,#訴訟物は賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権。
[改訂『紛争類型別の要件事実』91頁参照。事実の分析・評価例。]

要件事実12/ 不動産明渡し(賃貸借終了)/ 474/ 賃貸借契約終了に基づく明渡請求権は,#賃貸借契約の効果として発生する賃借物返還義務が基礎。解除,解約申入れ等の終了原因自体の効果でない。したがって,1個の賃貸借契約に基づく明渡請求は,終了原因いかんにかかわらず,訴訟物1個,#賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求権。
[改訂『紛争類型別の要件事実』90頁参照。法的判断枠組み(理論)。]

行政法28/ 損失補償/ 473/ 公健法4条2項認定者への障害補償費は,損害の迅速な填補の趣旨,原因者が本来すべき損害賠償義務の履行に代わる支給(13条1項も同じ前提)。都道府県知事は,#認定者が_原因者への損害賠償請求訴訟判決で民事上_損害賠償義務全ての履行を受けている場合,公健法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れる。
[最判平29・9・8裁時1683-3(新・判例解説 Watch ◆ 行政法 No.183)参照。事実の分析・評価例。]

行政法27/ 損失補償/ 472/ #障害補償費の支給費用は都道府県等が支弁し(公健法47条),4条2項認定者への障害補償費の支給費用は全額,原因者から徴収する特定賦課金で充て(48条1項,49条2項),最終的に原因者負担。#健康被害に係る損害の迅速な填補という趣旨で原因者が本来すべき損害賠償義務の履行に代わり支給されるものと解する。
[最判平29・9・8裁時1683-3(新・判例解説 Watch ◆ 行政法 No.183)参照。法的判断枠組み。]

 

2018年2月24日(4)
会社法94/ 計算3/ 471/ 会社利益は,①#会計帳簿(会社法432条,元帳,仕訳帳,伝票),②#計算書類・事業報告書・附属明細書の2段階(決算)を経て記録(複式帳簿)。会計ルールは,会社法,施行規則,計算規則,金融商品取引法,法人税法などに規定。具体的ルールは膨大,変化も速いため,#公正な会計慣行に従うべきもの(431条,計算規則3条)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版256頁-257頁参照。法的判断枠組み(制度,条文)。]

会社法93/ 計算2/ 470/ 会社債権者利益保護のため,分配可能額内でのみ剰余金配当等が可(会社法461条)。実効性確保のため,違反した剰余金配当等につき,一定の者は会社への金銭支払義務を負う。金銭等の交付を受けた者は,#交付を受けた金銭等すべての帳簿価額に相当する金銭支払義務を負う(462条1項柱書)。過失の有無問わない。
[『LEGAL QUEST会社法』3版285頁,R23②,参照。法的判断枠組み(条文制度)。]

民法51/ 物権総論12/ 469/ 未完成建物の出来形部分所有権が注文者でなく請負人等に帰属し第三者が建物を完成させた場合,#契約関係ないため物権法理で処理。動産に動産を単純付合させ工作価値を無視しうる場合と違い,#建物建築は材料に施される工作が特段の価値を有し_完成価格が原材料より相当程度増加するので,加工規定による。
[『事例から民法を考える』293頁-294頁(最判昭54・1・25民集33-1-26)参照。事実の分析・評価例。]

民法50/ 物権総論11/ 468/ 建物は土地に付合(民法242条)せず,土地,建物は別個独立の不動産(370条参照)。#建築途上で屋根・周壁等により外気分断性を備え建物(不動産)となる前の未完成建物(動産,86条2項)も同様。添付は任意規定。#建築請負契約にいずれ独立した建物になるという当事者間の添付規定適用排除合意ありといえるから。
[『事例から民法を考える』285頁参照。事実の分析・評価(契約の解釈)。]

 

2018年2月(1日-22日)分ツイート: 37 (憲法7,行政法3;民法6,商法14,民訴法1,倒産法2;刑法2,刑訴法2)

2018年2月22日(4)
刑法総論34/ 共犯12/ 467/ 同時犯は,2人以上が意思連絡なく同時期,同一客体へ同一犯罪を実現するもの。場所同一を要せず。ほぼ同時期に並列していれば足る。#故意・過失犯_異なった犯罪の同時犯も。単独正犯並列なので,各自の行為による結果に正犯責任。結果発生しても誰の行為か不明なら未遂責任。#傷害罪特例あり(刑法207条)。
[森・スーパー論文の基礎(大塚仁『刑法総論』240頁)参照。法的判断枠組み(法的概念の説明)。]

 

会社法92/ 株式15/ 465/ #基準日後に募集株式の発行(会社法199条)等によって,新たに株主になった者は,会社が認めれば,株主総会における議決権を行使できる(124条4項)。しかし,#基準日後に他の株主から株式を譲り受けた者の議決権行使を会社が認めることは_基準日時点の株主の権利を害するため許されない(同条項ただし書参照)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版113頁参照。法的判断枠組み,および,事実の分析・評価例(募集株式の発行等の株主総会決議を経て新たに株主になった者と異なり,株主総会決議を経ずに他の株主から譲り受けた者の場合)。]

 

会社法91/ 株式14/ 465/ 株式が広く流通,譲渡される会社は,株主名簿上の株主確定に相当時間を要する場合がある。そこで,#会社は一定の日を基準日とし(権利行使日の3か月以内,会社法124条2項),その日の株主名簿上の株主を後日の権利行使者と定めうる(同条1項)。#定款で定めた場合を除き,基準日の2週間前までに公告要(同条3項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版113頁参照。法的判断枠組み(条文制度)。]

 

会社法90/ 企業の買収/ 464/ 会社法179条の8第1項の売買価格決定申立て制度は,#同条の4第1項・振替法161条2項の通知・公告時点の対象会社株主が,定められた額で株式売渡しを強いられるので,不服ある当該株主に適正対価を得る機会を与える趣旨。#通知・公告で株式売渡し確定後の売渡株式の譲受人は保護対象として想定されていない。
[最決平29・8・30民集71-6-1000(TKC・新・判例解説 Watch ◆ 商法 No.106)参照。法的判断枠組み(条文制度趣旨),事実の分析・評価例。]

 

2018年2月21日(1)
会社法89/ 企業の買収/ 463/ 株式会社の総株主の議決権の9割以上を有する者(#特別支配株主)は,他の株主全員に対し,保有株式等全部の売渡しを請求できる(会社法179条)。#買収者が議決権のほとんどを有する場合_帰趨は決まっている。公開買付けからキャッシュアウトまで,#長期間_他の株主を不安定な地位に立たせる問題もあったため。
[『LEGAL QUEST会社法』3版381頁。法的判断枠組み(条文,制度趣旨)。]


2018年2月20日(1)
民法49/ 相続7/ 462/ 相続人は相続開始時から被相続人の「財産」に属した一切の権利義務承継(民法896条本文)。#親族法上のもの含まず。#被相続人一身専属するもの非承継(ただし書)。①個人的信頼に基づくもの。②権利者個人,行使を決めるべき権利。③性質上本来の債務者自身の給付を要する債務。④遺留分減殺請求権など。
[ダットサン民法3』3版273頁~276頁参照。法的判断枠組み。]


2018年2月19日(2)
会社法88/ 企業の買収・合併・再編20(株式併合,キャッシュ・アウト,株主総会決議取消訴訟)/ 461/ 株式併合・全部取得条項付種類株式取得によるキャッシュ・アウト対価不当性は,原則,#価格決定手続(会社法182条の5,172条)で争えば足り,併合・取得行為効力に影響なし。例外,#買収者の議決権行使により著しく不当な対価でキャッシュ・アウト可決の場合,決議取消し可(831条1項3号)。行為の効力も否定可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版380頁,164頁(,429頁),R29②Q2,参照。法的判断枠組み。]

 

民法48/ 債権総論14/ 460/ 債権者代位権,①債権保全の必要性(#債務者無資力),②債務者が権利未行使,③債務者の一身専属権でない,④被保全債権が弁済期(裁判上代位,保存行為除く)が要件(民法423条)。#責任財産保全の趣旨から,原則,金銭債権限定。例外,転用事例(①不要)。要件③,離婚に伴う財産分与請求権など,#具体的金額確定要。
[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本②民事系』59頁参照。法的判断枠組み。]

 

2018年2月18日(2)
行政法25/ 行政作用(行政行為)/ 459/ 処分時示さなかった理由事後提示,不十分だった理由を事後に完備したものにするなど,#理由追完は許されない。理由提示制度(行手法8条1項,14条1項)趣旨,①恣意抑制,慎重配慮確保,公正処分決定担保,②不服申立便宜,を全く没却するから。#いったん提示した完備した理由に事後的に別理由を追加_差替えは可。
[『LEGAL QUEST行政法』3版92頁(最判平11・11・19民集53-8-1862),91頁((最判昭60・1・22民集39-1-1等)参照。事実の分析・評価例。]

行政法24/ 行政作用(行政行為)/ 458/ 理由提示(行手法8条1項,14条1項)の趣旨は,①#恣意抑制・慎重配慮確保・公正処分決定担保機能,②#不服申立便宜機能。理由の具体性は,処分の根拠規定適示では足りず,#いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適応し結論に至ったか_理由記載自体からわかる程度に示す。審査・適用基準の適用関係提示も要。
[『LEGAL QUEST行政法』3版91頁(最判昭60・1・22民集39-1-1等),92頁(最判平23・6・7民集65-4-2081,『行政法判例百選Ⅰ』6版〔128〕,「処分基準」(行手法12条1項参照)の適用関係に関する。等)参照。法的判断枠組み。]

 

2018年2月17日(2)
刑訴法46/ 公訴4/ 457/ 「訴因」は,#罪となるべき事実と日時・場所・方法から構成される(刑訴法256条3項)。後者は,犯罪構成要素の場合を除き,「罪となるべき事実」そのものではない。#訴因を特定する一手段,できる限り具体的に表示すべき。罪となるべき事実特定に資する要素はこれらに限られず,例示。#不可欠の要素ではない。
[古江『事例演習 刑事訴訟法』初版149頁,150頁(白山丸事件,最大判昭37・11・28刑集16-11-1633)参照。法的判断枠組み(条文解釈)。]

会社法87/ 機関44/ 456/ ①役員等の任務懈怠,②会社に損害,③①②の間の因果関係(会社法423条1項),④役員等の帰責事由(428条,故意・過失)が任務懈怠責任要件。法令違反でない経営上の決定:①は善管注意義務(330条・民法644条),忠実義務(355条)違反。債務不履行責任の特則:#追求側①②③,#役員等④帰責事由なきことの証明責任。
[『事例で考える会社法』156頁,157頁参照。法的判断枠組み(条文)]

 

2018年2月16日(1)
人権47/ 455/ ピアノ伴奏の拒否は,一般的に歴史観・世界観と不可分に結びつくものではなく,#伴奏を求めても_歴史観・世界観自体を否定するものではない。客観的にも,ピアノ伴奏は,音楽専科の教諭等にとり通常想定され期待され,#伴奏を行うことにより特定の思想を有することを外部に表明する行為であるとはいえない。
[『趣旨・規範ハンドブック』公法系5版43頁(最判平19・2・27,平23年度『重要判例解説』〔憲法3〕43頁)。事実の分析・評価例。]

 

2月(10日-15日)分ツイート: 7 (憲法2,行政法1;民法2,民訴法1,倒産法1)

2018年2月15日(1)
民訴法92/ 判決/ 454/ 保証人は,主債務者・債権者間の判決の既判力を受けないが,主債務者が勝訴し,弁済の要がなくなれば,保証債務の附従性から(民法448条),債権者にその勝訴結果を援用可。もっとも,#連帯保証債務履行請求訴訟で敗訴確定判決を受けた保証人は_その後の主債務者勝訴確定判決を_請求異議事由にできない(判例)。
[『民事訴訟法講義案』再訂補訂版293頁,294頁参照。事実の分析・評価例(前半学説、後半判例)。]

2018年2月13日(4)
物権総論10/ 453/ 不動産所有権が,元所有者から中間者,中間者から現所有者に順次移転したにかかわらず,登記名義が元所有者にある場合に現所有者が元所有者に対し,現所有者への真正な登記名義回復を原因とする所有権移転登記手続請求するのは,#物権変動過程を忠実に登記記録に反映しようとする不登法に反する(61条参照)。
[23年度『重要判例解説』〔民法4〕(最判平22・12・16民集64-8-2050)参照。事実の分析・評価例。]

債権総論13/ 債権の消滅/ 452/ 民法494条は,493条と異なり,「あらかじめ」文言欠く。そこで,あらかじめ受領拒絶の場合,#さらに弁済提供(493条)し,債権者が受領遅滞に陥ったとき,はじめて供託可。#あらかじめ受領拒絶の意思を明確にしていた場合は別。賃貸人が一度でも受領拒絶した場合,その後の賃料につき受領拒絶意思明確と判断可。
[ダットサン民法2』3版190頁,191頁(大判明40・5・20民録13-576,大判明45・7・3民録18-684,最判昭45・8・20民集24-9-1243)参照。事実の分析・評価例。]

行政法23/ 国賠法/ 451/ 市町村設置の中学校の教諭が職務時に,故意・過失で違法に生徒に損害を与えた場合,#給与を負担する都道府県が,国家賠償法1条1項,3条1項に従い生徒に賠償すれば,同条2項に基づき,#賠償した損害全額を中学校を設置する市町村(「#内部関係でその損害を賠償する責任ある者」)に求償可(学校教育法5条等参照)
[最判平21・10・23民集63-8-1849,『行政判例百選Ⅱ』6版〔251〕参照。事実の分析・評価例。]

人権46/ 450/ 個人が掲載したからといって,#閲覧者に信頼性の低い情報と受け取られるとは限らない。不特定多数者が瞬時に閲覧可能で,名誉毀損被害は時に深刻。一度損なわれた名誉回復は容易でなく,#ネット上での反論で十分回復が図られる保証はない。したがって,インターネット利用者による表現行為も,#同様の要件。
[最決平22・3・15刑集64-2-1,憲法判例プラクティス』増補版〔115〕参照。事実の分析・評価例。]

2018年2月11日(2)
破36/ 449/ 受益者の悪意は,原則,破産管財人が証明責任を負うが,#受益者がいわゆる内部者である場合,通常,破産者の経済状態を熟知してるはずなので,証明責任が転換される(破162条2項1号)。さらに,#対象たる行為や時期についての非義務行為も,証明責任が転換され,支払不能の30日前まで拡大されている(同条1項2号)。
[山本和彦『倒産処理法入門』4版103頁参照。法的判断枠組み(条文制度)。]

破35/ 448/ 偏頗行為否認(破162条)は,原則,支払不能時が基準時である(同条1項1号)。#債務者が支払能力欠乏のため弁済期にある債務を一般的・継続的に弁済できない(2条11項参照)とき,一部債権者のみへの弁済は許されないし,相手方も弁済を受け取ってはならないと考えられるから。#受益者の悪意が条件とされている。
[山本和彦『倒産処理法入門』4版103頁参照。法的判断枠組み(条文制度)。]

 

2月(1日-10日)分ツイート: 17 (憲法5;民法2,商法8;刑法1,刑訴法1)

2018年2月10日(5)
人権45/ 447/ 放送法64条1項は,#テレビジョン受信設備設置者に_受信契約締結を強制するにとどまる。したがって,放送法の目的を達成するのに必要・合理的範囲内であり,憲法上許容される。受信契約の申込みに対し受信設備設置者が承諾しない場合,#承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立すると解する
[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。
 以上,5ツイート,判決の斜め読みで,自分なりにわかりやすくまとめましたので,判決の趣旨に沿っていない可能性もあります。ご容赦下さい。正確な判文は,各人でご確認下さい(裁判所,裁判例情報,http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf)。]

人権44/ 446/ 財源的基盤を受信設備設置者の受信料負担で確保する仕組みは,合理的で,#憲法上許容される立法裁量の範囲内。したがって,#このような制度の枠を離れ_国民がテレビジョン受信設備を用い放送を視聴する自由,具体的には,#金銭の負担なく視聴することのできる民間放送視聴の自由は,憲法上保障されていない。
[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み。]

人権43/ 445/ 公共放送,民間放送事業者体制下,前者の日本放送協会の民主的・多元的基盤に基づく自律的運営事業体としての存立ため,#財源的基盤をテレビジョン受信設備設置者の受信料負担により確保する仕組みは,憲法21条の表現の自由下,#国民の知る権利の実質化であり,合理的。放送環境の変化でも合理性変わらない。
[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。事実の分析・評価。]

人権42/ 444/ 日本放送協会(NHK)は,営利目的業務・他人の営業の広告放送を禁止され(放送法20条4項,83条1項),事業運営財源がテレビジョン受信設備設置者から支払われる受信料によって賄われる(財源面における公共的性格)。NHKは,#民主的・多元的基盤に基づき自律的運営の事業体として,公共の福祉のための放送を行う。
[最大判平29・12・6,LX/DB25449082参照。法的判断枠組み(放送法)。]

人権41/ 443/ 放送は,憲法21条の表現の自由保障下,#国民の知る権利の実質化,#健全な民主主義発達に資するため,国民に広く普及要(放送法の目的)。この目的実現のため放送法は,#公共放送事業と民間放送事業とが,各々その長所を発揮し,互いに啓もうし,欠点を補い,放送により国民が十分福祉を享受できるよう図っている。
[最大判平29・12・6,LX/DB25449082,放送法1条、参照。法的判断枠組み。]


2018年2月6日(1)
刑訴法45/ 442/ 同日時,自宅でテレビ視聴,約束通り,その1時間20分前頃,西成の知人方に行った旨の供述に,更に詳しい供述を求めた本件質問等は,#公判前整理手続で明示の,同日時,西成区の自宅,付近にいた旨のアリバイ主張に関する具体的供述要求等にすぎず,刑訴法295条1項に該当しない。316条の17第1項義務違反でもない。
[最決平成27・5・25刑集69-4-636(平成27年度『重要判例解説』〔刑訴法3〕)参照。事実の分析・評価例。]


2018年2月5日(3)
会社法86/ 株式13/ 441/ 株式併合は株主の利害に重大な影響を与えるため,①#端数株式買取請求権(会社法182条の4),②#差止請求権(同条の3),③#事前情報開示(181条,182条の2.施行規則33条の9),④#事後情報開示(182条の6,施行規則33条の10)で保護される。併合により端数となる株式が単元未満株式だけの場合を除く(同条の2第1項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版126頁参照。法的判断枠組み(条文、制度)。]

会社法85/ 株式12/ 440/ 株式併合は株主総会特別決議で,#併合割合,効力発生日,発行可能株式総数等の定め要(会社法180条2項・309条2項4号)。株主の利害に重大な影響があるから。取締役は株主総会で,#株式併合を要する理由説明要(180条4項)。公開会社の発行可能株式総数は,効力発生日における発行済株式総数の4倍以下(同条3項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版125頁、126頁、R29②Q2、参照。法的判断枠組み。]

刑法各論21/ 438/ 盗品等関与罪の保護法益は,前提犯罪たる財産犯の被害者が被害物に有する回復請求権(#追求権)。しかし,盗品等運搬,保管,有償譲受け,有償処分あっせん罪(刑法256条2項)の法定刑が窃盗罪などより重いのは,本犯の犯人による盗品等の利用を援助する,#本犯助長性_事後従犯性の考慮。また,#利益関与性もある。
[山口『刑法各論』2版337頁、338頁参照。法的判断枠組み。]


2018年2月4日(5)
会社法84/ 機関44/ 437/ 代理人資格を株主に限る定款の #厳格適用は,株主代理人のみ議決権行使させる過度の制約,#相当程度の制限とはいえない場合がある。団体職員や法人従業員を代理人とし出席させ,議決権行使させても総会攪乱のおそれなく,認めないと事実上議決権行使機会を奪うに等しい。このような場合,定款の効力制限要。
[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、R29②Q2、参照。事実の評価・分析例。]

会社法83/ 機関43/ 436/ 代理人により議決権行使可(会社法310条1項前段)。出席できない株主の議決権行使機会の保障。株主総会ごと代理権授与し(310条2項),それを証する書面提出による(同条1項後段)。ただし,#株主でない者による株主総会攪乱の防止のため,代理人資格を株主に限る定款も,合理的理由による相当程度の制限で有効。
[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、R29②Q2,参照。法的判断枠組み、および、事実の分析・評価。] 

会社法82/ 機関42/ 435/ 取締役等に説明義務が発生した場合,#株主が議題を合理的に判断するのに客観的に必要な説明で足りる。何を説明すべきかは,#具体的な議題・議案や総会での質問内容により決まる。退職慰労金議案の場合,会社法361条1項が資金流出コントロールにあるので,確定した支給基準から額を算出できることの説明要。
[『LEGAL QUEST会社法』3版150頁、151頁参照。法的判断枠組み、および、事実の分析・評価例。]

会社法81/ 機関41/ 434/ 取締役等は,株主総会で,株主から特定事項の説明を求められれば,#説明義務を負う(会社法314条)。議案の賛否判断のため。#総会で具体的質問なき限り義務は生じない。議題に関しない,株主の共同利益や他者の権利を害する,調査要,実質的に同一事項の繰返しなどのとき,を除く(同条ただし書,#施行規則71条)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版149頁、150頁参照。法的判断枠組み(条文)]

会社法80/ 機関40/ 433/ 株主総会に出席しない株主のため,招集に際し,#書面による議決権行使を認めることができる(会社法298条1項3号)。#株主数が1000人以上の会社では,必要的な義務である。招集通知に際し,株主に株主総会参考書類,議決権行使書面を交付(301条1項)。株主は,議決権行使書面に記入し,会社に提出する(311条1項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、155頁参照。法的判断枠組み(条文、制度)。]


2018年2月3日(2)
民法46/ 債権総論11/ 432/ 弁済により消えるはずの原債権も担保と一緒に弁済者に移転。代位弁済者に,#求償債権_原債権が帰属。原債権,担保権も,求償債権の確保のための付従的性格を有し,求償債権の範囲内でのみ行使可。求償債権が弁済されれば,どちらも消滅。原債権も移転するので,代位弁済者は原債権の債務名義を承継し利用可。
[内田『民法Ⅲ』3版78頁、79頁参照。法的判断枠組み(理論的説明)。]

民法45/ 債権総論10/ 432/ 弁済者は,債務者に求償しうる範囲内で,債権の効力,担保として債権者が有していた一切の権利を行使可(民法501条本文)。もとの債権に付随する損害賠償請求権,債権者代位権,債権者取消権等, 抵当権,保証等である。#原債権が担保権とともに弁済者に移転する。契約当事者の地位に付随する権利は移転しない。
[内田『民法Ⅲ』3版78頁参照。法的判断枠組み(理論的説明)。]


2018年2月2日(1)
会社法79/ 企業再編19/ 431/ 株式併合,全部取得条項付種類株式の全部取得の効力を争う特別の訴えはない。しかし,#重大な法令違反の場合,当然無効。必要な株主総会決議,種類株主総会決議に #取消事由(会社法831条1項)ある場合,訴えで決議が取り消せば,これらの行為も無効。対価不当性は,原則,#価格決定手続(182条の5,172条)による。
[『LEGAL QUEST会社法』3版380頁参照。法的判断枠組み。]

会社法: 機関 - 役員等の義務、利益衝突

法律関係書を読み,140字以内にまとめ. 可能な範囲で①法的判断枠組み.②事実の分析・評価に分けています。間違い等のご指摘いただけたら有難いです、よろしくお願い致します。 https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit

 

〔役員等の義務、利益衝突〕

商法22/ 会社法22/ 167/ 取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときは(直接取引)、当該取締役は、重要な事実を開示し、取締役会ないし株主総会の承認を受けなければならない(#会社法356条1項2号・365条1項参照)。当該取締役は、特別利害関係があるため、議決に加われない(369条2項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版219、221頁参照。法的判断枠組み。]

 

商法23/ 会社法23/ 168/ 会社が取締役以外の者と、会社と取締役の利益が相反する取引をしようとするときも(間接取引)、取締役会ないし株主総会の承認を要する(#会社法356条1項3号・365条1項)。取締役の債務を保証し債務不履行となれば債権者が会社に請求するのであり、取締役への貸付と同様といえるからである。
[『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。法的判断枠組み。]

 

商法47/ 会社法47/ 204/ #会社法356条1項3号に例示される債務保証のほか、債務引受、担保の提供も規制される。その他、会社と第三者の間の取引で、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為が同条項3号の規制対象になると解される。相対的無効説をとっても、取引安全は十分に確保されないからである。
[『LEGAL QUEST会社法』3版220頁参照。法的判断枠組み(条文の規制対象。規範の定立)。]

 

商法24/ 会社法24/ 169/ 会社法356条1項3号は、会社と第三者の間の間接取引で外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる形の行為も規制する。
ただし、同条項2号3号は、取締役が裁量行使し会社の利益を害するおそれなき行為は規制しない。無担保での借受け、債務の履行、普通取引約款による取引などである。
[『LEGAL QUEST会社法』3版220、221頁参照。法的判断枠組み、および、事実の評価例。]

 

商法25/ 会社法25/ 170/ 承認なき利益相反取引(#会社法356条1項2号3号)につき、直接取引の相手方取締役に対し、会社は、取引無効を主張できる。間接取引の相手方や、会社振出の約束手形等の転得者に対し、取引安全のため、その者の悪意の主張立証を要する。会社利益保護制度なので、相手方からの無効主張はできない。
[『LEGAL QUEST会社法』3版222頁参照。法的判断枠組み。]

 

商法26/ 会社法26/ 171/ 取締役が会社事業と競業する事業を行うことは、会社の利益を害する危険が大きい。取締役は会社のノウハウや顧客を奪ったり、自身の職務を手抜きするおそれもある。取締役が別の会社を代表して行う場合も同様である。会社の利益を守るため、競業取引の規制がなされている(#会社法356条1項1号)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版223頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。法的判断枠組み(制度趣旨)。]

 

商法27/ 会社法27/ 172/会社法356条1項1号 の「ために」とは、同2号と異なり、取引の実質的な利益帰属者(の計算で)を示すと解する。「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社の現在の事業、および、進出のために準備を進めている事業、で行われる取引と目的物、市場(地域・流通段階等)が競業する取引をいう。
[『LEGAL QUEST会社法』3版223、224頁、『合格答案を即効で書けるようになる本 ②民事系』143頁、参照。法的判断枠組み(条文の文言解釈)。]

 

■報酬等の決定
商法58/ 会社法58/ 227/ 定款または株主総会決議(株主総会で総額を定め、取締役会で各取締役の配分を決議した場合含む)で取締役の報酬額が #具体的に定められた 場合、会社と取締役間の契約内容となり、当事者双方を拘束するから、その後株主総会で無報酬と決議しても、当該取締役の同意なき限り、報酬請求権は存続する。
[『事例で考える会社法』初版〔事例③〕50頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。法的判断枠組み(判例による法解釈)。]

 

商法59/ 会社法59/ 228/ ①取締役の報酬が具体的に定められると、会社・取締役間の契約内容となり、両者を拘束する、②その後これを無報酬とする株主総会決議が行われても、当該取締役が同意しないかぎり報酬請求権は失われない、③取締役の #職務内容に著しい変更がある場合 も同様である。これは、報酬減額にも妥当する。
[『事例で考える会社法』初版〔事例③〕54頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。法的判断枠組み(判例による法解釈)。]

 

商法61/ 会社法61/ 230/ 取締役報酬額が具体的に定まれば、会社との契約内容となり拘束力をもつので、同意なき限り、事後に無報酬とする株主総会決議で報酬請求権を奪えないが、取締役の任用契約(委任契約)は継続的であり、#契約拘束力だけ で事情変更を阻む理由乏しく、正当理由あれば、報酬を地位・責任に比例させうる。
[『事例で考える会社法』初版〔事例③〕61~62頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。法的判断枠組み(法解釈)。]

 

商法60/ 会社法60/ 229/ 取締役報酬は #ある程度身分保障 されているので(会社法361条、332条、339条参照)、職務内容の著しい変更のみを理由に減額できない。しかし、①役職に応じ減額しうる事前の同意(契約内容)や、②「正当な理由」(339条2項参照)がある場合には、総会決議により減額しうると解する。
[『事例で考える会社法』初版〔事例③〕56~58頁(最判平4・12・18民集46-9-3006)参照。法的判断枠組み(法解釈)。]

 

役員等の会社に対する責任

●法令に違反してはいなかったが業務執行が不適切だとされた場合の取締役の責任

[・株主が取締役の会社に対する責任を追及する場合、会社法423条が主な根拠になる。利益相反取引の場合も、その取引にもとづく取締役の責任の要件・効果は、423条に定められている。同条を経由せず、取締役の会社に対する何らかの責任が発生するのは、取締役が利益供与を行った場合(120条4項)や、461条に違反して剰余金の配当等が行われた場合(462条)などに限られる。

 423条1項によれば、①役員等が任務を怠ったこと(任務懈怠)、②会社に損害が生じたこと、③任務懈怠と損害との間に因果関係があること、が任務懈怠責任が発生する要件とされている。取締役の行った(法令違反ではない)経営上の決定が問題となる場合、任務懈怠(①)は、善管注意義務(330条・民法644条)・忠実義務(355条)違反とも言い換えられる。さらに、423条1項と428条をあわせて読めば、④役員等の責めに帰することができる事由(帰責事由)があることも、責任発生の要件といえる。帰責事由は、故意または過失と言い換えられる。

 役員等の任務懈怠責任(423条)は、債務不履行責任(民法415条)の特則であることから、役員等の責任を追求する側が、①役員等の任務懈怠、②会社の損害、③それらの間の因果関係について証明責任を負い、④役員等の側が帰責事由がないことの証明責任を負うと解される。もっとも、任務懈怠の証明は、実際上は、帰責事由の証明と重なり合うため、責任を追求する側が、役員等の任務懈怠(①)の証明に成功すれば、役員等の側が帰責事由(④)がないことの証明に成功する余地はほとんどない。]

 

 会社法87/ 機関44/ 456/ ①役員等の任務懈怠,②会社に損害,③①②の間の因果関係(会社法423条1項),④役員等の帰責事由(428条,故意・過失)が任務懈怠責任要件。法令違反でない経営上の決定:①は善管注意義務(330条・民法644条),忠実義務(355条)違反。債務不履行責任の特則:#追求側①②③,#役員等④帰責事由なきことの証明責任。

[『事例で考える会社法』156頁,157頁参照。法的判断枠組み(条文)]

 

経営判断原則

[・取締役が業務執行としてある行為を行ったことが、事後的に任務懈怠(善管注意義務違反)だったと評価されるのは、どのような場合か。取締役は、会社が利益を上げることや会社に損害が生じないことを請け負うものではなく、善良なる管理者の注意をもって、その職務を遂行する義務を負うだけである。この点に関し、判例は、裁判所は取締役の経営判断に事後的に介入しない、という考え方(経営判断原則)を採用している。

 経営判断の内容は、取締役によって当該行為がなされた当時における会社の状況および会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、#当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見および経験を基準として、前提としての #事実の認識 に不注意な誤りがなかったか否かおよびその事実に基づく #行為の選択決定 に不合理がなかったか否かという観点から、当該行為をすることが #著しく不合理と評価されるか否か によるべきである、とされる。ここでいう事実の認識に不注意な誤りがなかったか否かは、具体的には、経営判断に至るまでに、通常行われるべき情報収集・調査・検討がされていたか否か、という問いである。また、その事実に基づく行為の選択決定に不合理がなかったか否かは、そのような情報収集にもとづいて、経営判断を行う際にどのような選択肢があるか、その中からどれを選択するかについて著しい不合理がなかったか、という問いである。

 この経営判断原則の基礎にある実質的な考慮は、企業経営にはリスクが伴うということである。むしろ、リスクのある事業を行うことこそが、株式会社という制度の役割であり、取締役が行った経営上の決定への事後的な介入が安易に行われれば、そのような株式会社の存在価値が損なわれる。裁判官や一般の株主は、経営上の決定に関して、経営者よりも優れた能力・情報を有するわけではない。このような理由から、株式会社では、出資者である株主ではなく取締役が業務の執行を担うことになっていたはずである、というものである。]

 

会社法74/ 機関39/ 420/ 当該行為時の会社の状況・社会,経済,文化等の情勢下,#会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見_経験を基準とし,前提としての #事実認識 における不注意な誤りの有無,その事実に基づく #行為の選択決定 における不合理の有無の観点から,当該行為が #著しく不合理と評価されるか(経営判断)。

[『事例で考える会社法』初版159頁(東京高判平16・9・28判時1886-111)参照(より簡潔な表現として、最判平22・7・15判時2091-90)。参照。法的判断枠組み。]

 

商法16/ 会社法16/ 86/ リスクの伴う企業経営を、結果的に萎縮させないため、行為時の状況に照らし①情報収集・調査・検討に不注意な誤りがなかったか、②意思決定過程・内容に通常の企業経営者として著しく不合理な点ながなかったかという点から、経営判断について任務懈怠責任(#会社法423条1項)を判断すべきである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック2民事系』6版289頁参照。法的判断枠組み(考慮要素)。]

 

商法48/ 会社法48/ 205/ 企業経営にリスクは伴う。リスクある事業を行うことが株式会社の役割であり、資本主義経済の発展を促す。しかし、裁判官は経営についての知識・経験を有するわけではなく、後知恵で取締役の #経営判断 への事後的な介入を安易に認めるならば、株式会社の存在意義、所有と経営の分離も無意味になる。

[『LEGAL QUEST会社法』3版233頁参照。法的判断枠組み(法的制度の背景)。]

 

商法49/ 会社法49/ 206/ 上場会社では、取締役・執行役が個々の従業員の行為を監視することは現実的でなく、取締役会は、会社の業務の法令遵守体制、その他のリスク管理体制を含め、#内部統制システム 構築義務を負う。そのような義務違反があれば、任務懈怠が認定される。もっとも、ある程度の裁量は認められるべきである。

[『LEGAL QUEST会社法』3版235頁参照。会社法355条・419条2項。法的判断枠組み(法的制度の説明)。]

 

具体的な法令に違反する業務執行を行った場合の取締役の責任

商法56/ 会社法56/ 223/ 会社が遵守すべきあらゆる法令につき、その違反は、取締役の任務懈怠となる。取締役が業務執行を決定・執行する以上、職務遂行に際し会社を名あて人とする #すべての法令 の遵守も職務上の義務であり、株主の合理的意思にかんがみ、会社・株主保護目的の法令に限らず遵守し経営すべきだからである。

[『LEGAL QUEST会社法』3版237頁参照。法的判断枠組み(条文の文言「法令」(会社法355条、419条2項)の意義)。]

 

 

商法30/ 会社法30/ 182/ 「法令・定款に違反する行為」(#会社法360条1項)は、個別の法令(すべての法令含む)・定款に違反する行為のほか、取締役・執行役の注意義務違反(330条・402条3項・民法644条、会社法355条)にあたる行為も含む。裁判外での差止請求、仮処分申立て(民保法23条1項)もできる。

[『LEGAL QUEST会社法』3版249頁、R21②設問4、参照。法的判断枠組み(条文の文言の意味、ほか)。]

 

 

 ●利益相反取引・競業取引

商法55/ 会社法55/ 222/ 利益相反取引・競業取引の承認の有無に関わらず、損害があれば、取締役等は任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。

利益相反する取締役等、決議に賛成した取締役等は、任務懈怠が推定される(同条3項。なお4項)。

承認なき競業取引の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(2項)。

[『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。法的判断枠組み(条文)。]

 

商法28/ 会社法28/ 173/ 利益相反取引・競業取引に承認を受けていても、会社に損害があれば、任務懈怠責任(#会社法423条1項)を負う。

自己のための利益相反取引は無過失責任である(428条1項)。

事前承認なき競業取引(356条1項1号)の場合の損害額は、取締役等の得た利益額と推定される(423条2項)。

[『LEGAL QUEST会社法』3版238頁参照。法的判断枠組み(条文構造の説明)。

1. 私の理解の過程を残せば、上記記述に圧縮して初めて、条文の細かな違いがわかった。

2. それは、428条1項と、423条2項との違いである。

前者は、自己のための利益相反取引についての規定であり、356条1項の規定に違反したかどうかは問われていない。

これに対して、後者の競業取引についての規定に関しては、「第356条第1項の規定に違反して」とされているので、事前承認なき場合に限られている。

3. ややこしい。今ひとつよくわからないところもある。一応、条文の規定に仕方・構造の違いの指摘にとどまる。]

 

 

■任務懈怠責任に対するその他の問題

商法57/ 会社法57/ 224/ 任務懈怠責任は、役員等の会社に対する #債務不履行責任 の性質を有するが、連帯責任(会社法430条)とされるなど、法によって内容が加重された特殊な責任である。そのため、消滅時効期間が、商法522条の5年でなく民法167条1項の10年とされる。遅延損害利率も、民法所定の5分である。

[『LEGAL QUEST会社法』3版239頁(最判平20・1・28。最判平26・1・30)、民法404条、参照。法的判断枠組み(任務懈怠責任の性質、および、その性質に基づく解釈)。]

 

 

■役員等の第三者に対する責任 

商法69/ 会社法69/ 273/ 会社法429条1項の責任につき、①役員等の任務懈怠と第三者の損害の間に相当因果関係ある限り、#会社が損害を被りひいては第三者に生じた間接損害か、#第三者の直接損害かを問わず、役員等は責任を負う。②#役員等への不法行為責任追及も可能。③#任務懈怠についての悪意・重過失立証で足りる。

[『LEGAL QUEST会社法』3版250頁(最大判昭44・11・26民集23-11-2150)参照。法的判断枠組み(条文の説明)。]

 

 

会社法53/ 215/ 社債権者も「第三者」(#会社法429条1項)に含まれる。第三者は、任務懈怠の当事者以外のすべての者をいうからである。

株主は、直接損害の場合、含まれるが、会社をはさんだ間接損害の場合、含まれないと解する。後者では、423条等で損害回復できるのであり、二重取りさせないためである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系310頁参照。事実の分析・評価例。 27年度予備試験参照。]

 

商法70/ 会社法70/ 274/ 間接損害につき原則、株主は「第三者」(会社法429条1項)に含まれない。役員等の行為により会社財産が減少し株価が下落しても、株主は429条でなく、#代表訴訟を提起し423条等の責任追及すべきである。役員等に二重に責任追及すべきでも、会社の賠償請求権を奪うべきでも、ないからである。

[『LEGAL QUEST会社法』3版251頁参照。法的判断枠組み(間接損害事例で「第三者」に株主が含まれない理由)。]

 

 

会社法52/ 214/ 名目的取締役も、適法な選任決議を経ている以上「#役員等」(会社法429条1項)にあたる。

選任決議を欠く登記簿上の取締役も、役員等にあたりうる。故意・過失で登記に承諾を与えていれば、908条2項の類推により、善意の第三者に対抗できない結果、429条の責任を免れられないからである。

[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版民事系307頁参照。事実の分析・評価例。ただし、名目的取締役については、「役員等」にあたっても、具体的事情によっては、因果関係を欠く場合も考えられる。]

 

多数当事者の債権,債権譲渡,債権の消滅 (債権総論)

法律関係の本を読み,140字以内にまとめ. できる限り①法的判断枠組み.②事実の分析・評価に分けています。間違い等のご指摘,お願い致します。

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〔多数当事者の債権・債務〕
■連帯債務
債権総論8/ 349/ 連帯債務者の1人が弁済他の免責行為をする前に他の連帯債務者へ通知を怠った場合(#民法443条1項)、#既に共同の免責を得ていた他の債務者に、2項による自己の免責行為の有効を主張できない。2項は1項を前提とするのであり、1項の事前通知に過失ある連帯債務者を保護する趣旨ではないから。
[最判昭57・12・17民集36-12-2399(『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔85〕88頁)参照。法的判断枠組み(条文解釈、判例)。
1. あんまりしっくり来ない。民法443条1項には、「債権者に対抗することができる事由」と規定されており、これは、「共同の免責」(特に2項のそれとの違い重要)とは別の意味であると考えると(上記文献88頁解説2参照)、判例の理解とは異なる結論も可能であるようにも思う。
2. よくわからないが、とにかく、443条1項が前提(原則)であり、それ(事前の通知)を怠れば、相殺適状、同時履行の抗弁権を有する他の連帯債務者にだけでなく、共同の免責を得ていた他の連帯債務者にも対抗できないということであろう(判例の結論)。
3. しかし、共同の免責を得ていた連帯債務者が事後通知を怠っていた場合、すなわち、過失ある場合にまで、事前の通知をしなかった連帯債務者を不利に扱うのは、条文の文言に反するのではないだろうか?]


〔債権譲渡〕
民法11/ 債権総論1/ 152/ 民法466条2項 は債権譲渡禁止特約は善意の第三者に対抗できない旨規定し、文言上は過失の有無を問わないかのようであるが、重過失は悪意と同様に取り扱うべきであるから、譲渡禁止特約を知らずに債権を譲り受けた場合も、重過失あるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡により債権を取得し得ない。
[最判昭48・7・19民集27-7-823『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔94〕参照。法的判断枠組み(判例。条文解釈)。]

 

〔債権の消滅〕
■供託
●「弁済の受領を拒」むこと(民法494条前段,新494条1項1号)
[・民法494条では、493条とは異なり、「あらかじめ」の文言がない。そこで、あらかじめ受領拒絶していた場合は、494条には原則含まれない。さらに弁済の提供(493条)をし、債権者が受領遅滞に陥ったときにはじめて供託できる。もっとも、あらかじめ受領拒絶の意思を明確にしていた場合は、例外である。
 具体的には、賃貸人が一度でも受領を拒絶した場合、その後の賃料については受領拒絶の意思が明確であると判断できるので、実際上の取扱いで問題とされることはないともいえる。]

 

債権総論13/ 債権の消滅/ 452/ 民法494条は,493条と異なり,「あらかじめ」文言欠く。そこで,あらかじめ受領拒絶の場合,#さらに弁済提供(493条)し,債権者が受領遅滞に陥ったとき,はじめて供託可。#あらかじめ受領拒絶の意思を明確にしていた場合は別。賃貸人が一度でも受領拒絶した場合,その後の賃料につき受領拒絶意思明確と判断可。
[ダットサン民法2』3版190頁,191頁(大判明40・5・20民録13-576,大判明45・7・3民録18-684,最判昭45・8・20民集24-9-1243)参照。事実の分析・評価例。]

2018年1月分ツイート: 13 (行政法2;民法4,商法5;刑法2)

法律に関し、140字以内にまとめ、できる限り、①法的判断枠組み、②事実の分析・評価例に分けています ( https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit)。


2018年1月29日(2)
会社法78/ 設立5/ 430/ 発起人の行為の効果が成立後の会社に及ばない場合,発起人は,#民法117条1項の類推適用により,責任を負う。発起人が明示的に会社成立を条件として開業準備行為をしたにかかわらず,取引後に,#定款記載を怠った場合,取引時に相手方が「過失によって知らなかった」とはいえないので,同条2項にはあたらない。
[会社法判例百選』2版15頁タテ2、R29②Q1(2)、参照。法的判断枠組み、後半は、29年民事系第2問設問1(2)では問われてはいないが、その事案について自分で考えてみた、事実の分析・評価例。]

会社法77/ 設立4/ 429/ 発起人の権限内の行為は,設立後の会社に及ぶ。設立中の会社は,設立を目的とするので,設立に直接必要な行為および事実上必要な行為もなしうる。したがって,発起人の権限も設立に直接・事実(#経済)上必要な行為に及ぶ。しかし,資本充実維持のため,#定款の範囲内でのみ権限が認められる(会社法28条参照)。
[『工藤北斗の合格論証集』商法・民事訴訟法21頁以下、会社法判例百選』2版15頁タテ2、参照。法的判断枠組み。]


2018年1月28日(1)
会社法76/ 設立3/ 428/ 発起人が会社設立を条件に,成立後の会社のため営業用財産を譲り受ける行為を,#財産引受け(開業準備行為)という(会社法28条2号)。財産の過大評価で資本充実・維持を害する危険があるので,#定款に記載なければ無効(28条柱書)。また,原則,検査役の調査(33条1項~6項),または弁護士等の証明(33条10項),要。
[有斐閣法律学小事典』4版430頁、304頁、『LEGAL QUEST会社法』3版51頁、R29②Q1(2)参照。法的判断枠組み。]


2018年1月22日(1)
会社法75/ 設立2/ 427/ 定款の設立費用額が70万円なのに,発起人が会社のためAへの40万円支出契約,Bへの60万円支出契約を締結しているとき,法律関係如何。#行為の時系列により効果帰属が決まる。A取引が先なら,会社はAに40万円,Bに30万円負担。Bの残額は発起人等の責任。いずれが先か不明なら債務額に応じ按分し会社に請求可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版51頁、R29①Q1(1)参照。現時点で、法的判断枠組みか、事実の分析・評価かに、振り分けできない。]


2018年1月8日(6)
物権9/ 426/ ④ 上記③の場合に,Bが,#現時点から10年を逆算し占有開始時点を任意に設定し,Dを時効完成前のAからの譲受人(②と同じ)と主張することは,認められない。⑤しかし,③のDの登記後さらに,Bが取得時効に必要な期間占有すれば,また時効主張可。以上の準則から,10年より,20年の時効の主張の方が有利なことも。
[内田『民法Ⅰ』4版452頁(④最判昭35・7・27民集14-10-1871、⑤最判昭36・7・20民集15-7-1903)参照。事実の評価例。]


物権8/ 425/ Aの土地をBが10年間占有:①BがAに時効取得主張するのに登記不要。あたかもAからBが土地を譲り受けたときのように,対抗関係でないから。②時効完成前にAから土地を譲り受けたCとの関係も,同じく登記不要。③#時効完成後に現れたDとの関係は,あたかもAからB,Dへ土地が二重譲渡されたような関係で登記要。
[内田『民法Ⅰ』4版451頁、452頁(①大判大7・3・2民録24-423、②最判昭41・11・22民集20-9-1901、③大連判大14・7・8民集4-412)参照。事実の分析・評価例。]


民法総則9/ 424/ 時効制度全体についての存在理由は,①#長期にわたって存続している事実状態を尊重し_その事実状態を前提として構築された社会秩序や法律関係の安定を図る,②#過去の事実の立証困難を救い,真の権利者,債務から開放された者(無義務者)を保護する,③#権利の上に眠る者は保護に値しない,というものである。
[内田『民法Ⅰ』4版312頁参照。法的判断枠組み(基礎理論)。]

行政法22/ 423/ 争訟法上の「#処分」概念は,#権力的事実行為 も含み(行審法46条,47条,59条),「行政庁の処分その他公権力の行使」(行訴法3条2項)と包括して用いることが多く,#具体的規律をする行政立法 を含むなど,必ずしも行政行為概念と一致しない。もっとも,処分,行政処分を,#行政行為 と同じ意味で用いることあり。
[『LEGAL QUEST行政法』3版64頁、65頁参照。法的判断枠組み(文言の意味、条文)。]


行政法21/ 422/ #行政行為 とは,行政作用のうち,具体的事項について対外的な法効果をもってなす権力的行為である。個別実定法の,命令,禁止,許可,免許,承認,更正,決定,裁決等の名称に該当する。一般法的には,「行政の処分」(行手法2条2号,行審法1条2項,行訴法3条2項),「行政処分」(地自法242条の2第1項2号)にほぼ相当。
[『LEGAL QUEST行政法』3版64頁参照。法的判断枠組み(定義、条文)。]

民法総則8/ 421/ 土地賃借権の時効取得(#民法163条)については,①#土地の継続的な用役という外形的事実が存在し,②#かつ_それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときに,可能。①は,真正な権利者が了知可能な形なことを要し,②は,#賃貸借契約の存在 と,#賃料の継続的支払という事実 があれば認められる。
[『判例プラクティス民法Ⅰ』〔198〕(最判昭43・10・8民集22-10-2145)参照。法的判断枠組み(判例)+事実の分析・評価例(学説)。]


2018年1月2日(1)
会社法74/ 機関39/ 420/ 当該行為時の会社の状況・社会,経済,文化等の情勢下,#会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見_経験を基準とし,前提としての #事実認識 における不注意な誤りの有無,その事実に基づく #行為の選択決定 における不合理の有無の観点から,当該行為が #著しく不合理と評価されるか(経営判断)。
[『事例で考える会社法』初版159頁(東京高判平16・9・28判時1886-111)参照(より簡潔な表現として、最判平22・7・15判時2091-90)。参照。法的判断枠組み。]


2018年1月1日(2)
刑法総論33/ 419/ ①不正な暴行による侵害招致,②侵害は暴行直後に近接場所で行われた一連一体の事態,③侵害がそれを招致した暴行の程度を大きく超えない場合,正当防衛ができる状況(#緊急行為性)なく,正当防衛否定。ただし,暴行でなく,言葉による挑発の場合や,侵害程度が被告人による暴行の程度を大きく越える場合除く。
[山口『刑法総論』3版127頁、128頁(最決平20・5・20刑集62-6-1786)参照。事実の分析・評価。]

刑法総論32/ 418/ 侵害の予期だけでは侵害の急迫性は失われないが,その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思(#積極的加害意思)で侵害に臨んだ場合,予期された侵害に対する反撃行為に,侵害からの保護を求める余裕がない状況でなされる行為(緊急行為)としての性格が失われる(侵害の急迫性要件みたさない)。
[山口『刑法総論』3版126頁(最判平52・7・21刑集31-4-747)参照。やっぱりこういう場合の事実をどう分析・評価するかという記述といえる(訂正)。]]

/https://twitter.com/right_droit/status/947632427844845569
#あけましておめでとうございます。#HappyNewYear!
 今年も法律の勉強頑張ります,勉強時間増やします(#新年の抱負)。基本の勉強にもっと注力したい。
 法律論文試験は,やはり基本から考えて書くしか,短い時間では対処できない,と改めて思います。
  ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
9:55 - 2018年1月1日

  right-droit.hatenablog.com

会社法 - 機関

 法律関係書を読み,140字以内にまとめ. 可能な範囲で①法的判断枠組み.②事実の分析・評価に分けています。間違い等のご指摘いただけたら有難いです、よろしくお願い致します。 https://twitter.com/right_droit  http://twpf.jp/right_droit

 

[機関]

〔機関総説〕〔株主総会〕〔取締役〕〔取締役会〕

 

〔機関総説〕
商法46/ 会社法46/ 203/ 持分会社では「社員」しか経営者(業務執行者)になれないが(#会社法590条1項)、株式会社では「株主」でない者が取締役等として経営に携われる(331条2項本文参照)。これを所有と経営の分離という。大規模・公開会社(2条5号)の経営専門家による経営者支配を、所有と支配の分離という。
[『LEGAL QUEST会社法』3版133頁、134頁参照。法的判断枠組み(概念・用語の説明)。]

 

商法51/ 会社法51/ 208/ 一定の場合、株式会社には監査役会設置義務がある。監査役3人以上。半数以上は社外監査役(#会社法335条3項)、常勤監査役(1人以上)の選定も要する(390条3項)。一定の場合、会計監査人の設置義務もある(328条)。計算書類作成の適正を監視監督する(会計監査)。公認会計士資格要。
[『LEGAL QUEST会社法』3版136頁参照。法的判断枠組み(制度の説明)。]

 

株主総会

株主総会総説
商法50/ 会社法50/ 207/ #株主総会 とは、会社の構成員たる株主により構成される、会社の意思決定機関、株主による会議体である。いなかる機関設計を採用しても、設置する必要がある(295条、326条参照)。株主の利潤追求動機(所有の契機)に基づく団体であるから、株主が意思決定に関与する必要性があるからである。
[『LEGAL QUEST会社法』3版140頁参照。法的判断枠組み(概念・用語の説明)。]

 

■招集

商法68/ 会社法68/ 272/ 招集は、株主に総会出席の機会と、議事・議決に参加する準備の機会を与える点に実質的意味があるから、これが確保される限り、口頭でも原則可能である。ただし、#取締役会設置会社では書面等による招集を要し(299条2項2号、3項)、#一定規模の会社における機会確保が制度的に担保されている。
[『LEGAL QUEST会社法』3版144頁参照。法的判断枠組み(制度趣旨、条文制度の説明)。]

 

商法39/ 会社法39/ 194/ 少数株主は、株主総会招集権を行使し(#会社法297条1項)、議題(会議の目的事項)提案、議案(議題に関する具体的提案)提出が可能である。しかし、総議決権100分の3保有要件は厳しい。そこで、議題提案権(303条1項)、議案提出権(304条)・議案通知権(305条1項)制度がある。
[『LEGAL QUEST会社法』3版146頁、147頁参照。法的判断枠組み(法的概念および制度の説明、条文の指摘)。]

 

商法40/ 会社法40/ 195/ かつて、株主提案に対し賛成票はきわめて少なく、制度の主眼は、株主への意見表明の機会付与と言われてきた。
近年、提案内容も多様化し、株主提案権行使と委任状勧誘(議決権の代理行使の株主への勧誘。#金商法194条 等による規制あり)を組み合わせ、株主提案が多くの賛成票を集める例もある。
[『LEGAL QUEST会社法』3版147頁、148頁参照。事実の分析。]

 

■議事

●説明義務

[・取締役、会計参与、監査役、執行役(取締役等)は、株主総会において、株主から特定事項についての説明を求められた場合、説明をなすべき義務を負う(会社法314条)。株主が、議案の賛否を判断するために必要な情報を充実させるためである。

 総会の場で具体的な質問がない限り #説明義務は発生しない。

 株主の質問事項が、議題に関しないものであるとき、株主の共同の利益や株式会社その他の者の権利を害するとき、説明のために調査を要するとき、実質的に同一の事項について繰り返し説明を求められたとき等は、説明をしなくともよい(314条ただし書、施行規則71条)。]

 

会社法81/ 機関41/ 434/ 取締役等は,株主総会で,株主から特定事項の説明を求められれば,#説明義務を負う(会社法314条)。議案の賛否判断のため。#総会で具体的質問なき限り義務は生じない。議題に関しない,株主の共同利益や他者の権利を害する,調査要,実質的に同一事項の繰返しなどのとき,を除く(同条ただし書,#施行規則71条)。

[『LEGAL QUEST会社法』3版149頁、150頁参照。法的判断枠組み(条文)]

 

 

●説明義務の程度

[・株主の質問により取締役等に説明義務が発生した場合に、どの程度の説明をすれば義務を果たしたことになるか。

 一般論としては、株主が議題を合理的に判断するのに客観的に必要な範囲で説明すれば足りる。平均的な株主が基準となる。

 実際に何を説明すべきかは、#具体的な議題・議案の内容、総会においてなされた株主の質問の内容によって決まる。

 退職慰労金の議案の場合には、会社法361条1項が会社から取締役に流出する額をコントロールしていることに鑑み、少なくとも確定した支給基準、その公開、その基準から支給額を具体的に算出できること、について説明すべきである。]

 

会社法82/ 機関42/ 435/ 取締役等に説明義務が発生した場合,#株主が議題を合理的に判断するのに客観的に必要な説明で足りる。何を説明すべきかは,#具体的な議題・議案や総会での質問内容により決まる。退職慰労金議案の場合,会社法361条1項が資金流出コントロールにあるので,確定した支給基準から額を算出できることの説明要。

[『LEGAL QUEST会社法』3版150頁、151頁参照。法的判断枠組み、および、事実の分析・評価例。]

 

■決議

●議決権の代理行使

[・株主は、代理人によって議決権を行使することができる(会社法310条1項前段)。株主総会に出席できない株主に、議決権行使の機会を保障するためである。具体的には、代理人株主総会ごとの代理権を授与し(310条2項)、それを証明する書面の提出により議決権行使が認められる(同条1項後段)。

 もっとも、会社としては、株主でない者が株主総会を攪乱することを防止するため、代理人資格を株主に限る旨の定款を置く場合が多い。このような定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり有効とされる。]

 

会社法83/ 機関43/ 436/ 代理人により議決権行使可(会社法310条1項前段)。出席できない株主の議決権行使機会の保障。株主総会ごと代理権授与し(310条2項),それを証する書面提出による(同条1項後段)。ただし,#株主でない者による株主総会攪乱の防止のため,代理人資格を株主に限る定款も,合理的理由による相当程度の制限で有効。

[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、R29②Q2,参照。法的判断枠組み、および、事実の分析・評価。]

 

商法37/ 会社法37/ 192/ 株主でない者による株主総会の攪乱を防止する趣旨で、代理人資格を株主に限る旨の、定款規定は、合理的理由による相当程度の制限であり、有効である(#会社法310条1項前段参照)。その場合も、仮に法人が、株主でない従業員を代理人としても、総会を攪乱させるおそれはなく、当該定款に反しない。

[『LEGAL QUEST会社法』3版153頁、154頁(最判昭43・11・1民集22-12-2402、最判昭51・12・24民集30-11-1076)、R29②Q2、参照。事実の分析・評価例。]

 

最判昭51・12・24民集30-11-1076参照

[・仮に法人(団体)がある会社の株主となっている場合、株主総会で議決権を行使するためには、代表者が行使すべきことになる。しかし、あまり現実的ではない。法人(団体)としては、職員や従業員を代理人とすべき場合が生じる。この場合に、代理人資格を株主に限る定款規定を厳格に適用すると、株主である代理人でなければ議決権を行使できず、過度の制約といえる。このように定款規定が相当程度の制限にとどまらない場合には、当該定款の効力を制限する必要がある。

 すなわち、法人(団体)の職員や従業員を代理人として株主総会に出席させ、議決権を行使させてもなんら総会の攪乱のおそれはなく、また、その行使を認めないと事実上議決権行使の機会を奪うに等しく不当である。したがって、法人(団体)の職員や従業員を代理人として議決権を行使させても、代理人を株主に限る定款規定違反とはならない。]

 

会社法84/ 機関44/ 437/ 代理人資格を株主に限る定款の #厳格適用は,株主代理人のみ議決権行使させる過度の制約,#相当程度の制限とはいえない場合がある。団体職員や法人従業員を代理人とし出席させ,議決権行使させても総会攪乱のおそれなく,認めないと事実上議決権行使機会を奪うに等しい。このような場合,定款の効力制限要。

[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、R29②Q2、参照。事実の評価・分析例。]

 

●書面による議決権行使

[・株主総会に出席しない株主のため、会社は、株主総会招集に際し、#書面による議決権行使を認めることができる(会社法298条1項3号)。また、株主数が1000人以上である会社では、これを定めることは義務である。

 この場合には、招集通知に際して、株主に株主総会参考書類、議決権行使書面を交付する必要がある(301条1項)。株主は、議決権行使書面に必要事項を記載し、会社に提出することによって、議決権を行使する(311条1項)。]

 

会社法80/ 機関40/ 433/ 株主総会に出席しない株主のため,招集に際し,#書面による議決権行使を認めることができる(会社法298条1項3号)。#株主数が1000人以上の会社では,必要的な義務である。招集通知に際し,株主に株主総会参考書類,議決権行使書面を交付(301条1項)。株主は,議決権行使書面に記入し,会社に提出する(311条1項)。

[『LEGAL QUEST会社法』3版154頁、155頁参照。法的判断枠組み(条文、制度)。]

 

●株主の権利行使に関する利益供与

商法38/ 会社法38/ 193/ 「株主の権利行使に関」する利益供与は禁じられる(#会社法120条1項)。総会屋対策、会社運営の健全性・公正の確保の趣旨である。会社運営上の合理性の有無で判断する。会社に好ましくない株主による議決権等行使を回避する目的で、その者から株式を譲り受ける資金の何人かへの供与も、該当する。
[『LEGAL QUEST会社法』3版158頁、159頁(最判平18・4・10民集60-4-1273)参照。法的判断枠組み(趣旨、判断基準)。事実の評価例。]

 

商法18/ 会社法18/ 95/ 「財産上の利益の供与」(#会社法120条1項)における「利益」は、金銭だけでなく権利やサービスの提供も含む。「供与」には、消極財産の解消(債務免除等)も含む。「株主の権利の行使に関し」は、株主として行使する全ての権利を含む。供与の客体は誰でもよく、会社の損害の発生も不要である。
[ 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)130頁参照。事実の評価例。]

 

〔 取締役・取締役会・代表取締役
商法44/ 会社法44/ 199/
法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
 『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

商法21/ 会社法21/ 137/
累積投票制度では、取締役選任決議について、株主が株式1株につき選任される取締役の数と同数の議決権を有し(#会社法342条3項)、その議決権全部を特定の候補者に集中して投票できる。少数派株主も持株数に応じた数の取締役を選出できるが、制度自体が定款で排除される場合も多い(同条1項)。
 『会社法判例百選』2版66頁解説1参照。[法的判断枠組み(条文の説明)]

商法19/ 会社法19/ 96/
内部統制システム整備は、大会社である取締役会設置会社で義務づけられ(#会社法362条5項、4項6号、施行規則100条1項)、具体的にどのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題となる。各取締役は取締役会の一員としてその大綱の決定義務、履行についての監督義務を負う。
 『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)139、141頁参照。

 

〔役員等の義務、利益衝突〕

👉別稿: http://right-droit.hatenablog.com/entry/2018/02/17/183245